マネーボイス メニュー

トーヨーカネツ、物流ソリューション、タンク、環境防災の3事業で成長を加速

本日のご説明

大和田能史氏(以下、大和田):みなさま、こんにちは。ただいまご紹介いただきました、トーヨーカネツ株式会社代表取締役社長の大和田です。本日は、ご多忙の中、トーヨーカネツグループの会社説明にご参加いただき、誠にありがとうございます。

本日は、トーヨーカネツがどのような会社なのかという会社概要に少し触れた後、これまでの歩み、そしてこれからの展望や目指すべき方向性についてお話ししたいと思います。

会社概要

大和田:まずは、会社概要です。当社は1941年に創立され、今年で85年目を迎えます。東京証券取引所に上場して65年目で、プライム市場では機械セクターに分類されています。

「わが社は 常にすすんで よりよきものを造り 社会のために奉仕する」という社是のもと、創立以来、社会課題の解決に貢献してきました。

まずは百聞は一見にしかずということで、会社紹介の動画をご覧ください。

(動画始まる)

ナレーション:必要なものが必要な人に届くのは、物流システムを支える会社があるからです。必要なエネルギーが必要なところに届くのは、インフラを支える会社があるからです。

トーヨーカネツは創立以来、「わが社は 常にすすんで よりよきものを造り 社会のために奉仕する」という社是のもと、物流ソリューションとエネルギータンクの最先端技術を取り入れ、時代のパイオニアとして社会インフラの高度化に貢献してきました。

そして現在、革新的な技術と実行力で社会課題を解決する「ソリューションイノベーター」となることを掲げ、物流ソリューション、プラントに加えて、次世代エネルギー開発、みらい創生という3つの事業を展開しています。

物流ソリューション事業では、トーヨーカネツが物流システムのコンサルティングから設計、開発、製造、施工、メンテナンスまでを一括して提供し、お客さまにとって最適なソリューションをワンストップでご提供しています。幅広い業種のニーズに対応し、システムを構築しています。

また、多様化・高度化する物流システム事業に応えるためのソリューションにも対応しています。さらに、オープンイノベーションを積極的に推進し、AIやロボティクスなどの最先端技術を導入し、次世代物流システムの構築を目指しています。

そのほか、空港の大規模化にも対応しており、羽田空港をはじめとする国内空港の8割以上に、高い信頼性を誇る手荷物搬送システムを納入しています。

自動手荷物預け機をはじめ、高速ベルトコンベアや水平分岐装置など、手荷物にも優しい先進技術を活用した独自のシステムにより、より早く安定した搬送を実現し、快適な空の旅を支えています。

プラント事業では、トーヨーカネツは高いプロジェクト遂行能力とメンテナンス技術を強みとし、高品質で安全性を兼ね備えたタンクを世界中に5,700基以上納入してきました。世界トップクラスのタンクメーカーとして、設計から施工、メンテナンス、改修工事に至るまで、トータルエンジニアリングをご提供します。

次世代エネルギー開発事業では、タンクメーカーとして培ったコア技術の1つとして、大型化にも対応可能な優れた溶接技術を有しています。新工法や新素材を取り入れながら、常に新しい技術に挑戦し、世界のエネルギーインフラを支え続けています。

近年ではその技術力を活かし、世界最大級となるLNGタンクを建設しました。さらに、カーボンニュートラル社会へ向けた次世代エネルギーへの転換に寄与するための大型液化水素タンクの実用化など、さまざまな技術開発を推進しています。

みらい創生事業では、サステナブルな社会の実現に向け、物流ソリューションやエネルギータンクに加え、新しい事業を創出します。環境問題の解決、防災対策や労働人口減少を補う産業機械の開発など、幅広いニーズに応えることで、新たな価値の提供を目指します。

「ACTION FOR THE FUTURE 期待を超える実行力で、未来を支えるチカラになる」

(動画終わる)

3つの事業

大和田:動画にもありましたが、トーヨーカネツは3つの事業を展開しています。

1つ目は物流ソリューション事業で、生協、空港、ネット通販など物流センター内部のシステムを設計から施工、メンテナンスまで手掛けています。

2つ目はプラント事業で、主に国内製油所の原油タンクなどのメンテナンスを行い、新規タンクの受注活動や、次世代エネルギーとして期待される水素貯蔵タンクの開発を手掛けています。

3つ目はみらい創生事業で、環境・防災領域を中心に、アスベスト検査や河川、地滑りなどに関する計測機器の製造・保守を行う子会社を束ね、M&A活動も推進しています。

現在の売上高比率は、物流が60パーセント、プラントとみらい創生がそれぞれ20パーセント程度です。

目指す未来

大和田:当社グループが目指す姿は、社会課題の解決を通じて未来を支え続ける会社となることです。社是を経営理念とし、経営ビジョンは「革新的な技術と実行力で、社会課題を解決する『ソリューションイノベーター』」です。

