AGENDA
吉田和樹氏(以下、吉田):取締役CFOの吉田です。みなさま、本日はお忙しい中、当社の決算説明をご視聴いただき、誠にありがとうございます。
初めてご覧になる方もいらっしゃるかと思いますので、まず会社概要と中期経営計画について簡単にご説明し、その後、第1四半期の業績についてお話しします。
第1四半期の決算の内容については、資料に書ききれていないニュアンスや温度感なども補足しながらご説明できればと思いますので、どうぞよろしくお願いします。
会社概要
吉田:まず、会社概要をご説明します。あらためまして、マテリアルグループ株式会社です。
当社は「PR発想(ストーリーテリング)」をコアとしたマーケティングコミュニケーションの専門事業集団です。事業会社9社が連なる持株会社制で、従業員数約350人程度の規模感の会社です。
Switch to Red. 個性に情熱を灯し、価値観や常識を変え、世界を熱くする。
吉田:我々のビジョンは「Switch to Red. 個性に情熱を灯し、価値観や常識を変え、世界を熱くする。」です。
当社はクライアントのマーケティングコミュニケーションを支援する、黒子のビジネスを行っていますが、その役割に徹し、クライアントのみなさまの成功に対して、情熱を持って日々向き合っています。
事業セグメント
吉田:具体的な事業セグメントとしては3つあります。コア事業としてはPRコンサルティング事業があり、中堅・大手のお客さまに対して、祖業である「マテリアル」という会社を中心に、総合的なPRコンサルティングを行っています。
加えて、デジタルマーケティング事業を準コア事業、PRプラットフォーム事業を育成事業として展開しています。これらも将来的に第2の柱となるべく急成長中の事業です。
中長期のVision
吉田:昨年度末の10月に中期経営計画を開示しました。本計画における中長期のビジョンとして、「PR発想をコアとして、マーケティング業界の第4極となる」を掲げています。
このビジョンは、マーケティング業界、特に電通さまや博報堂さまのような総合広告代理店が大きく開拓してきた市場において、新たな波が来ているとの認識に基づいています。我々は中長期的に「第4極」「第4波」としての役割を果たしていきたいと考えています。
中期計数目標
吉田:中期経営計画でお示しした具体的な計数目標です。計画は3年間で、2028年8月期までの期間となります。
2028年8月期には、オーガニックな成長として売上125億円、のれん償却前営業利益23億円への成長を目指しています。直近の2025年8月期の実績と比較すると、売上は2倍、利益は2.6倍の規模に成長することを目標としています。
これらの数字についてご質問をいただくことも多いため、重要な前提を2つお伝えします。
1つ目は、この数字には新規のM&Aを含んでいないため、オーガニックな成長を前提とした計画であることです。後ほどご説明しますが、直近に実施したM&Aについては計画に含まれていますが、新規のM&Aは含んでいない計画となっています。
また、2つ目として、当社ではIFRSの導入を検討しており、2026年8月期、進行期の期末の有価証券報告書の開示からIFRS基準に移行することを前提に準備を進めています。
現在ご提示している「のれん償却前営業利益」という数字は、IFRS基準を意識して「のれんの償却がなかったら」という数字を記載しています。
事業戦略のサマリ
吉田:セグメント別の成長イメージを示しています。2026年8月期については、すでに業績予想として開示している内容ですが、各事業が大きく成長しています。
先ほどのようにオーガニックに成長していると言ったときに、「すごい成長率だね」と見られるのですが、「実際そんなことはないですよ」とお伝えしています。
2026年8月期はM&Aもあり、大きな成長を遂げているため、中期経営計画の1年目として、非常に高いスタートラインとなっています。
この実績を達成した後の2年目、3年目では、スライドにあるとおり、セグメント別に15パーセントから20パーセント、または15パーセントから25パーセントの成長率を示しており、これまでのオーガニック成長から考えても十分達成可能な範囲であると考えています。
そのため、あらためてオーガニック成長で十分に達成可能な水準であることを強調したいと思います。
重点施策を4つ掲げていますが、すべてすでに着手している施策であり、計画どおり推進することで、2028年8月期の目標を達成したいと考えています。
キャピタルアロケーション
吉田:キャピタルアロケーションについてご説明します。負債調達を活用しながら株主還元を行い、60億円から100億円のM&A投資余力を確保しています。
先ほど、計数計画にはM&Aを含んでいないとお伝えしました。この点については、完全にアップサイドとして、60億円から100億円のM&A投資を実行できる余力を確保している計画となっています。したがって、このM&A投資が実行されれば、計数計画もさらにアップデートされていくことをご理解いただければと思います。
引き続きM&Aの実行に向けた活動を進めていきます。
直近で公表したM&A
吉田:第1四半期の決算説明の前提として、あらためて直近で公表したM&Aをおさらいします。
3件実行しましたが、主に大きいM&Aが「株式会社トレプロ(以下、トレプロ社)」と「株式会社Bridge(以下、Bridge社)」です。
トレプロ社がPRプラットフォーム事業、Bridge社がデジタルマーケティング事業に属します。Bridge社は8月から連結していますが、P/Lに取り込まれるのは9月からです。
一方で、トレプロ社に関しては連結が10月からとなります。したがって第1四半期の決算にはBridge社は3ヶ月分、トレプロ社は2ヶ月分が取り込まれています。
2026年8月期第1四半期決算 キーメッセージ
吉田:それでは、第1四半期の決算についてご説明します。全体として、非常によい決算だったと考えています。
キーメッセージとして3点を挙げています。1点目は、前年同期比で連結粗利が36.6パーセント増、営業利益が43.7パーセント増と、高い成長率を達成しています。
2点目は、前期と同様に、主にPRコンサルティング事業において施策実施の前倒しもあり、第1四半期は社内計画を上回っています。上期・通期の予想に対しては、堅調に計画どおり進捗していると認識しています。こちらについては特に、ニュアンスや温度感について後ほど補足します。
