決算のポイント
本田豊氏(以下、本田):おはようございます、代表取締役社長の本田豊です。本日は貴重なお時間をいただき、ありがとうございます。
ベステラ株式会社の本決算についてご説明します。スライドには過去最高値が並んでいるものの、今朝の株価は非常に厳しいものであることから、みなさまのご期待に沿えなかった部分があると思っています。本決算説明資料では、2026年1月期業績の予想との差異や、2027年1月期の売上・利益の計画値を中計の数値から少し下げている理由についてのご説明が十分ではなかったと感じています。
全体としての数字は、はじめは工事案件数や時期、利益額などについて、目標値を積み上げたものを開示しています。しかし、実際の工事ではいろいろなことが起きます。例えば、追加発注が発生して原価が先行し、追加の清算が後になることや、お客さまの都合で着工が遅れることがあります。このように、いわゆる「期ずれ」が発生し、清算が後ろにずれる場合があります。その要素を加味していない業績予想の場合は、下振れするという現象が発生します。
2026年1月期については、中間期に1度下方修正を行いました。これは、利益率が低い工事を受注しない方針を徹底し、利益率向上を目指す体制を構築した結果、選択受注を行いましたが、それを補完する受注が不足し、業績が下振れする結果となりました。
しかしながら、下方修正後の業績予想に対しては、第3四半期時点で順調に進捗しました。本決算では、予想を上回る結果を期待された投資家のみなさまが多かったと思います。
結果として、売上高では修正計画値の120億円は未達となったものの、営業利益は修正計画値の7億円を上回りました。現場で高品質な工事を実施した結果、利益を確保できたことから、経営者として社員には「よくやった」と伝えました。
個別のご説明としては、売上高は過去最高を記録しました。これは、本業の順調な推移に加え、グループ会社でもしっかりと売上を成長させた点が大きいです。
営業利益が中間期での下方修正値を上回った要因は利益獲得体制を整備したことです。受注面においては体制がしっかり整ってきました。
一方、発注面では改善余地があります。当社には調達室という部署があり、産業廃棄物の費用やスクラップ売却単価の検討など、さまざまな課題解決に取り組んでいます。
原価のうち最も大きな割合を占める外注費については、相見積もりを取って競争を促す体制にはまだ至っていません。そのため、原価の改善余地はまだ残っている状況です。
一方で、原価改善に関しては現場レベルで多くの改善を進めており、個別に見てもさまざまな取り組みが行われています。利益の改善につながった要因は、このような取り組みに起因すると考えています。
期末時点での受注残高については、過去最高となる85億円に達しました。なお、月次ベースで見ると、呉にある高炉3基を受注した瞬間はこの金額を若干上回っていますが、期末時点においては過去最高を記録しています。
以前から繰り返しお話ししているとおり、受注残高は未来の目安となる数字として重要です。当社においては、未来を予測する指標として掲げる数字のうち、受注残高が最も現実的・客観的な情報源となります。
「この数字をどう見ればいいのですか?」といったご質問も多くいただきますのでご説明します。当社では注文書が届いた時点で受注とするので、顧客がどのように注文書を発行するかで受注高は変わってきます。
例えば、30億円規模の工事であれば、10億円ずつ3回に分けて計上する場合と、最初に30億円分が一括で計上される場合があり、受注残高に違いが生じます。とはいえ、受注残高は当然参考になる指標です。いろいろなケースがあったとしても、着実に積み上げていけば、変動がありつつも上がっていく数字であるため、開示しています。
2027年1月期末は前期と同水準となる見込みです。一方、来期以降は工事が大幅に増える見通しです。このため、大量の工事をどう回していくかという課題に変化します。大局としては現在も同様ですが、2年後に向けて大量の工事をどう受注し、獲得後にどれだけ効率的に処理できるかを重視した経営を行っています。
2026年1月期 計画・実績対比
