マネーボイス メニュー

マーキュリアHD、過去最高益更新、来期は新規ファンド立ち上げ本格化で運用資産のさらなる拡大を目指す

アップデートサマリー(1/2)

豊島俊弘氏(以下、豊島):マーキュリアホールディングス代表取締役CEOの豊島です。よろしくお願いします。

はじめに、グループ経営と事業戦略の進捗について簡単にご報告します。まず、今回のハイライトです。スライドの左側に示しているとおり、全体としてマクロ環境の大きな変化が現在も続いていますので、これらに対応していきます。

また、これまで当社グループが行っている重点ファンド、いわゆる基幹ファンドについては、引き続きしっかりと管理していきます。それと同時に、新しい事業の種を着実に育てていきます。

さらに、これらの広がった事業をしっかり支えるための組織体制の強化に昨年から取り組んでいますが、今年は重点的に取り組むことを計画しています。

マクロ環境については、米中間の地政学リスクが継続しています。当社グループにおける投資も影響を受け、対応しなければならないものがあります。

一方、クロスボーダーを得意とする当社グループにとって、台湾、シンガポール、ASEAN諸国などの中堅国と日本の関係の見直しを含め、新たな機会が生まれると考えています。

また、ファンド会計において公正価値評価が導入されました。投資家とのコミュニケーションにおいて、公正価値評価等の開示情報を充実させていきたいと考えています。

重点ファンドについては、「バイアウト1号ファンド」は非常に順調で、現在収益に貢献しています。一方、「Spring REIT」や太陽光関連のプロジェクトについては、マーケット環境が市場評価に影響を及ぼしており、これらのリポジショニングも重要だと考えています。

新規ファンドについては、すでにマスコミでも発表されていますが、「航空機3号ファンド」ということで、オープンエンド化を進めていきます。さらに、バイアウトにおいては、「バイアウト1号ファンド」「バイアウト2号ファンド」に続き、「バイアウト3号ファンド」のファンドレイズを今年開始したいと考えています。

新規事業としては、TSMCの進出を契機に九州における電子産業の強靭化に対応するファンドの企画を進めており、現在はまだ準備段階です。また、先日、髙島屋との連携で発表した「百年のれんプロジェクト」は、ファンドとしてはまだ準備段階ですが、このような取り組みを進めています。

組織体制の強化については、まずプライム市場の上場維持基準に昨年末わずかに届かなかった点があり、ここをしっかりと充足するよう進めていきたいと考えています。また、投資家とのコミュニケーションにおいては、公正価値評価を積極的に活用していきます。

さらに、これらのさまざまな事業を支える基盤として、ガバナンス改革や投資品質の向上にも力を入れていきたいと思います。昨年にPRI署名を行い、それに対するレビューもすでに終えています。昨年に監査等委員会設置会社に移行したことも、ガバナンス強化の一環と考えています。

アップデートサマリー(2/2)

今お話しした内容がこちらのスライドに記載されています。繰り返しになりますので、こちらは割愛します。

「市場の壁」を超えたリスクマネーの資金循環の創出

マーキュリアグループの主要ビジネス領域についてです。スライドに示しているとおり、オルタナティブ市場のマネージャーとしての役割を担っています。

これまでの日本における銀行やマネー市場などの貨幣市場や、上場や店頭などの資本市場では、流動性があり時価評価が可能な資産が取引されています。一方で、実業などの非公開企業、不動産、インフラ、航空機、コモディティ、動産など、低流動性で毎日時価がつかない実物市場もあります。

特にインフレが懸念される現状において、これらの実物資産をきちんと投資可能な有価証券のかたちにして資本市場と結び付けることが、オルタナティブ・マネージャーの重要な役割の1つです。

その背景には、日本の会計基準の変化があります。これまでは取得原価が重視され、のれんの償却も行われてきましたが、公正価値による投資対象の評価を進めようとする流れが、会計基準やさまざまな通達によって拡がっています。

公正価値評価が拡がることは、実物資産を資本市場につないでいくオルタナティブ・マネージャーの大きなビジネスチャンスになると考えています。

マーキュリアインベストメントグループの概要

当社グループの概要については、みなさまもご存じのとおりです。投資哲学やビジョンに変更はありません。

沿革

当社グループは、2005年に創業し、昨年で20周年を迎えました。上場から最初の10年間で初期のファンドを1サイクル回し、その成功報酬が見えたところで2016年に上場しました。

この上場からさらに10年が経過したのが昨年です。当社グループ創設以来、最高の売上と利益を計上することができ、最初の10年、次の10年を通じて、一定の事業進捗があったと考えています。

