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瀬戸口智氏(以下、瀬戸口):代表取締役社長の瀬戸口です。本日は寒い中、アステナホールディングスの決算説明会にご参加いただき、ありがとうございます。
本日はエグゼクティブサマリー、決算概況、業績予想・3ヶ年中期経営計画の3点についてご説明します。どうぞよろしくお願いします。
Executive Summary
エグゼクティブサマリーです。2025年11月期の業績は、売上高627億円、営業利益30億円、当期純利益21億円と、いずれも過去最高益を達成しました。
前期である2024年度は減損損失を計上した影響で純損失となりましたが、それ以前の2023年度と比較しても増益を達成しています。2026年度も過去最高益の更新を目指していきます。
2025年11月期 決算概況
2025年11月期の決算概況です。増収増益の主な要因は、ファインケミカル事業とHBC・食品事業による影響です。また、政策保有株式の縮減を進め、売却益2億7,000万円を特別利益に計上しました。
昨年7月に修正した業績予想に対し、売上高の達成率は98パーセントと未達でしたが、当期純利益は122パーセントと大きく超過しました。
2025年11月期 セグメント別業績
セグメント別業績についてご説明します。ファインケミカル事業では各部門の利益が改善し、大幅な増益を達成しました。
HBC・食品事業は化粧品製販部門で輸入化粧品、特に韓国コスメの販売が好調で、大きな増収となりました。一方、利益に関してはM&Aに伴う一過性の費用が影響し、相対的に小幅な増益にとどまっています。
営業利益前期比増減
営業利益の前期比増減についてご説明します。先ほどご説明した要因に加え、薬価改定の影響やソーシャルインパクト事業におけるプロモーション費用の計上などがあり、営業利益は30億1,700万円となりました。
ファインケミカル事業
セグメント別の業績増減についてご説明します。ファインケミカル事業では、各部門で総利益率の改善が進んだ結果、事業全体の営業利益は前年同期比314.5パーセント増の9億900万円となり、大幅な増益を達成しました。
営業利益を四半期別に見ると、第4四半期は売上高の減少により減益となりました。進行期は受注が安定していることから、第1四半期に赤字が継続することはないと考えています。
HBC・食品事業
HBC・食品事業についてご説明します。当事業では、化粧品製販部門における韓国コスメ「Torriden」の新製品発売やプロモーション効果が、事業全体の増益に大きく寄与しています。
一方、化粧品原料部門では、新たに池田物産グループを連結対象としましたが、連結開始が第4四半期と後半だったため、業績への寄与は限定的でした。
また、買収に伴う一過性の費用を計上したことで、第3四半期および第4四半期の営業利益は低調となっています。
化粧品原料分野の機能強化
池田物産グループをご紹介します。化粧品の原料商社である池田物産グループは、昨年の第4四半期からグループ化しました。
化粧品市場はアフターコロナによる需要回復やインバウンド需要の取り込みにより、今後も堅調に成長していくと見込んでいます。
池田物産は横浜市にある本社に加え、同市内に自社R&Dセンターを有しています。処方開発や各種試験などの研究開発機能を通じて、お客さまに提供するサービスの幅を広げています。
また、アメリカのニューヨーク州に現地法人を有しており、日本国内での化粧品原料の取り扱いに加え、グローバルな調達力と販売力にも強みを増しています。
イワキ株式会社の従来の化粧品原料部門は、国内での仕入と販売が中心でしたが、池田物産グループの機能を活用することで、新たな展開が可能になりました。
また、両社には得意先や仕入先における重複が少ないため、化粧品原料マーケットにおいて上位のシェアを獲得することが可能となりました。
これら一連の取り組みを通じて、プラットフォーマーとしての地位を確立することを推進していきたいと考えています。
繰り返しとなりますが、収益面に関しては、2025年11月期第4四半期から取り込みを開始しています。進行期においては、年間を通じた業績への寄与となっています。
医薬事業
医薬事業の医薬品部門についてです。長期収載品が選定療養品目の対象となった影響で、当社の後発医薬品を選択いただく機会が増加し、販売は好調に推移しています。
一方、薬価改定の影響によって当社の後発医薬品が先発医薬品と同等以上の価格となった品目もあり、これらのケースでは販売が低調に推移しています。この結果、医薬品部門は前期比で減益となりました。
また、美容医療部門では「NAVISION DR」の販売伸長に加え、昨年から新たに取り扱いを開始した「illsera」シリーズの販売が計画を上回り、営業利益は前期比で増益となりました。
化学品事業
