エグゼクティブサマリー
杉本光生氏(以下、杉本):株式会社ウィルズ代表取締役社長CEOの杉本です。よろしくお願いします。それでは、2025年12月期の決算説明を開始します。
まず、サマリーです。連結売上高および営業利益は2桁成長を維持し、10期連続の増収を達成し、過去最高益を更新しました。その内容については、大きく分けて3つのポイントがあると考えています。
1点目は、主軸事業である「プレミアム優待倶楽部」の事業です。既存顧客が株主向けに発行するポイントの総額が増加しています。ポイントを増やすことで株主数や購入される株数が増加するという相関があるため、流動性を向上させたい、あるいは時価総額を刺激したいという目的で、既存顧客の株主向け発行ポイント数が伸びていると考えられます。
2点目は、解約率についてです。例年は比較的高い水準でしたが、昨年は解約率を最低限の水準に抑えることができました。
3点目に、「プレミアム優待倶楽部」を新規導入する企業の規模が平均して拡大しています。当初は時価総額が100億円や200億円といった、いわゆる小型株の企業が多かったのですが、最近ではいわゆる大企業と呼ばれる規模の企業からの問い合わせが非常に増えてきています。
以上の3点が大きな要因となり、この結果を生み出していると考えています。今年以降、この傾向はさらに業績に貢献していくのではないかと見ています。
次に、人材採用やベースアップといった積極的な人材投資についてです。会社の売上と利益が成長しているため、当然ながら人材への投資も積極化しています。新たな人材を採用すること、そして1人当たりの高付加価値化を図る目的でベースアップを実施しています。
当社の事業はどちらかといえばコンサルティング営業的な色合いが強いため、1人当たりの高付加価値化を促進せざるを得ない状況となっています。
また、現在進行している2026年12月期の業績予想では、さらなる力強い成長を見込んでいます。今期から子会社のネットマイル社を完全吸収し、単体決算に移行します。これにより、一定程度の管理費の合理化が進む見込みです。
さらに、先ほどお伝えしたとおり「プレミアム優待倶楽部」はマーケットからの引き合いが増加しています。結果として、売上高は67億5,000万円、営業利益は15億円を見込んでいます。
ウィルズを取り巻く環境の変化
当社を取り巻く環境の変化についてです。1つ目に、特に大きな変化として、新上場維持基準や新TOPIXなどの東証改革を背景に、上場企業のIR活動がこれからもさらに活発化していくと見ています。
東証プライム市場は流通時価総額100億円以上、東証グロース市場は2030年までに時価総額100億円以上という基準が設けられているため、各社は流動性や時価総額、株価の向上を目指す必要があります。
ファンダメンタルズによる株価上昇を基本としながらも、株主還元の一環として特に株主優待を強化することで、時価総額と流動性を高めようとする需要が増加していくと考えられます。
2つ目に、新NISAや新政権誕生による株高を背景に、個人株主数が非常に増加し、過去最多の8,359万人に達しました。11年連続で増加しており、当社にとって追い風となっています。
3つ目に、個人投資家の存在感の高まりを受けて、株主優待制度を導入している企業数が1,659社と過去最多を記録しました。
新型コロナウイルスの感染拡大時は株主優待を廃止する企業が増え、減少傾向となっていましたが、この数年で再び株主優待を導入する企業が増加しました。昨年度から133社増加し、現在は1,659社に達しています。
こちらもマーケットの拡大という意味では当社にとって追い風となり、今期以降は昨年以上にその恩恵を受けられると考えています。
業績の報告については、専務取締役CFOの蓮本がご説明します。
連結売上高、及び連結営業利益の推移
蓮本泰之氏:専務取締役CFOの蓮本です。業績の概況についてご説明します。まず、連結売上高および連結営業利益の推移です。スライド左側に示している連結売上高の推移では、2025年は60億円を突破し、5年平均売上高成長率は15.69パーセントと、例年の成長カーブを維持しています。