私たちは、もの作りの会社として、常に新しい技術やソリューションを取り入れて課題を解決し、インフラを支えていくことを掲げています。また、それを実行に移すことを最重要事項と考え、スローガンとして「ACTION FOR THE FUTURE」を掲げました。

目指す未来

大和田:経営のアクションとして優先的に取り組むべき重要な経営課題、マテリアリティを示したものがこちらのスライドです。

経営を取り巻く環境はここ数年で大きく変化しています。その変化に対応し、事業を通じた社会課題の解決、競争力強化、経営基盤の3つのテーマで今年度見直しを図り、8つの新しいマテリアリティを策定しました。

特に、事業を通した社会課題の解決については、プラント事業でカーボンニュートラル社会の実現、みらい創生事業で生活環境や防災環境の強靱化、物流ソリューション事業で現場の省人化・無人化を実現することで、サステナブルな社会を構築していきます。今後もマテリアリティに沿って、積極的にESG経営を進めていきます。

関本圭吾氏(以下、関本):ここまでの企業概要について、1つ質問します。正直、タンク事業が祖業にあたるのかと思いつつ、そこから物流、みらい創生と幅広く展開されています。どのような経緯で現在の事業に至ったのか、ぜひお聞かせください。

大和田:タンク事業は、もともと創業時にボイラーの仕事をしており、その溶接技術を活用してタンク事業に展開していったものです。

物流ソリューション事業については、当時の経営者が「1つの事業だけでは安定性がない」と考え、もう1つ新たな事業を立ち上げようとアメリカに視察に行ったのが始まりです。アメリカ国内で高い生産性を持つコンベアシステムを導入した物流センターを見て、それを日本に導入しようということで、物流ソリューション事業が誕生しました。

それから、みらい創生事業については、2017年に祖業であるタンク事業と物流事業の売上高と営業利益がちょうどクロスポイントを迎え、タンク事業が少し落ち着いてきたことから、さらにもう1つなにか新たな事業を模索する中で、みらい創生プロジェクトを立ち上げました。このプロジェクトがその後100億円規模となり、正式に事業として3つの柱の1つに成長しました。

関本:事業の多角化や安定化について、社内で議論や意識が共有されていたということでしょうか? 

大和田:祖業であるタンク事業が非常に堅いものなので、社風も真面目で、新しい事業に取り組む際には、背中を押してあげないとなかなか一歩踏み出すことが難しい状況でした。当時の経営者がその役割を果たし、この3つの事業につながったと思っています。

国内・海外の事業実績(物流・タンク)

大和田:ここからは実績を含め、当社がこれまでに行ってきたことについてご説明します。

創業当時は、社会の動きに合わせてボイラーや橋、鉄塔の製造などを手掛けていましたが、業務が多岐にわたり非効率な状況でした。そこで、1955年にタンクと物流に経営資源を集中させました。

この2つの異なる事業が互いに業績を補完し合いながら成長してきました。現在は、国内を中心に営業展開を行っていますが、納入実績についてはスライドの図にあるとおり、タンクは東南アジア、中東、アフリカで、物流はアジアの空港を中心に実績を積み上げてきました。

実績 物流ソリューション事業

大和田:当社の強みについて、実績をもとにご説明します。まず、物流における強みについてです。

スライド左上から順に、生協は、市場規模が3兆円を超える大きな市場であり、当社はその配送に欠かせないピッキングシステムで70パーセント以上のシェアを有しています。

そして、空港です。空港で預けた手荷物を便別に仕分けし、到着地でみなさまのいるところまで運ぶ手荷物搬送システムは、国内空港の80パーセント以上で利用されています。空港で手荷物を受け取るときにベルト部分を見ていただき、「TKK」と書いてあれば当社の製品です。

「Amazon」や「アスクル」などに代表されるネット通販でも当社は活躍しています。みなさまが購入ボタンを押した商品を、大量に保管されている商品群の中からいかに早くお届けするか、その心臓部ともいえるシステムを当社が担っています。

最後に、ここ数年「顧客の拡大」というテーマで取り組んできた製造業への進出です。もの作りには、当社が得意としている原料供給システムや半製品保管システムが必要です。この部分はまだ人海戦術に頼ることが多く、今後は省人化や自動化が求められると予想しています。

実績 プラント事業(タンク)

大和田:次に、タンク事業についてです。数年前の「会社四季報」によると、トーヨーカネツは世界第2位のタンクメーカーとして紹介されています。当社は国内外で累計5,700基を超えるタンクの実績を持ち、極低温・大型タンクの製造を得意としています。

