目次
杉岡伸也氏(以下、杉岡):南海化学株式会社代表取締役社長執行役員の杉岡です。本日は個人投資家向けWeb説明会に多数ご参加いただき、誠にありがとうございます。
本日の内容はスライドに記載の4点です。
南海化学とは?
南海化学株式会社の会社概要についてご説明します。
当社は日露戦争直後の1906年に創立され、本年で創立120周年を迎える化学メーカーです。日本で100年以上存続している会社の割合をご存じでしょうか? 全企業数のわずか3パーセント弱と言われています。そして、単なる幸運や偶然で120年存続することはできません。そこにはしっかりと理由があります。
大きな理由の1つは、時代を経て技術革新が進む中であっても、必ず必要となる「エッセンシャル商品」を製造していることです。
また、全国や海外で販売されている製品もある一方で、多くは近隣産業に安定供給してきた地場立脚企業であることです。
和歌山県は、47都道府県で人口が40番目と少ないものの、化学工業の出荷額は4,500億円で全国21番目と高い位置にあります。同分野の多くの企業に当社製品をご利用いただいています。
化学工業以外にも、鉄鋼、金属、繊維、食品といった幅広い販売ポートフォリオを持っています。上下水道など、近隣の社会公共インフラ向けの安定需要を支えていることも当社の強みです。
さらに、120年という長い歴史の中で培った独自の技術、経験、信頼・信用、権益を活かし、既存商品に加えて、それらを合成した新たな付加価値製品を生み出したり、廃棄物処理に応用したりすることで、環境リサイクル事業といった新たな価値創出を実現してきました。
戦争やいくつかの経済危機も乗り越え、2023年4月には東京証券取引所スタンダード市場への上場を果たしています。
変化が激しい時代において、コンパクトなサイズの利点を活かし、変化を迅速に捉えてビジネスチャンスへと変換しながら、これからの100年も成長し続ける企業を目指します。
南海化学(創業120年)とは?
先ほどご説明した当社の強みをよりご理解いただくために、製造フローを用いて当社の事業についてご説明します。
当社を一言で表すならば、「電解×硫酸×環境」と言えるでしょう。まず、電解は電気分解の略です。学校の理科の授業で、水を電気分解して酸素や水素を取り出し、それを燃やす実験をした経験のある方もいらっしゃるかもしれません。
当社の電解の原理もこれと同様です。当社では水に塩を加えた塩水を電気分解し、一般名で苛性ソーダと呼ばれる水酸化ナトリウム、塩素、水素を取り出しています。それらをそのまま製品として、あるいは合成して販売しています。
例えば、苛性ソーダは石けんの原料やさまざまな化学品の合成、排水処理用の中和剤として欠かせない商品です。
塩素は当社において塩酸、次亜塩素酸ソーダ、高度さらし粉、農薬の原料として利用しています。
塩酸は化学品、医薬品、調味料の合成、鉄鋼製品の表面処理、中和剤としても使用されるものです。
次亜塩素酸ソーダは台所用の殺菌・消毒剤として、高度さらし粉はプールや温泉設備などの水処理殺菌剤として、さまざまな産業や社会公共インフラに供給しています。
硫酸については、当社では他社と異なり、使用済みの廃硫酸を原料として硫酸を作り、再利用する取り組みを行っています。リサイクルした硫酸はそのまま販売するほか、原料として新たな合成品の製造に利用し、多くの産業や社会公共インフラに供給しています。
半導体の国産化などに伴い廃硫酸処理のニーズが高まってくることから、当社ではこの環境リサイクル領域を新たな成長分野として位置づけています。
事業内容
セグメント別の事業内容について説明します。
セグメントは大きく2つあります。1つは売上の約8割を占める化学品事業、もう1つは残りの2割にあたる各種塩事業です。
化学品事業は4つのサブセグメントに分かれています。最も大きな割合を占める基礎化学品には、先ほどご説明した電解や硫酸、その合成品が該当します。
機能化学品では、グルコサミンや酢酸ナトリウムといった商品を取り扱っています。これらは電解製品の一部を活用し、付加価値を加えたものです。グルコサミンは健康食品で広く知られていますが、酢酸ナトリウムは、例えばお弁当などの食品日持ち向上剤として使用され、食品ロスの削減にも貢献しています。
アグリではさらし粉の副産物を活用し、クロルピクリン剤という塩素系農薬の製造販売を行っています。作物の連作障害を引き起こす土壌病菌の燻蒸や殺菌に欠かせない農薬の1つです。
