■電算システムホールディングスの業績動向
2. セグメント別業績
(1) 情報サービス事業
売上高は43,061百万円(前期比15.5%増)、営業利益は942百万円(前期は278百万円の損失)となった。計画達成率は、売上高は101.7%と計画どおり、営業利益は前期の不採算案件の剥落もあって大きく黒字転換した。双方に、商品及び製品販売でのNEXT GIGAハード案件がインパクトを与えており、売上高に関しては、都道府県単位での入札から市町村のタイミングに合わせた導入という公共団体特有の手順に配慮した営業活動により、ほぼ想定どおりに導入が進み、業績に寄与した。営業利益に関しては、NEXT GIGAハード案件は価格以外の差別化が難しいため、同事業の営業利益率は不採算案件のなかった2023年12月期との比較で1.8ポイント低下の2.2%と完全回復には至らなかった。ただし、今後の利益率確保に向けた施策として、入札に優位な地元企業と協業し随意契約に持ち込む等、他の契約手段も検討する。
SI・ソフト開発部門においては、Googleクラウドサービスを中心に伸長した。Google Workspaceは導入企業数が前期比7.5%増の2,326社と、2023年12月期の同3.3%増と比較し、導入が加速した。Google事業の売上高は前期比40.2%増の18,506百万円と、こちらも2023年12月期の同17.8%増から22.4ポイント増と大幅に上昇した。背景にはGeminiをはじめとしたGoogle AIソリューションの人気の高さがある。同社が提供するGoogle WorkspaceにはGeminiが標準搭載されており、さらに顧客要望に沿って周辺ソフトウェア等を付加するなど、カスタマイズ体制を万全に敷くことで、機を捉えたサービス提供から収益につなげた。GeminiがバンドルされないGoogle Cloud Platformでは、同プラットフォームに後付けできるGoogle AI「Gemini Enterprise」やAIリサーチツール「Notebook LM Enterprise」等、付随するAIサービスの需要もあり、収益を押し上げた。開発を支える生成AI専門組織「Project Gen」が、組織全体の技術向上と顧客サポートを充実させていることも売上高増加の一因となろう。しかし、利益に関し、SIで2024年12月期に発生した不採算案件を要因にマイナスに落ち込んだ営業利益については、まだ回復途上にあるようで、これを重要な課題と捉え、上記施策以外にも高利益体質形成に向けた案件組成や開発体制の再構築を進める考えである。その一環として、顧客要望に沿ったカスタマイズはもちろん、今後はコンサルティングの提供も手掛ける方針だ。
クラウド関連では、Google事業で培ったクラウドインフラの構築・運用ノウハウを生かし、2025年10月に、クラウドサーバーのネットワークセキュリティから運用までトータルサポートする「BizCloudCare+(ビズクラウドケア プラス)」の提供を開始した。パッケージ化されており、レンタルのようにサーバーを手軽に利用できるほか、サーバーの監視やバックアップ、専門エンジニアによるサポートも提供していることから、企業のクラウド環境導入を後押ししそうだ。サブスクリプション型(従量課金制)となるため、ストック収益源の一角となろう。
BPO事業は、売上高が前期比8.3%増の4,201百万円となった。請求書作成代行サービスは堅調に推移したものの、時代の潮流からカタログ販売向けデータエントリ業務や、通販向け送り状印字サービスの処理件数が減少し、売上高は縮小した。ペーパーレスの流れで縮小するこれら業務に対し、解決策として「システム提供とオペレーションを融合した高付加価値BPO」を検討している。BPOに強みの収納代行サービスを付加しトータル提供する構想で、提供サービス事例としては、例えば2019年にリリースした「教材スマートオーダーシステム」が挙げられる。具体的には、学校で使用する絵の具など学校で売買手続きがなされる教材を、保護者が資料をもとにネット注文し、支払いは同社の収納代行サービスで完結する流れとなる。決済とBPOとシステムを連携しており、同社はシステム開発、決済基盤、BPOを一括して請け負っている。「教材スマートオーダーシステム」には収益の伸びしろが十分あると見込んでおり、同様なサービスの展開を検討している。後述の「営業本部」が統括する顧客ごとのアカウント営業が、顧客のインサイトから事業横断型の最適なソリューションにつなげ、顧客ロイヤリティ向上によるLTV(Life Time Value:顧客生涯価値)の拡大、売上高と利益の増加を狙う。
(2) 収納代行サービス事業
売上高は25,069百万円(前期比4.6%増)、営業利益は2,676百万円(同3.8%増)と増収増益となった。主力の収納・集金代行サービスとオンライン決済サービスは前期下期に稼働した取引先で、処理件数が順調に推移した。特に自治体入札案件では、提示された仕様の遵守はもちろん、顧客利益に適う技術を織り込むことで差別化を図り、順調に契約を獲得した結果、売上が大きく伸びた。一方、カタログギフト向け払込票は伸び悩んだ。コストに関しては、コンビニ決済では市場環境を反映した価格許容もあり価格改定に成功したが、仕入れ単価の上昇には常に警戒し、利益率低下を回避するため効果的な付加価値提供を随時検討している。口座振替では、2025年11月、DSK口座振替サービスに「ネット口座登録機能」を追加した。これにより、顧客では早期に集金開始が可能となるためキャッシュフローが改善し、業務効率化とペーパーレスによるコスト削減を同時実現する。顧客利便性の追求は、安定した顧客基盤の維持に寄与するだろう。まだ売上比率は小さいが、オンライン決済サービスは前期比21.0%増、その他の収益(後払いサービス)は55.2%増と大きな成長を見せた。それぞれ市場拡大局面にあることから、成長速度を維持し早期のプレゼンス確立を図る。
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬 智一)