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LIFULL、住まい領域のデータ×AIで「検索から相談へ」体験を一新 AI活用と国内集中で収益力向上、株主優待を新設

登壇者の紹介

福澤秀一氏(以下、福澤):LIFULL CFOの福澤です。本日はよろしくお願いします。簡単に自己紹介をします。私はLIFULLに2007年に入社し、それ以来、IRやバックオフィス、資金まわり、M&Aなどを担当してきました。

LIFULL(2120)がお伝えしたい4つのこと

福澤:今日は、LIFULLがみなさまにお伝えしたいことを、大きく4点にまとめています。

1つ目は、LIFULLについて知らない方もいらっしゃると思いますので、私たちの強みや会社の概要について、まずご理解いただきたいと思います。

2つ目は、当社は9月決算ですが、昨年11月に2026年9月期から2028年9月期までの中期経営計画を発表しています。そちらの内容についてご説明します。

次に、3つ目として、2月12日に第1四半期の決算を発表しましたので、その決算内容のダイジェストをお知らせします。

最後に、株主還元の拡充について、2月12日の決算発表と同時に株主還元に関するリリースを行いましたので、こちらの内容についても後ほどご説明します。

株式会社LIFULL会社概要(2025年12月31日現在)

福澤:私たちの社名「LIFULL」は、「LIFE」と「FULL」を組み合わせた造語です。

私たちは、みなさまの暮らしや生活を豊かで便利にするため、「FULL(満たす)」ことによって、みなさまに安心と喜びを提供し続けたいという思いから、この社名「LIFULL」を掲げています。

会社の設立は1997年3月ですが、1995年から世の中の不動産情報をオープンにすることを志し、事業を開始しました。

現状、連結従業員数は1,000名で、主要株主として創業オーナーの井上に加え、楽天グループさまにも参画いただいています。社長が交代したばかりで、現在は2代目の社長が事業を進めています。

LIFULLの誕生のきっかけ

福澤:最初に、私たちの会社、LIFULLが誕生するに至ったきっかけをお伝えします。

創業にあたり、「情報の非対称性をなくし、一人ひとりにぴったりな住まいを提供したい」という思いから、当社は立ち上がりました。

LIFULLの30年(1995年創業)

福澤:私たちは1995年、創業オーナーの井上がインターネット時代の波に乗り、当時は情報の非対称性があった不動産情報をオープンにすることを目的として、スライド左下に表示されている不動産・住宅情報サイト「HOME’S」を開始しました。

当時は、家を購入する際や借りる際にも情報が非常に少なく、雑誌の数も限られており、広告にもほとんど掲載されない状況でした。不動産会社を訪問して物件情報を探す必要があり、一生に一度の高額な買い物であるにもかかわらず、限られた情報の中で不動産を購入または賃借しなければならない時代でした。

創業オーナーの井上は、不動産デベロッパーの営業として不動産業界に身を置いていましたが、それでも十分な情報を集めることが難しいと感じていました。この状況をなんとか変えたいという思いから、不動産情報をオープンにすることを目指しました。

不動産情報をオープンにして、誰もが自分に最適な情報を探せる世界を描き、当時、まだインターネットが始まったばかりの時期に、この事業を立ち上げました。

その後、スライドの下に示された矢印にもありますように、インターネットが広がり、スマートフォンの普及が進み、現在ではAIが台頭するなど、世の中は急速に変化してきました。

その中で私たちは、不動産情報をオープンにすること、情報の非対称性を解消することに一貫して取り組んできました。そして、世の中の動きに合わせてさまざまなサービスを提供しながら、不動産情報をインターネット上でオープンにしてきました。

足元の連結売上については、今期2026年9月期の予想で約300億円まで規模が拡大してきています。

事業概要

福澤:事業の概要です。前期の売上収益は281億円で、そのうち91パーセントがHOME’S関連事業によるものです。このHOME’S関連事業には、スライド右上にある日本最大級の不動産情報データベースを誇る「LIFULL HOME’S」や、日本最大級の不動産投資物件サイトである「健美家(けんびや)」などが含まれています。

その他事業の売上は約9パーセントですが、主な事業として、日本最大級の介護施設検索サイトである「LIFULL 介護」があります。また、日本の空き家問題を解決するために、遊休不動産を再利用し、地方創生に資する取り組みを行う事業も含まれています。