化学品事業についてです。表面処理薬品部門では、高付加価値製品の販売促進や電子部品向け薬品の海外市場での新規顧客獲得によって、増益を達成しています。
一方、表面処理設備部門では、設備需要の一巡により設備販売が大幅に減少しました。修理やメンテナンス、部品販売に注力したものの、前期比で減益となっています。
全般として、アステナホールディングスからの経営管理料の増加により、事業利益としては減益に見えるものの、本業部分においては着実に増益を達成しています。
ソーシャルインパクト事業
ソーシャルインパクト事業についてです。ヘルスケア部門では、販路拡大などにより売上高は増加しましたが、先行投資が続いているため、利益面では営業損失という結果となっています。
ヘルスケア部門「NAIA」では、グッドデザイン賞を受賞したことやメディア掲載の増加により、認知度が向上しています。
地方創生部門の「ふるさとNOW」は、ふるさと納税をその場で実施できるサービスです。採用施設が増え、黒字化を達成しました。
能登地域における地域共創型の取り組み
能登地域での取り組みを継続しています。農業では、これまでのお米やラフマに加え、今年からレモン栽培を始めます。引き続き地域との関係を大切にしながら、事業との連動を意識した取り組みを進めていきます。
政策保有株式の縮減
政策保有株式についてです。当期も政策保有株式の売却を実施した結果、純資産に占める政策保有株式の割合は10.3パーセントまで低下しました。
2027年度までに10パーセント未満まで削減を進めるという予測を立てているため、着実に実施していきたいと考えています。
2026年11月期通期業績予想
業績予想および3ヶ年中期経営計画についてです。2026年度も増収を達成し、各段階の利益が増益となることで、過去最高益を目指したいと考えています。
営業利益は、主にファインケミカル事業の増益に加え、アステナホールディングスで前期に計上されていた一過性費用の剥落もあり、利益が改善する見通しです。結果として、前期比12.7パーセント増益となる34億円を予想しています。
セグメント別の見通し
各事業の見通しについてご説明します。
ファインケミカル事業では、堅調な市場環境を背景に、受託案件の獲得を目指して重点企業へのアプローチを強化していきます。好調な医薬品原料プラットフォーム部門では、引き続き市場シェアの向上を目指します。
HBC・食品事業では、池田物産とのシナジー創出を目指して取り組んでいきます。一方、連結化によるPMI費用やのれん償却負担が収益に影響し、貢献は限定的な見通しです。
医薬事業では、選定療養の拡大などにより、後発医薬品市場の拡大が継続すると予測しており、安定供給に向けて製造委託を推進していきます。
美容医療部門では、市場の拡大が期待される中、新カテゴリの開発を進め、市場投入に向けて取り組んでいきます。
化学品事業では、需要増加を取り逃さないための供給体制整備を推進していきます。
中長期ビジョン、中期経営計画
中期経営計画です。3ヶ年中期経営計画をローリングし、3年後の2028年度における売上高を760億円、営業利益を40億円、ROEを9.0パーセントとすることを目指しています。
ローリング前の計画では、2027年度の営業利益目標を35億円としており、前倒しで進捗していると認識しています。2028年度も、目標を達成すべく活動を進めていきます。
また、M&Aによるシナジー創出を早期に実現することで、中期目標の達成をより一層強固なものにしていきます。
還元方針
還元方針です。安定的でありかつ業績連動性を持たせた配当方針を基本としています。2025年度は、配当性向約33パーセントとなる18円を予定しています。
配当方針は、配当性向30パーセントを目処としています。直近5年間では純損失の計上もありましたが、それを含めて配当性向30パーセント以上で年間18円の安定配当を行ってきました。2026年度は配当性向30.9パーセントで年間18円とし、配当額は据え置きとなります。
一方、2027年度以降は利益成長に伴い、配当性向30パーセントを基準に着実な還元ができるよう取り組んでいきます。
資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応
資本コストや株価を意識した経営の実現を目指す方針を示しています。
中長期ビジョン「Astena 2030」のもと、企業価値の最大化と持続的成長を目指します。財務戦略では、資本効率の向上を図りつつ、成長投資と株主還元のバランスを重視し、3つの重点戦略を軸に推進していきます。
現状分析として、ROEの改善によりPBRも改善傾向にあるものの、1倍未満で推移している状況が続いています。PBR1倍割れを重要な経営課題と認識し、収益性・資本効率・市場評価の三位一体で改善を目指します。
具体的な取り組みとして、収益性の強化と成長戦略の推進に向け、成長投資を着実に実行します。
