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野村不動産HD、通期予想を上方修正、増配も実施 住宅事業の高採算と販売好調、都市開発の収益不動産売却が業績を牽引 

決算概要

塚崎敏英氏:野村不動産ホールディングス株式会社グループCFOの塚崎です。2026年3月期第3四半期決算についてご説明します。

まずは連結の決算概要です。当第3四半期の実績は、売上高5,815億円、事業利益862億円、純利益429億円でした。前年同期比では、事業利益、純利益ともに減少しました。

部門ごとの詳細は、後ほどご説明しますが、事業利益の減少は、前期と比べて住宅や収益不動産の売却計上が第4四半期に多くなることが主な要因です。

純利益の減少は、浜松町ビルの建替に着手し、既存建物の減損や解体費用を特別損失に計上したことが主な要因ですが、これらは期初から想定していた事柄であり、計画に沿った順調な進捗です。

こうした進捗を踏まえ、今回通期の業績予想について、事業利益や経常利益等を期初予想から上方修正しました。

また配当金の予想についても、上方修正しました。

2026年3月期 通期業績予想の上方修正

業績予想の修正についてご説明します。

部門別では、海外部門で、イギリス・ロンドンでの収益不動産の売却時期を変更したこと等により、事業利益を下方修正した一方で、国内各事業が好調に推移し、住宅、都市開発、仲介・CRE、運営管理の各部門において事業利益を上方修正しました。

結果、連結の事業利益は1,370億円と、目標に掲げる8パーセント水準の成長率を上回る成長を実現できる見通しです。

また、浜松町ビルに関連する特別損失が確定したことや、国内における固定資産売却を通じた特別利益の計上の見通しが立ったことにより、純利益も当初予想の750億円を達成する見込みです。

住宅部門:部門別業績

部門別の業績についてご説明します。

住宅部門では、前期と比べると、分譲住宅の計上戸数が第4四半期に多くなることにより、第3四半期時点では減収減益となりました。

ただ幅広いエリア・商品タイプそれぞれで販売状況は好調であることから、粗利益率は上昇しており、通期の事業利益の予想を上方修正しました。通期では前期比で増収増益となる見込みです。

住宅部門:分譲(売上高/粗利益率、関連指標)

スライド左側のグラフのとおり、第3四半期累計で、粗利益率は26.3パーセントとなりました。通期では、25パーセント台を想定しています。

住宅部門:分譲(契約進捗率)

販売が順調に進んだ結果、通期の計上予定売上高3,100億円に対し99.6パーセントまで契約は進捗しました。

住宅部門:分譲(26/3期 用地取得/用地ストック)

スライド右側の表のとおり、分譲住宅は中長期的に約2.5兆円相当の用地ストックがあります。これは概ね、6年から7年分の事業量を確保する状態といえます。なお、そのうち東京23区は、売上換算で1.6兆円と約6割を占めています。

住宅部門:収益不動産(賃貸住宅等)の売却

収益不動産は、「3カ年計画」で掲げた、シニアを含む賃貸住宅やホテルの拡大戦略が進捗しています。第3四半期累計、シニア住宅とホテルの売却により、売上高は87億円、粗利益は51億円となりました。

住宅部門:収益不動産(賃貸住宅等)のストックの開発状況

用地ストックについても、シニアを含む賃貸住宅やホテルへの投資が進捗し、今期は累計で13件、総投資額で886億円相当の開発用地を取得しました。竣工済みで約900億円分、計画中も含めれば約2,700億円分の案件を確保しています。

都市開発部門:部門別業績

都市開発部門では、収益不動産売却が前年同期を上回って進捗する一方、「BLUE FRONT SHIBAURA TOWER S」の開業費用が発生したため、当第3四半期は減益要因となります。

ただし、この先も収益不動産の売却は順調に推移する見込みであることから、通期での売上高と事業利益の予想を上方修正しました。

都市開発部門:収益不動産の売却

収益不動産について、第3四半期累計での売却額は1,192億円、粗利益は366億円となりました。なお、通期の売却粗利益は500億円超を見込んでいます。

都市開発部門:収益不動産のストック

収益不動産の用地取得は、第3四半期までの累計で470億円となりました。

直近数年間の用地取得の進捗により、オフィス・物流施設を中心に、開発中の案件も含めて、総投資額で約1.1兆円相当、5年から6年分の事業量に相当するストックを確保しています。

都市開発部門:空室率、賃貸可能床面積

固定資産として保有する賃貸資産の空室率は、全エリア平均で5.9パーセントと、第2四半期比で1.2ポイント上昇しました。ただし、このほとんどは、当社グループが新宿エリアのビルから本社移転により退去した影響によるものです。