なお、これまでのもう1つの大きな柱として海外事業がありましたが、昨年度にリストラクチャリングを行い、海外事業からは撤退しました。

現状は、国内の不動産情報を一手に集めて最大級のデータベースを構築し、それをユーザーや利用者のみなさまに提供する事業に専念しています。

日本最大級の不動産・住宅情報サービス

福澤:「LIFULL HOME’S」の特徴についてご説明します。「LIFULL HOME’S」についてはスライドの右上に「住まいのことなら何でも!」と記載されていますが、賃貸物件、新築物件、土地の情報だけでなく、借りる、買うだけでなく売る、売却査定の情報、不動産投資情報も含まれています。掲載されている物件の数は600万件以上にのぼります。

取引して掲載していただいている顧客数は3万3,000店舗以上であり、日本最大級の規模となっています。また、パソコンサイトだけでなく、タブレット、スマホサイト、アプリなど、あらゆるデバイスから情報を閲覧できるようになっています。さらに、アプリのダウンロード数は累計900万件以上となり、多くのユーザーに利用されています。

LIFULL HOME’Sの外部評価

福澤:数だけでなく、創業以来、ユーザーと事業者のニーズに寄り添い、社内の開発体制においてさまざまな優れたサービスを提供してきました。

その結果、各種の領域でNo.1の評価をいただいています。特にスライド左側にある「物件鮮度」については、2年連続で「鮮度No.1」を達成しています。

この「鮮度」について補足します。不動産情報は情報が集まった後、物件が購入されたり借りられたりすると、その物件はすでに契約済みとなり、本来であれば借りたり購入したりできなくなります。

私たちは、インターネットの「LIFULL HOME’S」で家を探して不動産会社を訪れた方々から、「いや、実はこれ、もう売れちゃったんですよね」であるとか、「もう他の借り手がついてしまったんで、ちょっと他の物件を探しませんか?」と言われたという不満の声を多くいただいてきました。ユーザーの方が「これ、いいな」と思って物件を探して不動産会社に行ったのに、「もうないよ」と言われたことで非常に残念な思いをしていたのです。

そのような「がっかりする経験をゼロにしよう」という目的で、「LIFULL HOME’S」に掲載されている情報が常にフレッシュであることを目指し、基本的にはいつでも借りられたり購入できたりする情報を提供するため、鮮度を重視しています。この鮮度で2年連続No.1をいただいていることは、ユーザーのみなさまに安心を届けられていると自負しています。

LIFULL HOME’Sについて

福澤:なぜこういうことができてきたかというと、それは、当社の強みの1つである「社内開発力」です。

これまでインターネット黎明期からスマートフォンアプリの投入、さらに生成AIの台頭に伴う進化に対応したサービス開発を、他社に先駆けて迅速に提供してきました。

これが可能である理由は、エンジニアや企画担当、デザイナー、クリエイティブ担当といったプロダクト開発のメンバーが社内に揃っており、一気通貫でできるためです。この点は私たちの強みとなっています。

そのような背景から、ユーザーのみなさまのニーズに応え、ユーザーのみなさまが欲しいサービスを社内開発で積極的に取り組んできました。また、ユーザー向けだけでなく、スライド右側に記載のとおり、不動産事業者やクライアントのみなさまにも、便利なサービスを社内開発で提供し続けてきました。

その結果、効率的な集客支援や業務の効率化を実現し、3万3,000店舗のクライアントのみなさまからご支持をいただいています。

LIFULL HOME’Sについて

福澤:当社は最先端のAIを活用し、「LIFULL HOME’S」のサービスに取り組んでいます。スライドに示されているとおり、ユーザーのみなさまや不動産事業者のみならず、LIFULL社内でもAIを徹底的に活用し、各種取り組みを進めています。

2026年2月までに、AI関連で21本のプレスリリースを発表しており、同業他社に先駆けてAIを活用したサービス開発を次々と実現しています。

スライドの左側に表示されている「AIホームズくん」に関してご説明します。

これまで当社のサイト「LIFULL HOME’S」では、エリアや徒歩圏内、価格などを選択・絞り込むことで「絞り込んで探す」を提供するというサービスを展開していました。

「AIホームズくん」では、みなさまも使用されているGeminiやChatGPTのようなAIエージェントを活用し、短いテキストで「そろそろ手狭になってきたんで、近い家を探しているんだ」であるとか、「家を買うにしても、将来売るかもしれないので、このあたりでバリューアップが目指せそうなエリアは、どこかあるかな?」「家族が4人になったんだけど、どんないいところがあるかな?」などと入力するだけで、会話を通じておすすめの物件を提案する仕組みとなっています。

対話型で不動産物件情報を探せるこのサービスは、昨年12月にオープンしました。みなさまにもぜひご利用いただければと思います。

不動産事業者に向けても、労働人口不足が取り沙汰される中で、不動産会社における時間がかかる業務をDXによって減らし、業務に集中できる環境を整える支援を開始しました。