環境リサイクルでは、他社の工場から排出される廃硫酸を原料として硫酸を製造し、上下水道の水処理剤の原料としても活用することで、競争力を強化しています。
2023年10月からは廃硫酸リサイクルに加えて、セメントの原料であるクリンカーから塩素分を除去し、再生・リサイクルされたセメント原料を提供する脱塩事業を土佐工場で開始しました。この取り組みにより、同事業の厚みを増しています。
もう1つのセグメントである各種塩事業では、天日塩を電解の原料として使用するだけでなく、天日塩そのものを加工しています。これらは降雪時の凍結防止剤、梅干し・醤油用などの食品向け、さらに土壌改良材、イオン交換樹脂の再生材、ボイラー用、飼料、皮革など、幅広い分野で活用されています。
塩の製法は、国内では海水をイオン交換膜法で濃縮し、エネルギーを用いて煮詰める方式が主流です。しかし当社では、太陽という自然の力で製造される天日塩を活用することで、CO2削減への貢献を果たしています。
戦略の差別化
当社の戦略についてご説明します。当社の事業は、他社とは異なる独自の戦略と強みを持っています。その1つ目は先ほどもご説明した地場立脚に関連するものです。
スライドの図は、主力製品である苛性ソーダ市場を例に当社の立ち位置を表したものです。縦軸はお客さまとの距離、横軸は製品ロットサイズを示しています。当社はお客さまのニーズに基づき、近距離を中心に販売を展開していることから、図の右上に位置します。
一方、左下の対角線上に位置するのは、例えばAGC株式会社、東ソー株式会社、株式会社トクヤマといった、いわゆる100万トン規模の大手電解メーカーです。
その規模を背景に全国展開を進める大手競合企業に対し、当社は地場立脚に徹する独自の販売戦略を採用していることがご理解いただけると思います。
苛性ソーダを含む電解製品は、商品の販売価格に占める物流費の割合が非常に大きいことから、地場立脚に徹する戦略によって大手企業との競争を可能にしています。
和歌山工場、青岸工場~顧客と隣接した地場立脚の強み
地場立脚について、和歌山市近郊の地図をご覧いただきながらご説明します。
スライドの右下には、当社のマザー工場である電解工場の位置を示しています。その周辺にはみなさまもご存じの大手企業を含め、当社のお客さまの拠点が複数あります。
例えば、当社から少し左に進むと花王株式会社の工場があります。ここは花王株式会社の中でも最大規模の主力工場であり、当社の重要なお客さまです。
さらにその左上には日本製鉄株式会社やガス業界最大手のエア・ウォーター株式会社もあり、いずれも当社のお客さまです。
左側中央にある青岸工場は、和歌山県における当社の2つ目の工場です。住宅がなく海に囲まれた土地で、工場立地にも適しています。新たな事業展開をしやすい環境にあり、このような地の利も当社のこれまでの発展に寄与してきたと考えています。
土佐工場(クロルピクリン/高度さらし粉)においては全国展開
2つ目の差別化戦略です。数量は多くないものの、必要不可欠とされるニッチな商品で存在感を示しているのも当社の強みの1つです。本日はその中でも比較的シェアの高いものをご紹介します。
1つは、塩素系農薬のクロルピクリンです。日本国内で製造しているのは当社ともう1社の計2社のみです。正確には輸入品を扱う企業も1社ありますが、農作物の安定生産において不可欠な農薬であり、食料の安全保障を守る役割も果たしています。
もう1つは高度さらし粉です。プールの水処理殺菌剤として使用されており、以前は日本で3社が製造していましたが、昨年最大手が製造を中止し、現在は2社のみとなっています。そのうち医薬グレードを製造しているのは当社のみです。
国内の生産シェアは約60パーセントに達しており、国内だけでなく海外のさまざまな地域にも輸出しています。
新型コロナウイルスの影響を受けて、社会では殺菌の重要性があらためて認識されました。当社は本商品の製造販売を通じて、人々の健康、安心・安全に貢献しています。
当社のようなニッチで多品種小規模な製品を扱う企業とは異なり、大手電解メーカーの多くは塩素から塩化ビニルを中心に製造し、グローバルに販売しています。
しかし、中国で同製品の大規模増設が進み、市場動向に影響を与えています。また、以前は石炭火力による自家発電も競争力の1つでしたが、CO2排出問題により、脱石炭への環境変化が進んでいます。つまり、大規模・グローバルという従来のセオリーが変わりつつあるのです。