3つ目に、デジタルマーケティング事業とPRプラットフォーム事業についてです。数字をご覧いただければわかるとおり、非常に大きく伸びています。これは、M&Aの規模拡大が大きく寄与している結果です。
いずれの事業も、上期および通期の予想に対して計画どおり進捗しています。
連結業績:2026年8月期第1四半期の前年同期比および業績予想に対する進捗率
吉田:具体的にP/Lのかたちで示しているのが、こちらのスライドです。
売上高・粗利のトップライン部分について、当社は特に粗利を注視していますが、粗利は前年同期比36.6パーセント増と大きく伸びています。これは、既存のPRコンサルティング事業の堅調な成長に加え、M&Aの影響があったためです。
営業利益も大きく伸び、営業利益率は16.1パーセントと改善しました。こちらについては後ほど詳しくご説明しますが、主な要因として、利益率の高い事業の構成比が上昇していることが挙げられます。
さらに、PRパーソンの採用が若干抑制されている点や、オフィス効率の向上も寄与しています。具体的には、前期(2025年8月期第1四半期)の初めにオフィスを増床したものの、その後は人数が増加してもオフィス費用は変わらず、効率性が向上したことが影響しています。
連結業績:業績予想に対する進捗状況(粗利)
吉田:連結粗利の進捗についてです。先ほどお伝えした第1四半期の社内計画22.1パーセントに対して、実績は23.6パーセントと計画を上回っています。
この点については、季節性の観点から昨年と同様の事象が発生しているとお伝えしました。詳細はPRコンサルティング事業の具体的なご説明の際に、あらためてご説明できればと思います。
連結業績:2026年8月期第1四半期のセグメント別の前年同期比および業績予想に対する進捗率
吉田:セグメント別に見ると、各事業が順調に成長しています。PRコンサルティング事業は、M&Aの影響がほぼないものの、オーガニックで粗利と営業利益をしっかりと伸ばしています。また、デジタルマーケティング事業やPRプラットフォーム事業もそれぞれ大幅に成長しています。
特に、PRプラットフォーム事業に関しては、これまでグループ内では規模が小さいビジネスだったのですが、トレプロ社の参画によって、準コア事業として位置付けているデジタルマーケティング事業と遜色のない規模になりつつあります。この成長は、今後のグループ全体の成長に大きく寄与すると見ています。
連結業績:セグメント別の業績予想に対する進捗状況(粗利)
吉田:セグメント別の進捗状況はスライドのとおりです。
特徴を述べると、PRプラットフォーム事業の進捗率が悪いように見えますが、これは単純に下期偏重であり、お客さまが積み上がっていくビジネスモデルで、通期計画に対する進捗が一定程度低く見えているためです。
また、トレプロ社の数字は2ヶ月分しか反映されていないため、進捗率が低くなっていますが、計画どおりの進捗となります。
連結業績:売上・粗利・営業利益の四半期会計期間別推移
吉田:連結業績についてご説明します。スライドには、四半期ごとの会計期間単位での推移を示しています。
ご覧のとおり、前年度第1四半期から非常に強く成長している一方で、かなりの凸凹が見られる点を課題として認識しており、四半期ごとにボラティリティが一定程度発生するビジネスであることを自覚しています。
一方で、PRパーソン数が着実に伸びており、1人あたりの粗利(パーヘッド)を確保できている限り、人員数の伸びとともに業績も伸びていくというのが、これまでの数年の実績です。
したがって、四半期単位でのボラティリティを見るというよりも、1年、2年といったスパンでしっかり成長している点をご評価いただきたいと考えています。
PRコンサルティング事業:売上・粗利・のれん償却前営業利益の会計期間別推移
吉田:ここからは、セグメント別にご説明します。まずは、PRコンサルティング事業についてですが、特に中核子会社であるマテリアルを中心に順調に伸びています。マテリアルだけで粗利が前年同期比16.5パーセントの成長を見せており、セグメント全体では14.5パーセントの成長です。
四半期単位で見ると、第1四半期と第2四半期のバランスに「施策の実施前倒しがありました」というコメントをつけていますが、これは昨年第1四半期に初めて見られた現象です。
通常12月は、12月決算の会社の予算消化や年末商戦に向けてかなりの繁忙期となります。1年の中でも3月に次いで忙しい月ですが、前期、一昨年は12月のピークが11月に前倒しされ、11月と12月のバランスが初めて逆転しました。
これが一時的な現象なのか、今後も続くのかが不透明な状況ではありましたが、当期、昨年も結果として、11月と12月のバランスが逆転した現象が発生しました。
どこか大きなお客さまの1つの案件がずれたということではなく、全般的に前倒しが進んでいると考えます。
これは、ブラックフライデーセールといった商戦時期そのものが11月へ前倒しされることで、マーケティングコミュニケーションやマーケティング活動の投下時期も前倒しになっていると理解しています。
おそらく来年以降もこの傾向は続くものと思われます。そのため、細かい話ではありますが、来期は、当社の季節性に関する考え方も、第1四半期と第2四半期の11月・12月のバランスを見直す必要があると考えています。
そうした状況の中で、前期の第1四半期は非常に繁忙でしたが、当期はさらにそれを上回る成長を実現しており、ある意味ではポジティブなサプライズであると受け止めています。
また、前期の第2四半期以降の状況をご覧いただければおわかりいただけるかと思いますが、「第2四半期以降は凹むのか?」という懸念については、今年はそのようなバランスの変化があったことを学んでおり、営業活動をしっかりと進めて仕込みが順調に進行しているため、特段ご心配は不要という認識です。
PRコンサルティング事業(株式会社マテリアル):成長ドライバーの実績
吉田:KPIについてご説明します。PRパーソン数と1人あたり粗利を示しています。PRパーソン数は期中平均で199人と、昨年の第1四半期から20パーセント増加しました。
