■要約
オートサーバーは、中古車流通市場の活性化を目指し、中古車取扱事業者がインターネット上で中古車を売買できる独自の会員制BtoB中古車ECプラットフォーム「ASNET」を運営するテック企業である。
1. 会員の「オークション代行」と会員間取引仲介の「ASワンプラ」が主力
同社は中古車流通に関わる総合的なサービス・情報を取り扱う「ASNET」をベースとして、会員の中古車オークション代行サービス「オークション代行」と、会員間取引仲介サービス「ASワンプラ」を主力に、その周辺領域の関連サービスも展開している。「ASNET」の収益源は取引の都度発生する手数料収入である。手数料は車両価格によらず取引1台ごとの定額制を採用している。このため同社の収益は基本的には「取引台数×手数料」で決定される。「ASワンプラ」は売買双方から手数料を得るため、「オークション代行」より収益性が高いビジネスモデルである。また「ASNET」は会員数の多さと顧客層の多様性を特徴・強みとしている。そして会員数、取引台数は増加基調である。国内には15万以上の中古車取扱事業者が存在するが、そのうち約半分が「ASNET」会員である。「オークション代行」と「ASワンプラ」の取引台数の増減は逆相関の関係(「オークション代行」の減少局面では「ASワンプラ」が増加、またはその逆)にあることが特徴である。この2つのサービスを展開することにより、中古車流通市場の情勢が変化しても全体としての取引台数の増加につながり、いずれかのサービスが業績を支える収益構造となっている。
2. 2025年12月期は小幅減益だが、おおむね計画水準で着地
2025年12月期の業績は、売上高が前期比2.8%増の6,462百万円、営業利益が同4.4%減の2,384百万円、経常利益が同3.8%減の2,390百万円、当期純利益が同4.1%減の1,498百万円となった。全体としておおむね計画水準で着地した。中古車流通台数が前年並みにとどまるなか、各種営業施策の効果によって「ASNET」会員数と取引台数が順調に増加した。取引台数については、上期は「オークション代行」がけん引し、下期は中古車価格高騰などを背景に「ASワンプラ」が回復した。利益面は前期比小幅減益となった。売上総利益率がやや低下したほか、豊橋本部の新データセンター稼働に伴う費用や、計画外の株主優待費用の発生が影響した。なお、株主優待費用が発生しなかったと仮定した場合、経常利益は同0.9%減の2,463百万円で計画を79百万円上回った。
3. 2026年12月期は保守的に利益横ばい計画だが上振れ余地
2026年12月期の業績は、売上高が前期比2.3%増の6,610百万円、営業利益が同0.5%減の2,372百万円、経常利益が同0.4%減の2,380百万円、当期純利益が同0.1%増の1,500百万円を見込んでいる。前提となる「ASNET」取引台数は同1.9%増の244,695台(「オークション代行」と「ASワンプラ」の構成比は過去の平均値)を想定している。売上面は、中古車流通市場やオークション出品台数に不透明感があるものの、新規会員獲得やサービス機能充実など積極的な営業施策で会員数・取引台数を伸ばす計画で、小幅ながら増収見込みとしている。利益面は2025年12月期第4四半期に「ASワンプラ」の取引台数が急増した反動影響や、豊橋本部の新データセンター稼働に伴う費用・減価償却費、人的資本投資による費用なども鑑みて、保守的に前期比横ばいの計画としている。ただし取引1台当たり手数料単価が高い「ASワンプラ」の取引台数が前期後半から増加基調であることを勘案すれば、会社利益予想に上振れ余地があるだろうと弊社では見ている。
4. 「取引台数拡大×手数料単価UP」戦略を推進、株主還元も強化
同社の収益は基本的に「取引台数×手数料」で決定されるため、短・中期の成長戦略の基本を「取引台数拡大×手数料単価UP」として、営業強化やアライアンス活用による「ASNET」新規会員の獲得、取引1台当たり手数料単価が大きい「ASワンプラ」比率の向上、安心して取引できるルールづくり、「ASNET」会員の仕入・販売・業務に対する支援強化と既存会員の利用機会拡大、付帯サービスの収益化などを推進する。また中・長期の成長戦略として新サービスの開発・拡大、海外展開やM&Aも検討する。なお株主還元について、2025年3月14日付で株主優待制度の新設(2025年6月末日を基準日として開始)を発表した。企業価値の向上を図るため、株価や資本コストを意識した経営やIRへの取り組みも強化しており、株主還元も一段の充実が期待できると弊社では考えている。
■Key Points
・会員の中古車オークション代行「オークション代行」と会員間取引仲介「ASワンプラ」が主力
・2025年12月期は小幅減益だが、おおむね計画水準で着地
・2026年12月期は保守的に利益横ばい計画だが上振れ余地
・短・中期の成長戦略「取引台数拡大×手数料単価UP」を推進、株主還元も強化
・高利益率のビジネスモデルを評価
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田 雅展)