■グロービングの業績動向
1. 2026年5月期中間期の業績概要
2026年5月期中間期の業績は、売上高が5,651百万円(前年同期比45.9%増)、営業利益が2,103百万円(同47.3%増)、経常利益が2,116百万円(同50.6%増)、親会社株主に帰属する中間純利益が1,562百万円(同77.5%増)となった。売上高・営業利益ともに中間期ベースで過去最高額を達成した。
売上面では、企業のDX投資、AI活用、新規事業開発ニーズの拡大を背景として、コンサルティング需要が堅調に拡大しており、高い成長率を維持した。特に、JI型コンサルティングの浸透が進み、その結果、既存顧客における案件規模の拡大や取引範囲が広がり、大規模アカウントの積み上げが進展した。また、コンサルタント数は前年同期末比56人増の194人と拡大し、事業成長を支える人的リソースの拡充が着実に進んだ。
利益面では、コンサルタントの稼働率が高水準で推移したことに加え、プロジェクト単位の収益性も適正水準を確保した。また、AI事業に従事する人員を共同開発型のJI型コンサルティング案件へ積極的にアサインしたことで、従来は先行的に発生していたAI関連の研究開発投資の抑制につながった。増収効果及びコスト適正化により、営業利益率は前年同期比0.3ポイント上昇の37.2%と改善した。なお、前期まで利益を圧迫していた留保金課税の影響が解消されたことから、親会社株主に帰属する中間純利益率は同4.9ポイント上昇の27.6%と大幅に改善した。
JIコンサルティングの拡大・共同開発の本格化により両事業とも大幅成長
2. 2026年5月期中間期の事業別業績動向
(1) コンサルティング事業
コンサルティング事業は、戦略策定やDX推進などに関する新規案件の獲得及び既存案件の規模拡大などにより、売上高が5,438百万円(前年同期比40.4%増)、営業利益が2,524百万円(同34.1%増)となった。新規案件の継続的な獲得に加え、DX推進やAI活用を中心とした既存案件の拡張が順調に進捗した。単発案件にとどまらず、JI型コンサルティングの比率が高まったことで、プロジェクトの継続性と顧客粘着性が向上した。高稼働率を維持しつつ、1案件当たりの規模拡大や支援領域の広がりが進み、収益の拡大につながった。
KPIを見ると、主要4指標はいずれも良好に推移している。調整後コンサルタント人員数は、中途・新卒採用が順調に進み、2026年5月期中間期末は前年同期末比56人増の194人と拡大した。人員拡充が計画どおり進展し、増加する案件需要に対応可能な供給体制の整備が進んだ。コンサルタント平均年収については、新卒コンサルタントの稼働開始によりジュニアクラスの構成比が高まったものの、高単価案件への関与が引き続き維持されていることから、2026年5月期第2四半期(単独)においても2,000万円超と高水準を継続した。人員増と単価水準の維持が両立しており、案件の質の高さを示している。
同社が成長ドライバーと位置付けるJI売上高比率は、2025年5月期通期が44%に対し、2026年5月期第1四半期は52%、第2四半期は58%と上昇した。顧客の業務や組織内部に入り込むJI型支援が拡大しており、顧客との取引が短期から中長期へと着実な進展が見られる。AI関連売上高比率についても、顧客との共同開発案件の増加などを背景に順調に拡大し、2025年5月期の30%に対し、2026年5月期第1四半期は41%、第2四半期は48%と上昇した。JI型コンサルティング及びAI関連案件は、いずれも顧客の中核業務に継続的に関与する特性があるため、収益の安定性と再現性が高い。単なる人月拡大ではなく、JI型支援と高度な技術価値を組み合わせた高付加価値案件へのシフトが着実に進んでいる。また、顧客との共同開発や長期プロジェクトの増加は解約リスクの低下や追加案件の創出につながりやすく、短期的な市況変動の影響を受けにくい収益基盤の構築が進んでいると考えられる。
(2) AI事業
AI事業の売上高は213百万円(前年同期は2百万円)、営業利益は135百万円(前年同期は74百万円の損失)と黒字転換した。収益拡大の主な要因は、大手クライアント企業と進める共同開発案件の本格化である。「スペンドインテリジェンススイート」「グロービングくん」「AI議事コン」は、2026年5月期より単発の検証(PoC)フェーズから、現場での本稼働を見据えた実開発フェーズへと進展している。
大手自動車OEMとのAIエージェント共同開発では、「グロービングくん」「AI議事コン」を中心に、共同開発型のJI型コンサルティングを実施している。クライアント側のメンバーも参画しており、現場で培われた企画ノウハウ、同社の体系化された企画力、AIエンジニアの技術力を融合し、実プロダクトとしての具現化を進めている。単純作業の自動化ではなく、企画や会議などコア業務をAIエージェントが代替・補完する領域に踏み込んでおり、業務生産性の向上と意思決定の高度化を自律的に促す取り組みとして機能している。
また、大手電機メーカーの調達機能子会社と共同開発する「スペンドインテリジェンススイート」では、調達領域における高度な意思決定を支援している。交渉シナリオを設計・管理する調達戦略立案機能、費目別に最適化された見積作成・比較機能などを備え、それらを支える基盤として支出データの一元管理データベースを構築している。クライアントの実践的な調達交渉の知見と同社の調達コスト最適化ノウハウを、AIエンジニアリングによってプロダクト化する。調達DXやデータドリブンな購買戦略の重要性が高まるなか、引き続き専門的な知見を誰もが活用可能な「仕組み」として提供し、高い再現性の実現を目指す。
現時点では特定顧客への依存度や開発リソースの制約などの点には留意が必要であるものの、足元ではAI事業が順調に立ち上がっており、中長期的な成長ドライバーの1つとして期待される段階に入りつつある。
3. 財務状況と経営指標
2026年5月期中間期末の財務状況を見ると、資産合計は前期末比209百万円減少の8,557百万円となった。流動資産は同798百万円減少の7,033百万円であり、主に現金及び預金が減少した。固定資産は同588百万円増加の1,524百万円であり、主に有形固定資産及び敷金が増加した。負債合計は同697百万円減少の2,200百万円となった。流動負債は同792百万円減少の1,988百万円であり、未払法人税等、未払消費税等が減少した。固定負債は同95百万円増加の212百万円となった。純資産合計は同487百万円増加の6,357百万円となった。主に親会社株主に帰属する中間純利益の計上に伴い、利益剰余金が増加した。
財務安全性の観点では、自己資本比率は前期末比8.7ポイント上昇の74.3%に達しており、高水準を維持している。また、流動比率は353.8%と引き続き高い水準で、短期的な支払能力や運転資金の余裕は十分確保されている。また、中期的な成長見通しを踏まえ、2026年5月期より配当開始を決定した。安定的な利益創出力を背景とした持続的な配当成長が期待されるなか、引き続き高い収益性を維持しながら人的資本への投資と株主還元を両立できるかが、中長期的な企業価値評価のポイントになると考えられる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 吉林 拓馬)