1人あたり粗利(パーヘッド)は、新卒採用として2025年4月入社の37名が加わり、人数が大きく増えた結果、前年同期比で3.4パーセント減少していますが、比較的高い水準と理解しています。前期は第1四半期が非常に忙しく、1人あたり粗利が145万円という異常値だったことをご理解いただければと思います。
「人数が若干減っているのではないか」とご指摘をいただくこともありますが、これは計画どおりの自然減として捉えています。当社は新卒採用にかなり力を入れており、人数の増加については主に新卒分が増え、その後、期中に自然減があり、新卒がまた増えるという傾向にあります。
そのため、中途採用や離職の状況についても、計画と異なる部分は特になく、計画どおり進捗しているというのが現状です。
デジタルマーケティング事業:売上・粗利・のれん償却前営業利益の会計期間別推移
吉田:続いて、デジタルマーケティング事業についてです。こちらは第1四半期のタイミングで大きく伸びており、まずは、Bridge社の参画の影響が挙げられます。
デジタルマーケティング事業:成長ドライバーの実績
吉田:KPIに分解してみると、顧客数および顧客単価において、Bridge社の参画による影響が顕著に表れています。
顧客数については、デジタル広告運用のお客さまと「フリップデスク(ツール)」のお客さまの数を分けて開示しています。
特にデジタル広告運用のお客さまは、単価が非常に高い傾向があり、Bridge社の参画によりこのデジタル広告運用まで対応しているお客さまの数が大幅に増加しています。
結果として、顧客単価も大きく上昇しています。この水準の増加は計画どおりではありますが、第1四半期の結果としては計画をやや上回る進捗となっています。
PRプラットフォーム事業:売上・粗利・のれん償却前営業利益の会計期間別推移
吉田:最後に、PRプラットフォーム事業です。この事業は、トレプロ社の参画の影響により大きく成長しています。
このセグメントについては、これまでの事業推移からの成長というよりも、トレプロ社の事業が今後もこの水準を維持しながら成長し、しっかりと利益率を保てるかどうかを注視していただければと思います。
トレプロ社の足元の1月までの状況としては、順調な進捗を見せています。
マテリアルがPRを担当した味の素「音でみるレシピ SOUNDFUL RECIPE」が広告賞を複数受賞
吉田:トピックスや事例について少しご紹介します。まずはAwardです。ありがたいことに、引き続き広告賞を受賞することができています。
マテリアルがPRを担当した味の素さまの「音でみるレシピ SOUNDFUL RECIPE」が、広告賞を複数受賞しています。
「グリナ」調査リリース&新ウェブCM公開(味の素株式会社)
吉田:加えて、案件についても2つほど事例を挙げています。私の説明よりも、IR開示の中で動画として公開していますので、お時間がある方はぜひご覧ください。動画をご覧いただければ、どのような取り組みをしているのかがわかると思います。
動画はこちら
オロナミンCドリンク「元気ハツラツ!大空大合唱」(大塚製薬株式会社)
吉田:「オロナミンC」とあわせて、IRを2件開示しています。
株主還元等
吉田:最後に、株主還元の方針です。こちらは前期末時点から特に変更はありませんので、あらためてのお伝えとなります。
2026年8月期は26円10銭と増配を予定しています。「連結配当性向33パーセントを目安」に加えて、前期末から累進配当の考え方を採用しています。したがって、配当性向は33パーセントを超え、今期の計画時点では41.1パーセントの配当性向となっています。
加えて、前期および前々期に自己株式を取得しています。それも含めた総還元性向については、2024年8月期で59.4パーセント、2025年8月期では94パーセントと、高い還元性向を達成しています。
キャピタルアロケーションのご説明でお伝えしているとおり、当社は非常に良好なキャッシュフローを生むビジネスを展開しており、これまで自己資金をしっかりと確保してきました。さらに、他人資本の調達余力も十分に残しているため、成長投資との両立も可能です。
株主の皆様と経営陣のセイムボートを担保する制度
吉田:制度に変更があったわけではありません。当社はグロース市場に上場してまだ2年ほどですが、プライム市場への移行を見据えたインセンティブの設計がされています。
ストックオプションによるインセンティブ設計
吉田:先ほど「四半期単位で業績のボラティリティが少し出ます」とお伝えしましたが、経営陣一同、この数ヶ月という短期的なスパンではなく、プライム市場を目指して中長期的にしっかり成長させていける会社であると認識しています。インセンティブ設計については、その証左であるとご理解いただければと思います。
質疑応答:AI活用による業務効率化と新卒採用方針について
荒井沙織氏(以下、荒井):「生産性向上に向けた、AI活用の具体的な取り組みの状況を教えてください」というご質問です。
吉田:AI活用についてご説明します。こちらのスライドにあるとおり、中期経営計画の重点施策の1つとして、主にPRコンサルティング事業とデジタルマーケティング事業に関して、「AIを活用して生産性を向上します」と掲げています。
まずAI Agentを活用し、PRパーソンが業務を行う中で、一定の業務をAIが担う取り組みを進めていきます。
ここでKPIとして掲げている「1人あたりの粗利がいくらか」は非常に重要な指標であり、可能な範囲でAIに任せ、人間が対応すべき部分に集中することで、コスト効率の改善を図ります。
また、クライアントのみなさまに対する付加価値の向上にもつながると考えていますので、こちらの取り組みを着実に実行していきたいと考えています。
ここまでの進捗についてお伝えすると、具体的にAI Agentの制作が進行しています。ツールを活用して、AI Agentを制作できる環境を整備しています。
重要な業務でよく発生する作業については、AI Agentを制作し、全社員が活用できるような取り組みを進めています。また、社員が気づき、自発的にAI Agentを制作し、それを全社に展開して活用する試みも行っています。こうした取り組みは、まだ緒に就いたばかりではありますが、着実に進行しています。
荒井:具体的に、業務の中でどのようなところをAIが担うのか、イメージしやすいかたちで教えていただけますか?