ここからは個別のご説明になりますが、先ほどお話ししたとおりです。中間決算の時点で通期営業利益を7億円に下方修正しました。しかし、この時点での営業利益は2億2,600万円の実績でした。そのため、「本当に7億円を達成するのか?」という懸念もありましたが、しっかりと利益を積み重ね、修正後ではありますが計画値を達成しました。利益に関しては誇らしい結果だと考えています。
損益計算書:2026年1月期
スライドは、前年同期と比較した損益計算書です。ここまでのご説明よりも良い内容を記載しています。一例を挙げると、売上総利益率は20.1パーセントとなりました。これまでの最高値は約21パーセントで推移していました。他のスライドにも記載していますが、当社では元請利益率で30パーセント、下請で工事を行う際には20パーセントを目標値としています。
ただし、実際には元請工事の場合は、新規顧客へのアプローチなど営業施策の観点から、20パーセント程度で受注するケースも多々あります。元請工事は間に入る会社が1社減るので、本来は利益率が上がって当然であり、将来的な利益率向上を目指してこの活動を進めています。
ちなみに、製鉄・鉄鋼分野においては、社数が少ないことやこれまでの商流の関係から、発注元の100パーセント子会社のエンジニアリング会社の下で工事を行うかたちが一般的です。そこは、一次請負という形態が元請比率に影響を与えています。
続いて、販管費を差し引いた営業利益率は6.7パーセントとなりました。なお、売上高営業利益率については10パーセントを目標としていますが、それが最終的な着地点ではなく、会社を継続的に成長させる中で10パーセントを確保していきたいという考えです。概算では、売上総利益率を20パーセント確保し、販管費率を10パーセント、営業利益率を10パーセントとする見込みです。
現状では、元請利益率30パーセントの目標には達していません。また、材料費がそれほど上昇していないため、現在のインフレの影響は大きく受けていません。一方で、燃料費や人件費、とりわけ協力会社を含む人件費が上昇していることは確かです。このコスト上昇分をいかに価格転嫁していくかは業界全体の課題であり、すでに一定の影響が出ていることも事実ですが、全体の目安として、現在のところ良い数字になってきています。
また、スライドには政策保有株式の売却益計上についても記載しています。これは、以前もご説明したTREホールディングスさまの株式の売却益です。政策保有目的株式に該当するため売却が必要ですが、簿価を下回ってまで売却するわけにはいかないので、適宜進めている状況です。
業界別 完成工事高構成比率
完成工事高の構成比についてです。高炉から電炉への転換に伴い、さまざまな設備が更新・廃止されていることから、製鉄所の工事が増えており、製鉄の割合が向上しています。日本国内では生産製造設備を減らす動きが全体的に進んでおり、その影響から製鉄は伸びています。
石油・石化(石油化学)については、エチレン製造設備の稼働率が大幅に低下し、再編が進んでいる結果、依然高い水準で推移しています。この影響は今後も続き、来期以降業績が大きく伸びる時にはここが大きく寄与すると考えています。
電力の割合は低下しているものの、引合い自体は変わらず強いです。低下の理由は、正直に申し上げますと、選択受注の結果です。これまで最も利益率が悪化していたのは、電力部門と石油精製部門です。電力については、一部の企業では適切な価格で対応していますが、電力会社全般では価格競争が非常に厳しい状況です。
消費者のみなさまにできる限り安価で電力を提供するため、経費を抑えることの重要性は理解していますが、公共性の高い企業には安全な工事と高品質な施工を行うことが求められるのは当然です。このため、低品質な解体工事会社は淘汰され、長期的には品質の高い工事会社が選ばれる状況に変わっていくと考えており、電力部門から撤退する予定はありません。
電力業界のうち、最も競争が激しい分野は火力発電所です。価格競争の結果、一定の価格を下回った時点でその工事の競争入札からは降りるので、割合は低下している状況です。一方、風力発電は1本あたりの価格こそ低いものの、今後増加すると予想されています。また、水力発電の受注は順調で、引き続き変電所や原発関連などの安定的な受注があります。
完成工事高の推移について
