■サンフロンティア不動産の今後の見通し
(2) 不動産サービス事業
不動産サービス事業では、貸会議室の新規拠点開設やプロパティマネジメントの受託棟数拡大など、着実な事業拡張が続いている。
プロパティマネジメント事業では、管理受託棟数が右肩上がりに推移しており、2026年3月期第3四半期末時点での管理受託棟数は564棟となった。2026年3月期末には600棟を目標としている。またサービス内容の拡充にも注力しており、オーナーとの中長期的な関係構築を目的とした会員制組織「オーナーズ倶楽部」の会員数は2025年3月末時点で103名に上っており、入居後の利便性向上と事業成長支援を目的とした専用サイト「テナントマイページ」は登録率91.9%(2025年3月末実績)となっている。ここでは防災や管理運営の通知、外部講師を招いたセミナーなども開催している。
貸会議室事業では、「部屋を売るのではなく、催事の成功を叶える」という方針の下、単なるスペース提供にとどまらないサービスを志向している。法人顧客のリピート需要が増加しており、売上の約8割を上位2割の固定客が占める収益構造となっている。大口企業や業界団体の研修、学会や検定試験の会場としてのニーズを着実に取り込んでいる。2025年3月期は開業準備費用の影響で利益が圧迫されたが、2026年3月期第3四半期は大型案件やリピーターによる長期利用が業績に寄与し、増収増益となった。同社グループ会社であるサンフロンティアスペースマネジメント(株)が運営する貸会議室は、駅前などの需要があるエリアに集中して出店していることから、受注状況は好調に推移している。これまでは新宿・品川・田町などのエリアに展開してきたが、それ以外のエリアであっても交通の便が良ければニーズは底堅く、事業の拡大余地が十分にあると言える。加えて、近年では自社会議室を持たない企業の増加という構造的変化を背景に、需要は底堅い。2026年3月期以降も開業・増床が進むものと弊社は見ている。
(3) ホテル・観光事業
ホテル・観光事業では、稼働率と客室単価の両面での向上を推進している。2025年9月開業の「たびのホテル加古川別府駅前」、10月開業の「たびのホテル石狩」は、いずれも予約状況が堅調に推移しており、早期の業績寄与が期待される。また、同年8月にはエムケー興産(株)(現 長野リンデンホールディングス)をM&Aにより取得し、「長野リンデンプラザホテル」が同社グループに加わった。また、運営継続を前提としたホテル物件の売却を計画しているほか、2026年4月には「たびのホテル阿蘇熊本空港」「日和ホテル松山」の開業が予定されており、開発と開業の両方を進め、事業を積極的に拡大する方針である。
同事業を取り巻く環境としては、首都圏以外の一部地方で人口減少が課題となっている一方、再生可能エネルギー関連のビジネス需要が高まりを見せている。再生可能エネルギー関連のビジネス需要は高く、風力発電設備の維持・管理需要も継続すると見られる。こうしたビジネス需要に加え、国内旅行・インバウンド需要も取り込み、事業成長につながると考えられる。
中国の日本への渡航制限については、愛知県常滑市のホテルで一部影響が出ている。同エリアは中部国際空港に近く、中国からのダイレクトフライトや団体客利用が多い。渡航制限前の中国人利用客は全体の約10%であり、足元ではその部分がやや落ち込んでいる状況である。しかし、インバウンド宿泊客は中国に限らず、台湾・韓国・アジア・アメリカ・オーストラリアなど多岐にわたり、全体への影響は限定的であると弊社では見ている。
(4) 販管費
販売費及び一般管理費については、システム投資を通じた業務効率の向上に加え、人的資本への投資による人財育成を推進している。これらの施策は、短期的なコスト増加を伴うものの、中長期的には労働生産性の飛躍的な向上をもたらし、競争優位の源泉となる可能性が高い。採用状況については、新卒・中途ともに計画どおり採用が進んでおり、通年採用でも毎月コンスタントに入社が続いている。ベースアップの実施などの各種施策が奏功し、離職者は減少傾向にあり人財の定着率が高まっている。人財・事業に向けた投資は、同社グループ事業の中長期的な成長に不可欠なものであり、潤沢な自己資本と事業の収益性を勘案すれば、投下資本の調達と回収に特段の懸念はないと弊社では見ている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 茂木 稜司)