吉田:さまざまなレベルがあります。基本的なところでは、我々に限らずどの会社でも行っていることだと思いますが、例えば、ミーティングの事前準備や、ミーティング中の議事録作成、それをメモにまとめてお客さまに送付するところまでの流れの中で、「ミーティング中にひたすらキーボードを打ってメモを取る」作業は、当然AIに任せています。
また、「プレスリリースを書く」という作業に関しては、PRパーソンにとって非常に重要な業務であり、AIに簡単に代替できるものではありませんが、「まず下書きをする」という作業はAIで対応できる部分があります。
これは「どのような考え方で、どのような情報をインプットすると、我々が考える良いプレスリリースができるか」という方向性を、AI Agentにプロンプトとして設計します。
ミーティングでクライアントと話した内容をそのままプレスリリースのAI Agentにパスします。すると、ミーティングが終わると同時にリリースのドラフトが生成されるところまでできるようになります。
荒井:早いですね。
吉田:その後、PRパーソンの目で確認し、いろいろな案を出してより良いものにブラッシュアップするところには当然人の手が入ります。ただ、ドラフトを書く段階までのスピード感は大きく変わってきています。このようなかたちで業務の生産性を向上させています。
荒井:手間のかかる部分には人手が必要なくなっていくかと思いますが、それでも新卒採用に力を入れているという方針は今後も変わらないのでしょうか?
吉田:ありがたいことに、たくさんの仕事の引き合いをいただいていたのですが、供給に必要なチームの人数や組織の規模が不足しており、十分にお客さまへ価値を返せていない場合がありました。それこそ、リソースが売り切れてしまい、不足して受注できないケースもありました。
こうした状況を解消していくために、採用を急激に絞って「人ではなくAIが担当する」というような対応を進めることはまったく考えていません。
10年後の状況については現時点ではわかりませんが、これまで対応できていなかった部分に対しても、人員を採用し続けてお応えしていくことが基本路線です。
質疑応答:キャピタルアロケーションと株主還元・M&A投資について
荒井:「『第1四半期決算でM&A戦略の効果を実感しました』とのことですが、配当に原資を回すよりは、当面はM&Aによる規模拡大のほうが、将来的な株主価値向上に資する可能性も感じます」とお考えの方がいらっしゃるようです。その点についてのお考えをお聞かせください。
吉田:ごもっともな意見かと思います。一方で、中期経営計画の中でキャピタルアロケーションを示していますが、「株主還元をしている、配当しているからM&A投資を抑えています」という状況ではまったくありません。両方でアクセルを全開にして取り組むという考え方です。
スライドをご覧いただければわかるとおり、株主還元については先ほどの配当性向の考え方に従って計画どおり進捗すると、株主還元額は3ヶ年で10億円以上が基準となります。さらに、借入調達の余力が十分にあるため、M&Aには60億円から100億円規模の資金を確保できています。
したがって、「株主価値にどちらが資するか」の観点から言うと、配当の有無に関係なくM&A投資も進めることが望ましいと考えています。
質疑応答:Bridge社とトレプロ社の業績貢献やシナジーについて
荒井:「Bridge社の第1四半期での業績貢献はいかがでしょうか?」というご質問です。また、「Bridge社やトレプロ社のPMIは順調に進んでいるのでしょうか? 具体的なシナジー効果、この発現状況を教えてください」というご質問もありますので、Bridge社とトレプロ社、それぞれについてご説明をお願いします。
吉田:まずは、Bridge社についてご説明します。効果がどのように業績に貢献しているかという点ですが、デジタル広告運用の顧客数が32社から70社に増加しており、これはBridge社の大きな貢献によるものです。
さらに、Bridge社と、もともとあるマテリアルデジタルの広告運用領域は、ビジネスとしては同様の内容を扱っていますが、それぞれの強みが補完関係にあります。
Bridge社は経営陣がサイバーエージェント社出身の方々で構成されており、基礎的な運用力が強いのが特徴です。一方、マテリアルデジタルはPR会社を母体としており、新規事業として広告運用領域を展開しています。
そのため、少し詳しくお話しすると、既存のマテリアルデジタルは「認知領域から、獲得する刈り取りのところまでを一気通貫でご支援する」という意味では、特に「PRでの認知形成から一気通貫で」という観点で、特徴が発揮されやすく、強みを持っています。ただし、同社の広告運用は業歴が浅いこともあり、運用力の面ではまだ改善の余地がある状況でした。