スライド右側に示している連結営業利益の推移においても、2025年は13億200万円となり、9期連続の増益を達成しています。
連結損益計算書、及びセグメント別売上高
損益計算書およびセグメント別売上高についてご説明します。スライド左側に損益計算書を掲載しています。売上高は60億5,100万円となり、前期比119.3パーセント、計画比108.4パーセントと、前年および計画を上回って推移しています。営業利益以下の各段階利益も増益となり、特に営業利益は前期比125.8パーセント、計画比112.8パーセントを記録しました。
スライド右側にセグメント別売上を掲載しています。連結売上高の内訳は、株主管理プラットフォーム事業と広告事業の2つに分かれています。
株主管理プラットフォーム事業は「プレミアム優待倶楽部」と「IR-navi」、サステナビリティソリューションを主軸としており、その中でもストック型の「プレミアム優待倶楽部」が前期比126.7パーセントと成長を牽引しました。
一方、広告事業は合併前のネットマイル事業のことですが、こちらは前期比94.2パーセントと減少しています。
四半期別の売上高推移(個別)
四半期別の売上高推移です。例年と同様のトレンドが継続しています。「プレミアム優待倶楽部」の事業は決算期後に売上が上がる構造となっています。3月期決算の企業が多いため、第1四半期が最も低く、第2四半期、第3四半期で伸び、第4四半期と続きますので、下期に偏重する傾向があります。今期も同様の傾向となる見込みです。
個別売上高の増減分析
個別売上高の増減分析です。例年と同様に「プレミアム優待倶楽部」の成長が牽引しています。2025年は「プレミアム優待倶楽部」が前期比で9億3,500万円増となり、他の事業も微増となっています。
個別サービス毎の売上高、及び顧客数(案件数)の推移
個別サービスごとの売上高および顧客数の推移です。スライド左側に「プレミアム優待倶楽部」、中央に「IR-navi」、右側にサステナビリティソリューションを示しています。
「プレミアム優待倶楽部」は14社純増し、顧客単価も上昇したことで前期比126.7パーセントと、全体の成長を牽引しています。「IR-navi」は現在フルリニューアルを控えており、例年どおりのペースとなっています。顧客数は375社です。
サステナビリティソリューションはプロジェクト数が増加しており、成長傾向を継続しています。今期も同様の傾向です。
連結貸借対照表
連結貸借対照表です。「プレミアム優待倶楽部」の拡大に伴い、総資産は前期比5億5,800万円増の48億2,200万円となりました。株主資本も前期比4億4,800万円増の25億7,800万円となっています。
連結キャッシュフロー計算書
キャッシュフロー計算書です。「プレミアム優待倶楽部」の成長に伴い、営業キャッシュフローは前期比129.1パーセント増の13億8,300万円となりました。投資キャッシュフローは4億800万円の支出で、内訳のほとんどがシステム開発です。無形固定資産の取得による支出は3億9,900万円です。
一方、営業キャッシュフローが拡大したことにより投資キャッシュフローを吸収し、フリーキャッシュフローは例年どおり黒字を維持しています。財務キャッシュフローについては、昨年の自己株式の取得に伴いマイナス7億2,800万円となっています。
FY2026 通期業績見通し
杉本:2026年12月期の業績見通しについてご説明します。先ほどお伝えしたとおり、東証の再編による需要が小型企業からプライム市場やTOPIXを意識した大企業にまで広がっている傾向が増していると考えています。そのため、あらゆる規模の企業からの問い合わせが増えています。
また、少し趣旨が異なりますが、いわゆる大企業や超大企業、時価総額が数兆円を超える企業群からの株主管理プラットフォーム導入に関する問い合わせが非常に増えています。
これは流動性や株価というよりも、個人株主とのデジタルエンゲージメント、すなわち個人と企業がインターネット上で双方向のコミュニケーションをより充実させていこうという動きが活発化していることが背景にあります。