ただし、世界情勢は変化していきます。その都度、「国の壁」、規制緩和などに基づく「心の壁」、世代交代といった「世代の壁」という課題を乗り越える際に、エクイティの力を伴わせてきました。

現在は、流動性市場と低流動性市場の間でオルタナティブが広がっていく「市場の壁」を、信頼感を持ってつなぐことができるマネージャーを目指しています。

運用資産残高(AUM)は、上場時の1,000億円から現在は3,500億円の水準に拡大しています。今後は5,000億円まで引き上げることを目標としています。

事業概要

事業分野は、大きくは事業投資分野と資産投資分野に分かれています。それぞれの戦略は、1号ファンド、2号ファンド、その後に続く後継ファンドなど、コアとなるビジネスが後継の戦略へとつながっていくことが非常に重要だと考えています。

経済の混乱期には、例えばリーマン・ショック時などに行ったバリュー投資のように、エクイティのニーズが高まります。コロナ禍ではあまり積極的には行いませんでしたが、このような変化をビジネスにつなげていく考えを持っています。

オルタナティブ投資ファンドと投資領域

「市場の壁」により、プロ投資家の領域が広がっています。先ほどお話ししたとおり、当社グループは実物資産と資本市場をつないでいきたいと考えています。

主要経営指標の推移

2025年12月期は、営業総利益が67億4,000万円、経常利益が25億5,000万円となり、過去最高益を更新しました。AUMについては、スライドの折れ線グラフに示しているとおり、設立以来20年間で3,500億円弱の水準に到達しています。今後は5,000億円規模を目指していきます。

利益については、ファンドの特性上、ハードルレートを超えた後に集中的に発生します。2016年の上場後に得られた上場前に組成されたファンドからの成功報酬と比較すると、今回は最高益となり、上場後に組成されたファンドの貢献がより大きくなっていることが見て取れるかと思います。

マーキュリアインベストメントグループの競争優位性

こちらのスライドは毎年お示ししているもので、特に大きな変化はありません。従業員の約半数が外国人です。クロスボーダービジネスを展開する上で、それぞれの国のエキスパートとともに当社グループの事業を推進しています。

また、戦略株主として、日本政策投資銀行(DBJ)、伊藤忠商事、三井住友信託銀行とそれぞれテーマを持った協力関係のもと、ファンドを組成しています。

各事業における主要メンバー紹介

今後の展開についてです。ファンドは準備を整えてからかたちとなり、決算上で数字が示されるようになるまで時間がかかります。スライドに記載しているとおり、バイアウトファンドや「Spring REIT」など、すでにかたちが明確で基幹となっているものもあれば、これからさらに広げていくものもあります。

また、スライドをご覧いただくと、マーキュリアインベストメント、マーキュリアホールディングスというしっかりとした法人格とガバナンス体制の上に、それぞれのファンドリーダーの顔を見える化しています。

投資家とのコミュニケーションにおいては、会計上の利益だけでなく、事業進捗をよりわかりやすく見えるように、今後IRにおいて工夫を進めていく考えです。そのような背景から、それぞれの主要メンバーについて、今回は写真を掲載しました。

事業進捗全般(現在の運用/組成状況)

まとめです。現在の状況として、「バイアウト1号」は成功報酬ステージで順調に推移しています。前期の最高決算は、「バイアウト1号」からのエグジットに伴う成功報酬が貢献しています。

「バイアウト2号」についても前期に1件のエグジットがあり、投資進捗も順調です。「バイアウト3号」は今年の立ち上げを目指しており、ファンドレイズをスタートさせたいと考えています。

成長投資においては、「BizTechファンド」がエグジット時期に入っており、次に「サプライチェーンファンド」をファンドレイズし、投資が順調に進捗しています。

「Spring REIT」については、中国における不動産不況および外国人投資家の香港市場におけるセンチメントの影響により、株価に問題が生じています。

ただし、不動産はセンシティブな分野ではないため、資金調達については中国国内資産を海外で調達しているものの、英国資産については昨年処分し、中国本土への集中を進めています。これに伴い、投資家や資金調達についても見直しを進めているプロセスの途中にあります。

本源的な不動産の価値がきちんと有価証券に反映されるかたちに持っていくため、昨年から今年にかけて継続して働きかけを行っているところです。

資産投資分野については、「航空機1号ファンド」はコロナ禍で若干苦しい時期がありましたが、その間も投資を続けることで回復を図りました。コロナ禍後の「航空機2号ファンド」は非常に順調に推移しています。