また、LIFULL社内では、非常に早い段階から社内で利用を開始し、全社横断での徹底的な利用を推進するプロジェクトを発足しました。その結果、現在ではほぼ100パーセントの社員が利用しており、半年間で5万時間の業務時間を削減することができました。

この徹底的な活用により、売上高や利益が増加しても、これまでより少ない人数で事業を支えられる体制が構築されつつあります。

住まい領域で圧倒的なデータを保有、さらに拡大

福澤:LIFULLグループの強みです。先ほどお伝えしたとおり、私たちには「LIFULL HOME’S」という物件数600万件以上が掲載されている情報データベースがあります。加えて、不動産投資に関する情報として8万件以上が掲載されており、「LIFULL 介護」と呼ばれる、シニア世代向けの介護施設の情報が5万7,000件以上掲載されています。

遊休不動産の利活用という観点から、ほかにも多くの情報データベースを保有しており、住まいに関する情報データベースを日本において幅広く取り揃えています。このように、最大級の住まい関連サービスを拡充し、それに対して社内の開発力を活かして質の高いサービスを提供することで、さらなる拡大を目指しています。

中期経営計画(2026年9月期~2028年9月期)

福澤:中期経営計画です。中長期で「目指す姿」として、「グループシナジーを最大化し、住領域×AIでNo.1になる」と掲げています。

2028年9月期の定量目標としては、売上収益は昨年度281億円でしたが、それを350億円から400億円に、営業利益は前期は38億円、今期予想は30億円ですが、2028年9月期には55億円から60億円に、それぞれ拡大することを掲げています。

生産性を高めつつ売上高を増加させ、その結果として利益を倍増させることに取り組んでいます。

「LIFULL HOME’S」の成長をさらに加速

福澤:どのようにして目標を実現させるのかについては、こちらの図になります。

私たちは主力の「LIFULL HOME’S」について、まだまだ伸びしろがあると考えています。足元では継続的に増収となり、売上高が増えてきています。

その背景としては、図の左側に記載されているとおり、社内の開発力という強みを活かしたサイト改善やサービス開発が挙げられます。これにより集客力が向上し、サイトを訪れる人の数が増加します。サイトの訪問者が増えることで、「LIFULL HOME’S」を活用して物件を探す人からの問い合わせ数が増加します。

当社の売上は、この問い合わせ数や、不動産会社からの情報掲載によって構成されています。そのため、サイトの問い合わせ数が増えることで収益力が向上し、図に記載されている流れにつながっていきます。

また、収益力が向上することで、サイト改善やサービス開発に携わるメンバーがさらに増え、この好循環が加速します。このサイクルをいっそう推進していきたいと考えています。

「LIFULL HOME’S」の進捗状況

福澤:これまでも実直に業務に取り組んできました。その結果、現在、足元では9四半期連続で売上収益が拡大しています。さらに良い好循環で売上成長率を加速させるために、現在はAIへの投資や社内の営業力強化に取り組んでいます。

2025年12月に「LIFULL AI」をリリース

福澤:対話型で物件情報を探せるサービス「LIFULL AI」を2025年12月にリリースしました。ぜひ一度お試しいただければ、「すごいね」「探しやすいね」「今までと違った探し方ができるよね」ということを体験できると思います。

本日は動画をお見せできませんが、スライド資料にはYouTubeの動画「LIFULL AI」を体験できる動画がありますので、ぜひご覧ください。

これを実現するまでには、スライド左側にあるとおり、LIFULLグループが30年間にわたり住まいに関わるあらゆる領域で蓄積してきたデータが、差別化要因となっています。このデータを整備し、ユーザーが使いやすい状態にして、次世代の住まい探しを可能にするために、今後もブラッシュアップを続けながら取り組んでいきます。

第1弾:「AIホームズくん」を提供開始

福澤:「AIホームズくん」については、動画を後ほどご覧いただくか、実際にお使いいただければと思います。24時間相談可能で、生成AIを活用しています。そのため、ご相談いただくことで、生成AIがユーザー一人ひとりの好みを学習し、さらにブラッシュアップされていきます。

気づいたことや気になる点があれば、ぜひどんどんテキストを入力してください。「絞り込んで検索する」から「AIエージェントに相談する」という体験をご提供します。

スライド右側に記載されているとおり、従来は検索形式で進めていましたが、こちらは対話形式で、「2人で住むなら、A駅とB駅まで30分以内の駅近な物件ってどこかな?」などのテキストを入力いただくことで、多数の候補が表示されます。

その候補の中から「実はこういうものがいいんだ」や「こういう情報をさらに付加してくれませんかね?」といった情報を徐々に掘り下げ、最適な物件を探すことが可能です。ぜひご利用ください。

