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rakumo Research Memo(6):2026年12月期も価格改定効果の寄与により高成長が継続する見通し(1)

■rakumoの今後の見通し

1. 2026年12月期の業績見通し
2026年12月期の連結業績は、売上高が前期比27.3%増の2,330百万円、調整後EBITAが同31.5%増の770百万円、営業利益が同28.5%増の550百万円、経常利益が同26.1%増の540百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同16.8%増の318百万円と高成長が続く見通しである。

サービス別売上高を見ると、rakumoサービスは価格改定効果、「rakumo for Microsoft 365」の拡販、自治体案件の獲得などにより前期比25.7%増の1,778百万円、その他サービスは連結した子会社業績の通期寄与及び事業シナジー、「aloop」の拡販などにより、同32.9%増の552百万円を見込んでいる。

費用面について、売上原価は前期比24.8%増の675百万円を見込んでいる。内訳を見ると、人件費は人員増、ベースアップ、子会社分の通期寄与により同50百万円増、Google向けサーバー費用は利用量の増加などにより同49百万円増などである。販管費は同28.3%増の1,105百万円を見込んでいる。内訳を見ると、人件費は同120百万円増、のれん償却費等は同66百万円増などである。

これらの結果、営業利益は前期比28.5%増となり、営業利益率は増収効果により同0.2ポイント向上する見通しである。主力SaaSの安定的な積み上げに加え、子会社の通期寄与が重なり、事業規模と収益水準がともに次の段階へ移行しつつある。rakumoサービスは価格改定による単価上昇に加え、「rakumo for Microsoft 365」の拡販により数量拡大が進み、単価と数量の両面から成長が期待される。費用増を吸収して営業利益率も改善する計画であり、収益モデルのレバレッジが着実に働き始めていると評価できる。今後は人材や開発への先行投資を継続しながら、高い増益率を維持できるかどうかが中期的な焦点となろう。

2. 業界特化型マーケティング施策の進捗
同社は、教育機関・自治体・建設業・医療など業界セグメントに特化したマーケティング施策による、効率的なクライアント獲得を進めている。具体的には、Google Workspace導入企業のデータベースを活用したピンポイントでのクライアント開拓、自治体向けホワイトペーパーの展開、建設業向けセミナーの開催、各業界セグメントに強い代理店との連携などを実施している。特に自治体分野での進展が顕著である。2025年12月期末の自治体向けライセンス数は前期末比34,959ライセンス増の79,179ライセンスと急拡大した。公共分野におけるクラウド活用の広がりや、自治体内の情報共有・申請承認業務の効率化ニーズを取り込んだ成果である。商談数も前期比48件増の62件と大幅に増加し、パイプラインは着実に積み上がっている。初の都道府県庁案件として秋田県庁から受注を獲得するなど、1件当たりの規模拡大も進んでいる。都道府県レベルでの導入実績は他自治体への波及効果が見込まれ、ブランド力向上にも寄与するだろう。自治体案件は民間企業と比べて意思決定プロセスが長く、リードタイムも長期化しやすい傾向がある一方で、1件当たりのライセンス数は大きく、導入後の継続率も安定的である。2025年12月期に商談が進行している大型案件の中には2026年12月期の受注が見込まれる案件が複数含まれており、足元では案件化から受注までの管理体制を強化し、成約率の向上を図る段階にある。業界特化型のアプローチは、単なる新規開拓にとどまらず、顧客単価の向上と解約率の低減にも寄与する戦略である。自治体分野で確立した営業モデルや導入実績は他業界への横展開が可能であり、中長期的な成長ドライバーとして期待される。

3. Microsoft版「rakumo」の進捗と注力施策
同社は、主力グループウェア「rakumo」の対応プラットフォーム拡大を成長戦略の1つとして掲げている。従来はGoogle Workspace向けサービスを中心に展開してきたが、2025年9月にMicrosoft 365対応の「rakumoカレンダー」及び「rakumoコンタクト」を、2026年2月に「rakumo ボード」の提供を開始し、顧客基盤の拡張に着手した。国内では日本マイクロソフトが展開するMicrosoft 365の導入企業が大企業から中堅・中小企業まで広がっており、同領域への本格参入は中長期的な成長余地の拡大につながる施策である。

立ち上がりの営業実績として、2025年9月から12月のパイプラインは39社、受注は2件、販売ライセンス数は464IDとなった。サービス開始直後の実績としては堅調な滑り出しであり、2026年1月以降もパイプライン及び受注は積み上がっている模様である。既存のrakumoユーザーとは異なる顧客層へのアプローチが進んでいる点が評価される。

販売体制の強化も進展している。2026年2月には、USEN Smart Works及びソフトバンクとの間で「rakumo for Microsoft 365」の再販契約を締結した。両社は法人向けにMicrosoft 365の導入支援や運用サポートを手掛けており、同社サービスとの親和性は高い。既存のrakumo販売パートナーとの再販契約も順次進めており、チャネル拡充による案件創出力の向上が見込まれる。

2026年12月期は、Microsoft 365を販売する企業との新規パートナー契約の締結を推進する方針である。加えて、Microsoft 365利用企業が来場する展示会へ積極的に出展し、認知度向上とリード獲得を図る。自社サイトにおいても紹介ページを刷新し、「rakumo for Microsoft 365」の機能や導入メリットをわかりやすく訴求している。製品認知の向上と販売チャネルの拡大を同時に進めることで、ライセンス数の着実な積み上げを目指す戦略である。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 吉林 拓馬)

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