■ケイファーマの業績動向
1. 2025年12月期の業績実績
2025年12月期の業績は売上高の計上がなく、営業損失で916百万円(前期は836百万円の損失)、経常損失で920百万円(同836百万円の損失)、当期純損失で993百万円(同846百万円の損失)となった。研究開発費は同37百万円減の414百万円となったが、人員増に伴う人件費の増加により損失額は若干拡大した。一方、会社計画比では研究開発費の期ズレや費用の抑制に取り組んだことにより、損失額が縮小した。なお、期末従業員数は20名で前期末比3名増となった(うち、研究開発人員は11名)。
2026年12月期は研究開発費の増加により損失額が拡大する見通し
2. 2026年12月期の業績見通し
2026年12月期の業績は売上高の計上がなく、営業損失で1,520百万円、経常損失で1,550百万円、当期純損失で1,616百万円と損失額が拡大する計画となっている。主には企業治験の準備に伴う研究開発費の増加、並びに人員増に伴う人件費の増加を見込んでいる。売上高はALSや脊髄損傷など各開発パイプラインで、国内外の製薬企業とのライセンス契約締結に向けた事業開発を推進しているが、保守的に計上なしの計画とした。ライセンス契約が決まれば契約一時金を計上することになる。また、研究開発費についても保守的に計画に織り込んでいる。
人員については、研究開発及び管理部門で数名程度の増員を計画している。営業外収支で若干の悪化を見込んでいるが、2025年12月に第三者割当による転換社債型新株予約権付社債を1,500百万円発行(利率2%)したことに伴い、支払利息を計上することが要因だ。そのほか、新たなモダリティや領域の検討、開発の推進を目的に米国で研究所の設立準備を進めている。また、AI/ロボットなどの先端技術の活用についての検討や、広報・IR活動も引き続き積極的に取り組んでいく。ロボットについては、再生医療等製品の治療で合わせて利用するリハビリテーション用器具としての可能性を検討する。
第三者割当による転換社債型新株予約権付社債を発行、1,500百万円を調達
3. 財務状況
2025年12月期末の資産合計は前期末比586百万円増加の2,939百万円となった。第三者割当による転換社債型新株予約権付社債1,500百万円を発行したことにより、現金及び預金が523百万円増加したほか、敷金及び保証金が43百万円増加した。負債合計は転換社債型新株予約権の発行に伴い、同1,579百万円増加の1,673百万円となった。また、純資産合計は当期純損失の計上により、同992百万円減の1,265百万円となった。
当面は開発ステージが続くことから、ライセンス契約などによる契約一時金の計上がなければ損失が続く可能性が高い。同社は、手元キャッシュとして2年分程度の資金は確保しておきたい意向であり、手元キャッシュの状況を見ながら資金調達を行い、研究開発資金等に充当していくものと予想される。なお、複数の銀行と合計12億円の当座貸越枠を設定しており、機動的に資金調達が行える体制を確保している。
■今後の成長戦略
中枢神経領域を主なターゲットに開発パイプラインを拡充し成長を目指す
今後の成長戦略として、iPS創薬事業では「Rare to Common戦略」を推進する。各神経変性疾患が示す病態については一部共通した疾患メカニズムがあることから、希少疾患の基礎研究を進めるアカデミアとの連携体制をとることで希少疾患の創薬開発に取り組んでいく。また、国内から海外へと事業展開していくほか、将来的には患者数の多い疾患、具体的にはアルツハイマー病や加齢性難聴などの創薬開発を目指す戦略である。一方、再生医療事業では、神経中枢疾患領域の再生医療を遺伝子導入などの最先端技術も活用しながら、脊髄損傷から脳疾患に、国内から海外へと展開する戦略である。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)