完成工事高の推移についてです。従来は第1四半期と第4四半期に集中する傾向があるとご説明していましたが、大型工事の増加により平準化が進んでいます。長年の傾向として、お客さまの年度末、すなわち3月末に清算を行う流れは変わりありません。これは、お客さまの予算消化が進むことで、最終的にいくら支出できるかが決まるためです。
それが業績に反映されるのは、当社の第1四半期にあたる2月、3月、4月です。当社ではなるべく早く清算するようお客さまに依頼しており、11月、12月、1月の3ヶ月間、すなわち第4四半期に交渉を行うことも多いため、その時期に完成工事高が集中していました。しかし、進行基準工事ではそのようなタイミングとはあまり関係なく進むため、平準化された数字となります。ただし、完成工事高が平準化されたとはいえ、第4四半期の影響が利益に大きく表れる傾向は変わりありません。
完成工事高に占める元請案件の推移
スライドは、先ほどご説明した元請案件の数字になります。グラフ左側に小さく記載している「元請利益率(目標値30パーセント)」「下請利益率(目標値20パーセント)」についてご説明します。現状、下請利益率は目標に達しているものの、元請利益率と下請利益率が逆転している状態です。
これは営業施策を取ったものの、まだその影響が残っている状況です。この点については改善を進めていきます。
スライドには「利益率は継続して回復傾向にある」と記載していますが、具体的な数字を口頭でご説明します。元請利益率は、第3四半期会計期間の19.3パーセントから第4四半期では25.8パーセントに上昇していることから、かなり改善されてきている状況で、回復傾向にあることは間違いないと考えています。
1人あたり完成工事高(単体)の推移について
1人あたり完成工事高についてです。これまでは「安全水準として適切な金額は1人あたり1億円としていたものの、大型工事の増加により1億5,000万円ぐらいになってきている」とご説明してきました。
2024年1月期の完成工事高は1億3,000万円と、限界に近い数字まで達していましたが、徐々にその水準が低下してきています。そのため「労働生産性が低下しているのではないか?」というご意見もいただいていますが、来期以降の工事に備えて適切に人材を確保しているためです。
中途社員が多い場合、入社後すぐに1人で現場を任せることはできず、先輩社員が現場で教育するという実態があります。
大規模な現場では、例えば監督員が5人いる場合、以前は2人を当社社員、残り3人を派遣社員に担当させ、現場の監督や写真撮影、書類作成などの監督業務を行っていました。しかし現在では、派遣社員の代わりに若手社員を配置し、先輩社員が教育を担当する体制を取っています。その結果、1人あたり完成工事高は若干低下する傾向があります。
人員がボトルネックになるという現象は、建設業界全体でよく見られるものです。「人員は確保しているのに、なぜもっと伸びないのか?」というご指摘もあるかと思いますが、この部分は今後さらに伸びていく見込みです。来期以降の工事を見据えれば、さらなる伸長が期待されるため、人員数がネックになることは間違いありません。
詳細は後ほどご説明しますが、西日本地域での成長が著しい状況です。当社は東京を拠点として活動しているため、西日本でも行っていますが、採用の中心は東京です。その結果、東京では人員が確保しやすい一方、西日本での工事受注が急増しているにもかかわらず、そちらへ人員を充分に配置することが難しいという課題が生じています。このような人員の配置の難しさについても、今後解決していく必要があると考えています。
原則として複数の場所で工事を行うことを採用時の前提にしているため、出張や異動のお願いができなくはないのですが、西日本への出張や異動を実際に依頼することは簡単ではなく、課題となっています。
販売費及び一般管理費:2026年1月期
販管費についてです。販管費は前年同期比でわずかに減少しています。これは、研究開発費が前年同期比5,300万円減少したことが大きな要因です。具体的には、前期に売却したグループ会社で行っていた3D関連の研究開発費用を停止したことが挙げられます。
なお、本体の工事に関する研究開発費はむしろ増加しています。販管費として計上されていない理由は、重要な研究開発に対してはお客さまから資金を提供していただくケースも多く、また現場で研究開発を行う場合には原価として計上する場合があるためです。