これらの実績を踏まえ、「航空機3号ファンド」はオープンエンド型で運用します。目標額は500億円から750億円で、今年スタートする準備が整っている状況です。

再生可能エネルギー分野への投資は若干の遅れが見られますが、台湾の太陽光投資は2号案件が完工し、3号案件の着工にこぎつける段階に進んでいます。

不動産投資については、国内不動産は先ほどお話しした九州を含めたサプライチェーンの強靭化に向け、現在立ち上げを進めています。タイやベトナムにおける管理案件については、タイからベトナムへと順調に領域を拡大しています。

事業投資部門の概要

小山潔人氏:事業投資統括の小山です。本日は、お忙しい中決算発表会にご出席いただき、誠にありがとうございます。私から事業投資戦略についてご説明します。

以前からお伝えしているように、事業投資は大きく3分野に分けられます。バイアウト投資、ストラクチャード投資、グロース投資の3つです。日本にはさまざまなPEファンド(プライベート・エクイティ・ファンド)が存在し、このようにいくつかの投資戦略を持っているところも見受けられます。

当社グループではそれぞれの投資戦略を独立して運営していますが、案件を見つけるソーシングの段階やバリューアップの段階において、各投資戦略間でシナジーが発揮される場面が多々あります。

したがって、当社グループではこれらの投資戦略を互いに連携させ、シナジーを活かしながら差別化を図っていきたいと考えています。

現在、バイアウトファンドが中核となり、「バイアウト1号ファンド」「バイアウト2号ファンド」と拡大しています。一方で、先ほど豊島がお話ししたAUM5,000億円の目標に向け、ストラクチャード投資やグロース投資もさらに規模を拡大していく方針です。

バイアウトファンドの概要

バイアウトファンドの概要です。それぞれのファンドについては、次のページからご説明します。まず、現在のバイアウトの環境について簡単にお伝えします。

2016年8月にスタートした時点では、「日本の経営者の高齢化が進み、後継者がいない」といった事業承継を一番の狙い目として開始しました。2026年に入っても同様の状況が続いており、当社グループがターゲットとしている日本の中堅・中小企業の経営者の高齢化が進み、それに伴う案件のニーズも非常に高い状況です。

最近では、完全に高齢となり引退する案件だけでなく、40代から50代前半の経営者が「株は譲るが、引退はせず、ファンドと一緒に企業価値を上げたい」というタイプの案件も増えています。マーケット全体として、案件のボリュームが増加していると考えています。

また、昨今はアクティビストの影響もあり、非公開化案件が非常に増加しています。さらに、選択と集中に伴うカーブアウト案件も引き続き多く発生しています。

新規ファンドの増加が見られる一方で、バイアウトファンドがターゲットとする市場も引き続き拡大していると考えています。また、先ほど豊島がお話ししたとおり「バイアウト2号ファンド」は順調に進捗しており、今年は「バイアウト3号ファンド」の立ち上げを目指しています。

バイアウト1号ファンド / 運用状況

「バイアウト1号ファンド」についてです。昨年12月に小島製作所をエグジットし、これで6件のエグジットを達成しました。

DPI(Distribution to Paid in Capital)は、投資家からファンドに払い込んでいただいた資金に対して、どれだけお返ししているかを表す指標です。小島製作所の売却により、この指標が1.66倍まで増加しました。投資家からの1資金に対し1.66倍をお返ししている状況です。

DPIが2倍を超えると「エクセレントなファンド」と評価されますので、あともう一歩のところまで来ています。

なお、JSファンダリは破綻してしまったため、回収は見込めません。しかし、残りの3件で十分に2倍を超えるリターンを達成できると考えています。

バイアウト2号ファンド / 運用状況

「バイアウト2号ファンド」については、昨年10月にデライトホールディングスを売却しました。昨年は新たに2件の投資を行い、現在は合計で8件の投資となっています。

足元では今月中のクロージングを目指し、新たな案件に取り組んでいます。お伝えしているとおりかなり進捗しているため、今年後半に「バイアウト3号ファンド」の組成を目指しています。

バイアウトファンド投資先紹介 / 株式会社イーテック物流

「バイアウト1号ファンド」の投資先について、1件ご紹介します。イーテック物流は、京都府八幡市に所在する物流運送会社です。

この会社の特色としては、日本の物流拠点である京滋地区に営業所を構え、約100台の車両を保有しています。専属・固定契約を基本とする安定したビジネスモデルを有しており、傭車ではなく、しっかりとしたビジネス基盤を持つ会社です。

また、自社工場を保有しており、修繕コストの削減が可能です。さらに、オーナー経営から脱却し、経営企画機能の強化を図っています。この規模の運送会社では経営企画機能を持たないことが多いのですが、我々が参画することで新たな戦略を策定し、さらなる成長につなげられる余地があります。

