■事業概要
1. 事業概要
オートサーバーは、中古車流通に関わる総合的なサービス・情報を取り扱う「ASNET」をベースとして、会員の中古車オークション代行サービス「オークション代行」と、会員間取引仲介サービス「ASワンプラ」を主力に、その周辺領域の関連サービスも展開している。なお「ASNET」の継続的な機能強化として2010年11月に「ASNET2」をリリースした後、2020年11月に「ASNET3」をリリース(2022年6月に完全移行)した。
(1)「オークション代行」サービス
「オークション代行」サービスは、全国の中古車オークション会場と接続して中古車オークションに出品される車両データを「ASNET」に掲載し、買い手となる「ASNET」会員の落札を代行するサービスである。出品されている車両に対して会員が事前に設定した入札金額に基づき同社が落札を代行する「AA入札」、パソコンにインストールした専用ソフトを通じてリアルタイムに表示されるオークションのセリの状況を見ながら会員がセリに参加できる「ASリアル」、オークションで落札されず業販価格が付された車両を次回オークション開催までの期間に時間優先の原則に従って落札を代行する「AAワンプラ」、会員の車両出品を代行する「AA代行出品」などのサービスがある。2025年12月末現在で国内には160以上の中古車オークション会場が存在するが、「ASNET」はこのうち146のオークション会場の運営事業者と業務提携契約を結びデータ連携している。そして国内のオークションに出品される中古車情報のうち約94%の車両データを掲載している。直近の新規接続としては2025年3月に日産ネットオークション福岡(NAA福岡)と接続した。国内中古車オークション市場において大部分の出品情報を網羅していることが「ASNET」の特徴・強みである。
(2)「ASワンプラ」サービス
「ASワンプラ」サービスは、同社が運営する中古車BtoBのECマーケットにおいて「ASNET」会員間の中古車売買取引を仲介するサービスである。店頭在庫車両を持つ会員が業販価格を付した車両情報を「ASNET」に掲載し、当該車両を落札したい会員との売買を時間優先の原則に従って仲介する。車両価格によらず取引1台ごとのワンプライス手数料で売買できる取引スタイルが中古車取扱事業者の支持を得ている。中古車の無在庫販売や在庫圧縮を志向する中小規模の中古車取扱事業者にとっては、中古車オークション会場の会員となるよりも低コストで取引できることに加え、店頭での小売販売と並行しながら「ASNET」でEC取引できることもメリットである。さらに品質基準やクレーム制度など安心して取引できるルールを確立していることも特徴・強みであり、特に2012年以降に急成長を遂げている。
(3)その他のサービス
その他のサービスは「ASNET」の付帯サービスとして提供している。「ASNET」会員の落札車両・出品車両の輸送(陸送)の手配を取り次ぐ「陸送手配」、スマートフォンアプリ「みるクル」を用いて会員の中古車販売業務及びカスタマーコミュニケーション業務を支援する「カスタマーコミュニケーション支援」、会員が各種カー用品や各種販促品を「ASNET」上で購入できる「カー用品通販」などのサービスがある。
同社は、会員の利便性向上や小売業務支援・DX促進強化などに向けて周辺サービスの充実を推進している。2024年5月には「ASNET」独自のオートクレジットサービスの提供に向けて(株)アプラスと業務提携し、同年7月にASクレジットサービス「のるmycar(のるマイカー)」の提供を開始した。同社の小売支援ツール「店頭商談NET」とアプラスのクレジット審査システムを連携し、オートローン申込工数削減やスピーディな審査を実現した。同年12月には、「ASワンプラ」への出品ツールである“かんたん入力WEB”及び“かんたん入力アプリ”に自社開発のAI機能を実装した。画像認識AIが車両画像を判別して自動で並び替えるなど「ASワンプラ」への出品工数を削減し、よりスピーディに出品できる。
2025年9月には「ASワンプラ」出品車両の掲載可能画像枚数を50枚から80枚に拡張した。車両の状態や装備品などアピールしたいポイントや細かな傷なども掲載できるようになり、より安心して取引できる場となる。同年12月には「ASワンプラ」への出品ツール“かんたん入力WEB”のAI機能拡充として、車両のナンバープレートを画像認識・解析し、自動でマスキングできる機能(画像認識・加工AI機能)を追加実装した。不正防止や情報保護の観点で出品車両のナンバープレートをマスキングする際の業務効率化を支援する。なお「ASNET」会員の車販売力強化を目的として継続的にWeb研修会を実施しており、2025年12月期はのべ415回実施した。
収益は「取引台数×手数料」
2. 収益構造
「ASNET」の収益源は取引の都度発生する手数料収入である。手数料は車両価格によらず取引1台ごとの定額制を採用している。このため同社の収益は基本的には「取引台数×手数料」で決定される。「オークション代行」では落札1台ごとに「ASNET」会員から落札手数料を受領し、この中の一部(平均的には約半分)をオークション会場へ落札手数料(落札手数料の金額はオークション会場によって異なる)として支払う。「ASワンプラ」では取引成立1台ごとに売り手会員から成約手数料、買い手会員から落札手数料を受領する。売買双方から手数料が得られるため取引1台当たり単価が「オークション代行」よりも高く、オークション会場へ支払う落札手数料も発生しないため、収益性が高いビジネスモデルである。なお「オークション代行」の利用手数料については、オークション会場の落札手数料引き上げに対応して手数料改定を行っている。
一般的に、中古車取扱事業者が中古車オークションに参加するためには、当該オークション会場に会員として入会しなければならず、入会金・保証金・保証人・月会費といった固定コストが負担となるが、「ASNET」は手数料以外の固定コスト(「ASNET」会員となるための入会金・保証金・月会費など)が不要なため、低コストでサービスを利用できるメリットがある。この点が特に中小規模の中古車取扱事業者や、中古車販売を行うもののメインビジネスではない事業者から高い支持を得る要因となっている。
また収益特性としては、売上原価は「オークション代行」で中古車オークション会場へ支払う手数料、販管費は固定人件費(営業部門、システム部門、オークション代行に係る事務部門、及び管理部門)が大部分のため、取引台数の増加が利益率向上につながる。直近では2025年12月期の営業利益率が36.9%という高い利益率となっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田 雅展)