一方、システム開発については、投資というよりも、導入後のランニングコストの増加が背景にあります。
人員計画の進捗
人員計画の進捗についてです。全体の従業員数については連結ベースで前期の258名から203名に減少していますが、これは工事とは関係なく、売却した2社の人員減少によるものです。
工事監督数については、期初に15名増員を目標として掲げていましたが、実績は10名となりました。これには、先ほど述べた1人あたり完成工事高などの影響もあります。
工事監督も必要ですが、計画室や安全衛生室の整備も進めています。また、今後は工事企画室を新設し、現場をサポートするバックアップ体制をさらに整備していきます。具体的には、現場監督ではない工事計画チームの人員が大規模現場に常駐し、計画立案などの現場業務を支援します。
また、人員を増やすだけでなく、3D計測についても方向性を見直しました。3D計測チームのリソースは工事に活用するというのが本来の目的でしたが、独立採算で運営し、外部収益を得ることがメインに代わっていました。これからは本来の目的に立ち返り、その一環として工事計画室に編入しました。これにより、3D計測を工事に直接活用することを進めています。
ここでは、工事監督は採用活動がうまくいかず未達だったということではなく、いろいろな部署に人員が必要だということに注目していただきたいです。採用活動に関しては、同業他社と比べても非常に優れていると自負しています。他社では工事監督数が減少しているケースもあるかと思いますが、当社では10名の増員を確保しており、非常に良い採用活動を行っていると考えています。
さらに、他社では給与をベースアップさせているところも多い中、当社の給与水準は平均的だと思っています。ただし、新卒採用については給与水準がやや低かったため、苦労や難しさがありました。そのため、制度を改定しており、現在採用活動を進めている2027年4月入社の方から効果が表れる見込みです。
営業利益の増減要因分析:2026年1月期
営業利益の増減要因分析です。増益の主な要因は売上総利益の改善です。このうち、最も大きな要素としては、スライドに「見積体制見直しによる原価適正化」と記載した項目です。受注時に適正な利益で取引を行ったことで、3億7,900万円の増加となりました。
この中には原価低減要素、すなわち現場で努力して原価を低減させていく取り組みも含まれています。また、相見積もりや発注段階での削減については今後本格的に始めていくので、そこは伸びしろであると考えています。
貸借対照表:2026年1月期
貸借対照表についてご説明します。当社は、いわゆる無借金経営となっています。大きな要因の1つとして、売掛金や売上債権の回収の徹底があります。以前より適切に回収していましたが、回収期間のタイミングを改善し、全体的にきちんと回収を行う体制を整えました。
当社の協力会社さまには1ヶ月以内にお支払しています。対して、お客様からの入金については、元請が多くなると、全工事が完了してから4ヶ月後に入金されるといったサイクルや、追加工事が続いている場合には完工後にまとめて清算となり、その後4ヶ月後に入金されるといった状況が発生します。
このような資金サイトのずれが存在していましたが、交渉すれば改善に応じてくださる場合もあります。そのような改善により、売掛金の要素でキャッシュ・フローが安定してきたことが1つの要因です。
また、TREホールディングスさまの株式を売却しました。先ほど説明したように売却益は2億円余りですが、キャッシュベースでは簿価が1,523円です。なお、最初に取得時の購入価格は900円台で、経営統合の際に評価替えを行い、特別利益として計上した経緯があります。その後、現在の株価となっており、高額のキャッシュが入ってくる状況です。
投資有価証券の売却などによって増加した流動資産を借入金の返済に充当しています。なお、当社は貸し倒れの実績が一切なく、優良企業のお客さまが多いことから、非常に借り入れしやすいです。もちろん金利はかかりますが、銀行のご協力を得て良い条件で融資を受けられます。その資金を運転資金として、M&Aや事務所の開設、人材の獲得、研究開発などに投資していく方針です。