その中で、当社の小規模で地場に根ざした事業展開や、ニッチかつ幅広いポートフォリオに生存の可能性があると考えています。
業績推移
2021年3月期からの業績推移です。
スライド左側に示した売上高は、コロナ禍など厳しい経済環境下でも着実に増収を維持しています。中央に示した経常利益額と経常利益率も、売上高の伸びとともに着実に改善しています。
さらに2023年4月の東京証券取引所スタンダード市場への上場により、株主資本比率に代表される財務体質も大幅に改善しています。
当社グループ事業拠点
当社グループの事業拠点です。国内では本社が大阪、支店が東京にあり、製造拠点として和歌山に2工場、高知に1工場があります。
昨年4月には、別会社であったエヌシー環境株式会社を青岸工場として吸収・一体化し、現在は京都にもその支店がありますが、本年4月に大阪本社へ統合する予定です。
海外では中国にも2つの製造販売拠点を有しており、中国の巨大市場や競争力を活用できることも当社の強みの1つとなっています。
それ以外に、各種塩事業を営む株式会社エヌエムソルトが和歌山にあり、当社が85.5パーセント、三井物産株式会社が14.5パーセントを出資する合弁会社です。
また、和歌山には持分法適用会社であるサンワ南海リサイクル株式会社とATNグラファイト・テクノロジー株式会社もあります。
サンワ南海リサイクル株式会社は、当社と三和油化工業株式会社の合弁会社で、当社が20パーセントを出資しています。同社は産業廃棄物の中間処理とリサイクル事業を行っており、当社の環境リサイクル事業と多くの協業をしています。
ATNグラファイト・テクノロジー株式会社は、当社とエア・ウォーター株式会社、東洋炭素株式会社の3社による合弁会社で、当社は15パーセントを出資しています。同社では、熱膨張性黒鉛を製造しており、黒鉛の膨張性を応用して自動車部品や電子機器に使用されています。
製造工程では硫酸を使用するため廃硫酸が発生することから、当社の廃硫酸リサイクルとの相乗効果を生んでいます。
また、両社とも青岸工場の敷地の一部を当社が貸与し、隣接する地の利を活かして相互のシナジーを強化するとともに、単体での活用にとどまらず、両社との新たな価値創出を目指しています。
南海化学のテクノプラットフォーム(TPF)
成長戦略についてご説明します。
成長戦略は、当社のコア技術を基盤としています。スライドにも示している食塩電解技術、硫黄や塩素を含む廃棄物処理技術の2つです。
この基盤技術を発展させ、分離精製、錠剤化、有害物質除去、溶けているものから結晶を取り出す晶析、熱を加えて化学反応を起こす焙焼など、多様な技術を駆使することで、多種化学品の製造や環境リサイクルサービスの提供を可能にしています。
これらの技術が、次にご説明する短中期の環境リサイクル事業における領域拡大の実現につながっていきます。
また、環境リサイクル事業以外においても既存事業の競争力強化を図っています。具体的には、塩素系のポリ塩化アルミニウムや硫黄系の硫酸バンドなどを扱う水処理凝集剤事業の基盤強化のほか、塩素誘導体である高度さらし粉と塩素系農薬クロルピクリンを併産する当社の強みを活用し、生産最適化にもつなげています。
長期的には、焙焼・燃焼技術の進化、分離精製の高度化、微量分析技術の確立、独自の塩素ガス利用技術の獲得といった研究開発に注力します。
これにより、塩素・水素・硫黄の3元素を組み合わせた新たな誘導品の開発、再生硫酸の高グレード化、全固体電池に含まれる硫化物系電解質の処理、ならびにリンなどの新たな元素のリサイクルへの拡大を目指しています。
成長戦略:環境リサイクル事業領域拡大~成長への布石造り
以上を踏まえ、具体的な成長戦略についてご説明します。
短中期的目標として、現在は環境リサイクル事業を質的・量的に拡大する「南海ビッグバンプロジェクト」を推進しています。
プロジェクトの検討過程ではさまざまな要因からスピードの順位を入れ替え、まず排水処理設備の高度化を先行させました。すでに同設備の見積もりを入手済みであり、今期中の残りわずかな期間内に意思決定を行う予定です。
これにより不純物除去能力が向上し、これまで対応が難しかった重金属を多く含む廃棄物の処理ニーズを取り込むことが可能になります。