2025年度には、ファインケミカル事業の収益性向上や、HBC・食品事業におけるM&Aの実行などを進めていますが、これにとどまらず、さらなる成長戦略や投資の実行に向けた取り組みを進めていきます。
2つ目は、資本効率の最適化と株主還元の強化です。政策保有株式の縮減については、先ほどご説明したとおり、2027年11月末までに純資産比率を10パーセント未満に削減する予定です。還元方針においては配当に加え、自己株式の取得も柔軟に検討していきます。
3つ目として、企業価値の訴求と市場との対話強化に向けた体制整備や、開示の拡充を進めます。
資本コストの低減を目指し、開示関連では、2025年度第3四半期からは決算説明会を開催しない四半期においても決算説明資料を開示しており、今回からはExcelベースのデータブックの開示も開始しました。
今後もみなさまからいただいたご意見をもとに、継続的な改善を進めます。
PBR, ROEの推移
こちらのスライドは、ROEとPBRをグラフ化したものです。お手すきの際にご覧ください。
中長期的な企業価値向上に向けて
中長期的な企業成長を実現するために当社が注力しているのが、人的資本です。
当社は、多様な事業を支える「人」を最大の資本と位置づけています。多様な事業を支える人材育成をグループ横断で計画的に推進していきます。
また、人的資本への注力を起点として、当社は企業価値向上を資本効率の向上、事業成長戦略、非財務施策の3つの観点から戦略的に推進していきます。
これらの取り組みにより、収益性の向上と成長期待の醸成が進み、持続的な企業価値の向上につながると考えています。
①資本効率向上 付加価値の適正分配
当社では、人的資本をコストではなく投資と捉えています。当社グループは、付加価値の適正分配という考えのもと、事業投資・人的資本投資・株主還元のそれぞれに付加価値を適正に分配し、持続可能な成長の好循環の構築を目指します。
②事業成長戦略 進捗と今後の成長に向けた取り組み
事業戦略では、各領域で戦略を実行し、すべての領域での成長を実現します。安定収入基盤領域については、グループ経営を支える基盤として、継続的に強化を図っていきます。
また、価値創出領域においては、掲げている「Pureal」「NAIA」に加え、新たに韓国コスメブランドの投入を決定しており、「ヴイックス ヴェポラッブ」の承継も決定しています。顧客との接点を増やし、ブランド価値の向上に努めていきます。
高収益成長領域においては、当グループの特徴であり強みでもあるCDMO事業の高収益化に継続的に取り組んでいきます。
③非財務施策 ESGへの取り組み
非財務施策であるESGへの取り組みについてご紹介します。
環境分野では、CDPが実施する調査において、気候変動分野で2024年度より改善し、「B-」を取得しています。
ソーシャル分野では、従業員持株会を通じた「特別奨励金スキーム」の実施により、約9,000万円の当社株式を従業員に付与します。これは前段でご説明した人的資本投資の一環であり、従業員への経営参画を促すことで、企業価値の向上を目指し、全員経営を推進していきます。
今回のタイミングで従業員持株会の加入率が大きく向上し、グループ全体の約6割の従業員が加入することで、より一層の効果が期待されます。また、加入率が高まった従業員持株会を通じて、当社株式の中長期的な流動性向上にも寄与することを期待しています。
ガバナンスにおいては、行動指針を新たに策定しました。M&Aによりグループ従業員が増加している中、共通の指針を設けることにより、パーパスである「明日の『あたりまえ』を創り続ける」の実現を目指していきます。
成長投資、ポートフォリオの転換
2019年度以降、非中核事業・資産の売却とともに、注力事業へのM&Aや設備投資など、200億円を超える投資を実行しています。池田物産も、プラットフォーム事業の強化の一環です。
足元では、ファインケミカル事業の収益性向上や輸入化粧品の収益貢献が進んでいます。また、高収益を目指し、ポートフォリオの継続的な見直しを引き続き行っていきます。
29ページ以降には、各事業の概要を記載しています。事業内でさらに部門が分かれるなど、事業領域は多岐にわたっています。事業の詳細や売上構成比などが記載されているため、事業理解の一助となれば幸いです。お手すきの際にご覧いただければと思います。
説明は以上です。今後とも当社の歩みにご期待いただき、変わらぬご支援を賜りますようお願いします。
質疑応答:M&A投資および政策保有株式に関する現状評価について
質問者:M&Aによる成長投資について質問です。この中で大きいものとしては、スペラファーマ社の63億円があります。
一方、投資額は小さいものの、岩城製薬佐倉工場における投資は5年が経過しました。この投資に対するリターンや成長性は、当初目論んでいた成功基準と比較して、現時点でどのように評価されていますか?