さらに、いわゆる株式持ち合いの解消が進んでいるため、特に超大企業では個人をその受け皿と位置づける企業が非常に多いです。そのような動きもある中で、我々としては事業ベースで2桁増益を今期も実現していくことを考えています。
また、従来の「プレミアム優待倶楽部」に加え、「プレミアム優待倶楽部」のセカンドラインとして「デジタル優待倶楽部」をリリースしました。こちらは3月からスタートする予定です。後ほど詳細をご説明しますが、この2本柱で優待事業を展開していきます。
昨年からスタートした「ふるさと納税サービス」では、株主優待ポイントで欲しい商品がない場合、「WILLsCoin」と交換することで納税できるスキームを導入しています。納税が可能な提携自治体数をさらに拡大し、強化していきたいと考えています。
その中で、コスト面ではシステム開発に伴うソフトウェア減価償却費の増加を想定しています。また、ベースアップを含め、人材への投資をさらに強化していく考えです。
さらに今期より、当社の知名度や付加価値の向上を目的として、広告宣伝費にも力を入れていく計画です。これらのコスト増を吸収しながら、2桁以上の成長を実現できると考えています。
配当予想、及び配当の基本方針
配当予想および配当の基本方針についてです。当社は「プレミアム優待倶楽部」でポイントによる株主還元を継続して実施するとともに、配当による還元にも注力しています。
2025年12月期の配当性向は32.61パーセントとなりました。2026年12月期は、期末配当9円、中間配当9円、配当性向38.3パーセントを計画しています。事業を成長させつつ、この配当性向を実現し、できる限り株主のみなさまへの還元を増やしていきたいと考えています。
IR-navi:常に進化するIR-naviへ(再掲)
事業トピックについていくつかご紹介します。「IR-navi」は、フルリニューアルによるフェーズ1を昨年にリリースしました。続いて現在フルリニューアルによるフェーズ2を開発中で、年内に完成する見込みです。これにより、「IR-navi」は飛躍的に進歩すると考えています。
特にフェーズ2では英語版が追加され、バイサイドである海外機関投資家にアカウントを発行する部分の開発が進んでいます。
従来の「IR-navi」は、国内企業から投資家に向けて一方通行で情報を発信する色合いが強いツールでした。しかし、フェーズ2以降は、国内企業が海外の投資家と双方向でさまざまなやり取りができるコミュニケーションツールへと進化していきます。このような方向性を築いていきたいと考えています。
新型IR-navi(英語版・面談履歴の分析機能)
現在開発中の英語版「IR-navi」について、一部の機能をご紹介します。例えば、投資スタイルごとの面談件数の推移や地域ごとの面談件数の推移など、海外投資家との面談履歴を分析する機能を備えており、発行体側がこれらを管理できるようになります。
新型IR-navi(英語版・投資家との面談調整機能ほか)
この機能は、特に外国人持株比率の高い大企業を想定しています。発行体側は、面談成立の可否を管理することが可能です。海外投資家からの面談応募状況が「IR-navi」のトップページに表示されるため、上場企業では海外投資家とのミーティング管理が非常にスムーズに行えると考えています。
成長企業向け『デジタル優待倶楽部』のリリース(2026年3月〜)
成長企業向け「デジタル優待倶楽部」のリリースについてです。2026年3月に開始予定で、時価総額が100億円から200億円程度の比較的小規模な企業向けです。
現在注目を集めている「Amazonギフトカード」や「QUOカード」、あるいは各種ポイントと交換することが可能です。優待ポイント1ポイントにつき1円相当の等価で交換できます。
一方、時価総額が大きい企業の場合、株主の年齢層は比較的高めで、保有ポイントも5万ポイント、10万ポイントと大きくなる傾向があります。このような方々においては、商品交換やふるさと納税に利用する傾向も強いです。
この点については、提案先企業の株主数、時価総額、ファンダメンタルズ、株主構成といった現状を当社で分析し、どのような形態の優待が適しているかをアドバイスしながら、カスタマイズされた優待制度の提供を目指したいと考えています。