(参考)2026年9月期第1四半期 決算補足資料のAIによるまとめ

福澤:こうしたサービスを現在提供している状況ですが、足元の業績について少しお話しします。

このスライドに関してですが、私たちがプレゼンテーション資料として2月12日に公表した決算補足資料の内容をもとに、生成AIが決算サマリーを作成したものです。文字が小さいため、要点をかいつまんでお伝えします。

1つ目は、足元で増収増益となり、非常に良いスタートが切れたという点です。

2つ目は、事業の強みと成長ドライバーに関して、特に主力事業の「LIFULL HOME’S」が拡大し、「住まい×AI」のサービスが加速しているという点です。

3つ目は、グループシナジーが最大化し始めているという点です。

4つ目は、株主還元と中長期ビジョンに関する内容で、こちらについては後ほどご説明します。

2026年9月期第1四半期連結業績サマリー -売上収益-

福澤:数字についてです。こちらは主力事業であるHOME’S関連事業を中心に大幅に伸長しています。売上収益は、前期比8.3パーセント増の69億9,000万円となりました。

2026年9月期第1四半期連結業績サマリー -営業利益-

福澤:営業利益は、売上高の増加やコストの一部抑制、生産性の向上などにより、売上高の成長を上回り、前期比42.1パーセント増と大きく伸びました。

2026年9月期連結業績予想の進捗

福澤:こちらは通期の業績予想に対する進捗率です。私たちは、1月から3月が引っ越しシーズンとなるため、ここが繁忙期となります。現在は2月中旬まで進んでいますが、中期経営計画最初の四半期は、繁忙期である第2四半期に向けて良いスタートを切ることができました。

今期の連結売上高については、業績予想が297億円となっており、そのうち約70億円の進捗となっており、過去の進捗と比較しても良好な状態にあります。1月から3月は引っ越しシーズンにあたるため、ここで着実に積み上げていくことを目指しています。

営業利益の業績予想は30億円で、現状の実績は11億7,000万円となり、第1四半期において非常に大きな利益成長を達成しました。第2四半期、第3四半期に向けて、ブランディングプロモーションや引っ越しシーズンに向けたプロモーション活動、さらには営業やAIへの投資を進める上で、よいスタートを切れたと考えています。

当社の会社サイトに詳細情報が掲載されていますので、スライド右下の案内をご確認の上、ぜひご覧ください。

LIFULLグループの経営の考え方

福澤:LIFULLグループの経営の考え方について少しご説明します。当グループでは、事業の成長とともに、「公益志本主義」「すべてのステークホルダーに配慮した経営」を志し、目指しています。

「すべてのステークホルダー」とは、コンシューマー、クライアント、従業員、パートナー、株主、社会、地球環境といった、あらゆるステークホルダーに対して、幅広くしっかりと還元していくことを意味します。特定の対象に偏ることなく、これらすべてに均等な還元ができるよう取り組んでいます。

今期(2026年9月期)の通期見通し

福澤:その中でも、本日は株主のみなさまに向けた還元策についてご説明します。

業績については、こちらに記載のとおりです。利益をしっかりと稼いだ上で、みなさまに還元するという点について、1つ目は配当による還元です。2月12日には、2026年9月期の配当予想を5.21円と発表しました。

当社は配当の考え方として、当期利益の30パーセント、すなわち配当性向30パーセントを利益還元の方針としています。

この中で、一部調整項目がありますが、現状、当期利益19億円に対していくつかの加減算項目を反映し、その結果、1株当たりの配当予想を5.21円としています。この数字は利益が増減すれば変動する可能性があります。

株主優待制度の新設

福澤:あわせて、今回株主優待を新設しました。40単元以上を1年以上保有していただいた株主の方には、電子マネーとして年間3万円分、また、自社サービスを利用できる特典を付与しています。

初回は3月末と9月末の2回継続して保有していただいた株主の方に、12月に特典を付与します。ぜひこのタイミングでご利用ください。

株主優待:自社サービス利用特典

福澤:自社サービスについては、こちらの内容となりますので、ご覧いただければと思います。

株主還元の拡充

福澤:現状、優待と配当を含めた総還元利回りは5.9パーセントです。このように株主のみなさまへの還元を拡充し、進めていきますので、よろしくお願いします。

株価の推移

福澤:株価についても、昨日は非常に好調な状況でした。ぜひ興味をお持ちいただけましたら、私たちのサービスや株主還元、決算情報をご覧ください。

質疑応答:顧客数が増加している要因について

1UP投資部屋Ken氏(以下、Ken):今回の10月から12月も堅調に伸びているようですが、顧客数が増加している要因について教えてください。

福澤:顧客数については、先ほど3万3,000件とお話ししましたが、順調に増加しています。我々は良いサービスを提供し、集客力を高めることで、クライアントのみなさまに不動産会社への送客効果を認識していただいています。