とはいえ、現在の成長の主軸は社内の人材育成のため、資金の使用は控えめです。もちろん良い案件があればM&Aを進める方針のため、M&A資金は備えています。
キャッシュ・フロー(CF)計算書:2026年1月期
キャッシュ・フロー計算書にもそれが反映されています。
受注状況:2026年1月期
受注状況です。受注工事高は過去最高とはなりませんでした。一方、完成工事高は受注残高が十分にあったため好調でした。受注残高は8,500百万円となり、過去最高を記録しています。
業界別 受注残高構成比率
受注残高の構成比です。製鉄は長期の工事が多いため、構成比が高くなっています。
トピックス① 東証プライム市場維持基準の適合について
ここからは、トピックスをご紹介します。1つ目は、東証プライム市場の維持基準に適合しました。正直なところギリギリではありますが、さまざまな施策を実行した結果、クリアしました。資料中では、取組み実施内容として社内体制の整備による売上総利益率の上昇や事業ポートフォリオの最適化などと記載しています。その他については、スライドをご覧いただければおわかりいただけると思います。
また、自己株式取得や会長が取締役を退任したことを通して、創業家株式の扱いが流通株式となったことなども影響を与えています。
ただし、来期以降の数字を考えると、将来的には上場維持基準などに怯えることなく、余裕をもってクリアできると思っています。
トピックス② HEROZ(株)とのAI活用共同プロジェクト
2つ目は、HEROZさまとのAI活用共同プロジェクトです。ご存じの方もいるかもしれませんが、HEROZさまは竹中工務店さまとの構造計算での共同開発や東洋エンジニアリングさまなどとの協力など、AI分野で実績のある会社です。以前から面識はありましたが、さまざまな会社を通じてあらためて理解を深め、HEROZさまともお話をし、今後共同で取り組んでいくことで意見が一致しました。これからが非常に楽しみです。
今後はさまざまなものを提供していきたいと思っています。現時点では公開できない内容についても、初期段階ではあるものの、特に中期経営計画に関連した部分などで取り組みを進めているものもあります。
スライドには、「暗黙知を形式知化する」とお示ししています。これは、解体については学問になっていないため文章化する必要があるものの、職人のノウハウと同様で文書化されていない状況のため、データベース化する必要があると議論してきました。一方で、一度にすべてを扱うことは難しいため、まずは誰かが口頭で話して、それをAIに読み込ませるようなかたちで進めていきたいと考えています。全体の構想としてはより大きいものを考えています。
トピックス③-1 社会課題への取組み(地方創生)
3つ目は、社会課題への取り組みです。スライドに記載している地方創生や循環型ビジネスのスキーム構築、地域産業の貢献に関する話題なども含まれます。
例えば、プラントは京葉コンビナートや京浜コンビナートなど、地方に数多くあります。詳細をご説明する時間がありませんが、東京への一極集中が進む現状では、結果として地方プラントが担う役割が重要になっています。地方プラントは、もともと地方に根ざした中核企業であるケースが多いです。それらの企業が地域のために何ができるか、どのような施設を作っていくべきかを考え、その新陳代謝の最初の段階として解体業者が活躍します。
循環型ビジネスとしての脱炭素化の推進、サーキュラーエコノミーやサステナブルエネルギーは、現在の日本で非常に注目されている話題です。直近の地政学的リスクが高まる中で、単に環境の問題だけではなく、エネルギー自給率をどのように向上させるかという重要なテーマも含まれています。
自然エネルギーへの転換は非常に重要であることから、当社は解体という分野で、循環型社会の一部を担う企業として取り組んでいます。特に、当社は業界で唯一のプライム市場上場企業です。売上規模だけでなく、さまざまな活動を通じて社会的課題に率先して貢献していきたいと考えており、現在の状況や今後の取り組みをあらためて整理しています。
トピックス③-2 社会課題への取組み(省力化・省人化)
省力化・省人化についてです。少子化により労働人口が減少している現状を踏まえ、省力化や省人化が不可欠となっています。当社の工法は、まずは安全性を重視したものではありますが、現場に行かずに人工数を削減することも目指しています。また、他の方法とリンクし過ぎず、独自に問題を解決する方法を深化させることが重要だと考えています。