統合報告書 AI自動生成サービス『IR-port』の提供開始
新しい事業として、統合報告書AI自動生成サービス「IR-port」の提供を開始する予定です。統合報告書の案件においては、当社のお客さまの大半は時価総額が数兆円規模の大企業です。これらの企業向けに、数千万円のコストをかけて手作業でカスタマイズされた統合報告書を作成しています。
一方で、時価総額が数百億円から数千億円規模の中小企業でも、統合報告書を作成したいというニーズが非常に増えています。特に海外の機関投資家からの要請が強いことが背景にあります。
中小企業では統合報告書の予算が800万円から1,000万円程度に限られており、当社の従来の制作工程では採算が合いません。
当社の新しいサービスである「IR-port」は、AIで統合報告書をある程度作成することが可能です。これにより、統合報告書を供給できる企業群の幅を格段に広げていきたいと考えています。
また、統合報告書のほかにアウトプットできるサービスとして、スポンサードリサーチが挙げられます。
みなさまもご存じのとおり、アナリストレポートの減少に伴い、日本企業の情報が少ないことが原因で海外に知られていないといった情報格差があります。当社はこのような課題をIR会社として解消していきます。
「IR-port」は簡易な企業調査レポートやスポンサードリサーチを生成可能で、日本語版と英語版の両方を提供することができます。
さらに、有価証券報告書のサステナビリティ情報の記載も支援します。今後、有価証券報告書に非財務情報を掲載する動きが進むと予想されますが、「IR-port」はその部分を補完・強化する機能を備えています。
IR-portからの具体的なアウトプット
スライドに「IR-port」で作られた具体的な統合報告書のイメージを掲載しています。こちらは当社の社名を使っていますが、このようなものを比較的安価に生成し、提供することが可能です。
共創プラットフォーム構想(IR-navi/プレミアム優待倶楽部とのシナジー)
共創プラットフォーム構想についてです。当社が考える情報提供のあり方として、発行体と投資家をどのように結びつけるかという点をスライド右側に2つ記載しています。
1つ目は、企業価値向上のためには流動性を高めることが重要であり、確かな情報をすべてのステークホルダーにしっかりと伝えることが必要です。2つ目は、成長ストーリー、いわゆるIRストーリーをコンテンツに落とし込み、制作することが必要です。
いずれか一方が欠けてもIR活動のパフォーマンスは十分に発揮されません。優れたストーリーを作成し、それを適切な投資家に伝えるという2つの両輪が必要と考えています。
この考えを実現するための共創プラットフォームのコンセプトを、スライド左側に記載しています。個人投資家に対しては、「プレミアム優待倶楽部」を通じて個人と発行体を結ぶエンゲージメント強化に取り組みます。
国内機関投資家および海外機関投資家に対しては、「IR-navi」を通じて双方向のコミュニケーションを実現できるネットワークを構築していきます。
さらに、そのネットワーク上に「IR-port」で作成したIRコンテンツを英語版と日本語版で掲載し、国内機関投資家と海外機関投資家間の情報格差を埋めていきます。加えて、個人投資家と機関投資家の間に存在する情報格差についても、当社の力で埋めていけるようなプラットフォームを実現していきたいと考えています。
『IR-port』出版マーケティング施策
少し余談になりますが、現在「IR-port」の開発を協業しているAIベンダーのパンハウス社との共著で「さよなら統合報告書」という書籍を出版する予定です。こちらは、紙からデジタルへ徐々に移行していくだろうというコンセプトを含んだ内容だと聞いています。
当社サービスを通じた支援実績(一例)
株主管理プラットフォーム事業において、当社のサービスを導入している企業群をスライドで一部ご紹介しています。日清食品、味の素、日本航空、出光興産、三菱重工業などの超大企業での導入が非常に増加しています。当社はIR会社としてデジタルエンゲージメント領域を支援していきたいと考えています。
以上で、当社の決算説明を終了します。