その結果、「HOME’S」に掲載すればきちんと効果が出ると実感していただき、解約するお客さまも少なく、集客に課題を抱えた方々が「HOME’S」を利用したいと申し出るケースが増えてきていると感じています。

質疑応答:ARPA拡大と売買領域の市場動向について

Ken:ARPAが拡大しています。最新のところで売買領域が好調とのことですが、その要因を教えてください。 

福澤:ARPAは顧客単価を指していますが、これも顧客数と同時に拡大しています。我々は賃貸売買系で売却査定などを行っているとお話ししましたが、その中でもみなさまもご存じのとおり、新築物件はなかなか購入が難しい状況です。

一方で、中古物件の購入が増加しています。中古物件も価格が上がってきて買いづらい状況にはなっていますが、売買領域は非常に好調です。

私たちのビジネスモデルでは、例えば、家を借りたいという問い合わせが発生すると、売買物件の場合は売却価格に対して0.05パーセントの手数料を収益としていただきます。そのため、件数が増えると収益が拡大します。

また、新築から中古へ移行しつつあり、中古物件もインフレの影響で価格が上昇していることから、売買価格が上がっています。このような背景から、1件あたりの収益が増加し、単価も好調に推移しています。

Ken:この中で、マンションが多いとか、戸建てが多いなど、なにか特徴はありますか? 

福澤:順番としては、賃貸が最も多いです。次に多いのが中古分野の売買物件で、こちらが単価に貢献している分野となります。

一方、新築の戸建てやマンションは、以前は非常に大きな売上を占めていました。しかし、ここ数年のコロナ禍以降、新築物件の数が減少し、新しくリリースされる物件も減少しているため、新築の割合が相対的に減少しました。一方で、賃貸や中古売買の物件が増加しています。

また、売却査定として、住んでいる物件を売却して新たな物件に住替えるケースがあります。これら賃貸・中古物件・売却査定の3つが大きな割合を占めています。

質疑応答:都心の賃料上昇がビジネスに与える影響について

Ken:今お話にも少し出たかと思いますが、都心を中心に賃料が本当に上昇しており、前回比で10パーセントアップといったことも普通にあるような状況になったと思います。この賃料の上昇は、御社のビジネスにどのような影響を及ぼすでしょうか? 

福澤:私たちのビジネスモデルには、お問い合わせが発生した際に料金をいただくというモデルがあります。賃貸に関しても、月額家賃の最大9.5パーセントを1件の問い合わせにつきいただく仕組みです。そのため、賃料が上がると売買物件と同様に、1件あたりにいただける金額も増えることから、私たちのビジネスにはプラスの影響があると考えています。

質疑応答:健美家の掲載物件数が急増した要因について

Ken:「健美家」の掲載物件数が、M&Aされた後に急激に伸びています。その要因を教えてください。

福澤:現在、8万件以上が掲載されています。健美家は2020年にM&Aによってグループ入りしました。当時から、掲載されている物件の数は業界で2番手でした。また、私たちは「LIFULL HOME’S 不動産投資」という事業も手がけており、こちらは業界3番手でした。この2番手と3番手が一緒になるかたちでグループ会社入りしました。

ここ2年ほどは、システムの統合に時間がかかっていましたが、現在は完了しました。そして、HOME’Sのお客さまに対して「健美家」という不動産投資物件プラットフォームを提案し、既存の3万3,000件のクライアントに対しても、投資物件が1件でもあれば健美家に掲載していただくよう営業活動を展開しました。このようなグループシナジーの結果、これまで「LIFULL HOME’S」に物件を掲載していたクライアントのみなさまが健美家にも物件を掲載してくださるようになり、物件数が急増しました。

これは、グループ会社入りした後、システム統合を実施し、「健美家に載せるといいよね」というかたちでクライアントにもご理解いただけたことで、急速に成長した結果です。

質疑応答:AI活用に伴う送客数増加の可能性について

Ken:AI活用について、「対話しながらさまざまな提案をしてくれる」との話がありました。これにより、ある意味でAIとのコミュニケーションを取ることが可能になります。従来の検索では少し見てやめてしまうケースもあったと思いますが、送客数の増加に寄与する可能性があるのでしょうか? 