トピックス④ 3D計測技術の価値最大化(工事計画×3D計測)
4つ目は、3D計測技術についてです。これは、解体工事会社として先んじて手掛けた技術になります。当初はお客さまの要望に応じた3D計測を行い、プラントの改修や解体とは無関係な用途で利用されることが多くありました。しかし現在では、解体への活用を特に重視し、計画室と統合して業務を行っています。
スライド左側の画像は風車の転倒時のシミュレーションに使用した例です。3D計測を使って転倒軸をしっかりと設定し、倒す場所の精度をアップさせたり、ブレードと塔身との距離を測定するなど、さまざまな場面で利用されています。ブレードを取り外す際の足場の設置方法の検討にも活用されています。
スライド右側の画像は、倉庫関連の工事の一例です。ここでは重機と建物の干渉が起きるかどうかを事前に測定します。プラントは非常に広大で、現地でお客さまと話をする際に干渉の有無を逐一確認することは非効率的です。一方、3D計測データを事前に取得することで事務所内で干渉の有無を迅速に確認でき、非常に効率的です。
業績予想(2027年1月期)
業績予想についてです。中計では、2027年1月期は売上高を140億円、営業利益を12億円、親会社株主に帰属する当期純利益を8億円とする計画を立てていました。これは昨年9月初旬の中間決算時に発表したものです。
中計からの数値変更についてですが、これはさまざまな反省を踏まえたものです。当社はこれまで、高い目標値を立てて結果的に未達となる状況がありました。このような目標設定には、社内を鼓舞する意味もあったのですが、中間決算時点でもご説明したとおり、特に機関投資家のみなさまからは「毎回そのようなことを続けるのではなく、きちんとした予想を出してほしい」というご指摘を受けました。
機関投資家さまの中には、期待を寄せていただいたにもかかわらず「ベステラへの投資は難しい」とご判断された会社もあったかもしれません。そのような反省を踏まえ、2027年1月期は現実的な数字を設定するという思いで、この計画を立てています。
具体的には、例えばこれまでは進行基準での売上計上開始が8月から始まると見込んでいたところを、より精密に検討し10月からではないかと保守的に見込んでいます。また、「期中にこれぐらいは受注が取れるだろう」という曖昧な見積もりに頼ることなく、着実な計画を出しています。
比較的保守的に作成しましたが、完全に控えめというものでもありません。正直に言うと、以前はかなり楽観的な要素や期待を込めた部分もありました。この点は難しい問題です。業績予想をあまり低く設定するというのも、低い目標で会社を経営しているように見えてしまうため、それもおかしいと思います。
社内の目標と社外の目標を分けるといった方法もあるかもしれませんが、最も重要なことは、きちんと分析した上で妥当な数字を設定することだと思います。そのため、今回設定した数字は妥当なものだと考えています。なお、ご指摘いただいたとおり、やはり遅れる工事も出てくる可能性はあるため、その点も含めての設定です。
配当性向はやや高くなりますが、2027年1月期は全額を普通配当とし、前期比では減配しません。
業績予想(2027年1月期 四半期進捗)
これは、四半期ごとの業績予想を2026年1月期から定例化したものです。この数字もかなり精度が高いと考えており、継続する予定です。
配当方針
2027年1月期の配当予想については、前期の記念配当分を落とさず、普通配当として維持する予定です。
株主還元
株主優待についても現状の継続を予定しています。
前中計「脱炭素アクションプラン2025」の振返り
ここからは、「脱炭素アクションプラン2025」を振り返ります。過去においては、売上高目標は達成したものの、利益が達成できなかったという状況を繰り返してきました。
2026年1月期についても、当初計画の売上高100億円は前倒しで達成した一方で、営業利益については計画の10億円に対して7億4,100万円と、前期比では増加しているが目標には達していません。計画を発表した2021年3月時点では、売上高営業利益率を10パーセント確保すると明示していましたが、直近の四半期ベースでようやくその水準に近づいてきた状況です。