次に、廃硫酸処理から得られる硫酸を原料とした水処理凝集剤の設備更新を進める予定です。こちらは2026年度上期中の意思決定を予定しています。
この設備更新により、リサイクル硫酸に関連する受け皿の安定化を図るとともに、生産効率の向上や付加価値化により収益性の向上を目指します。
廃硫黄のリサイクルは、従来の廃硫酸に加えて廃硫黄の処理も可能となる取り組みです。この取り組みには環境アセスメントの実施が必要であり、時間を要することが予想されます。
また、新たな技術検証の積み重ねも必要であることから、2027年度から2028年度中の意思決定を目指します。同時に廃硫酸の処理能力の増強についても検討していきます。
さらに、土佐工場の脱塩事業に関しては拡販を実施済みですが、当初想定していた需要の増加は現時点では確認できておらず、増設を意思決定するには時間を要する見込みです。新たな需要開拓についても引き続き検討を進めていきます。
長期的なテーマについては、いまだ具体的なお話はできませんが、着実に前進させています。
中期経営計画
ここからは、2024年度からの3年間の中期経営計画についてご説明します。
2025年度は、昨年度から始まった中期経営計画の2年目にあたります。引き続き、重点施策である「①収益基盤の強化」「②環境リサイクル事業領域拡大」「③サステナブル経営推進」を着実に推進し、中期経営計画の最終年度である2026年度の目的達成に向けて取り組んでいます。
本年度は、その成長に向けた投資準備などの「仕込みの年」と位置づけていますが、先ほどご説明のとおり、いくつかの成長戦略を具現化しつつあります。
中計目標達成に向けて(分かり易く会社課題として全社員と共有)
本年度の初めには、中期経営計画の目標達成に向けて、南海グループの全社主要課題をわかりやすい言葉に置き換え、全社員と目線をあらためて共有しました。
具体的には、無駄を排除し効率化を図る「筋肉質化」、事業の収益向上を意識した「採算改善」、成長のドライブとなる「成長戦略」、それを実現する人材の育成を目的とした「人事戦略」の強化です。これらを通じ、中期経営計画の達成を目指します。
中計重点施策(実施済)
掲げた4つの会社課題は、中期経営計画の重点施策に直結させています。
具体的には、筋肉質化や採算改善は重点施策の収益基盤の強化に、成長戦略は環境リサイクル事業領域の拡大に、人事戦略はサステナブルな経営推進につながります。
環境リサイクル事業領域の拡大については、先ほど成長戦略にてすでにご説明しましたので、ここでは収益基盤の強化、サステナブルな経営推進の取り組みについて補足します。
収益基盤の強化では、機械化や電子化など効率化につながる設備投資を実行し、無駄を排除する筋肉質化を目指しています。
同時にコスト削減にも取り組んでいます。上昇する原料価格、物流費、一般管理費などについては、吸収しきれない分を販売価格への転嫁に積極的に取り組み、採算改善に努めています。その具体例をいくつかスライドに記載しています。
中でも、昨年4月1日には、廃硫酸リサイクルを担う子会社であるエヌシー環境株式会社を吸収合併しました。この一体化により、無駄の排除や効率化を進めるとともに、意思決定やアクションの迅速化、リソースの融合、アセットの共有化を図っています。
これにより収益基盤の強化を実現するとともに、今後の成長ドライバーとして位置づける環境リサイクル事業の持続的かつ迅速な成長拡大を目指しています。同様の目的から、京都支店を大阪本社に統合することを決定しました。
人事戦略についても、人事課題を迅速に解決することを目的として、常勤の執行役員以上で構成される人材委員会を組成し、議論を重ね、昨年度から適宜判断と実行を進めています。
さらにサステナブル経営に向け、環境負荷の削減、安心安全な職場環境の整備、災害時の早期復興への備えにも取り組んでいます。
配当
株主還元についてご説明します。株主還元の1つが配当です。当社では配当を株主還元の中心と考えています。
当社はこれまで期末15円の固定配当を継続してきましたが、2024年3月期から配当方針を変更し、中間配当を実施することとしました。これにより2024年3月期には中間配当15円、期末配当35円の年間配当50円へと増配し、以降着実に増配を続けています。今後も安定配当を基盤としつつ、増配および配当性向の向上を目指していきます。