併せて、今期は池田物産でさまざまな費用がかかっており、まだ利益貢献はしていないとうかがっています。足元の年間売上高や利益はどの程度の規模となっている会社なのでしょうか? 買収を発表した際に古い数字はいただいていますが、最新の数字がありません。M&Aや成長性投資についてお聞きしたいです。
また、政策保有株式について質問です。2027年まで持続するということで、純資産に対する10パーセントという話でした。足元ではほぼそこまで進んできており、今期および来期で20億円以上の最終利益が出るという予測の場合、なにもしなくても10パーセントを下回る状況になるかと思われます。
それでも、これまでのペースで政策保有株式の縮減を続けていこうというお考えでよろしいでしょうか?
瀬戸口:投資を進めてきた中での、現状について申し上げます。スペラファーマ社の回収状況は、想定どおりとは言えないという見解です。そのため、2年前に我々の体制を変更し、しっかり対応していこうという方針を定めました。この方針が今回の収益改善につながっていると理解しています。
このトレンドは底堅く続いているため、遅れながらも確実に回収を進めていく考えを持っています。したがって、回収のタイミングがずれた可能性はありますが、ここからは力強く回収を進めていくフェーズだと考えています。
池田物産については開示していませんが、急激に売上高を増加させるわけではありません。同じ商社業であることから、何十パーセントも急激に伸びることも、逆に減ることもないという状況です。
とはいえテンポラリーに非常に規模の大きい外資系企業の案件が入ることもありますが、現時点ではそれほど大きなものではありません。
ただし業界シェアにおいては、2社を合わせることで6番手・7番手・8番手の企業が3番手程度に順位を上げており、シェア拡大の観点では非常に大きなチャンスを得ています。そのため、こちらをしっかりと伸ばしていきたいと考えています。
岩城慶太郎氏(以下、岩城):ファインケミカル事業を担当しています、取締役の岩城です。ファインケミカル事業は、過去にスペラファーマ、岩城製薬佐倉工場、およびJITSUBOの3社をM&Aによって取得しています。
岩城製薬佐倉工場は、M&Aから約2年半でM&Aにかかった費用や投資が回収されています。また、JITSUBOも費用回収が順調に進んでいる状況です。
一方でスペラファーマは、2022年以降に当初計画していた事業計画から大きく乖離がありました。計画どおりには進まなかったため、2022年10月から私がハンズオンで関与を始めました。現在では、当初目論んでいた収益性と成長性を回復させている状況です。
したがって、当初計画どおりに推移したわけではありませんが、岩城製薬佐倉工場およびJITSUBOの2社は、当初計画よりも早く回収を達成しました。スペラファーマは一度当初計画から乖離したものの、現在では収益性・成長性ともに当初計画以上の水準を取り戻しています。
質疑応答:池田物産の売上高や利益に関する現状と見通しについて
質問者:社長のご説明では具体的な数字には触れられていませんが、池田物産の売上高は以前いただいている数字と大きく変わらず、60億円程度だったかと思います。営業利益はほぼ1億円という水準であり、これが大きく変動することはないという認識です。
外資によるプロジェクトが加われば少し動く可能性がありますが、現時点では、基本的には安定的にわずかな利益が得られる会社であるという理解でよろしいでしょうか?
瀬戸口:ご質問のとおりではありますが、内訳にはPMIが含まれており、事業の効率性が向上する見込みです。
また、シナジー効果については、互いのリソースを活用した取り組みがすでに始まっており、さらなるプラスアルファが期待できると考えています。
また、政策保有株式については、「10パーセントを切ったから安心です」という話をするつもりはなく、あくまで関係各社との意見交換を続けながら、こつこつと着実に減らしていく方針を維持しています。
質疑応答:投資家との対話強化策と対象について
質問者:昨年もこの場で同様の質問をしたのですが、あまり変化が見られない点もあるため、株式の市場性に関する論点についておうかがいしたいです。ROEは特損があった期を除いても倍増しており、非常に成長が見られています。
ただし、ご説明にもあったように、PBRが0.7倍台であることや、EBITDAを計算すると倍率が6倍程度と割安な状態が継続している点において、アステナホールディングスの株式の市場性が市場からどのように見られているのかが論点だと考えています。
昨年は「半導体・AIでなければ株にあらず」というような相場でしたが、きちんとした実利のある会社がどのように評価されていくのか、2026年には変化が期待できるのではないかと考えています。
22ページに「IR専門組織を中心とした投資家との対話強化」と記載がありますが、具体的にはどのような施策を講じるのでしょうか? 対象は機関投資家なのか、個人投資家なのか、また、何を行おうとしているのか教えていただけますでしょうか?
