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オートサーバー Research Memo(7):中古車流通市場のWeb化が進展

■オートサーバーの成長戦略

1. 事業環境
ここ数年の国内中古車流通市場の動向としては、2021年夏頃からサプライチェーン混乱等の影響により新車・中古車とも供給・流通が低迷した。その後2022年秋頃から新車販売が回復傾向となり、これに伴って中古車流通も回復傾向となった。しかし2024年に入ると再び新車販売が低迷し、これに伴って中古車流通も月ごとに増減する不安定な状況となった。2025年は新車販売が前半に回復傾向となったが後半に減速し、中古車流通も不安定な状況が継続した。オークション出品台数は、2024年秋から増加に転じたが、2025年秋以降は増加が一服した。中古車価格については供給不足により2023年夏ごろから上昇に転じ、2024年以降は高年式車両を中心に高値水準の相場が継続している。

このように国内中古車流通市場の動向には不透明感があるものの、一方では、新車価格上昇に伴う中古車ニーズの高まり、新車ディーラーなどによる中古車販売重視戦略へのシフト、リース車両の出口としての中古車販売ニーズの高まりなどにより、国内中古車流通市場はおおむね堅調に推移することが予想される。このほか、物流2024年問題による輸送キャパシティの縮小や輸送コストの上昇で、Web取引を利用したシンプルな輸送形態(ダイレクト輸送)ニーズが高まる。また、2024年10月から導入されたOBD車検※によって検査の高度化・情報化が図られ、中古車のEC取引に対する不安が緩和される。こうした点も勘案すれば、中小規模の中古車取扱業者を中心にオークション取引のWeb化や、低コストのワンプラ取引(車両価格によらず取引1台ごとに固定価格売買できる取引)に対するニーズが一段と高まることが予想される。同社の「ASNET」にとって事業環境はおおむね堅調に推移し、新規会員獲得やサービス機能充実によって「ASNET」関与率を一段と高めると弊社では考えている。

※ On Board Diagnostics(車載式故障診断装置)を使用する自動車検査のことで、自動ブレーキや駐車支援システムなど自動車に内蔵した電子制御システムが正しく動いているかを検査し、誤作動による事故・トラブルの発生を防ぎ安全・安定を図る検査。

「取引台数拡大×手数料単価UP」戦略を推進

2. 成長戦略
同社の収益は基本的に「取引台数×手数料」で決定されるため、短・中期の成長戦略の基本を「取引台数拡大×手数料単価UP」として、営業強化やアライアンス活用による「ASNET」新規会員の獲得、取引1台当たり手数料単価が大きい「ASワンプラ」比率の向上、安心して取引できるルールづくり、「ASNET」会員の仕入・販売・業務に対する支援強化と既存会員の利用機会拡大、付帯サービスの収益化などを推進する。また中・長期の成長戦略として新サービスの開発・拡大、海外展開やM&Aも検討する。

2024年3月には(株)ジョイカルジャパンと提携して新たな共有在庫サービス「ジョイカル共有在庫」をスタートした。ジョイカル加盟店が保有するリースアップ車両などの在庫車両をジョイカル加盟店間で売買できる業販システムを、同社が開発・提供してジョイカル加盟店間の業販市場を創設するとともに、共有在庫データを「ASワンプラ」に掲載する。ジョイカル加盟店にとっては「ジョイカル共有在庫」に加え、「ASワンプラ」で販売機会を拡大できるメリットがある。

2024年4月には同社の「ASNET」と、大手中古車輸出業者である(株)ビィ・フォアードが運営する越境ECサイト「beforward.jp」の提携を開始した。本提携により「ASNET」会員は「ASワンプラ」に出品することで、国内8万以上の「ASNET」会員に加え、「beforward.jp」が展開する世界200以上の国・地域の海外バイヤーに対して販売機会を拡大できる。新興国を中心に日本の高品質な中古車に対する需要が高まっており、今後の「ASワンプラ」取引台数増加に大きく貢献する可能性を秘めている。

2024年9月には、出光興産の子会社である出光リテール販売(株)に対して、共有在庫サービス「リテ販共有在庫」の提供を開始した。出光リテール販売が運営する全国480ヶ所のサービスステーション(SS)が保有するリースアップ車両等をSS間で共有できるシステムを、同社が開発して提供する。2024年3月にジョイカルジャパンと提携して開始した「共有在庫システム」を水平展開したものである。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田 雅展)

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