マネーボイス メニュー

スターツ出版、自社原作17作品の映像化・IP展開で収益最大化へ 資本提携やM&Aなどの成長投資を加速

スターツ出版のビジョン

関根赴治氏:みなさま、こんにちは。本日はお忙しいところご参加いただき、誠にありがとうございます。常務取締役の関根です。どうぞよろしくお願いします。

来月の株主総会で菊地より社長のバトンを受け取る予定です。前期の決算概要および今期以降の取り組みについて私よりお話しします。

まずはスターツ出版の企業ビジョン、ミッション、そして今期のスローガンです。スターツ出版の企業ビジョンは「感動プロデュース企業へ」です。

スターツ出版のミッション

ミッションは「文化と笑顔の需要創造」です。新しい経営体制となりますが、企業ビジョンとミッションは変わりません。出版社として培ってきたアセットを活かし、さらに磨きをかけて、読者やユーザーをはじめとするステークホルダーのみなさまの感動をプロデュースしていきます。

今期のスローガン

今期のスローガンは「プロダクトアウトからマーケットインへ」とし、第44期となる2026年度のスタートを切りました。

お客さまである読者、ユーザーを取り巻く環境は、めまぐるしく変化しています。ビジネスの世界でも、昨年ヒットしたものや過去の成功例といった、前例踏襲型の勝ちパターンが通用しにくい時代となっています。私たちはこれまで以上に、読者やユーザーが求めるものを最前線で追求し、届けていく。そういうメッセージをスローガンに込めました。

スターツ出版の事業領域

スターツ出版の事業領域をご説明します。事業領域は書籍コンテンツ事業とメディアソリューション事業の2つに分かれます。両事業とも、今期のスローガンであるマーケットインをチームで実現するために、組織体制を変更しました。

書籍コンテンツ事業では、読者ターゲットを小学生から大人までの各世代、性別を掛け合わせて細分化し、そのターゲットに向けて、さまざまなレーベルを展開しています。前期からは、1人の編集者が文芸とコミックの両方を担当するハイブリッド化を進めてきましたが、今期はそこにマーケティング担当者も加わり、製販一体のチームとして取り組むこととしました。

メディアソリューション事業では、読者やユーザーの「ひとり」「友人」「パートナー」など「誰と」の軸と、「ご自愛」「自分磨き」「特別な日」など「何を」の軸を掛け合わせることで、ニーズに応える体制を整えています。編集、企画、営業、システム開発のメンバーが1つのチームとなり、「レストラン」「宿泊・観光」「ビューティヘルスケア」「街・おでかけ」の4つのマーケットに取り組んでいます。

2025年12月期 決算概要

2025年度の決算をご報告します。2025年12月期は、映像化作品やヒット作品が少なかったことに加え、5つの新レーベル創刊準備による先行投資などが影響し、減収減益となりました。

また、2026年12月期は、前期までの各種先行投資や映像化に向けた活動が実を結び、挽回できる計画となっています。

セグメント別の状況

セグメント別の状況です。書籍コンテンツ事業は下期に巻き返したものの、減収減益となりました。一方、メディアソリューション事業は若干の増収増益となっています。

貸借対照表

B/S(貸借対照表)です。自己資本比率は83.5パーセントで、借入金ゼロの強固な財務基盤を構築しています。昨年末時点で、利益剰余金は約90億円となりました。この豊富なキャッシュをもとに、次の成長に向けて資本提携やM&Aを本格的に進める所存です。

新たな経営体制での重点戦略

中期経営計画についてです。まず、スターツ出版では22年ぶりの社長交代となります。バトンを受け取る私が特に重視している2つの取り組みをお話しします。1つ目が「届ける・広げるの徹底強化」、2つ目が「成長投資の具現化」です。

届ける・広げるの徹底強化

「届ける・広げるの徹底強化」についてです。今期のスローガン「プロダクトアウトからマーケットインへ」のとおり、読者やユーザーが求めるものを追求し、商品化やサービス化するだけで終わらせず、1人でも多くの読者やユーザーにどう届け、広げるかにこだわっていきます。

出版社をはじめとするメディア企業では、自社でメディアを保有していたり、決まった流通網や流通先があると、自社メディアへの掲載や商品化がゴールになりがちです。しかし、本来重要なのは、コンテンツやサービスを届けたい相手に知ってもらい、興味を持ってもらうための工夫や努力です。

当社は多くの読者、ユーザーが情報収集元としているSNSでの発信はもちろん、情報の発信先や内容も拡大し、工夫していきます。

また、パートナー、クライアント、株主のみなさまにお届けする情報の質と量も2倍以上に増やします。

成長投資の具現化

次に「成長投資の具現化」についてです。昨年末の時点で利益剰余金は約90億円となりました。数年前から「成長投資としてM&A、資本提携を推進する」と発信してきましたが、その具体的な実行に向けて、社長直轄で資本提携やM&Aなどの戦略投資を実行する経営企画室を組成します。