瀬戸口:具体的な内容については、社内で検討を進めている段階です。基本的にはROEもここまで改善し、ファインケミカル事業も回復してきた中で、これからはしっかりと利益を出し、リターンの多い企業であるとアピールしていくことが重要だと考えています。
また、株価に関しては、難しいと感じています。とはいえ、特にIRは私が社長に就任した3年前からコツコツと取り組みを進めています。こちらをしっかりと継続し、対話を真摯に進めることが非常に重要だと考えています。
個人投資家を排除するわけではありませんが、機関投資家の方々にしっかりと注目していただくことが大事だと考えています。今後の投資家ミーティングにも積極的にお声がけをしていく予定です。
いずれにしても、「何か即効性のあることが今の株価水準であるのですか?」といった懸念事項はおそらくないと思っているため、継続的な取り組みをしっかり進めていくことが大切だと考えています。
質疑応答:ファインケミカル事業の第4四半期赤字の要因とその後の見通しについて
質問者:今期の決算においてファインケミカル事業の業績が大きく改善していますが、四半期で見ると第4四半期の業績はマイナスになっています。これは意外に感じたのですが、第4四半期だけを見ると何があったのか教えてください。
また、社長からは「一過性のようなものであり、今期を見ると、通期で再びぐっと良い方向にいきますよ」というお話がありました。この第4四半期の赤字要因と、それがその後どうなるのかについても教えてください。
岩城:各事業の営業利益は、経営管理料が配分される関係で、事業そのものの利益から経営管理料を差し引いたものを表示しています。
第4四半期は、いくつか売上の発生時期のズレが見られました。例えば、岩城製薬佐倉工場では、第3四半期まで増産を続けていましたが、第4四半期に少し品質トラブルが発生し、生産量が減少しました。
あるいは、スペラファーマにおいても、第4四半期は前期に受注していた売上がやや少ない状況がありました。このように複数の要因が重なり、第4四半期は赤字となっています。
段階利益に関しては、事業本体の利益自体は黒字ですが、今回の赤字は一過性のものであると考えています。この状況が継続するわけではないとご理解いただければ幸いです。
質問者:岩城製薬佐倉工場のトラブルは一過性のものであり、その後は取り戻していると理解してよろしいでしょうか? また、スペラファーマもその後は順調に受注を得ており、良い方向に向かっていると考えてよいのでしょうか?
岩城:どちらもご指摘のとおりです。スペラファーマのビジネスは、半年から9ヶ月ほど前に受注した分が売上に反映されるかたちとなっています。
そのため、昨年4月から6月頃の受注が少し弱かったことが原因ですが、現在の受注残などの状況を見ると、当初の目標どおり復活してきています。したがって、今後も取り戻せる範囲内であると考えています。
また、岩城製薬佐倉工場の品質トラブルについて説明します。これは原材料に起因する問題であり、その供給者に対して機会損失分の賠償を取りつける予定です。
ただし、このトラブルは年度末に発生したため、月ズレが生じ、月内に完全には取り戻せなかったという事情があります。いずれにしても、一過性のものだと考えています。
質疑応答:化学品事業の四半期別業績推移と持続性について
質問者:化学品事業を四半期別に見ると、第1四半期と第2四半期は少し下がっていますが、第3四半期と第4四半期では利益が大きく向上しています。この傾向を見ると、今期はさらに良くなりそうなのですが、横ばい圏の予想となっています。
第3四半期と第4四半期に化学品事業が好調だった要因は何でしょうか? また、その持続性についてはどのように考えたら良いのでしょうか? 材料と設備の問題も関連すると考えていますが、その点について教えてください。
藤原誠氏(以下、藤原):化学品事業を担当している、常務執行役員の藤原です。直近、AI関連の普及に伴い、AIデータセンター向けの売上が堅調に推移したことが要因です。それに加えて、今後も堅調に推移する計画です。
質問者:今期の予想に部門別の具体的な数値はありませんが、セグメント別の矢印で見通しが示されていたかと思います。そこでは、今期の業績はピーク利益を更新する見込みで、ファインケミカル事業がさらに向上するとされています。
岩城さまのご説明で理解しましたが、他の3部門は横ばい圏の予想のように感じます。一方、ファインケミカル事業はその成長ペースを考えると、さらに良くなる可能性があるのではないかと思います。
この件に関して、設備投資や設備関連が減少するなど、プラスマイナスの要因があるのでしょうか? あるいは、慎重な見方をしているということでしょうか? また、先ほど触れられていたAIデータセンターなどの分野が成長を牽引していくのでしょうか?