一例として、関西で納入した23万キロリットルのLNGタンクは、世界でも最大級の規模で、直径90メートル、屋根を含めた高さは60メートルの大きさです。このタンクは、一般家庭約33万戸分の年間使用量に相当するガスを貯蔵することが可能です。なお、33万戸という数字は徳島県の世帯数に匹敵し、このタンク1基で徳島県の1年分のガスを貯蔵できる計算になります。

また、現在当社の主力業務は、国内の原油タンクを中心としたメンテナンスですが、昨年度はマレーシアにおいて複数の低温タンクの再生プロジェクトを受注しました。

最後に、スライド右下に記載されていますが、次世代エネルギーとして期待されるマイナス253度の超極低温を保つ大型液化水素タンクを、政府機関と共同で開発しています。

分子や原子の運動が理論上完全に停止する、地球上で最も低い温度といえる「絶対零度」がマイナス273度であることからも、この技術がいかに高いハードルを持つか、おわかりいただけると思います。

さらに、水素社会の到来までの代替エネルギーとして期待されるアンモニアや液化CO2の貯蔵タンクに関しては、製造技術を確立し、いつでも販売できる体制を整えています。

前中計期間の実績振り返り

大和田:振り返りの最後に、2025年3月期に終わった前中計の成績をご報告します。

スライド左側をご覧ください。主力となった物流ソリューションを中心に、この3年間で業績をアップトレンドの軌道に乗せることができました。

3年間で見ると、売上高は28パーセント増の604億円を記録し、過去最高となりました。そして、営業利益は66パーセント増の41億3,000万円となりました。

また、株主還元については、当初計画30億円に対して配当が46億円、自己株式の取得を含めると61億円に達しました。業績向上に伴い、配当も5期連続で増配することができました。

また、業績向上と連動するように、私が社長に就任した2022年3月期の株価は1,226円でしたが、今年2月末には3,085円と、3,000円を超える水準となりました。

関本:これまでの取り組みについて、いくつかご質問します。まずは、株価上昇おめでとうございます。一つひとつ、強みについてうかがいたいと思います。

最初に挙げられた物流ソリューション事業についてです。生協は私もよく使いますし、空港でもおそらく使ったことがあるシステムです。なぜこれほどまでにも高いシェアを確保できているのか、どのような点がお客さまに評価されていると考えればよいのでしょうか?

大和田:物流については、我々はメーカーとしてスタートしました。具体的には、コンベアメーカーとしてアメリカから技術を取り入れて事業を開始しました。

現在の事業もそうですが、我々はソリューション、すなわち課題解決の提供に重きを置いています。もちろんハードウェアは事業の重要な要素です。しかし、単にハードを販売するのではなく、課題解決というかたちでお客さまに価値を提供することが、我々の最大の特徴です。

加えて、自社製品に限定せず、さまざまな企業の製品や先端技術を取り入れてお客さまに提供しています。ただし、メンテナンスについては、他社製品であっても我々がすべて対応します。この点が、お客さまから強い信頼を寄せられている理由の1つだと考えています。そして、この仕組みによって事業が着実に拡大していると考えています。

関本:一般的なメーカーであれば自社製品を優先して売り込みたくなるところですが、それにとらわれず、お客さまのメリットを最優先に考えているということですね。お客さまのニーズには「精度を高めたい」「スピードを重視したい」といったようにさまざまな要望があるという理解でよいのでしょうか? 

大和田:おっしゃるとおりです。1つのポイントとして、物流が経営戦略の一環として重要視されるようになってきています。そのため、早急に計画を立てて、迅速に導入したいというニーズは、お客さまがとても重視している点だと思います。

こうしたニーズに応えるため、我々はプロジェクト管理能力の向上や製品の標準化を進め、お客さまに迅速に提案・提供できる体制を整えることが非常に重要だと考えています。

関本:続いて、プラント事業やタンク事業についてもお話をうかがえればと思います。世界第2位というポジションについては存じ上げませんでしたが、タンク事業がこれほど高い評価を受けている理由について教えていただけますか? 例えば、製品の性能や容量の大きさなど、競争力の要因はどこにあるのでしょうか? 

大和田:我々がエネルギー分野、それも液化天然ガス(LNG)のタンク事業を先駆的に開拓したことが、大きな要因だと思います。当時はLNGを液化して貯蔵するタンクが普及していませんでしたが、こうしたタンクの開発に成功したことが、我々の技術力を大きく伸ばすきっかけとなりました。

その後、原油タンクやガスタンクなどの受注も増加し、技術が世界的に認められた結果、競争力につながったのだと思います。この技術力こそが、我々の最大の強みです。

関本:先ほど、極低温のタンクについてお話がありましたが、何をどの程度の温度で保存するか、またどのくらいの期間保存するかといった条件に合わせて開発されているのですか? 