福澤:そこには非常に大きな可能性があると考えています。みなさまも生成AIが登場した時には試し試しだったかもしれませんが、今では、生成AIを使うことが当たり前になっています。

以前は「ハルシネーションがあるから本当に大丈夫なのかな?」という状況もありましたが、現在ではかなり洗練されており、ユーザーも安心して利用できるようになったと思います。

おっしゃるとおり、以前は検索しても見つからないことが多く、「本当にこれで見つかったのかな?」であるとか、「このエリア、自分の知っている場所でしか探せないけど、本当にそれでいいのかな?」といったユーザーが多くいました。

しかし、そのような方たちも、対話型でどんどん検索できる環境が整い、不動産会社に行かなければならないという心理的ハードルが下がりつつあります。

その結果、これまで人に質問していたことをAIエージェントに尋ねるユーザーが増え、直接不動産会社に行くよりも、まずAIエージェントを使う方がよいと考えるユーザーが大幅に増えていると感じており、この点に非常に大きな可能性を感じています。

Ken:ふだんなら不動産会社に聞いていたようなことも、事前にわりと尋ねられるため、成約率も高まっていそうだと思いました。

質疑応答:生成AIの影響と不動産市場への機会および脅威について

Ken:AIの進化により、現在のマーケットでは脅威となりそうな銘柄がすぐに下がることがよくあります。御社において影響が出そうな部分、あるいは現在脅威に感じていることはありますか? 

福澤:非常に大きな機会と脅威の両面があります。先に脅威についてお伝えすると、生成AIはまだ登場して間もないため、その広がり方や普及のスピードが未知数であるという点があります。

これまで私たちは検索サイト事業において、同業他社が提供する同様の検索サービスを注視しながら、より優れたサービスを迅速に提供することに取り組んできました。しかし、新たなプレーヤーが台頭する可能性があることは、脅威として認識しています。

一方で、機会としては、私たちはポータルサイトとして膨大な情報を集約し、多くのユーザーに利用していただく必要がありました。この両輪で進めてきた中で、現時点では、私たちが30年間にわたり蓄積してきた不動産情報や、他社では提供していない不動産投資や介護施設に関する情報といった圧倒的なデータベースが大きな武器になると考えています。

これを活用し、新しいサービスを提供することで、ゲームチェンジャーになる可能性があると思います。新たに対話型エージェントによる家探しのマーケットにおいて、私たちが圧倒的なシェアを獲得できる機会があると期待しています。このような展望に対し、大きな期待を寄せているところです。

質疑応答:生成AIでの家探しにおけるデータベースの重要性について

荒井沙織氏(以下、荒井):「不動産住領域でもAI活用が進む中で、LIFULLならではの強みは保有データ、ユーザー基盤、そして事業運営の知見、のどこにあると考えていますか? 最も差がつくポイントを教えてください」というご質問です。

福澤:その3つすべてが重要だと思いますが、特にデータベースが重要だと考えています。

生成AIで対話型エージェントを用いる場合には、正確で豊富な情報をしっかり持ち、その中から最適な回答を見つけ出すことができます。こうした情報は、最新の空室情報だけではなく、当社が過去30年間にわたり蓄積してきたデータベースにも基づいています。

これにより、過去の広告掲載情報をアーカイブとして保持し、過去の価格動向や住まいの周辺情報を幅広く把握しています。これらを組み合わせることで、適正な家賃の住まいを見つけることが可能です。

また、家を購入する人々に関しては、近年大幅な値上がりが見られる中でリセールバリューが期待できるエリアの特定など、細やかなニーズに応えるためにも、蓄積されたデータが差別化のポイントとなります。

当社グループには豊富なデータベースが存在します。これまでに挙げた、保有データ、ユーザー基盤、事業運営の知見の3要素の中でも、特に保有データの量が最も重要な要素であると考えています。

質疑応答:AI投資と業績予想に基づくリスクマネジメントについて

荒井:「AI関連の投資は短期的に利益を圧迫する可能性もあると思いますが、どの程度までを許容範囲と考えているのでしょうか? また、期待どおりに進まなかった場合のリスク管理の考え方を伺いたいです」というご質問です。

福澤:AIへの投資も含めて、業績予想では今期30億円の利益を見込んでいます。前期は38億円の利益だったため、減益予想となっています。

AIへの投資が中長期の成長戦略における分水嶺となると考えています。そのため、まずはAIに最優先で投資し、よりよいサービスを提供することに注力していきます。

また、リスクマネジメントも重要です。私たちの会社では、事業の状況を細かい単位で把握するためのモニタリングを実施し、数字に基づいて定量的に評価する会議体を設けています。

そうした中で、順調に進んでいればそのまま続けますが、期待していた内容と異なる、スピード感が不足している、あるいは投資が期待するリターンを生まない場合には、早急に意思決定を行い、やり方を見直す、さらに進める、もしくはいったん中止するなど、高速な意思決定を行いながら進めていきます。