なお、2026年3月期の配当はすでに公表のとおり、前期比5円増配の年間60円を予定しています。
自己株取得
2026年2月12日に公表した自己株取得についてご説明します。
今回、初めて自己株取得を行いますが、株主への利益還元の充実や資本効率の向上を図るとともに、将来の機動的な資本政策の遂行や取締役・従業員へのインセンティブなどに活用することを目的としています。
1億5,000万円または6万株を上限として、2026年2月13日から同年5月29日までの約3ヶ月半にわたり、取得を実施する予定です。
株主優待制度
2025年11月12日に公表した株主優待制度についてご案内します。株主のみなさまの日頃のご支援に感謝するとともに、当社株式への投資の魅力を高め、より多くのみなさまに中長期的に保有していただくことを目的に、2026年3月末時点の株主を対象に開始します。
株式数については100株以上の保有が条件で、継続保有年数により特典を分けています。1年以上3年未満保有の株主には、当社事業所在地である大阪府、和歌山県、高知県の特産品3,000円相当または寄付を、3年以上保有の株主には、5,000円相当の特産品または寄付を提供します。
なお、初回は2026年3月末時点の保有株式数および継続保有期間に応じて実施します。継続保有期間は、2023年3月末までさかのぼって算出します。導入初回時に限り、2026年3月末時点で100株以上を保有いただいた株主には、継続保有期間が1年未満でも3,000円相当品を贈呈します。
今後も配当、自己株取得、株主優待などを柔軟かつ機動的に行っていきます。
2026/3期 第3四半期決算
最後に、2026年2月12日に公表した2026年3月期第3四半期の決算概要について、簡単にご説明します。
2026年3月期第3四半期累計の実績値は、スライドの表中央に示しています。売上高は前年同期比1パーセント増収の147億9,900万円となりました。昨年12月まで、前年と比較して降雪が少なかったことから凍結防止剤を扱う各種塩事業の売上が減少しましたが、化学品事業でこれをカバーしています。
営業利益は10億3,600万円、経常利益は10億7,200万円となっています。親会社株主帰属中間純利益は、子会社の土地売却による一過性の特別利益を計上したことにより、前年同期比で大幅増益の23億8,600万円となりました。
年間業績予想は、昨年5月13日の発表から変更はありません。
以上で私からの説明を終わります。長時間のご清聴、ありがとうございました。
質疑応答:物価高騰の影響について
司会者:「物価高騰の影響について教えてください」というご質問です。
杉岡:物価高騰に関しては、物流費、人件費、原材料など、さまざまな影響が出ています。
もちろん当社では企業努力を行い、吸収できる部分は精一杯努力しています。それでも吸収しきれない部分に関してはお客さまに十分に説明し、ご納得いただいた上で積極的に価格転嫁を進める方針です。
従来に比べ、日本や世界全体が物価上昇という経済環境に置かれている状況で、価格転嫁に対しては政府の積極的な働きかけもあり、お客さま側でもより柔軟な対応を取っていただけることが多くなったと感じています。いずれにしても価格転嫁を積極的に進めていくことが、当社の方針の1つです。
質疑応答:円安の影響について
司会者:「円安の影響度合いを教えてください」というご質問です。
長津徹氏(以下、長津):取締役執行役員の長津です。こちらのご質問には私から回答します。
当社は水処理凝集剤や殺菌剤を安定的に輸出しています。一方で、電解の原料となる塩は輸入品を使用しています。輸出為替と輸入為替のバランスはおおむね取れていますので、円安による損益への影響は軽微です。
ただし、支払いやそのタイミング、輸出額の回収タイミングにずれが生じることがあります。その際は為替予約などを活用し、利益への影響を最小限に抑えています。
質疑応答:今後の海外展開について
司会者:「今後の海外展開について教えてください」というご質問です。
杉岡:先ほどご説明したとおり、当社は地場立脚商品に加え、ニッチで非常に限られた化学メーカーであり、国内だけでなく海外にも輸出しています。
主力商品の1つは高度さらし粉で、伸びる市場はやはり海外です。高度さらし粉は、プール等の殺菌剤として使用され、最近では東南アジアをはじめ、中東や世界中のリゾート地でも使用されています。