スライドに支援内容を記載しています。これらの支援による価値向上を目指しており、新しいマネジメント体制の確立など、さまざまな施策を行っています。

特に大きな成果としては、運行の見える化を進め、収益やコスト構造を明確にした上で取引先に対して運賃の値上げを着実に実施したことが、現在の価値向上の最大の要因となっています。

また、ドライバーの採用が非常に困難な現状の中で、ここに大きく注力し、採用に成功しています。これが会社の収益向上に大きく貢献しています。

ストラクチャードエクイティファンド(縁ファンド)の概要

「ストラクチャードエクイティファンド」は、マイノリティ投資を行うという特色ある取り組みです。日本ではまだあまりない分野で、先行的に取り組んでいます。日本政策投資銀行やタイのCharoen Pokphand Group(CPグループ)といったユニークな企業と進めているところです。

今後、この市場は日本でも拡大すると考えており、我々にとって戦略的な分野と位置づけています。

BizTechファンド / 概要・運用状況

グロース投資(ベンチャー投資)についてです。「BizTechファンド」はすでに投資期間を終了しており、今後はIPOやM&Aを通じてエグジットを目指します。

スライドに記載しているNOT A HOTELやLuupは、最近街で目にする機会が増えています。ビットキーといった有名なベンチャーを含む17件に投資し、現在は売却活動を行っています。

サプライチェーンファンド / 概要・運用状況

「サプライチェーンファンド」です。サプライチェーンの強靭化を目的として、革新的な技術やサービスを持つベンチャー企業に投資しています。

「BizTechファンド」と共通する特色として、ファンド投資家として事業会社に参画し、投資対象企業と連携・協業を通じて事業面での成長支援を行える点が最大の特色となっています。

昨年はセンコーにもご参加いただき、ファンド規模が拡大しました。現在9件の会社に対する投資を実行しており、そのうちトヨコーという会社が上場しています。

ベンチャーファンド投資先企業紹介 / Turing及びHacobu

スライドに、投資している9件のうち2件をご紹介しています。Turingは自動運転システムを提供する会社です。Hacobuはさまざまな事業を展開しながら、バース管理システムを提供し、物流会社の効率化に取り組むベンチャー企業です。

管理報酬基準資産は今後増加を見込む

2025年度は管理報酬基準資産がやや下がっています。これは、先ほど小島製作所などをエグジットしたとお話ししましたが、エグジットがあるとその分管理報酬が減る構造になっているためです。

したがって、現在はやや減少していますが、今年「バイアウト3号ファンド」を組成することで、管理報酬基準資産を一気に増やしていくことを計画しています。

事業投資戦略についての説明は以上です。

資産投資部門:2025年度のフォーカスの進捗

石野英也氏:取締役資産投資統括の石野です。私からは、資産投資戦略の進捗についてご報告します。資産投資部門では、2025年度において大きく分けて2つの新規取り組みにフォーカスし、事業展開を図ってきました。

1つ目は、10年間にわたり実績を上げてきた航空機投資です。こちらをさらに進化・拡大させるべく、新規のファンドを立ち上げることを掲げてきましたが、この度、新聞等でも報道されているとおり、本邦運用会社としては初の取り組み(注:当社調べ、2026年3月)となる、オープンエンド型の航空機投資ファンドを設立するに至りました。

このファンドについては、日本政策投資銀行にアンカー投資家として設立を後押しいただき、大和証券グループには投資家層の拡大にご協力いただきました。日本における航空機投資戦略の魅力をさらに浸透させ、当社グループのコアファンドの1つに育てていく方針です。

もう1つは、九州を中心としたサプライチェーン強靱化のためのインフラ整備投資です。こちらは大変長期にわたる投資となりますが、地元企業との協業や共同事業コンソーシアムの組成準備を行うなど、着実に取り組みを進めています。

なぜ、航空機投資か?