これまでにも同様のプロセスを通じて、成功した事例もあれば失敗した事例もありましたが、その中で成長してきました。このようなリスクマネジメントを行いながら、引き続き事業を進めていきたいと考えています。

まずは今期の営業利益予想30億円を基準に進めていきます。この金額をベースにコントロールしながら、どこまで投資するかのバランスを考えており、30億円の利益を出せることをコントロールラインとしつつ、投資を進めていく方針です。

質疑応答:中期経営計画期間中におけるAI活用に伴う売上・利益貢献について

荒井:「中期経営計画期間中において、AI関連施策が売上や利益的に本格的に貢献し始めるタイミングはいつごろを見込んでいるでしょうか?」というご質問です。

福澤:2028年9月期までの中期経営計画では、売上高を350億円から400億円、営業利益を55億円から60億円と見込んでいます。この数字は、AIを活用したビジネスがうまくいくことを前提としていない点を、まずはご理解いただければと思います。

一方で、現在はユーザー向けの対話型エージェント、不動産事業者向けの労働人口不足解消を目指し、不動産会社の業務DX化を支援する取り組みを、生成AIを活用して進めています。こちらはまだ実行可能性の段階ですが、今後さらに大きく成長させるポイントです。また、LIFULL社内では、すでに十分に活用されています。

導入時期については、現在の世の中の変化の動きやスピードにもよりますが、早ければ2028年、2年後には、現在よりもAIを使って家探しをする方が増えると考えています。特に若い世代や家を借りるユーザーにおいては、生成AIを利用して事前に相談しながら物件を決めるケースが増加すると思われます。

早くても2028年9月期に、ただし売上や利益に直結するのはもう少し後になる可能性があります。このようなスピード感を持ちながら、AIを積極的に活用することで業績への貢献を期待しています。

質疑応答:収益構造の改善について

Ken:「今回の決算において、利益率改善は広告効率改善など一時的な要因でしょうか? それとも構造的な収益体質改善と見てよいでしょうか?」というご質問です。

福澤:結論からお伝えすると、構造改革はかなり進みました。先ほどお伝えしたとおり、社内の生産性を高めることで、売上の増加に対してそれほど投資をしなくてもよい状況が生まれたため、その意味では筋肉質な体制になっています。

補足すると、一方で、営業利益予想30億円に対し、第1四半期では11億円となっており、「掛ける4で40億円になるのではないか」と投資家のみなさまからよく質問いただきます。構造的には四半期で11億円を出すことが可能ではありますが、先ほどお伝えしたように、まだまだAIへの投資が続いています。

また、1月から3月は引っ越しシーズンであるため、認知拡大や私たちのサービスを知ってもらうためのプロモーション活動が必要であり、広告宣伝費への投資を行っています。このような出費があることから、通期では30億円をきちんと達成しつつ、全体としての収益力向上に向けて筋肉質な体制が整ってきたことを、あわせてご理解いただければと思います。

質疑応答:株主還元の方針と優待制度の持続可能性について

Ken:「優待拡充について、目立った新設や拡充をした後、縮小や廃止を行う企業もあります。それにより株価が落ちることはよくあります。そのような中、御社の優待に対する考え方について教えてください」というご質問です。

福澤:確かに昨今そのような会社も見られ、株価も下落するため、私たちも決議する際に慎重に、継続的に株主のみなさまに還元できるかというポイントを議論してきました。結論として、この規模感であれば継続的に実施可能な水準として、この内容に設定しています。

株主還元の考え方としては、これまで配当のみで対応しており、配当性向は当期利益の30パーセントと設定していました。この水準に相当するのが5円程度です。

私たちは、稼いだ利益をすべてのステークホルダーに還元するという「公益資本主義」の考え方を持っています。この中には、国に納める税金、従業員への還元としての賞与、株主のみなさまへの還元、そして将来の投資に向けた内部留保の4つが含まれています。この考え方に基づき、当期利益を分配しています。

このように考えると、配当性向を50パーセントにすることが私たちの分配の考え方として適切ですが、現時点では内部留保を厚めに確保しています。

この20パーセント程度の内部留保を厚めにしている部分の一部を、優待として還元しています。そのため、優待で還元しても、現在想定している金額規模では配当性向を50パーセントにするよりも少ない金額となっています。このような理由から、継続的に実施可能な金額規模であると考えています。

質疑応答:空き家問題と不動産業界の今後の見通しについて

Ken:「今の日本のマーケット環境として、人口減と空き家物件の異常な増加がまずあります。またマンションの高騰もある中で、今後顧客数を伸ばしていくのは結構難しいのではないかと思います。マクロ環境に対するお考えを伺いたいです」というご質問です。