大和田:特にLNGや、現在開発を進めている水素は非常に気化しやすい特徴があります。そのため、気化した状態では非常に大きな容積を必要としますが、それを液化して縮小し、貯蔵する技術には、我々が先んじた技術力があると考えています。

関本:聞けば聞くほど、物流とタンクはまったく別の事業のように感じます。

大和田:確かにそうですね。ただ、もともとは両事業がお互いを補完し合うような構造を取っていました。どちらかが少し低迷しても、もう一方が支えるという仕組みがポイントだったと思います。その点で、異なる事業性があるのだと考えています。

関本:最後に、中期経営計画期間である2023年から2025年についておうかがいします。物流ソリューションとプラントの両方が成長の柱とされていますが、成長の背景や詳細について教えていただけますか? 

大和田:タンク事業については、売上が大幅に上がったというわけではありません。むしろメンテナンスが中心ですので伸びは大きくないのですが、利益率が改善しています。これは、プロジェクト管理をしっかり行っていることなどが大きな要因ではないかと考えています。

それから、ソリューション事業の物流についてですが、メンテナンス拠点を増やし、メンテナンスの売上が非常に上がっているということです。最近では高度化した物流センターが増えている中で、物流が止まるとお客さまの信頼そのものが損なわれてしまうため、メンテナンスに対してお客さまが非常に強い関心を持っています。

そうした需要に対して、我々がうまく対応した結果が、利益の増加につながっているのではないかと思います。

関本:他社を見ても、メンテナンス部門は収益性が高い印象がありますが、やはり御社でも同様でしょうか? 

大和田:おっしゃるとおりです。我々が行ったプロジェクトは、自社でメンテナンスをしっかり行っていますので、その点で利益率は高いかと思います。

新中計期間の業績予想・事業収入の使途計画

大和田:これからの姿についてお話しします。前中期経営計画の最終年において、初めて売上高が600億円を超えました。それに引き続き、新中期経営計画期間の業績予想も増収の計画です。この数字にはM&A効果や営業外損益、特別損益は盛り込まれていません。ROEに関しては、本業の収益で8パーセントを達成していきます。

スライド下の図は、今後3年間の事業活動による収益と、調達した資金をどのように使うかを示したものです。

株主還元に関しては、持続的かつ安定的に株主さまへ配当できるよう、配当性向からDOEへ方針を変更しました。この中期経営計画では、50億円以上を株主のみなさまに還元する見込みです。

また、今年1月1日付で普通株式を2分割しました。これにより株価を引き下げ、より多くの投資家のみなさまが活発に取引しやすい環境を整えました。

資本政策では、純資産比率を50パーセント程度に設定し、財務の健全性を確保しつつ、DEレシオを0.8倍、借入金を活用しながら事業成長を促進します。資本コストを意識し、企業価値の向上に努めていきます。

新中計期間の市場環境と基本方針

大和田:ここからは事業の展望についてお話しします。前中計は、2030年に目指す姿をもとにバックキャストして作成されたもので、おおむね計画どおり進捗し、また継続して取り組むべき課題があることから、新中期経営計画はその流れを継承したものとしました。

当社の主力事業である物流ソリューション事業の市場は、新規案件やリニューアルを含めて拡大傾向にあります。プラント事業では、メンテナンス需要が安定的に推移すると予測されるため、収益を確実に確保していきます。

水素分野については、国のロードマップで実現時期がやや先延ばしになっていますが、研究開発を継続していきます。また、環境・防災を中心に据えたみらい創生では、自然災害の激甚化に伴い防災庁の設置準備が進むなど、新たな市場が形成されることが見込まれます。

これらを見据えて、2027年までの3年間の基本方針を「未来に向けた成長基盤の確立」としました。

各事業を取り巻く市場データ

大和田:こちらのスライドは、市場環境に関するバックデータの一部です。

左側は物流ソリューション事業で、EC比率が今後も拡大していくという予測を示しています。

中央はプラント事業で、原油タンクのメンテナンスや原油の貯蔵量が依然として十分にあると考えています。

右側はみらい創生事業で、最近の災害がますます激甚化しているというデータを示しています。

これらを踏まえて、どのような市場チャンスを捉え、成長させていくのかについて、3つの事業の長期的な展望をお話しします。

物流ソリューション事業の展望

大和田:まず、物流ソリューション事業についてです。少子高齢化に伴う労働人口の減少に対し、無人化ソリューションを推進していきます。生産労働人口は、2020年と比べて2050年には30パーセント、約2,200万人減少すると予測されており、それに伴い倉庫内のリニューアルを含む自動化が必須になると考えています。