特にファイブスタークラスのホテルなど、レピュテーションリスクが高い施設では、確実に殺菌するために、品質の高い当社製品が選ばれています。
中国やインドなどでは安価な製品も作られていますが、当社の製品は塩素濃度が非常に安定しており、効果的な塩素濃度を発揮します。そのため、大腸菌を含む殺菌を確実かつ効果的に行う機能を持っています。
安心、安全な製品を求めるお客さまが多くいらっしゃいますので、当社でも品質の差別化をデータとして作成し、それをお客さまに訴求しながら販売を進めています。
もう1つのニッチな商品が、クロルピクリンという農薬です。農薬でも海外市場が広がっており、特にアジアやインドなど人口増加に伴い農業需要が高まる国々では、連作障害が発生する中で農薬の需要が非常に高まっています。
現在は円安を好機と捉えて輸出を推進しており、この市場をしっかり狙っていきたいと考えています。
質疑応答:従業員のモチベーション向上施策について
司会者:「社員のモチベーションを上げる仕組みについて教えてください」というご質問です。
長津:当社では、個人の業績に応じて当社株式を取得できる仕組みを設けることで、従業員のモチベーション向上を図るとともに、当社株価に対する意識を高める施策も実施しています。
質疑応答:株主還元の詳細について
司会者:「株主還元について詳しく教えてください」というご質問です。
長津:先ほど杉岡もご説明しましたが、株主還元の中心は配当と考えています。2023年4月の上場以前は年間15円の固定配当としていましたが、上場後は増配を継続しています。2026年3月期も前期比5円増配の年間60円を予定しています。
2027年3月期以降も安定配当を基盤としながら、着実に利益を伸ばすことで、配当額の増加および配当性向の向上を目指していきます。
また、2026年3月期より、株主のみなさまの日々のご支援に感謝するとともに、当社株式への投資の魅力を高め、中長期的に保有していただくことを目的として、株主優待制度を導入しました。対象は2026年3月末時点の株主のみなさまから開始します。
さらに、当社として初めて自己株取得を実施し、株主還元の充実および資本効率の向上を図っていきます。今後もこれらの株主還元策を柔軟かつ機動的に実施していきます。
質疑応答:10年後の成長イメージについて
司会者:「御社の10年後の姿をどのようにイメージされていますか?」というご質問です。
杉岡:10年後は、まさに先ほどご説明した成長戦略が大きく花開くタイミングだと考えています。
今はまだ化学品事業や各種塩事業といった既存事業の割合が大きい状況ではありますが、それと同程度、あるいはそれ以上に環境リサイクル事業が成長すると予想しています。この事業を当社の成長分野と捉えており、その規模が拡大しているイメージを持っています。
質疑応答:南海トラフ地震等の災害時の製品供給対策について
司会者:「工場立地から、南海トラフ地震等の災害時の製品供給対策はどのように想定していますか?」というご質問です。
杉岡:確かに南海トラフ地震が発生した場合、当社の工場が立地する高知県や和歌山県といった地域に甚大な被害をもたらす可能性があります。両県でも津波対策などに取り組んでいますが、被害を完全に防ぐことは難しいと考えています。
ただし、当社のような製造業はさまざまな製品の供給責任を負っています。いかに早く復旧を果たすかが重要であり、特に製造業の要となる電力供給の復興速度が供給再開の迅速さに直結します。
当社では最近、両工場において電気設備を3メートルから5メートルの高所に移設する工事を実施しました。そのような意味では、電気の復旧を迅速に行える環境を整備しましたので、これにより可能な限り早く復旧し、お客さまに速やかに供給できる体制構築を目指しています。
質疑応答:ライバル企業について
司会者:「ライバル企業を教えてください」というご質問です。
杉岡:具体的なライバル企業を挙げるのは難しいところもありますが、基本的には当社が所属する日本ソーダ工業会に所属し、電解事業を展開している企業がライバル企業にあたると考えています。
ただし、電解分野は大きく2つに大別されます。1つは大規模な電解設備を持ち、塩化ビニルと呼ばれる製品を大量に生産するメーカーで、もう1つは私たちのように地場立脚に徹するメーカーです。
以前は規模の大きさを活かし、コスト競争力を持つ大規模メーカーが非常に強い立場にありました。しかし、世界の経済環境が大きく変化しており、特に中国の影響力が非常に大きくなっています。