藤原:若干ではありますが、第3四半期および第4四半期の平均から右肩上がりで推移すると予測しています。
質問者:そのような意味では、全体としてはいつものようにやや堅めな予測をしていると捉えられるかと思います。
つまり、もう少し長い目で見ると、新しいローリング3ヶ年計画のうち、単年度でファインケミカル事業は明らかに伸びる一方、ほかは横ばい、池田物産も含めてHBC・食品事業は横ばいでしょうし、医薬事業は薬価の問題が影響しているかもしれません。化学品事業はさらに成長しそうだと考えています。
このあたりの矢印のイメージは、どのように見ておけばよいでしょうか?
瀬戸口:まず、控えめな発言は控えるようにし、なるべく正確にお伝えすることを目指したいと考えています。
また、スライドの矢印は少し抽象的になってしまっていますが、グレーの矢印をネガティブに捉えず、ファインケミカル事業ほどの成長ではないという意味で捉えていただければと思います。
HBC・食品事業では「池田物産がまったく利益貢献しない」という表現を使いましたが、のれん償却後も一定の利益に貢献します。そのため、シナジーが早期に発揮されれば、このブルーの矢印にさらに近づく可能性があると期待しています。
医薬事業も同様です。さまざまな行政施策の影響を受けつつも、美容医療部門は成長しています。これに基づき、この矢印が基盤となると理解しています。
化学品事業も同様の考えです。一方、ソーシャルインパクト事業は、今後赤字を払拭し、しっかりと取り組んでいこうというところです。
全体的に、グレーのステイの状態は抜いてやや右肩上がりの矢印として理解していますが、あまり控え目になりすぎないようにしたいと思っています。
質問者:私の印象ですが、ROEが上がっていくということで、中長期的に13パーセント程度を目指すというお話でした。
先ほどの質問にもありましたが、もう少し成長イメージを強調してPBR1倍以上にもっていくために、セグメント別の業績の見方や今期の具体的な数字を発表されるかたちで、成長イメージの目玉の透明性、見える化をもう少し進めていただけると良いと感じています。四半期ごとに確認したいと思っているため、よろしくお願いします。
質疑応答:行動指針策定の背景と狙いについて
質問者:今回初めて御社の説明会を拝聴したため、過去の経緯を存じ上げず大変恐縮ですが、27ページに記載の行動指針の策定について質問です。
御社はすでに「明日の『あたりまえ』を創り続ける」というパーパスをお持ちであり、VISION、MISSION、CORE VALUES、SPIRITをWebサイトで公表されています。
このタイミングで新たにパーパスの策定あるいは行動指針の再設定を行うとのことですが、スライドに記載されている社長のお考えや、いつまでにどのようなかたちでどのような変化をお考えであるのか、現段階でお話しいただけることがあればお聞かせください。
瀬戸口:私どもは、社長に対して身分を明かさずに投稿できる「デジタルの目安箱」という仕組みを実施しています。この仕組みは、本当に誰からの投稿かわからないものです。
当社は「SDGsを体現するんだ」と記載のとおりですが、この目安箱に「細かくやっていくと、SDGsの中に相反する考え方もあり、何をもって動いたら良いかわからない」という投稿があり、「そうか」と思ったことがきっかけです。
当社の社訓には、「貢献」「誠実」「信用」という言葉が散りばめられています。私は、これらを1つの行動指針として採用すべきではないかと考えていました。この社訓は、ふだんから社員に対して「それが私どもの社風に近いよね」と話しているものです。
「『貢献』『誠実』『信用』としてはどうなのか?」という話から、今回、行動指針として少し長いものの、当たり前のことを中心に「ちゃんとこのように動いていこう」「働いていこう」「社会人としてそういう振る舞いをしよう」ということを策定しました。
これによって革新的に社員の行動が変わるというよりは、「100年以上使っている社訓の言葉どおりにちゃんと動いているかを確認してください」という意味で行動指針を作っています。
したがって、この行動指針を通じて実行した行いがお客さまの当たり前を作り続け、社訓のようなサービスを提供できるだろうという想いをもって、昨年12月のキックオフミーティングにおいて、初めて社員に示しました。このような背景、考え、想いを込めて作ったものです。
川野毅氏:法務担当、取締役の川野です。創業111周年を迎え、グループに加わる会社が大幅に増えてきた傾向があります。
中には化粧品原料や医薬といった品質に対するこだわりが求められる会社があり、それぞれが自社内で行動指針や品質管理ルール、あるいはクレドなどを制定しています。
最大公約数的にはこれらの共通性が見られるものの、111周年を迎え、背景の異なるメンバーが次々と1つの組織に集まる現状においては、共通の行動指針を示すほうがよいと考えました。
既存の方針は尊重しつつ、それでもやはり取引先や社会の公器としての会社、さらには社員を含むステークホルダー全体に対し共通の意識や一定のレベル感を持ちながら、それを自らにも問いかけつつ取り組むべきだと考え、昨年の半ばから着手し、全社に向けて「これを展開しますよ」として取りまとめました。
したがって、各社にとっては現行のルールをオーバーライドするようなかたちになりますが、矛盾する内容は一切なく、基本的な方向性も変わっていません。それをぜひみなさまの共通指針として活用してほしいということで、瀬戸口社長以下で作成したものです。
質疑応答:注射剤CDMOの進捗と収益への影響について
質問者:昨年大変だった注射剤のCDMOの進捗と今後の展望を教えてください。
岩城:注射剤は受注が始まり、現在は実際の製造に向けてさまざまな準備を進めている段階です。
注射剤の仕事は受注してから製造に移るまでに1年半程度かかる上、さらにその前の受注に至る監査などにも1年程度の時間がかかる場合があります。少し努力してきた結果、現在は受注が取れ始めており、今後も順調に受注が取れると見込んでいます。
質問者:収益的には、現在進行中の期でなんとか貢献できると考えてよろしいでしょうか?