今後、Bridge社の運用力とマテリアルデジタルの営業力、さらにはPRを掛け合わせることで、一気通貫でご支援できる体制を構築することが、この部分で求められるシナジーの創出につながると考えています。
「そのシナジーが創出されるのはいつですか?」に関しては、この第1四半期では正直、「そのシナジーがあっていくら稼ぎました」を示すことはできませんが、中長期的には確実に成果が出てくるだろうと見ています。
PMIの状況に関して言えば、特にミドルバックオフィスの部分では、グループとしっかり連携し、この第1四半期までにほぼ完了している感覚です。
ビジネス面での相乗効果に関しては、共同提案や1つの案件を共同で進める取り組みにおいて徐々に融合が進んでいます。そのため、「中長期的にここがうまくいくのではないか」というような、非常に強い手応えと予感を持っています。
荒井:トレプロ社についても、ご説明をお願いします。
吉田:トレプロ社に関しては、トレプロ社のビジネスについて、簡単におさらいをしたほうがよいかもしれません。
こちらのスライドには「『TikTok』を用いた採用支援サービス」と記載していますが、特に地方を含めた中堅・中小企業のみなさまには、人手不足で困っている企業が多く存在しています。これはみなさまも容易に想像できるのではないかと思います。
これに対し、現在採用の現場で起きていることとして、地元の求人媒体や求人広告を使用しても自動的に人材が集まるわけではなく、人材確保が難しくなりつつあるという状況があります。そのような中、SNS、特にTikTokを活用することで、会社の認知が広がり、採用につながる実績が出てきています。
採用支援のビジネスを展開している会社のため、一見するとPRやマーケティングとは少し離れているように見えますが、中小企業のみなさまの経営課題に直結した採用の部分でご支援ができるサービスとなります。
現状、PMIの状況としては、ミドルバックオフィスの連携をしっかり進めています。
また、トレプロ社はまだ新しいマーケットで成長を続けている会社であり、その成長を加速させるために、グループとして支援を行い、まずトレプロ社の成長を目指しています。
シナジーの創出については、マテリアルのビジネスとトレプロ社のビジネスがすぐに重なるわけではありませんが、トレプロ社がしっかり成長した暁には、TikTokやソーシャルメディアマーケティングの観点から、マテリアルに還元できる知見が蓄積されると考えています。
将来的には、マテリアルが顧客として抱える中堅や大手のお客さまに対し、トレプロ社と共同提案を行うことも可能になるのではないかと考えています。そうした展望も見据え、M&Aを実施した状況です。
質疑応答:トレプロ社とマテリアルリンクスのシナジーについて
荒井:今のご質問に関連して、「トレプロ社とマテリアルリンクスのTikTok活用でのシナジーについて、現時点ではいかがでしょうか?」というご質問です。現時点での状況をうかがいたいと思います。
吉田:現時点では、トレプロ社とマテリアルリンクスが共同で何かを行うことや、シナジーを生むことはまだありません。マテリアルリンクスは昨年、社内ベンチャー的に始めたビジネスで、まだこれから事業を立ち上げる段階ですので、現在は単独でがんばっている状況です。
なにか実績としてまだ開示できる段階ではありませんが、足元では特に、例えば年末のTikTokショップのセールといった場面で、多くのお仕事をいただき非常に忙しい状況でした。そのため、今後の展開においては非常に期待できる領域だと考えています。
また、TikTokに関してはトレプロ社との連携方法があると考えていますので、これについては今後も引き続き模索していきたいと思っています。
質疑応答:中途採用抑制の効果について
荒井:採用について、「中途採用を抑制したことによる、採用コスト削減の効果は出ていますでしょうか?」というご質問です。
吉田:結論として、この第1四半期の決算において採用抑制のような効果が出ているかというと、出ていません。
荒井:効果が出そうなイメージはありますが、出るとしたらいつ頃なのかについてもお聞きしたいです。
吉田:下期にかけて出てくるのではないかと思います。理由としては、第1四半期の時点ではまだ採用をそれほど絞っていないというのが現状だからです。
こちらのスライドにも少し記載していますが、通期で26名の計画に対し、2月までに14名が入社しており、計画どおり進捗しています。
第1四半期における採用数については、前期の第1四半期と比べて大きく変わることはなく、その効果という点でもまだ表れていない状況です。
抑制しているといった表現は、言葉が適切ではなかったかもしれませんが、実際にはそれほど採用を抑えているわけではありません。
荒井:意識的に抑えているというほどではないということですね?