「脱炭素アクションプラン2025」重点戦略の振返り
詳細については時間の都合上省略しますが、スライドはこれまでお伝えした内容になります。
持続的に事業成長可能な年齢構成
当社の離職率は低く抑えられています。この要因の1つは、年齢層が若いことです。一般的に建設業界全体は年齢層の高い人材が多いですが、当社は他の大手や中小企業とは異なり、コミュニケーション能力が高く若い人材を採用し、社内で資格を取得してもらうことに重点を置いています。有資格者の年配者を採用する方法も完全には否定していませんが、若い人材の育成をより重視する方針です。
結局のところ、有資格者で報酬によって動く人材は、複数の会社を渡り歩く傾向にあります。そのため、当社では長く勤めてもらえる人材を採用し、育てていく方針を取っています。
プラント業界の動向
市場関係についてです。これまでお話しした内容のまとめとなりますが、現在は特にエネルギーの安定供給が注目されており、その需要は増加しています。風力発電も順調に拡大していく計画です。
プラント業界に対する各種政策
プラント業界に対する各種政策についてご説明します。カーボンニュートラルやカーボンプライシングの導入が始まり、多方面に影響を及ぼしています。当社のお客さまにも影響が及んでおり、当然ながら当社もその動きに対応して取り組んでいきます。
地域別 完成工事高(西日本・九州地区の強化)
拠点の拡充も実施します。誤解を招くおそれがあるため補足します。具体的には、2026年1月期の西日本・九州地区の完成工事高56億7,200万円には、岡山に拠点を有するオダコーポレーション社の数字が15億円程度含まれています。56億7,200万円という数字だけを見ると、西日本・九州地区だけで事業として成立するくらいの勢いに見えますが、グループ会社も含まれているため、厳密な意味では当社実績とはなりません。ただし、西日本・九州地区が着実に成長していることは確かです。
規模別 完成工事高
規模別の完成工事高についてです。ストック比率は、5,000万円未満の工事の割合になります。小規模の工事も手掛けなければ大型工事を受注することは難しいため、小規模な工事案件も順調に取りながら、全体的な成長を続けています。
各指標の推移
各指標の推移になります。これまでにも何度かお話ししていますが、直近の売上高は伸びている一方で、一時的に利益が減少する局面がありました。しかし、最近では利益も追いつく体制が整い、安定してきた状況です。
<参考資料>中期経営計画2030 定量目標 KPI
「中期経営計画2030」の定量目標およびKPIです。2027年1月期の業績予想については、米印で記載しているとおり、精査および修正を行っています。なお、この説明だけでは不誠実、逃げているのではと感じており、説明が不足している点についてお詫びします。精査の内容としては、工事の着工が遅れる場合のリスクなどをより保守的に考慮したものであり、特別な失注や人員確保の停滞、うまくいっていない問題があるといった状況ではありません。あらためて数字をしっかりと見直した結果です。
2028年1月期以降の見直しはしていませんが、現時点では大量の工事が控えているため、計画値を据え置いています。当然ながら、まだ注文書が発行されていないため、状況が変わる可能性もなくはないですが、複数の場所にわたって有力な大型案件が控えており、2年後以降にはかなり期待が持てる状況です。
<参考資料>地域別の引合い状況(2026年1月末時点)
その根拠としては、引き合い状況が非常に旺盛であることが挙げられます。特に関東エリアや西日本エリアが多く、西日本ではまだ円グラフが小さい近畿・四国・九州が伸びしろとなります。中国地方でも岡山・広島・山口にプラントが多いですが、それ以外の県にも需要はあります。
次ページ以降の内容は中期経営計画と同じ内容となるため、本日はご説明を割愛します。以上です。ありがとうございました。
質疑応答:プライム市場への上場維持について
司会者:「業績について長い時間をかけてご説明いただきました。一方、社長は来期のオーガニックな業績・利益水準について、プライム市場にとどまることが適切と考えていますか? もしなんらかのテコ入れが必要とお考えであれば、例えば配当をどの程度まで引き上げるべきだとお考えでしょうか? また、いったんプライム市場から移行し、短期的な業績よりも成長投資に集中する選択をする可能性はありますか?」というご質問です。