あらためて、航空機投資戦略の可能性についてご説明します。以前にもお伝えしましたが、航空機投資はグローバルな需要を背景に取引される米ドル建ての安定資産です。投資ポートフォリオに組み入れることで得られるメリットも非常に大きいと言えます。

日本の企業、投資家と航空機

実は、航空機投資は日本の企業、金融機関、投資家にとって大変なじみの深い資産クラスです。

スライドのグラフは、世界の主要な航空機リース会社の所有・管理機数を示しています。ご覧のとおり、日本資本のリース会社も名を連ねており、航空機投資が安定した収益源として日本企業に広く理解されていることを示しています。

また、減価償却スキームであるJOLCOと呼ばれる形態では、日本国内で毎年4,000億円から5,000億円程度のスキームが組まれていると言われています。さらに、それらの航空機投資に対して国内の金融機関は積極的にローンを提供しています。

しかし、この資産クラスを本格的な金融商品にしようとする動きは、これまでなかなか生まれてきませんでした。

航空機投資の可能性

今後も世界経済の成長に伴い、航空機需要は確実に増加すると言われています。その中でも、航空会社が自社で保有する機材に比べて、リース機材の比率がさらに大きく伸びると予想されています。

このような成長市場において、従来の航空機リース会社に加えて、当社グループのようなファンドが活路を見出す機会が創出されています。

プロによって利用され、管理され、投資されてきた航空機市場において、オルタナティブ投資の民主化を掲げる当社グループのようなファンドが加わることで、投資家との橋渡しをすることが当社グループのミッションと考えています。

不動産投資 新規戦略「サプライチェーン強靭化」

サプライチェーン強靭化投資戦略については、経済安全保障上の必要性がさらに高まっていることは、みなさまもご存じのとおりだと思います。

Local to Local & Global Quality

TSMCも熊本第2工場の建設に着工したばかりで、設備投資のさらなる拡大が見込まれます。

当社グループは地元企業やグローバル企業とコンソーシアムを組成し、日台企業の連携を後押ししながら、インフラ整備の重要性の高まりに先取りして対応できるよう、投資事業の準備を進めています。本事業については、今後も引き続き進捗をご報告します。

これからの事業展開(これまでの実績と今後の取組/市場の壁を超える)

豊島:将来戦略についてです。大きな目標として、これまでにAUM3,000億円を達成しましたので、次は5,000億円に向けた取り組みをしっかり進めていくことが重要であると考えています。先ほどお伝えしたとおり、この5,000億円をしっかり管理できる体制の強化を進めているところです。

ビジネスについては、従来の基幹ファンドは引き続き成功報酬の最大化を目指し、しっかり刈り取りを進めていく方針です。

新しいファンドでレイズが見えてきたものとしては、「バイアウト3号ファンド」と「航空機3号ファンド(オープンエンド(OE))」が挙げられます。

また、「Spring REIT」や再生可能エネルギー事業は、中身はしっかりしていると考えていますが、マーケットの時価が十分に発揮されていない状況にあります。こちらは価値をどのように見える化するかといったリポジショニングをしっかり行っていくことが重要であると考えています。

さらに、成功報酬を含む収益力と次世代ファンドの準備という観点では、新規事業としてコンサルティング事業のようなフィービジネスをしっかり進めていく方針です。後ほど詳細をご説明しますが、タイで始まったコンサルティング事業がベトナムにも拡大しており、ASEAN地域でのM&A事業も始まっています。

加えて、地政学リスクに対応する取り組みとして、九州における産業強靭化やサプライチェーンの強化、ならびに不動産確保に向けた施策を進めています。

また、髙島屋との「百年のれんプロジェクト」については、すべての事業がバイアウトに適するわけではありません。商いを継続したいという事業者のニーズに応えるため、特に小規模事業者向けにどのような役割をオルタナティブファンドとして提供できるかを髙島屋と協議していきます。

さらに、「市場の壁」を超える取り組みの一環として、機関投資家層のオルタナティブ投資への取り組みを拡大していきます。具体的には学校法人や年金基金が挙げられますが、個人富裕層やファミリーオフィスといった投資家サイドに立ち、運用の自由度を高める取り組みが求められています。

また、金融領域におけるさまざまなノウハウとAIエージェントの活用は非常に親和性が高い部分があります。こちらについても、戦略的に導入可能なものは積極的に活用していく考えです。

個人投資家、大学・財団・年金基金、海外投資家の投資活動を拡大していくことが、AUM5,000億円達成のために必要不可欠です。それぞれの投資家層がオルタナティブに注目する背景については、スライド右下にまとめています。

マーキュリアの海外事業展開(1/2)

海外については従来と大きな変化はなく、東アジアを中心に事業を展開しています。特に、シンガポールの地政学的な位置づけとして、西側と中華圏の接点としての役割を担うシンガポール拠点の戦略的な連携が今後さらに重要になると考えています。

マーキュリアの海外事業展開(2/2)

海外子会社の事業展開の状況です。海外拠点の従業員については、各国でプロフェッショナルを採用する方針を基本としています。

タイ/ベトナムコンサルティング事業(1/2)