なお、これら退去区画のリーシングは順調で、中心となる新宿野村ビルの退去区画では、すでに約半分が契約・内定済です。残りの区画も、直近の空室率低下や賃料上昇を追い風に、順調にリーシング活動を進めています。

オフィスマーケット全体を見ると、先ほど述べた新宿野村ビルをはじめ、当社の代表的なオフィス商品であるPMOにおいても、新規賃料の水準は上昇基調にあります。既存テナントの賃料改定についても、改定テナントのうち7割での増額、5パーセントから10パーセント程度のアップ改定を実現しています。

海外部門:決算概要

海外部門では、前年同期にベトナムで大型の住宅分譲プロジェクトを計上した反動により、減収減益となりました。

また、通期の事業利益についても、期初に見込んでいた、イギリス・ロンドンのオフィスビル売却を来期以降に変更すること等により、下方修正しています。

そのほか、今期ベトナムの住宅販売状況は物件により異なり、ホーチミンの「グランドパーク」が好調に進捗する一方、ハイフォンの「ロイヤルアイランド」については、エリアでの供給増加により、計画に対する進捗はやや遅れています。

海外部門:海外事業の拡大(参画案件)

海外部門のストックは、総事業費で約8,400億円となっています。

この第3四半期では、新たにベトナムの分譲住宅プロジェクト1件、米国の賃貸住宅プロジェクト1件へ参画を決定しました。

資産運用部門:決算概要

資産運用部門では、私募REIT・私募ファンドの運用資産が着実に増加しています。

また米国ヒューストンにおいて、当社として初となる海外での開発型ファンドの組成を実現しました。これは、国内の機関投資家向けに、高層の賃貸住宅開発事業への投資機会を提供するものです。

仲介・CRE部門:決算概要

仲介・CRE部門は、個人向けのリテール、企業オーナーや富裕層を対象としたミドル、大企業や投資家向けのホールセール、それぞれで売買仲介取扱高が増加し、増収増益となりました。

好調な業績を反映し、通期の売上・事業利益の予想についても、上方修正しました。

運営管理部門:決算概要

運営管理部門は、運営管理事業、受注工事ともに増収で、全体として増収増益となりました。

これは特に、「BLUE FRONT SHIBAURA」におけるテナント入居工事が、受注工事の増収につながったことによります。

これらを踏まえ、通期の売上・事業利益の予想も上方修正しました。

株主還元

株主還元については、通期の配当予想を36円から40円に引き上げ、配当性向45.7パーセント相当の株主還元を行います。

あらためて、当社の還元に関する考え方と今回の判断についてご説明します。

従前より当社は高いROEを実現することで、投資による利益成長と、還元による株主価値の向上を両立させることを重視してきました。こうした考えのもと、総還元性向40パーセントから50パーセントを還元方針とする中で、2024年3月期までは、当社株価は割安であったため、配当に加えて自己株式取得を実行し、総還元性向45パーセント程度の還元を行ってきました。

その後、2025年3月期には、配当をより重視する考えに立ち、DOE4パーセント(DOE=年間配当額÷期中平均自己資本)の下限を導入するとともに、それ以前には30パーセント台であった配当性向を約40パーセントに引き上げました。ただ、依然として株価が割安だったことから、前期も自己株取得を実施しました。

こうした中、今期、期初時点で36円、配当性向41.1パーセントの配当予想としていましたが、今期の特殊事情である「BLUE FRONT SHIBAURA TOWER N」の開発に向けた特別損失計上を踏まえてもなお、事業が順調に進み、業績目標達成への確度が高まったことから、この度追加で株主のみなさまに還元する判断をしました。

今回の追加還元の結果、総還元性向は45.7パーセントとなり、投資と還元のバランスを考慮する中、適切な水準だと考えています。

なお、追加還元の施策として、2018年から実施してきた自己株式の取得も検討しましたが、株価水準は当社の1株当たりNAV(Net Asset Value/純資産価値)に近づいており、自己株式取得の効果は、相対的に優位性が下がっていると考え、配当を実施することとしました。
ただし、当社としては、「現在の株価は、まだ向上の余地がある」と認識していることは、あらためてお伝えしておきます。

今後引き続き、8パーセント水準の利益成長を継続し、利益成長に応じた配当を行っていくことが、企業価値・株価向上の観点から、基本になると考えています。

私からのご説明は以上です。引き続き、株主のみなさまにご満足いただけるよう、グループ全体で成長を目指していきます。

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