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GMO-GS Research Memo(6):2035年には売上高1,000億円を目指す

■GMOグローバルサイン・ホールディングスの今後の見通し

1. 2026年12月期の業績見通し
2026年12月期業績は、売上高22,286百万円(前期比7.8%増)、営業利益1,622百万円(同10.0%増)、経常利益1,589百万円(同10.7%増)を見込み、増収増益基調を維持する。

成長戦略として、電子認証を基盤とした「信頼の基盤」と、拡大するクラウド市場を捉える「成長のエンジン」という2つの強みを軸に、収益向上と領域拡大により企業成長を目指す。

2. 事業セグメント別の見通し
(1) 電子認証・印鑑事業
電子認証・印鑑事業は売上高14,353百万円(前期比10.3%増)、営業利益1,612百万円(同20.0%増)を予想している。

電子認証事業では、SSL証明書の有効期間短縮化に対応する証明書ライフサイクル管理サービスを戦略の中核に据え、3つのソリューションを提供予定である。企業ロゴ所有証明書(VMC)の拡販も重点施策となる。VMCを発行できる電子認証局は世界で3社のみであり、競合のEntrustが2024年6月以降に市場から順次撤退したことで、同社はその代理店を取り込むことに成功している。国内では一気通貫のワンストップ提供、海外ではメール設定企業との事業提携により販売を拡大する。

GMOトラスト・ログインは、収益化フェーズへの本格移行により成長が加速する。2026年は外部顧客IDアクセス管理(CIAM)分野へ参入し、顧客基盤を拡大する。2025年に開始のSaaS管理サービスにより、既存顧客の顧客単価向上も実現する。

GMOサインは、投資フェーズから収益化フェーズへ舵を切る。医療や建築業界といった高度なセキュリティが求められる領域へ深耕し、高付加価値な電子署名利用シーンを拡大する。全国208件超の導入自治体のネットワークを生かしたエコシステム戦略により、周辺事業者への利用拡大を加速させる。

(2) クラウドインフラ事業
クラウドインフラ事業は売上高7,482百万円(前期比2.8%増)、営業利益0百万円を予想している。増収を見込む一方で、戦略的な一時減益を計画している。

減益の主因は、VMwareライセンス高騰の影響を受ける一部サービスの統廃合である。VMwareは数倍規模の大幅な価格引き上げを実施しており、為替影響も重なり一部サービスの利益率が著しく低下している。低利益率サービスを終了し、人材を高成長のCloudCREWに集中投入することで、2027年以降の一段上の成長軌道を実現する。もう一つの減益要因は、Photonの提供元との契約形態変更である。

CloudCREWは引き続き高成長を継続する見込みで、AWS SMBコンピテンシー認定を活用した中小企業向け新規獲得を強化する。積極的な人材投資を継続し、グループシナジー効果も一層強化する。

(3) DX事業
DX事業は売上高1,046百万円(前期比13.8%増)、営業損失48百万円を予想しており、赤字幅の縮小を見込んでいる。

成長の主因は、過去5年間推進してきたストック型サービスへの構造改革の成果が本格化することである。ビジネスモデル転換がほぼ完了し、安定収益基盤が確立されたことで、売上成長が加速する段階に入る。GMOデジタルPayは政府の物価高騰対策交付金の対象事業となり、自治体からの受注が増加する。hakaru.ai byGMOは人手不足を背景とした点検業務デジタル化ニーズが拡大し、登録メーター数の増加が続く見込みである。

3. 中長期の成長戦略
(1) 成長戦略の方向感
同社は中期経営計画の数値目標を開示していないが、2022年12月期から2026年12月期までの5ヶ年を「長期的な企業価値向上のための土台構築期」と位置付け、中期経営方針として表明している。

この期間において、事業領域を「電子認証・印鑑事業」「クラウドインフラ事業」「DX事業」の3つに区分し、それぞれを「重点成長分野」「持続成長分野」「次期成長分野」と定義し、提供サービス及び体制基盤の強化を進めている。

a. 重点成長分野
重点成長分野である電子認証・印鑑事業では、トップシェアのストック型サービス基盤を確立するとともに、グローバル拠点の継続的成長を実現するため、経営資源を集中的に投入し、成長循環の活性化を図る。
b. 持続成長分野
持続成長分野であるクラウドインフラ事業では、安定的な収益源としての役割を果たすべく、マネージドサービスによる売上拡大、既存顧客との関係深化による利益成長、さらには業務効率化を通じた収益体質の強化を推進し、着実な利益創出を実現する。
c. 次期成長分野
次期成長分野であるDX事業では、次世代の事業環境に対応するための技術研究・開発活動を推進し、未知の領域に向けた多様な取り組みを通じて、新規事業領域への展開を目指す。

また、成長の源泉は人財であるとの認識に基づき、自律型人財が育つ風土の醸成を図る。具体的には、働き方改革の推進、システム刷新によるコミュニケーション強化、制度と環境を整備し、組織力の強化を実現する。また、長期的な企業価値向上には、環境・社会課題への対応が不可欠である。同社は、働く環境の強化、セキュリティリスク対応の徹底に加え、クラウドインフラやSSLをはじめとするセキュリティサービス、さらにはDX支援サービスを通じて、社会課題の解決に貢献する。

長期的には、こうした取り組みにより2035年には売上高1,000億円を目指す。1,000億円のうち半分程度は現行ビジネスの延長によって積み上げ、残りは新規事業の立ち上げとM&Aにより埋める計画である。2040年には電子認証関連サービスにおいて世界一となることを目指している。認証局のみならず、GMOサインやeシールなどを含む電子認証を中心としたIT企業として成長していく方針である。

(2) 収益力向上の取り組み
収益力向上の取り組みでは、顧客単価向上と利益率向上を重視する。電子契約サービスGMOサインでは、2025年に実施したプラン改定により高セキュリティプランの提供を開始し、既に平均顧客単価の向上を確認している。医療や建築業界といった高度なセキュリティと信頼性が求められる領域への展開を推進し、電子署名の利用シーン拡大を図る。全国208件(2026年1月末時点)を超える導入自治体のネットワークを生かし、周辺事業者への利用拡大を通じたエコシステム戦略も加速させる。

ログイン認証サービスGMOトラスト・ログインでは、従来のIDaaS中心のサービスから、SaaS管理サービスへと事業領域を拡大している。2026年は外部顧客IDアクセス管理(CIAM)分野への参入により、顧客基盤をさらに拡大する。マネージドクラウドサービスCloudCREWでは、AWS SMBコンピテンシー認定取得を生かした新規獲得強化に加え、積極的な人材投資により一段上の成長軌道を目指す。

(3) 領域拡大の取り組み
領域拡大の取り組みでは、海外販売の強化を掲げる。企業ロゴ所有証明書(VMC)は、国内外で積極的な販促活動を実施する。VMCを発行できる電子認証局は世界で3社のみであり、国内企業では同社が唯一の存在である。競合のEntrustがコンプライアンス違反により2024年6月以降、順次市場から撤退を強いられたことで、同社はその代理店を取り込むことに成功している。また、耐量子計算機暗号(PQC)やデジタルコンテンツの信憑性確認技術C2PAなど次世代技術への先行投資も継続する。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 中西 哲)

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