吉田:おっしゃるとおりです。前期は採用市場が好調で、我々もうまく人材を確保できたため、調子が良かった結果となりました。そのため、蛇口を閉めるというよりは、採用を進めていました。
今年はその前年と比較すると抑制されている程度とご理解いただければと思います。
質疑応答:デジタルマーケティング事業の顧客獲得状況について
荒井:「デジタルマーケティング事業の新規顧客獲得状況はいかがでしょうか?」というご質問です。
吉田:デジタルマーケティング事業では現在、Bridge社とマテリアルデジタルがそれぞれ提案を行っています。顧客獲得の状況は非常に好調で、第1四半期に関しては、しっかりと実績が出ています。
一方で、広告運用の業界では、クライアントの事情や我々のパフォーマンスに無関係な要因でお客さまが離れてしまう場合もあります。そのため、第2四半期から第4四半期まで積み上げていくには、営業活動において下期に向けてさらに努力が必要な状況です。現在、チームのみんなが非常によくがんばってくれています。
質疑応答:M&A戦略における金利利上げの影響について
荒井:M&A戦略について、「日銀の利上げによる御社のM&A戦略に影響はありますでしょうか?」というご質問です。
吉田:本来的には多少影響があるかもしれませんが、特に今困っている点やコスト増が見込まれるような問題は正直ないと考えています。
というのも、多少借入金利が増加する可能性はありますが、そのコストの影響よりも「どういう会社さまと出会えて、その会社がどういう成長をするか」の影響のほうが圧倒的に大きいです。そのため、金利の影響でなにか特別な課題を感じることはまったくありません。
質疑応答:M&Aの進捗について
荒井:M&Aに関して、「今後のローカル拠点の立ち上げや、M&Aの具体的なタイムラインをどのようにお考えでしょうか?」というご質問です。
吉田:海外の話でしょうか。まずM&Aの状況に関してですが、上場後にあらためて、多数のご紹介をいただける環境が整っています。パイプラインは引き続き旺盛にご紹介をいただいています。
直近で3件のM&Aを実行しましたが、現時点でも引き続き動きがある状況です。
「いつ、どうなりますか?」については、ご説明できる状況になり次第、直ちに開示します。現時点でお伝えできることとしては「がんばっています」といったところです。
質疑応答:M&Aによる組織急拡大の懸念について
荒井:「M&Aを積極的に取り組まれるのはすばらしいと考えますが、急拡大する組織に軋みが出るなど、ガバナンス上の懸念というのはないでしょうか?」というご質問です。
吉田:鋭いご指摘です。おっしゃるとおりかと思います。やはりM&Aによる急拡大の中で、組織に歪みが出ないか、あるいはガバナンスの問題が生じないかという点は、当然の論点になると思っています。
我々もその点を強く認識し、M&Aの検討段階からそれを非常に意識しながら準備を進めています。
お答えとしては、「現状で何か困っていることがありますか?」と言われると、「特にございません」という回答となりますが、「全然大丈夫です」というよりは「そういうことが起きないようにがんばっています」という感覚に近いです。
質疑応答:M&Aにおけるのれん償却と減損リスク管理について
荒井:「相次ぐM&Aでのれん償却費が増加していますが、今後の負担増はどの程度を想定していますでしょうか? 減損リスクへの対応はどのようにお考えでしょうか?」というご質問です。
吉田:まず、のれんの償却に関しては、ご指摘のとおり、今期の業績予想に含まれるのれん償却額はおよそ1億7,000万円であり、昨年と比べて負担が大きく増加しています。この内容は、トレプロ社とBridge社のM&Aによるものです。
一方で、当社ではIFRSの導入を検討しており、2026年8月期の期末有価証券報告書からIFRSに転換する予定です。これにより、約1億7,000万円のP/L負担はいったん解消されます。その結果として、これは本質的な議論ではないかもしれませんが、見かけ上の営業利益や当期純利益が増加する見込みです。
けっこうこれがEPSに与える影響が大きく、当期純利益においては、のれんの償却費は損金に算入されない費用であるため、純利益はそのまま丸ごとのれん償却費分増加するかたちとなります。
今年度の業績予想として開示している6億1,200万円の当期純利益に対し、約1億7,000万円ののれん償却費は、期末の有価証券報告書のタイミングから足し戻されるというかたちで開示される予定です。
一方で、IFRSに移行してのれんの償却が停止すればそれでよいのかというと、決してそうではありません。ご指摘のとおり、減損のリスクは当然存在します。そのリスクに対して、できる限りの対策を講じることが重要です。
まず、M&Aの実施時において「本当にこのビジネスは堅調に伸びていくビジネスなのか」や「PMIやその後のグループシナジーを創出する過程で、利益を毀損することなくしっかり伸び続けるのか」といった部分を買収前にしっかりと見極め、買収後も努力を続けることでリスクを防ぐしかないと考えています。
財務規律を保ちながら、一定ののれんの減損リスクを意識し、買収およびその後のPMIを進めていますので、ご心配には及ばないと考えています。
こちらのスライドで投資規律について示しています。具体的には、EV/EBITDA倍率を8倍以下、のれん/EBIT倍率を6倍以下と設定しています。これまでの実績で見ると、EV/EBITDA倍率は5倍強に収まっており、8倍以下の基準を十分に満たしています。そのため、将来的にもいわゆる高値づかみ、高すぎるマルチプルの案件には取り組まない方針です。
また、結果として生じるのれんの金額がその事業の利益水準と見合っているかについても、のれん/EBIT倍率6倍以下という指標のもとで判断しています。現在の実績は3.7倍であり、問題のある水準には達していないと認識しています。
今後とも、これまでと同様の規律を持って取り組みを進め、一定のリスクを防ぐつもりです。
質疑応答:東南アジアへの進出計画について
荒井:「東南アジア進出について、具体的な動きや、どんな進捗があるのかというところと、現地の駐在はどこの国か具体的に開示されていますか?」というご質問です。
吉田:まず、中期経営計画で開示した東南アジア進出についてです。
現在、我々は非常に良好な市場環境の中で事業を展開し、成長しているところです。日本国内のマーケットでは広告費が増加しており、アロケーションの変化により、当社が対象としている国内のPR市場も拡大しています。向こう5年から10年というスパンで見ても、不安要素はまったくありません。
一方で東南アジアに関しては、規模が圧倒的に拡大しており、消費人口が増加していく地域として非常に力強い伸びを見せています。