さらに、安定稼働を支えるメンテナンスサービスも、システムの自動化が進むにつれ、よりいっそう重要性が増すと考えています。

当社はソリューションベンダーとして、メンテナンスは自社製品だけでなく、他社製品についても行っています。それがお客さまから信頼されている要因の1つであり、拠点の整備や人材育成にも力を入れています。

プラント事業・次世代エネルギー開発センターの展望

大和田:タンク事業の展望です。タンク事業では、カーボンニュートラルという社会課題を、タンクのメンテナンスと製造を通じたインフラで解決し、クリーンエネルギー社会の実現を目指します。

現時点では石油やLNGが主なエネルギー源であり、現在はカーボンニュートラルに向けた過渡期にあると言えます。

水素社会が実現するまでの間、発電所やプラントから発生するCO2を液化して保管するタンクや、代替燃料として期待されるアンモニアを貯蔵するタンクなど、低温液化貯蔵タンクは今後も欠かせないものとなります。

液化CO2とアンモニアに関しては、すでに開発やチェックを終えており、いつでも建設できる技術と体制を保持しています。一方で、水素については、先ほど2040年頃というデータがありましたが、それに先駆けて2027年度には開発を完了する予定です。

当社は、ほぼすべてのエネルギー媒体を大量に保管できる技術を有する、数少ないタンクメーカーです。これまでに世界で5,700基のタンクを納入してきた技術力とプロジェクト遂行力が、今後も活かされると確信しています。

みらい創生事業の展望

大和田:最後に、みらい創生事業です。みらい創生事業は、環境と防災を軸に成長を目指し、環境リスクや災害の激甚化に対応するため、環境・防災関連の機器製造、保守、調査、分析などの活動を通して、多様でサステナブルな生活を支えていきます。

この事業は、物流、タンクに続く第3の事業確立を目指し、2017年から本格的に環境・防災領域に進出しました。

地方創生構想や防災庁設立といった市場の追い風を受けつつ、成長を進めていきます。グループシナジーをどう生み出していくか、その先にM&Aも視野に入れながら、第3の柱としての存在感向上を図っていきます。この事業は、今後、トーヨーカネツが成長拡大していくための1つのエンジンと考えています。

2030年のポートフォリオ変化

大和田:以上の説明を踏まえ、2030年のポートフォリオを想定した図がこちらです。

物流ソリューション事業は、業務内容の拡大、新規顧客の開拓、メンテナンスの強化を通じて、主力事業として引き続き成長路線に乗せていきます。

みらい創生事業では、環境系や防災系企業のM&Aを推進し、グループ会社間のシナジー効果を最大化していきます。

プラント事業では、タンクメンテナンスを中心に安定的な収益の維持を図るとともに、国内外のタンク新設需要の取り込みや、水素をはじめとする次世代エネルギー貯蔵タンク技術の獲得を目指していきます。

2030年の売上と株価を見据えた経営

大和田:これらの活動を通じて、株価にも良い影響を与えられるよう企業価値を高めていきます。

まず、2030年には当社グループ全体で売上高900億円を目指しています。これは、2024年度と2020年度の比較で1.4倍という勢いで成長を続ければ、目標の達成は可能です。

物流事業では、現在の売上370億円を自助努力による事業領域の拡大や市場拡大で450億円に引き上げ、さらにM&Aによって仲間を増やし600億円を目指します。プラント事業では150億円、みらい創生事業ではシナジー効果を発揮して150億円にそれぞれ拡大させることで、売上900億円の達成を目指します。

また、当社が積極的に推進しているESG経営が、世界的評価機関であるFTSE Russell社に認められ、ESGインデックス構成銘柄に選定されました。この指数に連動したファンドを通じて、ESG投資を呼び込んでいきます。

また、IR活動についても積極的に展開しています。個人投資家のみなさまはもちろん、ロンドン、ニューヨーク、シカゴ、香港、シンガポールといった都市にも出向き、機関投資家との対話を重ねています。このような直接的な対話を通じて、個人投資家のみなさまや海外投資家の保有株数も増加しています。

売上高の増大、資本効率の向上、事業成長策を推進することで、企業価値の向上を図り、PBR1倍を達成しました。また、株価も3,000円を超える水準となっています。

これからも企業価値をさらに向上させ、その価値を株価に反映させていきます。みなさまのご支援をよろしくお願いします。

ブツリュー と タンくん

大和田:当社のキャラクターである「ブツリュー」と「タンくん」を紹介します。画面に映っているのは、横浜スタジアムのバックネットで「ブツリュー」と「タンくん」が応援している様子です。このほか、さまざまな駅や空港にも、「ブツリュー」のほうが目立つかたちで登場しています。

