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株価・為替は再び大台割れへ?弱気筋の売り攻勢「3つの根拠」=櫻井英明

本日(7月6日)の日経平均株価終値は大幅続落、前日比290.34円安の15,378.99円。場中には1ドル100円台半ばまで円高が進行し、一時500円超の下げを記録する場面もありました。株価・為替ともに大台割れ目前のいま、注目すべき3つの指標とは?『兜町カタリスト』の櫻井英明さんが解説します。

弱気筋は何を確信して売りポジションを取っているのか?

指標その1:スキュー(ゆがみ)指数

2011年2月23日からシカゴ・オプション取引所(CBOE)が公表開始。S&P500を対象とするオプション価格(アウト・オブ・ザ・マネーのオプション価格)を使用した、市場の歪みを数値化したリスク指標

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ファイナンス理論で「テール・リスク(※1)」とか「ブラック・スワン・イベント(※2)」と言われる、極端な事象(突発的に発生する大幅な下落)が発生するリスクを示す指標。つまり、オプション市場で将来の大きな価格変動に備える取引が増えると上昇する。

※1 テールリスク
「テール」とは騰落率分布の端や裾野を意味。「テールリスク」は数十年~数百年に一度起こるかどうかのリスク。市場において、ほとんど起こらないはずの想定外の暴騰・暴落が実際に発生するリスクのこと。これは、通常、確率的には極めて低いものの、発生すると非常に巨大な損失をもたらすリスク(大幅下落するリスク)となる。
※2 ブラックスワン
市場において、事前にほとんど予想できず、起きた時の衝撃が大きい事象のこと。オーストラリアで黒い白鳥が発見されたことで、鳥類学者の常識が大きく崩れることになった出来事に由来。確率論や従来からの知識や経験からでは予測できない極端な現象が発生し、その事象が人々に多大な影響を与えることを総称したもの。

2015年12月11日に過去最高を更新。その後2016年6月28日に153.66と過去最高を更新。数値が100の時は分布が平常の状態で、あまりテール・リスク(発生確率は低いが発生すると巨額の損失となるリスク)がない。一方で100を超えてくると、下落の場合のテール・リスクが通常以上に大きくなってきていることを意味する。

VIX指数=恐怖指数、市場のボラティリティ(変動率)を基に算出。
SKEW指数=歪み指数、アウト・オブ・ザ・マネー(含み損)のオプション価格のデータを基に算出。

Next: 77%の確率で「株価が5%以上、下落する」指標とは?



指標その2:ヒンデンブルグ・オーメン

下記の条件で点灯する。一度発生すれば向こう30営業日は有効だが、マクラレン・オシレーター(※3)がプラスとなれば無効となる。

  1. ニューヨーク証券取引所での52週高値更新銘柄と52週安値更新銘柄の数がともにその日の値上がり・値下がり銘柄合計数の2.8%以上
  2. NYSEインデックスの値が50営業日前を上回っている
  3. 短期的な騰勢を示すマクラレン・オシレーターの値がマイナス
  4. 52週高値更新銘柄数が52週安値更新銘柄数の2倍を超えない

※3 マクラレン・オシレーターの計算式

騰落銘柄数=(値上がり銘柄数)-(値下がり銘柄数)
マクラレン・オシレーター=(騰落銘柄数のX日指数移動平均)-(騰落銘柄数のY日指数移動平均)

ヒンデンブルグ・オーメンが確認された後、77%の確率で株価が5%以上、下落するという。またパニック売りとなる可能性は41%。株式市場が重大なクラッシュとなる可能性は24%と算出。ヒンデンブルグ・オーメンが発生しても暴落しないケースもある。1985年以降では米株が暴落した際は、いずれの場合もシグナルが現れたという。

指標その3:バフェット指標

投資の神様とも言われることがある「ウォーレン・バフェット氏」が愛用しているとされる指標で、「その国のGDP」と「上場株式の時価総額の総和」を比べるもの。

バフェット氏は「株式時価総額増加率と名目GDP成長率は長期的には収斂(しゅうれん)する」と主張。「株価の時価総額が名目GDPを越えると買われ過ぎ」という指標である。

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「兜町カタリスト」』(2016年7月6日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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