スライド左側に記載されているように、マーケティング市場は5年で倍増する見通しです。この大きな変化を5年後に当社も享受すべく、足を伸ばしていこうと進出を検討しています。
具体的にどのように進出するのかについては、3段階で考えています。まず、第1段階はすでに進めており、海外のお客さまが日本でマーケティング予算を使いたい場合、このインバウンドの受託に関して取り組んでいます。
続いて第2段階として、日本のクライアントのみなさまが東南アジアに進出し、そこでマーケティング活動を行う場合の支援です。これまでは対応できていなかった領域ですが、これに取り組むべきだと考えています。
第3段階では、東南アジアローカルの需要で、現地のエージェンシーが受注している部分を獲得することを目指します。このようにローカルな取り組みを進めていきます。
現在の進捗状況としては、第1段階はすでに実施済みで、第2段階については開始している段階です。
具体的には、日本の著名なIP事業について、国内での支援を引き続き行っていましたが、「我々は東南アジアでもできるようになりました」とお伝えするとさっそくご相談をいただき、具体的な案件がすでに実行されています。したがって、第2段階はまだ規模としてはこれからですが、すでに始まっています。
第3段階のローカルについては、駐在員を配置するだけでなく、M&Aという手段が規模やスピードの面で圧倒的に効率的だと考えています。このため、M&Aの検討を進めているところが第3段階の進捗状況です。
国に関しては、東南アジア全般、具体的にはタイ、ベトナム、インドネシア、フィリピンといった国々を検討していますが、特に現在はベトナムとタイに注力しています。
質疑応答:売上高の季節性やスポーツイベントによる影響について
荒井:「売上について、先ほど下期に偏重になるというお話もありましたが、そのほかに売上高の季節性といいますか、例えばオリンピックや選挙などといった、売上の見込めるイベントなどありますでしょうか?」というご質問です。
吉田:まず、季節性についてご質問いただきましたので、あらためてご説明します。
季節性については、当社が下期偏重である理由が2つあります。1つ目は、PRコンサルティング事業において、クライアントのマーケティング予算が多い時期に施策が集中する点です。特に3月は、3月決算の企業やメーカーが多く、予算の消化時期が3月に訪れるため、繁忙期にあたります。このため、当社の会計期間では第3四半期が最も繁忙期となります。
2つ目は、デジタルマーケティング事業やPRプラットフォーム事業において、クライアントやアカウントの数が成長途上で増加していることです。クライアント数が積み重なる中、自然と下期の売上が大きくなる構造になっています。このような理由から、当社の事業は下期偏重の傾向があります。
荒井:ということは、案件の確度を気にされている方もいらっしゃるかと思いますが、そのあたりの受注状況も安定していると受け取ってよいのでしょうか?
吉田:当社の事業は、下期のパイプラインが「予算どおり進んでいます」というかたちでお答えできるほど、長期間安定するビジネスではありません。
我々の場合、向こう3ヶ月程度の範囲でしっかり把握できる状況にあります。したがって、下期に向けたパイプラインの充足については今後も努力を重ねる必要があると考えています。引き続き、組織全体でがんばっていきます。
また、ご質問にあったオリンピックなどのスポーツイベントについて、今年は特にWBCやサッカーワールドカップなどイベントが多い状況です。この影響については非常に重要な点ですので、ご説明します。
結論としては、大きな影響はありません。我々は関西・大阪万博において、複数の国のパビリオンPRを受注しており、大きな国を含む案件を稼働しています。また、以前の東京五輪の際も聖火リレーのPRを全国47都道府県で実施する案件を受注し、遂行していました。
そこで、一定のお仕事をいただくことで「上積みになるんじゃないか」と見られる部分がありますが、当社は供給制約の会社です。したがってあくまで稼働を埋める案件をとれたという観点ではポジティブですが、それが新たな売上を上乗せするものではなく、先が見通しやすくなるという位置付けで考えています。
そのため、今期においても、どれだけ採用をしっかり進め、その新たな人員が戦力化するかが、結局ビジネスの重要なポイントになります。そうした基盤を固めながら進めています。
したがって、WBCやその他のスポーツイベントが今期の業績に大きくプラスの影響を与えるわけではありませんし、それらがなかったからといって業績が下振れするということも特にありません。
荒井:良い意味で、安定しながら成長が続いています。
吉田:そうですね。四半期単位で波は出てしまいますので、その点は申し訳ありません。しかし、長期的に見ると非常に安定して成長していると思います。
質疑応答:リテナー契約とプロジェクト契約の戦略について
荒井:「PR案件は単発、スポットのプロジェクトになりやすい傾向があるかと思いますが、継続契約の比率はどこまで上げていく予定でしょうか?」というご質問です。
吉田:我々の業界では、継続契約や年間固定の契約を「リテナー契約」と呼ぶのが一般的です。これは月額固定制で報酬をいただく契約で、例えば毎月100万円をいただき、広報PRの業務をサポートするような仕事があります。
それに対して、スポット型のPRプロジェクトというものがあります。こちらは例えば「この新商品を世に広げたいが、どうしたらよいか?」というご相談をいただき、それに対応したプロジェクトを立ち上げる方式です。この2つのパターンがあります。
ご質問は、いわゆるリテナー型と呼ばれる月額固定契約をどの程度増やしていくのかという点だと思います。結論としては、これを増やしていく意図はございません。
我々のリテナー型とプロジェクト型の比率には特徴があり、圧倒的にプロジェクト型が多い構成となっています。構成比としては、約9割がプロジェクト型を占めています。
プロジェクト型のデメリットとして、例えば「安定しない」ということがありますが、年間の月額固定契約をいただいたほうが安定するという点はあると思います。一方で、プロジェクト型はマーケティング予算にアクセスしやすく、単価が高い傾向があります。
さらに、プロジェクト型であっても継続的にお仕事をいただける場合には、結果として稼働が持続するため、収益性が高いという点が挙げられます。これが当社の強みの1つでもあります。
したがって結論として、プロジェクト型を減らしてリテナー型を増やし、その稼働に充てる予定や計画は現在のところありません。
荒井:「電通や博報堂といった大手代理店と比較した際の、御社の競争優位性はどこにあるのか知りたいです」というご質問もあります。一般的に他の大手代理店では、継続契約を行うようなリテナー型が多いのでしょうか?