スポーツ協賛にも積極的に取り組んでおり、特に当社は東京都江東区に拠点を置いていることから、B1リーグの「アルバルク東京」およびB3リーグの「東京ユナイテッドバスケットボールクラブ」という、バスケットボールチームを応援しています。

また、当社には千葉県出身の社員が非常に多いため、一宮町出身のプロサーファーである稲葉玲王選手の応援も行っています。以上で説明を終わります。

関本:これからの姿のところで、お話をうかがいたいと思います。まず、物流ソリューション事業についてですが、現在も売上比率として大きな部分を占めています。私も無人化や省人化が非常に大きなテーマと認識しており、この分野だけでも成長のポテンシャルがあると感じています。

現在、御社とお客さまとの間でこの無人化や省人化について、どの程度の中長期的なスパンを想定して、またどこまでお客さまと深く議論を進めているのか、その印象をお聞きしたいです。

大和田:特に私どもは、先ほど述べた4つの得意分野について、3年、5年、10年といった中長期的なスパンでお客さまと対話を重ねてきています。

また、新規のお客さまについても、その経営方針に合わせたかたちで、どのような自動化が最適であるかを検討しています。自動化を進める際には、基本的に設備投資のコストが増加するため、採算分岐点をしっかり考慮した上で提案を行うという状況です。

特に、先ほど「空港の80パーセントを当社が担当しています」と申し上げましたが、空港については、2023年からインバウンドが増加しており、効率を向上しなければならないという方向性になっています。そのため、現在新しいシステムを開発中です。

関本:すばらしいですね。ちなみに、このプロダクトや新しいシステムが重要な要素になるのかについて、御社としても営業や作業人員の確保、営業強化による新規顧客の獲得など、プロダクト以外に取り組むべき要素はあるのでしょうか? 

大和田:生産性向上と人材力強化は、経営として永遠のテーマと言えます。そのため、生産性向上では、AIをどのように活用するかが鍵となります。現在、社内業務の効率を上げるために、まず社内での取り組みを進めています。

また、AIの活用については、社内だけでなく、特に物流の分野においても重要です。当社はもともとハードの会社としてスタートしましたが、ソフトの会社へ転換を図っており、AIをどのように活かしていくかが大切だと考えています。

人材育成については、昨年の新中期経営計画からHR担当役員としてヒューマンリレーションの専門役員を配置し、現在必死に取り組んでいます。今年から来年度にかけて、新しい人事制度をスタートさせる予定です。

関本:次にプラント事業について、メンテナンスを中心に収益を上げているとのことですが、いろいろな業界で先ほどおっしゃっていたアンモニアや水素の利用が、事業の収益性や需要にどのような影響を与えるのか気になっています。

例えば、造船業では新エネルギー対応の船の増産といった話もあります。このエネルギー需要の変化が進む中で、御社の事業に対する収益性や需要規模への影響について、どのように見通されているのでしょうか? 

大和田:媒体が変わることで、これまで使用していたタンクを新しくしなければならなくなるため、そこに需要が生じると考えています。また、先ほど少し触れましたが、アンモニアやCO2については、CO2を岩盤の下に封入するために必要な大型液化CO2タンク製造技術についても取り組んでいます。

そうしたプロジェクトが進行する中で、常温タンクはいろいろな企業で製造できますが、私どもの低温タンクには、夏の炎天下など過酷な条件下でも低温で保管するための非常に難しい技術が必要であり、この分野で我々の技術力を発揮できると考えています。

また、エネルギー媒体が変化するたびに新しいタンクが必要とされるため、当社の技術が引き続き大きく貢献できると確信しています。

関本:この製品がより付加価値の高いものとなれば、御社にとって収益性の向上や収益の増加につながると期待してよいのでしょうか? 

大和田:期待していただいてよいかと思います。水素社会がもっと早く到来すれば、さらに良い結果が得られると思います。

関本:最後に、3つ目の事業であるみらい創生事業についてうかがいます。防災分野に関する内容ですが、最近では雨量の増加や災害の激甚化、国土強靭化など、防災に関する話題がさまざまな業界で注目されています。

防災について、御社はどのような需要の獲得を想定されているのでしょうか? また、その需要の獲得に向けてどのような取り組みが必要だとお考えでしょうか? こちらについても詳細を教えていただけますか?