岩城:現在の期で売上が計上されるという意味でしょうか?
質問者:そのとおりです。
岩城:ギリギリ計上できるかどうかといったタイミングかと思っています。
質疑応答:財務戦略におけるM&Aや設備投資の方針について
質問者:財務戦略についてです。積極的なM&Aや借入の増加がある中、金利上昇局面での財務規律についてどのようにお考えですか? 足元では有利子負債が224億円と前期末比で増加しており、支払いリスクも前期比で倍増している状態であるという認識です。
また、足元のNet Debt/EBITDAは約2.3倍であり、まったく問題ないと捉えています。このデータを許容範囲内とした場合、今後のM&Aや設備投資にあたり財務規律の上限をどこに置いているのでしょうか? さらに、営業キャッシュフローに対する有利子負債の返済と成長投資のバランスをどのように配分しているのか、教えてください。
瀬戸口:現時点では、ご指摘のとおり問題ないと考えています。当然、問題ないからこそ資金を借り入れるという話になりますが、今後は、ディールを実施する際、その規模感を踏まえながら、その都度判断していく形になると思います。
なお、社内で特定の指標を目標として設定しているわけではなく、各種指標をその都度共有する形で運用しており、具体的な目標値は現在のところ設けていません。
これから成長投資を行う際には、その都度議論を重ねながら進めていくことになるかと思います。現時点ではこのような進め方をしています。
質疑応答:医薬事業における今期の営業利益横ばい見通しの理由について
質問者:今期の部門別利益のうち、具体的な数字はありませんが、医薬事業についておうかがいします。営業利益の見通しは横ばいを予想されていますが、前期の実績を見ると下期では落ち込んでいるように思います。
理由はスライドにも記載されていますが、価格が下がったことや、販売数量の減少が影響しているものと思われます。
これが大きな要因だと考えますが、なぜ今期は減益から回復するのでしょうか? 横ばいといっても、回復の印象を持っています。前期の減少傾向から横ばいに戻る理由を教えていただけますか?
スライドでは、選定療養拡大による増加など、いくつかの理由が挙げられていますが、売上や数量が増加するのでしょうか?
成瀬寛俊氏(以下、成瀬):医薬事業担当、常務執行役員の成瀬です。ここでご説明すべき点は、営業利益が第1四半期から第3四半期にかけて減少し、第4四半期で若干回復している点です。
このような事態が発生した理由として、第2四半期から第3四半期にかけて薬価改定があり、それにより営業利益が減少しました。
また、第3四半期から第4四半期にかけては研究開発費など、販管費に予期せぬ出費が発生したことも影響し、その分が営業利益の減少につながりました。つまり、本来であればもう少し利益が上がっており、それが本来の実力であったと考えています。
ご質問の「来期はどのようになっていくか?」については、選定療養をさらに拡大していく中で、患者さんの負担が4分の1から半分に変わるという点があり、それにより医師の処方意欲が後発品に向かうだろうと予測しています。また、選定療養の対象となる医薬品が増えることで数量の増加が見込まれます。
そのため、当社としても委託先をさらに見つけて製造量を拡大するとともに、現在、生産量の限界に近づいている自社製造についても、生産量を向上させる手段をさまざま検討しています。その結果、数量を拡大していく方針を考えています。
ご質問にもありましたように、売上や数量を拡大していくという点については、まったくそのとおりです。こうした生産量拡大の戦略や、協力してくれる委託先を活用することで、実現を進めていきたいと考えています。
一方で、販管費の急激な増加や予期せぬ出費に対しては、これを未然に抑制することで、利益を横ばいに保つと見込んでいます。
質問者:成瀬さんのご説明を聞くと、逆に増益になるのではないかと思ってしまいますが、この見方は課題ですか?
