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インフキュリオン Research Memo(3):あらゆる事業者に決済インフラを提供するフィンテック企業(2)

■会社概要

2. 沿革
インフキュリオンは2006年5月、(株)ジェーシービー出身の丸山弘毅(まるやまひろき)氏を中心とする4名により設立された。創業当初から決済や金融を取り巻く構造的課題に着目し、ITと制度理解を融合させたサービス提供を志向してきた点が同社の原点である。コンサルティングを通じて培った深い業界理解や俯瞰的視野によりプロダクトを開発する姿勢は、後の事業拡張や金融機関との協業を支える基盤となっている。

同社のプロダクト志向を象徴する初期の取り組みが、2011年に提供を開始したスマートフォンを活用したクレジットカード決済サービス「Anywhere」である。子会社である(株)リンク・プロセシングを通じて展開された同サービスは、mPOS(スマートフォンやタブレットに専用端末を接続し、場所を問わずクレジットカード決済を可能にする仕組み)市場の黎明期において先行的な役割を果たし、NTTドコモ、ユーシーカード(株)、ジェーシービーなど決済・通信分野の大手企業との資本業務提携へと発展した。これらの協業は単なる販売チャネル拡大にとどまらず、決済ネットワークやオペレーション面での知見蓄積につながり、その後のBaaS(Banking as a Seavice:金融機関が提供する銀行機能をAPI経由で外部に開放し、企業が自社サービスに金融機能を組み込めるようにする仕組み)事業展開の礎となった。

2014年にはコンサルティング事業を分社化し、純粋持株会社体制へ移行するなど、事業ポートフォリオと経営管理体制の高度化を進めた。決済・金融領域における制度対応力や事業設計力を強みとする同社にとって、コンサルティング事業は金融機関や事業会社との関係構築を深化させる役割を担い、プロダクト事業への波及効果を生んできた。

2016年以降は、銀行APIの開放やキャッシュレス化の進展を背景に、フィンテック領域での事業開発を本格化させた。銀行APIを活用したサービス「finbee(フィンビー)」の立ち上げや、BaaS基盤の企画・開発を目的とした(株)インフキュリオンデジタルの設立を経て、2018年にはBaaSを基盤としたスマホ決済プラットフォーム「Wallet Station」の提供を開始した。同サービスは、金融機関や事業会社が自社ブランドで決済・金融機能を迅速に実装できる基盤として位置付けられ、同社の技術力を象徴するプロダクトへと成長していく。

その後、企業向けカード発行事業を起点に発展した「Xard」は2021年に本格展開され、法人の決済・支出管理領域におけるデジタル化需要を取り込んできた。また、請求書支払いに着目した「Winvoice」は2023年に提供を開始し、支払い業務の効率化やキャッシュ・フロー改善など経理・財務部門の課題解決を狙うサービスとしてポートフォリオに加わった。これらのプロダクトはいずれも、決済インフラと業務データを結び付けるという同社の一貫した思想を体現している。

協業戦略の面では、2020年の(株)NTTデータとの資本業務提携を皮切りに、金融機関向けBaaS基盤の提供体制を強化してきた。なかでも2024年には(株)三井住友銀行、三井住友カード(株)との資本業務提携を通じて、メガバンクグループとの関係を一段と深化させている。2025年には、SMBCグループが提供する法人向けデジタル総合金融サービス「Trunk(トランク)」の開発に参画することを発表しており、同社のプロダクト群が大規模金融エコシステムの中核機能として活用される段階に入ったと言える。

このような事業基盤と協業関係の拡充を背景として、同社は2025年10月に東京証券取引所グロース市場へ上場した。同社は創業以来培ってきた決済・金融領域での知見と組込み型を軸としたプロダクト展開を武器に、次の成長ステージに進もうとしている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 吉林 拓馬)

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