私の戦略の最優先事項として取り組みます。ぜひご期待ください。

中期経営計画のローリング

中期経営計画の考え方についてお話しします。昨年2月に2025年から2027年までの中期経営計画を公表しましたが、内外の環境変化や計画の進捗状況を踏まえ、今後は原則として毎期改定を行うローリング方式で3ヶ年の中期経営計画を発表することとしました。

中期経営計画の基本方針

中期経営計画の基本方針は、環境の変化や計画の進捗を踏まえ一部変更しています。「IP展開による、収益の最大化」は変更ありません。

「コミックシフトと新レーベルの創刊ラッシュ」は「創り出したプロダクトを届ける・広げる」に変更しました。

新レーベルは前期に5レーベル、今期はコミックで2レーベルの創刊を予定しています。これに伴い、今期の発刊点数は過去最高となる見通しです。読者、ユーザーが求める商品を作るだけでなく、届ける、広げるまでを追求し、1作品および1レーベル当たりの収益性を高めていきます。

次に「生成AI活用による、生産性の向上」です。当社は日々進化し続けるAIに向き合い、生成AIだけでなくAIエージェントなど多様なAIを活用しています。すでに取り組んでいる業務の生産性向上のみならず、読者やユーザー向けサービスへの活用と、私たち自身の取り組みも進化できるよう活動を開始しています。

業績目標 〜売上・営業利益〜

2026年から2028年の3ヶ年業績目標です。今期は過去最高の売上、2027年に過去最高益を更新し、2028年に売上高100億円を突破する計画です。

重点戦略の一つである成長投資の効果については、既存事業に相乗効果をもたらすものと、新規事業として展開するものの双方が含まれると考えています。

現時点では、これらの効果が最終的にどの事業区分に帰属するかは流動的ですが、本グラフでは、成長投資の効果として創出される売上のイメージを新規事業区分として赤色で示しています。

当社原作17作品の「映像化」が決定

中期経営計画の基本方針に基づき、具体的にどのような取り組みを進めていくかをお話しします。まず、「IP展開による収益の最大化」についてです。

当社原作の17作品が2026年以降に映像化されることが決定しています。今期は人気作品『鬼の花嫁』の実写映画・アニメ化を筆頭に、6作品が映像化される予定です。作品本数は前期の3作品から2倍となります。

また、今期からライツチームの人員を増強しました。2027年はすでに9作品の映像化が決定していますが、さらに商談中の作品が決定する可能性もあり、2028年以降の映像化も含めて進めているところです。

「鬼の花嫁」積層×多チャネルの立体的展開

今期に実写映画・アニメ化が決定している『鬼の花嫁』に関して、当社が取り組んできた「積層×多チャネル」の立体的な販売展開をご紹介します。

『鬼の花嫁』は、自社が運営する投稿サイト「ノベマ!」の短編小説コンテストで入賞し、紙の文庫から電子コミック、紙コミックへと展開しながら、書店や電子書店を中心に読者の接点であるチャネルを拡大してきました。

「コミックシーモア」の「みんなが選ぶ電子コミック大賞」では、2023年にその年のNo.1である「電子コミック大賞」を受賞したほか、年間ランキングの「少女コミック部門」で2年連続1位を獲得したことで、さらに注目度があがり、映像化につながりました。

昨年、アニメ・実写映画化が決定したニュースを発信するタイミングで、書店に文庫、コミック、電子書店では電子コミックを展開しました。あわせて新刊を投入することで、書店では映像化コーナーや「映像化決定」の帯を巻いた商品を陳列した『鬼の花嫁』シリーズ特設コーナーの設置、電子書店でも大々的な告知をいただくなど、立体的な販売促進を実現しました。

映画の公開開始前後やアニメの放送時にはさらに注目度が高まるため、この展開を拡大できるよう準備を進めています。また、アニメ化によって海外からの注目も集まることから、海外翻訳出版も進行中です。

パートナーと一緒に、立体的な取り組みの継続実施

このスキームを応用した最新の当社の取り組み事例です。スライドで、昨年秋にドラマが放送された『修学旅行で仲良くないグループに入りました』をご紹介します。レーベル創刊からわずか半年でドラマ化が決定し、映像化のパートナーやドラマに出演いただいたキャストのご協力を得て、この作品だけでなくレーベル全体にも好影響をもたらした事例です。

小説レーベルの創刊もスターツ出版ならではのプロセスで実現しました。情熱を持った編集担当者が、マーケティング部門やライツ担当者を巻き込み、チーム一丸となって企画から創刊まで取り組み、1年弱で青春BLレーベルを立ち上げました。