成瀬:正直に申し上げると、これは課題だと思っています。というのも、今期の薬価改定はまだ確定していません。
また、選定療養の品目がどうなるのかという点や、ご存知かと思いますが、現在、OTC類似薬の保険適用をどうするかという議論が行われており、そちらの方向性にも影響を受ける可能性があります。
これが来期にどのような影響を及ぼすのかについては、まだ明確には把握できていません。おそらく他社も同様の状況だと思いますが、こうした点を考慮すると、先ほど瀬戸口が「コンサバには見ない」と述べたように、薬価に関してはやや保守的に見ている部分があるのが正直なところです。
質疑応答:配当増配の余地について
質問者:今期は増配がありませんが、来期以降はといったお話があったかと思います。どのような投資に使うかといった財務戦略があると思いますが、どれくらいの増配の余地が作り得るとお考えでしょうか?
瀬戸口:「増配はいくらまでできるのか?」というお話については、現時点でどの範囲までが限界値となるのか、「例えば仮にDOEは5パーセントにしたらどうなるのか」「当期純利益がここまで到達すれば30パーセントを掛けてそれが増配余地になる」など、その中で、DOEを最低基準のラインとして考えています。
ただし、DOE5パーセントが適切かどうか、あるいは、例えば「昨年は配当性向30パーセントにかかわらず据え置き額を出しているよね」など、業績連動性のお話もありますので、さらに検討を重ねないと結論には至りません。
したがって、「こちらで何円です」「ここまでやります」というコメントは、現時点ではできません。
質疑応答:成長機会の創出、成長ドライバーについて
質問者:終盤に社長がご説明されたスライド26ページにて、成長機会をどう作るかというお話があったかと思います。
その際、「一応26ページではご説明した」となっているのかもしれませんが、具体的な中身についてお聞かせいただけますか? もう少し詳しくお聞きしたいです。
ブランド価値を構築するという点において、その内容や、それがどのように成長ドライバーとなるのか、もう少し詳細をご説明いただければと思います。
瀬戸口:具体的には、その前のページで説明した内容に関連するものと考えています。この3か年計画においても、同様の取り組みを進める予定です。
例えばブランド価値に関して、韓国コスメ「Torriden」でのプロモーション活動において、現在までに大きな知見を得つつあります。それを「Pureal」に活かしたり、また「NAIA」の取り込みや吸収を通じて、どのようにブランドを構築していくかを進めたりしています。
さらに、もともと認知度の高いブランドも存在します。例えば「タイガーバーム」や「ヴイックス ヴェポラッブ」などが挙げられ、それらのブランドが持つグローバルな知見を吸収することも、成長ドライバーとなり得る要素の1つだと考えています。
当然ながら、プロモーションやマーケティングの内容は公表できませんが、成長につながる要素の1つであると認識しています。
また、CDMO事業は、岩城がお話しした内容や、成瀬がご説明した継続的に収益を確保できる点が表現されていると、私は理解しています。時間の関係で詳しくお話しできませんが、またご説明する機会をいただければと思います。
質疑応答:今後のプラットフォーム戦略・ソーシャルインパクト戦略分野に関する考え方について
司会者:「26ページのプラットフォーム戦略・ソーシャルインパクト戦略は重点戦略投資ということですが、今後のM&A対象として引き続き注力していくという理解でよいでしょうか?
これまではファインケミカル事業のCDMO領域に相当の注力をしていらっしゃいましたが、償却コストも低いプラットフォーム戦略・ソーシャルインパクト戦略分野に、注力度合いが高まるという理解でしょうか?」というご質問です。
瀬戸口:ポートフォリオに対する考え方をしっかりとボードメンバーおよびその周辺で議論したいと考えており、その結果、M&Aなどの投資も含めて決定していくことになると考えています。
そのため、現時点ではソーシャルインパクト戦略について具体的に何かを考えているわけではありません。引き続き、いわゆる償却コストの安い事業でよいのではないかという考えは、一切持っていません。また議論を進めていきます。どうぞよろしくお願いします。
質疑応答:各事業戦略・施策に対するマーケットからの評価について
司会者:「各事業戦略・施策推進をされていらっしゃいますが、株価への反応が鈍いように感じます。今後の売上および利益成長が、マーケットからは評価されていないように感じます。より一層の成長拡大、成長加速が必要ではないかと思います」というご質問です。
瀬戸口:ご意見をいただきありがとうございます。こちらは、今後議論したいと思います。