現地人材を積極的に活用する一方で、エクイティに対して適切なリターンをしっかりと確保する点については、人種ではなく、プライベートエクイティなどで培われた管理ノウハウを、国際的なクロスボーダーの協調事業などにも適用し、そのフォーマットを提供しています。

これにより、ジョイントベンチャーや共同事業の初期段階から取引に至るまで、現地人材をしっかりと巻き込みながら、日本企業の国際展開を支援しています。このようなビジネスをタイで開始し、そのフォーマットをそのままベトナムにも展開して、現在拡大しているところです。

タイ/ベトナムコンサルティング事業(2/2)

こちらは、タイおよびベトナムにおける取り組み案件数と管理資産規模を示しています。

参考:タイ/ベトナムコンサルティング事業(完成イメージ(例))

スライドに、プロジェクトのイメージを示しています。現在、その大半が不動産開発事業の共同管理というかたちとなっています。

このように、フィービジネスやAUMの拡大を図るために基盤強化や投資活動の拡大を進め、「市場の壁」を超えていくことが当社グループの将来イメージです。今後は、より具体的なそれぞれのストラテジーの展開について、顔の見えるかたちでIRを強化していきたいと考えています。

決算ハイライト~成功報酬により、2025年決算は過去最高益

滝川祐介氏:執行役員経営管理統括の滝川です。本日お話しするテーマは、2025年決算・2026年予算、事業ポートフォリオ、プライム市場の上場維持基準です。ポイントは次のページからご説明します。

2025年決算(1/2)

まず、2025年決算についてです。「バイアウト1号ファンド」における投資先のエグジットに伴う成功報酬もあり、営業総利益は過去最高益の67億4,000万円、経常利益は25億5,000万円での着地となりました。

2025年決算(2/2)

2025年決算の内訳です。管理報酬は、「バイアウトファンド」と「Spring REIT」を中心に安定的に推移しています。投資先エグジットに伴い前期比で微減となりましたが、今後は新規ファンド組成による増加を見込んでいます。

成功報酬と自己投資については、成功報酬ステージにある「バイアウト1号ファンド」において投資先エグジットがあり、成功報酬19億円とともに自己投資利益10億円を計上しました。「バイアウト2号ファンド」においても投資先エグジットによる4億円の自己投資利益を計上しており、今後「バイアウト1号ファンド」に続き成功報酬ステージを目指しています。

「Spring REIT」においては、配当による自己投資利益6億5,000万円を計上した一方で、市場価格に基づく時価評価損としてマイナス3億円も計上しています。

決算に大きな影響を与える「バイアウト1号ファンド」の成功報酬と「Spring REIT」の損益については、事業ポートフォリオと併せて以降のスライドでご説明します。

事業ポートフォリオ(1/4)~事業投資/資産投資/企画事業~

事業ポートフォリオについてご説明します。当社グループはファンド運用事業を展開しており、事業投資ファンド、資産投資ファンド、新規事業の3つのカテゴリに大きく分類されます。

事業投資ファンドは成功報酬によるアップサイドを重視しており、1号ファンドと2号ファンドを合わせた650億円規模のバイアウトファンドが中心となっています。

資産投資ファンドは管理報酬による規模拡大を重視しており、香港証券取引所に上場している2,200億円規模の「Spring REIT」が中心ですが、現在は「航空機ファンド」にも注力しています。

新規事業では、中長期的な成長に向けて次世代の基幹ファンドの組成や企画の事業化を目指して取り組んでいます。

事業ポートフォリオ(2/4)~投下資本と年間安定収益~

各事業ポートフォリオが決算・財務に与える影響についてです。スライド左側に示している年間安定収益(PL)では、「バイアウト」事業と「Spring REIT」事業が全体の約80パーセント強を占めています。

一方、スライド右側に示している投下資本(BS)では、「バイアウト」事業と「Spring REIT」事業が約60パーセント弱となっており、将来を見据えた新規事業に約20パーセントの資本を投下しています。

事業ポートフォリオ(3/4)~バイアウト1号の成功報酬~

「バイアウト1号ファンド」の成功報酬に関する内容です。「バイアウト1号ファンド」は2016年に組成された総額213億円のファンドで、2025年までに6件の投資先エグジットを完了しています。

出資元本を超えて複利計算されるハードルレート8パーセントを上回る利益分配を実施したことで、成功報酬ステージに到達しました。この結果、ファンド投資家が80パーセントを受け取り、当社は20パーセントを成功報酬として受け取ることができます。

