■L is Bの業績動向
1. 2025年12月期の業績概要
2025年12月期の連結業績は、売上高2,132百万円(前期比33.8%増)、調整後営業利益202百万円(同162.3%増)、営業利益169百万円(同257.9%増)、経常利益147百万円(同689.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益138百万円(同963.6%増)と、売上高及び各段階利益共過去最高を記録する好決算となった。期初予想の達成状況は、売上高(2,080百万円)は予想比2.5%増、営業利益(154百万円)は同9.8%増、経常利益(150百万円)は同1.8%減、親会社株主に帰属する当期純利益(115百万円)は同20.7%増と、経常利益を除き予想を上回る好業績となった。なお、連結業績には2024年11月に子会社化したシステム・エムズと、2025年10月に子会社化したIU BIM STUDIO(株)の貸借対照表分のみが含まれる。
建設現場等での人手不足対策や働き方改革等の要請から現場作業の効率化に対するニーズは引き続き高い傾向にあり、現場DXのデファクトツールとなる「direct」に対する需要の強さを背景に、売上面は好調な伸びを見せた。「direct」を中心とするSaaSサービスの売上であるストック売上が既存顧客を主体に堅調に増加したほか、システム受託開発やコンサルティング等に係る売上であるショット売上も堅調に推移した。ストック売上は1,768百万円(前期比17.2%増)となった。毎月定常的に売上計上されるため、契約社数や顧客との取引金額が増加するにつれて安定的に収益貢献する。月次のストック売上高を12倍して算出したARR(Annual Recurring Revenue:年間経常収益)は2025年12月期第4四半期で1,880百万円(前年同期比15.9%増)を記録した。OEM分(「LoGoチャット」や「しんきんdirect」)を除くARRの増加額240百万円のうち、既存顧客によるものが152百万円を占めており、既存顧客との取引深耕による増収効果が高いことがわかる。1年以上契約している既存顧客の売上維持率を表すNRR(Net Retention Rate:1年以上契約している既存顧客の売上維持率)は、2025年12月期第4四半期において112.8%(前年同期は114.5%)と、通期で100%超の水準を維持、解約率も期末時点において1.06%(前年同期は1.16%)と低水準をキープしている。契約社数は期末時点で696社(同15.4%増)、1社あたりの平均ARRは2,050千円(同4.1%増)、サービス利用者数を表す指標である「direct」のID数は284千ID(同15.0%増)と、ストック売上の増加に向けた取引基盤の拡大を着実に進めている。
ショット売上は365百万円(前期比314.8%増)と大きく伸長した。子会社のシステム・エムズの売上222百万円が2025年12月期より連結計上され業績貢献を開始し、M&A効果が顕在化した。この背景として、ゼネコン等の現場業務では、PC利用頻度の低さや現場とオフィスのコミュニケーションの難しさ、手書き書類等管理の煩雑さ等が挙げられる。これらに対し、様々な現場目線でのDX需要が発生し、「direct」等のサービス機能だけでは対応の難しい場合にシステム受託開発やコンサルティング等で対応する。特に新規や大手顧客の開拓ではその傾向が強いとしている。AI活用を望む現場からは、「direct」上でAIを実装したチャット機能等の引き合いも生じており、このようなニーズに対応すべくショット売上案件が増加している。引き続き、顧客開拓や既存顧客との取引深耕の上で必要なショット案件に積極的に対応する方針だ。これを受け、売上高に占めるストック売上比率は低下傾向にあるが、ストック売上高は前期比17.2%増と着実に伸びている。
利益面は前期比で大きく改善した。営業利益率は7.9%と前期比5.0ポイント増加した。売上総利益率は同1.8ポイント減となったものの、販管費率(株式取得費用を除く)は48.2%と同10.1ポイント改善した。売上増加に伴い、相対的にセールス&マーケティング費率が24.7%と同9.1ポイント低下した効果とみられ、「direct」シリーズの認知度向上からの広告宣伝費抑制が示唆される。なお、2025年12月期の四半期ごとの推移でも20%台を維持している。
セグメント別業績は、DXソリューション事業は売上高2,132百万円(前期比33.8%増)、セグメント利益178百万円(同278.4%増)、2025年12月期から開始した投資事業については、目的は本業のDXソリューション事業でのシナジー創出のため、DXソリューション事業で得た利益を元手にファンド運営を行う。そのため、短期的なキャピタルゲインを求めないことから売上は上がらず、セグメント損失9百万円となった。
2. 財務状況
2025年12月期末における連結ベースの資産合計は前期末比717百万円増の3,425百万円となった。主な要因は、売掛金及び契約資産が125百万円、のれんが435百万円、投資有価証券が255百万円増加した一方で、現金及び預金が155百万円減少したこと等によるものである。負債合計は同578百万円増の1,577百万円となった。主な要因は、長期借入金が630百万円増加した一方で、1年内返済予定の長期借入金が118百万円、短期借入金が30百万円減少したこと等によるものである。純資産合計は同138百万円増の1,847百万円となった。主な要因は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上138百万円による利益剰余金の増加である。
この結果、2025年12月期末の自己資本比率は53.9%となり、前期末比9.2ポイント低下した。増益により利益剰余金のマイナスを減少させた一方で、積極的なM&Aを実施した結果、借入金の増加等が発生したことが要因である。現状は50%を超えており、財務上安全な水準である。
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬 智一)