本田:プライム市場の維持について、基本的には、適正な利益を上げることで適正な指標に基づいた株価が形成され、その結果として時価総額が上がると考えています。そのため、トリッキーな手法は採用しない方針です。
今年の年末時点での流通株式時価総額はおそらく現状と同じ水準になると予想しています。ただし、その時期は来期の状況が少し見えてくるタイミングであり、投資家のみなさまにどれだけご期待いただき、信頼いただけるかが株価に影響してくる部分もあると考えています。一方、その時点で流通株式時価総額が未達であったとしても、今回はプライム市場の上場維持基準はクリアしているため、市場移行はさらに1年猶予があると思われます。
今回、プライム市場の上場維持基準をクリアしたことは非常に大きな成果だと思っています。ただし、なんらかの利益構成を変えることや、プライム市場への固執を目的として何かトリッキーなことをしようとは考えていません。
何度もお伝えしていますが、当社はスタンダード市場に移行しても商売自体はほとんど変わらないと思います。また、採用への影響もそれほど大きくないと考えています。ただし、当社は業界全体が良い方向へ進むことを考えて、リーディングカンパニーとしての取り組みを続けていきたいと思っています。これは先ほどご説明した循環型社会の実現に向けた取り組みと関連しており、解体工事会社が小規模な事業者に分散している現状をまとめていきたいという思いがあります。
また、当社だけが成長すればよいという話ではなく、業界全体で優秀な人材に来てもらえる存在でありたいとも思っています。そのため、プライム市場での上場を維持し続けることへの強い意欲を持っています。
プライム市場から移行したらそれらができない、というわけではありません。ただし、プライム市場で上場し続けられるようであれば維持し、責任を果たしたいと思っています。
質疑応答:元請利益率改善の要因について
司会者:「元請利益率が足元で改善している要因について教えてください。また、改善傾向にもかかわらず目標としている30パーセントには達していないようですが、今後どのように改善を進めていく計画でしょうか? また、いつ頃30パーセント水準に到達するかのイメージも教えてください」というご質問です。
本田:低利益率での契約が減少し、妥当な利益率を確保できるようになってきたことが大きな要因です。目標達成時期については、現時点で明確にご回答することは非常に難しいです。
解体工事会社が増えており、価格で勝負をしようとする会社が非常に増えています。また、東京の会社が地方に進出する動きが見られます。これまでプラントを扱っていなかった解体会社がプラントの工事を始めるケースも増えてきました。高炉のような困難な作業は依然として少ないものの、難易度が低い設備工事であれば手を挙げる会社もかなりあります。
しかし、これは安全面の上で非常にリスクが高いです。解体工事についても、一見すると更地にするだけで簡単なように思われがちですが、実際はそう単純なものではありません。事故が発生すれば「安ければいい」という認識が大きく変わる可能性もあります。そのような淘汰によって自然と適正な価格に見直され、利益率が向上することもあるでしょう。
また、当社の立場では、単純に利益を追求するだけでなく、従業員や研究開発に利益を活用したいと考えています。解体業界は建築や土木に比べて平均給与が大幅に低いと指摘されており、これを改善しない限り業界全体の発展は難しいと思います。そのような点も含め、利益を活用して業界全体を良くしていきたいと考えています。
すべての状況が「やむを得ない」と考えているわけではありません。もちろんゼネコンなどでは、上下はあるものの、当社と同程度の売上総利益率を計上している企業が多いと思います。ただし、以前は売上総利益率が低かった状況がありました。現在、多くの企業が売上総利益を受注の際の選択肢の1つとし、売上総利益率の向上を実現しています。そのため、当社も売上総利益率を向上させていく必要があります。
明確な時期についてはお伝えできませんが、改善の兆しは見えてきていると思います。