また、文庫化前の制作段階からライツチームが映像化提案を進めてきたことで、創刊からわずか半年でドラマ化が決定し、昨年10月に放送がスタートしました。ドラマの放送は関西ローカルの深夜枠ながら、出演キャストの積極的なSNSでの情報発信なども話題を呼び、「TVer」のドラマランキングで2位を獲得するなど、BLドラマとしては異例のヒットとなりました。

このタイミングで、当社は文庫の第2巻を市場に投入しました。第1巻も重版となり、累計10万6,000部を突破しました。また、1月に開始した電子コミック版の配信では3日間で1万4,000ダウンロードを記録するなど、パートナーとともに立体的な取り組みを短期間で実現しました。

ドラマのヒットを受けて当社の青春BLレーベルに注目が集まり、映像化に向けた商談が増加、加速しています。今後の展開にもぜひご期待ください。

事業横断でプロダクトを生み、一緒に広げる

スターツ出版の2つの事業である書籍コンテンツ事業とメディアソリューション事業を融合させた、当社ならではのユニークな取り組みも生まれています。

昨年10月に創刊した『深夜3時のくろねこ喫茶』をご紹介します。こちらは、部署を横断してメンバーが集まり事業提案を行う「スターツ出版未来プロジェクト」が起点となっています。「オズモール」の編集経験を持つ書籍担当とオズモール編集部がコラボレーションし、「オズモール」での連載、書籍の発刊、さらには立体的なプロモーションを実現した実例です。

連載作品の書籍化だけでなく、2月に実施している猫好きの読者・ユーザーに向けたコラボレーションキャンペーンでは、作品を読んだ方が作品に登場するスイーツや食事を楽しむことを目的に、「オズモール」が得意とする「おひとりさま」アフタヌーンティーを体験したり、逆に「オズモール」でアフタヌーンティーの予約を計画している方に、「OZcomics」の『深夜3時のくろねこ喫茶』を知ってもらうきっかけとなっています。

このように、社内外のパートナーと協力体制を構築し、「創り出したプロダクトを届ける・広げる」活動を積極的に推進していきます。

アクセラレーショングループの本格稼働

「AI活用による、読者・ユーザー向けサービス開発と生産性の向上」についてです。この取り組みは、これまで請負型の面が強かったシステム開発グループを、加速、促進、高速化を意味するアクセラレーショングループに改編し、メンバーの意識を変えるところからスタートしています。

実例として、出版社やメディアとしてミスが許されない業界ごとのルールに基づき、表現方法のチェックなどに生成AIを活用して業務改善を進めています。また、AIに対して難しい印象を持つメンバーに対しては、AIを活用してビジュアル重視で取り組み内容を伝えることで、有用性を浸透させています。

まだ道半ばではありますが、読者・ユーザー向けのサービスとしても、「LINE」上でAIによる「オズモール」のレストラン・お店探し機能を実装しました。今期は、AIを活用した読者、ユーザーに役立つサービスの実装を積極的に推進していきます。

配当方針 及び 配当予想

株主還元についてお話しします。2025年2月に配当方針と株主優待を変更しました。配当方針や年間予定配当、株主優待はスライドのとおりです。

女性・若手の多い社員構成

最後に企業風土についてご紹介します。当社は、穏やかでのびのびとした社員の成長が持続できる企業風土を目指しています。全社員の73パーセントを女性が占めており、管理職も約半数が女性です。産休、育休から復職した方も働きやすく、活躍できる職場を意識しています。

社員を育成する各種施策

社員の育成やコミュニケーションの活性化を目的とした取り組みも充実しています。

所属部署以外のメンバーや業務を理解し、交流するきっかけとなる「私たちの仕事セミナー」や「スターツ出版未来プロジェクト」は、当社が長年培ってきた企業風土があるからこそ実現可能な取り組みです。また、先ほどご紹介した「OZcomics」の『深夜3時のくろねこ喫茶』のような、部署横断の取り組みによる成功事例も生まれています。

そのような企業風土を支えているのが、社員の活発なコミュニケーションを育む制度です。全社員で実施している親睦旅行イベント「moaジャム」は、コロナ禍で一時休止していましたが、昨年20回目を迎えました。

少しおせっかいと感じられるかもしれませんが、共通点のあるメンバーを部署横断でグルーピングし、「オズモール」掲載店でランチをともにする取り組み「シャッフルランチ」も継続的に実施しています。

前期こそ業績が振るわなかったものの、社員たちが醸成するこの企業風土があれば、新たな経営体制のもと、新しいチャレンジができると確信しています。スターツ出版の企業ビジョン「感動プロデュース企業へ」を最高の資産である社員とともに実現していきます。今後のスターツ出版にもぜひご期待ください。

シェアランキング

編集部のオススメ記事

この記事が気に入ったら
いいね!しよう
MONEY VOICEの最新情報をお届けします。