福澤:みなさまもご存じのとおり、日本は人口減少の局面に入り、空き家問題が存在しています。私たちは遊休不動産の利活用を掲げていますが、空き家の数が増加し続けていることが大きな社会課題として取り沙汰されています。

今後の見通しについてですが、世の中の動きは変わっていくと思います。これまでは新築マンションや新築戸建てを建て、どんどん売るという「スクラップアンドビルド」のような考え方が主流でした。しかし、現在では資材価格の高騰などにより、新築物件がなかなか売れない状況になりつつあります。そのため、新築から中古へ、所有から賃貸へというような動きが出てきています。

このような動きの中で、私たちの主力事業である賃貸や中古物件の分野は足元でも成長しています。この業界では、私たちは2番手や3番手のプレーヤーとして存在しているため、質の高いサービスを提供して集客をしっかり行えば、マーケットシェアをさらに高められると考えています。

また、空き家対策としての「2拠点生活」や「地方のコンパクトシティの形成」といった取り組みを国が進めています。1人あたりの所有権数が増えれば、私たちのサイトへの訪問者も増加し、それに伴いマッチング件数も増えることで新たな機会が生まれると見ています。

以上のような取り組みが進む中で、向こう数年間は成長の余地があると考えています。

質疑応答:AI利用における倫理規定と情報セキュリティ対策について

Ken:「AIエージェントについて、セキュリティ対策に対しての考え方を教えてください」というご質問です。

福澤:AIに限らず、私たちは情報を扱うサービスを提供する企業として、情報の取り扱いについては社内だけでなく、同業他社や日本全体の中でもしっかりと対応しているほうだと思っています。また、情報セキュリティを非常に重要な事項と位置づけており、これを守るための取り組みを徹底しています。

さらに、現在外部には公表していませんが、AIを活用するための倫理規定を社内で策定し、その範囲内でサービスを提供しています。これらを組み合わせながら、データの保護と正しい利用の両面から、上場企業として、日本最大級の情報を扱う企業としての責任を果たしながら、責任ある使い方とサービス提供を推進していく方針です。

福澤氏からのご挨拶

福澤:本日はお時間をいただき、ありがとうございました。まだLIFULLのことをご存じない方も多いと思いますが、今回、業績だけでなく、株主のみなさまへの還元策も拡充しています。ぜひ、当社のWebサイトをご覧いただき、当社へのご理解を深めていただいた上で、ご投資いただけると幸いです。何卒よろしくお願いします。

当日に寄せられたその他の質問と回答

当日に寄せられた質問について、時間の関係で取り上げることができなかったものを、後日企業に回答いただきましたのでご紹介します。

<質問1>

質問:金曜日にストップ高を記録しましたが、率直な感想と今後の株価対策についての方針を教えてください。今回の優待新設は、プライム上場維持基準を満たすためという理解で合っていますか?

回答:2026年9月期第1四半期の決算の進捗が好調だったことと、配当予想の開示、株主優待の新設等が市場から評価いただけた結果かと思っています。

当社は、現状は東京証券取引所プライム市場の上場維持基準をすべて充たしておりますが、2028年9月期までの中期経営計画の中でも、株主還元の拡充を重要なテーマの1つと位置付けておりますので、今後も、事業の拡大と還元の充実の両輪で、みなさまに長く応援していただける企業を目指していきます。

<質問2>

質問:業界最大手に物件数・売上等で負けていると思うのですが、今後ココを超えて業界1位を目指されるんでしょうか? また、その場合には何を今と変えますか? ユーザーの立場に立ったシステム利用の使い勝手やメリットの向上などでしょうか?

回答:当社では、ユーザーの一人ひとりが理想にぴったり合った物件に出会えるよう支援することを目指しております。

掲載物件数は、当社は重複物件を除外して公表しており、重複を除くと国内最大規模ではありますが、今後も顧客数の拡大と共に選べる情報を増やしていくこと、さらにその情報をAI等を活用したシステムで、よりユーザーのみなさまが便利に楽しく選べるようになることで、「LIFULL HOME’Sなら間違いない」と圧倒的な信頼で利用いただけるサービスとなって、事業拡大を目指していきたいと考えています。

<質問3>

質問:「HOME’S」の海外版の可能性は? 海外事業やグローバル展開においても、住領域×AIは競争力の源泉になり得ると考えていますか?

回答:2028年9月期までの中期経営計画の中では、国内の住まい領域周辺の事業に集中する考えですが、当社では創業から30年間で培ってきた国内の住領域の膨大なデータがあり、AI等の最新技術を活用することで、さらに競争力を高めていくことができると考えています。

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