現在も3件の投資先が残っているため、2026年度以降も残りの投資先エグジットに伴う成功報酬の獲得を目指していきます。

事業ポートフォリオ(4/4)~Spring REITの収益貢献~

「Spring REIT」の収益貢献についてです。「Spring REIT」は香港証券取引所に上場するREITで、バイアウトとともに収益貢献が大きなファンドです。ファンド運用における管理報酬と自己投資による配当収益の2つから、年間約20億円の収益を得ています。

一方、「Spring REIT」は上場して時価があるため、時価評価損益が決算に影響します。2025年度の決算では、マイナス3億円の評価損を計上しています。

北京のオフィスビルと恵州の商業施設を保有しており、鑑定評価による評価額は約2,500億円です。借入などの負債を差し引いた純資産評価は約1,290億円となっています。これに対して、市場価格に基づく純資産評価は約500億円、PBRは0.39倍の水準です。

ユニット単価に基づく市場評価と、キャッシュフローや割引率など実需に基づく鑑定評価との間に大きな乖離が生じています。

連結経営成績 ~長期営業総利益~

2013年度から2025年度までの営業総利益の推移です。一定の増減はありますが、2024年度までの年平均成長率は10パーセント超で、2025年度には過去最高益を更新する67億4,000万円で着地しました。

連結経営成績 ~収益区分別営業総利益~

営業総利益の内訳です。スライドに示している棒グラフの一番下の青色部分が管理報酬です。管理報酬が着実に増加し、2023年度からは「バイアウト2号ファンド」のファンドレイズにより30億円規模に達しています。

直近では投資先のエグジットに伴いやや減少していますが、今後は「バイアウト3号ファンド」および「航空機3号ファンド」の新規組成による増加を見込んでいます。

棒グラフの一番上のグレーで示している成功報酬は、2017年度から2022年度にかけて、創業時や金融危機時に組成したファンドからの成功報酬として合計65億円を計上しました。現在はこれらのファンドからの投資回収はほぼ完了しています。

2024年度からは「バイアウト1号ファンド」が成功報酬ステージに到達し、2024年度には9億6,000万円、2025年度には19億2,000万円の成功報酬を獲得しています。

現在は上場時に調達した資金を元手として、自らが運営するファンドに自己投資を行っています。今後は管理報酬にこれらの成功報酬と自己投資利益を上乗せすることで、営業総利益の水準をさらに成長させることを目指しています。

連結財政状態 ~資産・負債の構成~

バランスシートです。総資産は235億円、資産は自己投資が158億円、現預金が52億円となっています。自己資本は180億円で、財政状態は健全です。

高水準にある現預金については、今後予定している「バイアウト3号ファンド」および「航空機3号ファンド」の新規組成に向けた自己投資に充てていきます。大きな金額は想定していませんが、新規事業への戦略投資も行う予定です。

配当の状況

配当については、基本方針として5年平均当期純利益に対し、配当性向30パーセント程度を目途としています。今期は1株当たり22円の配当を予定しています。

2026年業績予想と今後の目標(1/2)

2026年度の業績予想と今後の目標です。2025年度決算は過去最高益でしたが、2026年度は成功報酬ステージにある「バイアウト1号ファンド」において、次の主要投資先のエグジットが2027年度以降になると見込んでいます。そのため、営業総利益49億円、経常利益15億円と、反動減の予算となっています。

2026年業績予想と今後の目標(2/2)

2026年度予算は反動減となりますが、中長期的な成長を目指して、各事業分野における目標についてご説明します。

事業投資分野では、成功報酬ステージにある「バイアウト1号ファンド」における成功報酬の最大化と、「バイアウト2号ファンド」の成功報酬ステージへの到達を目指します。また、新たなファンドとして「バイアウト3号ファンド」の組成に取り組みます。

具体的には、「バイアウト1号ファンド」「バイアウト2号ファンド」において投資倍率2.5倍での運用を行い、ファンド総額500億円での「バイアウト3号ファンド」の組成を目指します。

資産投資分野では、市場価格と鑑定評価額の間に大きな乖離が生じている「Spring REIT」の鑑定評価価値の実現を目指しています。「航空機3号ファンド」は規模拡大と投資家層の拡大を目的に組成しているオープンエンド型ファンドであり、ファンド総額は500億円から750億円増の組成を目指しています。

2026年業績予想と今後の目標(参考)

こちらのスライドは、先ほどお伝えした事業ポートフォリオのスライドに、各事業分野の目標をプロットしたものです。

プライム市場の上場維持基準の適合状況

最後に、プライム市場の上場維持基準の適合状況についてご説明します。2024年12月末時点では、流通株式時価総額100億円をクリアし、プライム市場の上場維持基準を充たしていました。しかし、2025年12月末時点では99億4,000万円となり、わずかに届きませんでした。