過去5年間、そして今後の10年にわたり、中国では石油化学産業を中心として化学品関連の大規模な増設が予定されています。
最近の動向では、例えば石油化学の代表であるエチレン領域でも業界再編が進んでいます。最近では、水島コンビナートのエチレン製造設備を2030年に向けて停止すると発表がありました。これはやはり中国の影響によるもので、今後5年程度で中国が3,000万トン規模のエチレンを大増設することが要因です。
日本もかつては非常に大きな規模を保有していましたが、それでも最大700万トンでした。現在では約500万トンまで縮小してきています。
中国が3,000万トンという大規模な増設を行うことで、日本のみならず韓国や台湾などの市場にも影響を与え、日本の石油化学産業も縮小を余儀なくされる状況になっています。
先ほど述べた塩化ビニルも石油化学の一分野に含まれます。最終的には固形品となりますので、グローバルトレーディングが盛んに行われています。
当然ながら中国から日本への輸入の影響もあり、従来、国内の塩化ビニル需要は主に大規模展開の業者が供給していましたが、その構図が変化しつつあります。これにより、塩化ビニルの市況が低迷し、採算が厳しくなっている状況です。
一方で、苛性ソーダや塩酸といった電解製品は液体であり、苛性ソーダは非常に危険な商品でもあるため、安定性を保つ目的で半分ほど水を入れて運んでいます。このような特徴からも、海外からの輸入の可能性は低く、コスト面でも難しいと考えられます。
そのような意味でも、当社は地場立脚の企業であり、多品種のポートフォリオを持っていることで、大手電解メーカーとも十分に競争できる状況が整ってきていると考えています。
質疑応答:寒波による塩需要の向上について
司会者:「寒波の影響で、第4四半期は塩の需要は高まっているのでしょうか?」というご質問です。
杉岡:みなさまもニュースでご存じのとおり、第4四半期は寒波が連続して発生し、確かに塩の需要は高まりました。
当社の塩は高速道路などに撒いて凍結防止効果を発揮するのですが、あまりにも一気に雪が降りすぎると、道路自体が閉鎖されてしまうため、撒く意味がなくなってしまうという課題があります。
本来であれば適度な雪が降り、それが溶けてまた降るというサイクルが一番望ましいのですが、なかなか思い通りにはならない部分があります。
需要が高まっていることは間違いありませんが、ニュースで報じられているほど一気に大きな需要が生じているわけではありません。
質疑応答:杉岡氏の経歴や入社の経緯について
司会者:「社長の経歴を教えてください。また御社に入社した動機を教えてください」というご質問をいただきました。
杉岡:どこから説明すればよいか迷いますが、実は私は福岡県出身で、大学まで福岡で過ごしました。もともと福岡が好きで、地元を離れることはあまり想像していませんでした。
就職活動を始めた頃にも地元企業を最終目標としていましたが、それだけでは不安だったこともあり、その前にさまざまな会社を受けてみようと思いました。その結果、たまたまバブル期であったことも影響し、総合商社に内定をいただくことができました。
その後、地元企業にも内定をいただきましたが、総合商社に内定への返答を求められた際に、もっと世界を見てみたいという思いが湧き上がり、生まれて初めて東京へ行くことを決意しました。
入社後は、東京だけでなく、中東やメキシコ、ドイツなど、さまざまな国を訪れる機会にも恵まれました。各地での経験に加えて出向の機会もあり、製造業を含めて多種多様な経験を積むことができました。
そして20年ほど前、約2年間、南海化学株式会社が取り組むクロール・アルカリの国内取引に携わりました。そこで一緒に仕事をした先輩が私の前任者だったのです。
その先輩に20年ぶりに会って当社への非常に熱心なラブコールをいただき、最初は少し戸惑いましたが、私自身も一期一会を大切にしていますので、次第に心を動かされて一念発起しました。
大阪や和歌山・高知という土地にもほとんど行ったことがなく、この地域での経験は私にとって新たな挑戦でした。
私の座右の銘というわけではありませんが、「チャレンジなくして変化なし。変化なくして成長なし」の言葉が示すように、新しい経験が私のチャレンジ精神を大いに刺激してきました。非常にエキサイティングな経験をさせてもらっています。