大和田:特に防災についてですが、ここ数年、ゲリラ豪雨や大雨が非常に増えています。大雨による河川の氾濫や洪水、大雨によって地滑りが発生し尊い命が失われるといった事態をなんとか防ぐ必要があると考えています。

当社グループには、川の水位を測るセンサのメンテナンスやモニタリング分析などを得意とする、環境計測という会社があります。

また、当社グループに坂田電機という会社が加わりました。坂田電機はもともと、JR東日本などに向けて傾斜計を提供していました。この傾斜計は、線路や橋などの歪みをいち早く検知し、発報して情報を提供するという独自の技術を有するものです。

数年前に中国地方で大雨による土砂崩れが発生しました。その際、二次災害の発生が非常に懸念されましたが、彼らが現場に赴き、傾斜計を設置することよって地滑りや地面の変化を感知し、発報することで二次災害の防止に寄与した実績があります。

この2社がうまく連携し、今後秋に設立予定の防災庁と協力すれば、災害の甚大化を完全に防ぐことはできなくとも、ある程度抑止することが可能ではないかと考えています。

関本:安全の確保に向けて、ぜひ尽力していただきたいと思います。

質疑応答:株価上昇の要因と今後の成長について

飯村美樹氏(以下、飯村):「株主です。業績と株価が上昇して嬉しく思います。心配材料としては株主に金融機関が多いように思いますが、株価も上昇して売り出しが懸念されます。この点についていかがお考えでしょうか?」というご質問です。

大和田:株価が上昇することは非常に良いことですが、その理由として、我々はこのようにIR活動を積極的に行っており、みなさまに情報をお聞きいただくことで、当社の認知度も徐々に上がってきたのではないかと思います。

また、当社の事業内容や成長路線について情報発信を続けており、そうした取り組みが株価に反映されているのだと考えています。確かに現政府の政策により市場全体の株価が上昇している部分もありますが、それ以上に当社の株価が上がっている局面もございます。

こうした点も含め、当社のタンク事業、物流事業、およびみらい創生事業に関する取り組みは、社会にとって必要不可欠な課題を解決するものだと自負しています。それらについてはみなさまのご意見にも耳を傾けながら、しっかりと成長を続けていくことが、株価向上につながると認識しています。

また、株価だけでなく、当社がしっかりと成長している姿を今後もぜひご注目いただきたいと考えています。

なお、株式持合いの解消を数年来進めてきた結果、現在、当社の取引銀行が株主になっているケースは1社しかありません。2025年3月期時点での政策保有株式の純資産比率は8パーセント程度にまで縮減しています。

質疑応答:株主還元の考え方について

飯村:「株主還元の考え方について、配当や自己株式取得の方針と資本配分の優先順位を教えてください」というご質問です。 

大和田:還元については、先ほど触れたように、配当性向50パーセントからDOEへと変更しました。配当性向は基本的にその期の利益によって大きく変動してしまうため、安定した配当とするには難しいという課題があります。

そのため、DOEを4パーセント以上とすることに決定しました。今回の配当は100円を予定しており、配当性向の観点では約62パーセントに相当します。我々は、従来の50パーセントという基準も念頭に置きつつ、しっかりと還元に努めていきたいと考えています。

質疑応答:中長期的観点からの経営人材の育成について

関本:人材に関する部分で、HRの役員を新設されたというお話がありました。非常に中長期的観点から、「次世代の陣頭指揮をとれる社員はどのぐらい育っていますか?」というご質問です。

大和田:サクセッション・プラン、すなわち経営に携わる人材を増やすことは、たとえ経営者でなくても社員全員がそのような意識を持つことで、会社がより良い方向に向かうと考えています。

これまでは階層別研修などを実施してきましたが、急成長を遂げるまでには至らない部分もありました。先ほど述べたように、人事制度を見直すことで、例えば昇格において、教育が十分にカバーされていない場合には資格が与えられないといった仕組みを導入しつつ、教育に力を入れ、経営陣や経営者を育成し、ステップアップを促す構造に来期から切り替えていく予定です。

関本:また、このような場で進捗をお聞きする機会があればと思います。

質疑応答:業績の進捗見通しについて

関本:「今年の業績について、第3四半期までの進捗が非常に高くなっていますが、季節性などを考えても、業績としては上振れていくのではないでしょうか? どのようにお考えでしょうか?」というご質問です。

大和田:まず正直に申し上げると、上期に非常に大きなプロジェクトがありました。このプロジェクトは、当社のプロジェクト遂行力を示す上で非常に良い成果をもたらしましたが、予定よりも早く、上期で終了しました。そのため、本来であれば下期に寄与すると見込んでいた部分が上期に集中し、上期の数値が押し上げられたという背景があります。

「上期が良ければそれでいい」というわけではなく、下期においては新規のさまざまな案件に取り組んでいます。これまで当社は、特に物流分野で大型案件に支えられ、売上や利益を伸ばしてきました。しかし、それが一巡したことで、現在は中・小型案件が中心となっています。

これは裾野が広がったという観点では非常に良いことですが、効率が多少低下するという課題も伴っています。さらに、現在いろいろな難しい案件に挑戦している最中であり、その部分についてはリスクを慎重に見極める必要があると考えています。これらの要因が絡み合って、現在の予測につながっています。

関本:難しい案件というのは、中長期的な視点を考慮した上で取り組まなければならない案件ということでしょうか?