吉田:いわゆるPR業界やPR会社としての競合は、例えばベクトルさまやプラップジャパンさまなどが挙げられます。それらの会社がリテナー型を多く取り扱っているかは、他社のことなので具体的にはお伝えできませんが、一般的な業界傾向としてはそのような形態が多いのではないかと考えています。電通さまや博報堂さまは、規模感や事業内容がまったく異なるため一概には比較できません。
では、当社が電通さまや博報堂さまに対して競争優位性をどのように持っているかという点について、電通さまや博報堂さまは、当社にとってお客さまでもあり、競合でもあるという関係性です。
電通さまや博報堂さまからいただいたお仕事として、当社がPR関連の業務を請け負うこともあれば、マーケティング予算全体をお預かりするようなプロジェクトで両社と競合することもあります。
荒井:いろいろな立場で相まみえることがあるわけですね?
吉田:そのとおりです。そのため、電通さまや博報堂さまは非常に重要な取引先であると同時に、競合でもあるという状況です。
現在の業界の流れについてですが、当社が以前からお伝えしているように、我々が「一方通行の時代」といった表現をしてきた、「テレビCMをとにかく打ちましょう」というようなマス広告の時代は終わりを迎えつつあります。最近では「1億総メディアの時代」というような言い方をしています。
例えば、若年層においては、テレビが家にないことが普通になっており、テレビCMを視聴して購買行動に移すとは限らないというのが、現代の常識といえるでしょう。
そのような現代の情報環境下では、「せっかくいいものを作ったので、どうやったら自分たちのプロダクトが、みんなに届くだろうか?」という打ち手が非常に複雑化していると認識しています。
当社はもともと「テレビCMを作りましょう」ということに特化した会社ではありません。広告やテレビCMに限らず、あらゆる手段を駆使し、「このブランドがどうやったらステークホルダーである消費者の方や生活者の方とうまく結びつくか」という視点からフラットに打ち手を検討できることが、我々の強みです。この点が、ある意味で競争優位性となるのではないかと考えています。
荒井:その一例として、TikTokへの注力も始められたということですね。
質疑応答:日本のマーケティング市場と自社の役割について
荒井:スライドの7ページに関連して「第4極の何がすごいのか、やや伝わりにくい感じがしました。もう少しご説明があるとうれしいです。この第4極については、これまでの3つの事業すべてが関わっていると考えてよろしいでしょうか?」というご質問です。
吉田:現在の日本のマーケティング市場は、すでに7兆円を超え、7兆7,000億円となっています。これは主に電通さまや博報堂さまといった企業が市場を切り拓き、拡大させてきた結果です。
そこに加え、二の矢として、サイバーエージェントさまなどがデジタル広告を通じて市場を一気に拡大させました。さらに最近では、アクセンチュアやデロイト トーマツといったコンサルティングファームが電通さまと競合するような状況になっています。
このようにマーケット全体が大きくなり、広告予算の使い方も多様化して盛り上がりを見せていますが、同時に使い方に困っているお客さまも多くいらっしゃいます。そうしたお客さまに対して価値を提供することが、我々の大きな役割であると考えています。
現時点ではマーケット規模に対して当社の規模はまだ小さいですが、将来的には業界の選択肢として、当社の名前がしっかりとそこに並ぶ状況を目指しています。そのような意気込みを込めて、「第4極」とお伝えしました。
荒井:これからの世界に、よりフィットするかたちで進めていくということですね。
質疑応答:ROEの目標値と資本効率性への考え方について
荒井:「現在、成長投資を優先するフェーズにあると理解していますが、上場企業としてROEの目標値を、どのように設定されていますか?」というご質問です。
吉田:ROEの目標値については、あまり意識していないのが正直なところです。実績としては20パーセントを超えており、その結果、PBRも5倍以上という高水準を維持しています。そのため当社のような新興企業や成長企業では、ROEを特別に意識しなくても、高い水準を保てていると考えています。
今後、大規模なM&Aが進む場合には、資本効率性も意識する必要があると考えています。投資の際には毎回しっかりとレビューを行い、株主のみなさまに価値を還元し、株主価値を毀損しないよう投資を進めていきたいと考えています。
質疑応答:株主優待や配当に関する方針について
荒井:「10月にセミナーを聞いて、期待を持って投資させていただきました」というお声もいただいています。やはり、新たに応援するために投資を始められた方々は株主優待にも関心を持つという声がありますが、それについては今後検討されますか?
吉田:当社は配当を行っています。また、物を製造している会社ではないため、お届けしやすいものもないため、現在は配当でお応えしていきたいと考えています。
荒井:まずは配当とM&Aで成長を目指すということですね。
吉田:まさに、そのとおりです。
質疑応答:自己株式取得の実施方針について
荒井:「2025年11月に自己株式取得を決議されましたが、今後も株価水準次第で機動的に実施する方針でしょうか? 一言お願いします」というご質問です。
吉田:ご理解のとおりです。
吉田氏からのご挨拶
荒井:最後に視聴者のみなさまへ一言メッセージをお願いします。
吉田:今回の決算も非常に好調に推移していますが、過去の経緯を踏まえ、安心することのないよう、下期に向けて全力で取り組んでいます。
冒頭にもお伝えしたとおり、当社は黒子のビジネスを展開しており、「マテリアルグループ」という名前が世の中で広く話題になることはあまりありません。しかし、みなさまが目にする世の中のさまざまな話題の裏側で、当社のような若い会社が懸命に活動しているということを知っていただければ幸いです。
今後も継続して注目していただけると、大変うれしく思います。引き続きよろしくお願いします。