上場維持基準を充たすために必要な株価はPBR1倍弱の水準であり、これは単なる通過点に過ぎません。

当社としては、各事業分野の目標達成を目指す中で収益性を高めるとともに、将来業績への寄与を目指して取り組んでいる新規事業についても投資家のみなさまへ積極的に伝え、市場評価を高めていきます。これにより、今期末にはプライム市場の上場維持基準を確実にクリアするよう努めていきます。

以上が決算ハイライトです。ありがとうございました。

質疑応答:実物資産のトークン化について

司会者:「実物資産のトークン化に関心はありますか?」というご質問です。

豊島:実物資産は、いわゆる上場企業とは異なり、不動産や飛行機など、それぞれが個別性の強いものです。これらは毎日時価があるものではありませんが、きちんと人手をかけて公正価値評価を行って管理すれば、一定の価値がしっかりと存在することを示すことができます。

ただし、どれほどの人手をかけるのか、また、トークンが流通するためには、現在の日本では証券会社の協力が必要となります。証券会社に取り扱っていただかなければ、転々流通する売買可能なトークンというかたちにはなりませんので、そのようなコストが発生します。

一方で、AIやテクノロジーがこれらの手間やコストを削減し、実物資産に対する透明な流動性を高める可能性は大いにあると考えています。我々はこの点についても証券会社からアドバイスをいただきながら、十分に研究を進めていきたいと考えています。

したがって、関心があるかどうかと問われれば、関心はもちろんあります。これを商品としてしっかり世の中に出していくかについては、引き続き研究課題としたいと考えています。

質疑応答:「航空機3号ファンド」の現況について

司会者:「今期に組成を予定している『航空機3号ファンド』のオープンエンド型ファンドについて、回答可能な範囲でかまいませんので、ファンドレイズの状況や投資家からの反応について教えてください」というご質問です。

豊島:新聞報道で1,500億円規模と発表されていますが、借入を利用するため、エクイティとしては500億円です。今回発表した計画では、エクイティサイドで500億円から750億円程度のファンドレイズとしています。今年から来年にかけて、この水準まで持っていきたいと考えています。

幸い、航空機ファンドはインフレ懸念などがある中でも非常に多方面から関心をいただいているため、提示した目標に一刻も早く到達できるよう努力していきます。また、初期的な市場からの反応は好意的だと理解しています。

質疑応答:業績のアップダウンについて

司会者:「2025年12月期の営業総利益は67億4,000万円、経常利益は25億5,000万円と過去最高益を達成した一方で、2026年12月期は営業総利益49億円、経常利益15億円の予想となっています。

『バイアウト1号ファンド』の次の主要投資先エグジットは2027年度以降とのことですが、この収益の谷間をどのように乗り越えますか? また、株主や投資家はどのように考えればよいのでしょうか?」というご質問です。

豊島:若干言い訳になるかもしれませんが、特にバイアウトの大きなエグジットが成功報酬ステージにある場合、エグジットのタイミングによって損益が非常にアップダウンしてしまいます。四半期ごとに当社グループの決算をご覧いただいている方も、そのように感じられるのではないかと思います。

昨年度、小島製作所のエグジットによって決算が大きく変わりました。「バイアウト1号ファンド」は成功報酬ステージにありますが、残る3社のエグジットのタイミングにより、今後決算が大きく影響を受ける可能性があります。

これを谷間と捉えるかどうかという点ですが、会計上の観点では、収益認識ができない場合は谷間とみなされます。ただし、投資先の事業については我々が管理を行い、価値があると判断しています。

その価値については、それぞれのファンド投資家においても、公正価値や投資評価といった指標を通じてフィードバックしています。さらに、マネジメントを行っている当社グループにおいても、将来その含み益が実現していきます。

この点については、タイミングだけでなく、公正価値評価の中でどれほどの含み益やポテンシャルを保有しているのかを開示することにより、四半期ごとのアップダウンに対する投資家のみなさまのフラストレーションを軽減していきたいと考えています。

さらに、長期的にはやはりAUMを着実に積み上げていくことが重要です。現在は成長段階にあるため、AUMから得られる管理報酬については大半をマネジメントチームの強化やプラットフォームの強化に充てています。

しかし、将来的には管理報酬からも一定の利益を生み出せるようになると考えており、これが王道として重要なポイントです。

また、若干アドホックな話とはなりますが、コンサルティングなどのフィー収入の機会については、ファンド事業の周辺でニーズが発生した場合、適宜対応していく方針です。

シェアランキング

編集部のオススメ記事

この記事が気に入ったら
いいね!しよう
MONEY VOICEの最新情報をお届けします。