大和田:おっしゃるとおりです。新しい仕組みに関する取り組みです。これは先ほどお話しした、ハードの会社からソフトの会社に変わるという点も含めて新しいものに挑戦しており、その部分については慎重に見ています。

関本:どうなるかわかりませんが、また来期の成長を見られることを期待しています。次を楽しみにしています。

質疑応答:イラン情勢やホルムズ海峡問題の影響について

関本:最後の質問はリアルタイムでの回答が難しいかもしれませんが、現在、マーケット的にはイラン情勢やグローバルな地政学リスクについて注目されている部分があります。

具体的にはイラン情勢やホルムズ海峡の問題についてですが、御社のお客さまとしてなにか関連があるのか、また現在どのようにお考えになっているのか、もちろん、状況が日々変わるため難しいところですが、うかがえればと思います。

大和田:現在、当社の国内売上比率は97パーセントと高いため、直接的に海外情勢の影響を受けることは少ない状況です。

ただし、例えばタンクに関して言えば、多少の追い風があると考えています。現在、日本全体の原油備蓄量が少し減少していますが、これはタンクのメンテナンスが進んでいないことが一因です。タンクのメンテナンスがしっかり行えるようになれば、備蓄量をもう少し増やすことが可能です。

そのため、「もっとメンテナンスをスピードアップできないか」といったご要望をお客さまからいただくこともあります。これを追い風と捉えつつも、リソースや品質面を含めて全体的に考え、対応を進めていく必要があると考えています。

関本:全体的にこの国の競争力や防衛力に影響する重要な部分かと思います。引き続き、応援しています。

大和田氏からのご挨拶

大和田:本日はありがとうございました。トーヨーカネツという企業について、少しでも知っていただき、社会のために貢献している姿勢が伝われば幸いです。

また、新たに立ち上げたみらい創生事業では、尊い命が失われる災害を、なんとか予知できないかという思いで取り組んでいます。

エネルギーや物流は、社会にとって欠かせないインフラです。当社は中・小型株に分類される企業かもしれませんが、これからもどんどん成長していけると考えています。引き続きご支援をよろしくお願いします。

当日に寄せられたその他の質問と回答

当日に寄せられた質問について、時間の関係で取り上げることができなかったものを、後日企業に回答いただきましたのでご紹介します。

<質問1>

質問:PBRは1倍超ではあるものの、少しの油断で1倍割れもありえると思われます。PBRについて、目標値は設定されていますか?

回答:目標値はありませんが、資本の蓄積が株価に適切に反映されるよう対応していきます。

<質問2>

質問:ホルムズ海峡問題から、今後もっと備蓄を増やす為のタンクの受注の動きが出てきているのでしょうか?

回答:現在のところ、特段の動きはありません。

<質問3>

質問:物流ソリューション事業が現在の成長ドライバーだと思いますが、今後の売上成長を支える主要な市場はどこになると考えていますか? また、その市場(事業)での競争優位性をどのように構築していく方針でしょうか?

回答:得意とする出荷領域のシステムだけでなく、入荷から出荷まで倉庫全体を管理するシステムの構築のため、WMSの開発に力を入れていきます。

<質問4>

質問:物流ソリューション事業の受注環境について、足元の引き合いの強い業界と今期の見通しを教えてください。

回答:ネット通販からの問い合わせは引き続き多く、当面はこの傾向が続くと思われます。

<質問5>

質問:プラント事業では、国内外でどの領域を重点化し、利益率をどう高めていく方針ですか?

回答:当面は各地製油所のメンテナンス業務に注力し、適切な価格転嫁を進めていく予定です。

<質問6>

質問:水素・アンモニアなど次世代エネルギー領域の事業化ロードマップと、収益貢献が見え始める時期を教えてください。

回答:水素社会の実現には多くの課題があり、収益への貢献は相当後ずれする見込みです。

<質問7>

質問:環境・防災ソリューションで、今後伸ばしたい提供価値と差別化要因は何ですか?

回答:災害の激甚化により被害が多発する中、得意とする大気・河川・傾斜地の検査・分析に関する知見を活かし、微力ながら被害の軽減に貢献したいと思っています。

シェアランキング

編集部のオススメ記事

この記事が気に入ったら
いいね!しよう
MONEY VOICEの最新情報をお届けします。