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エブレン Research Memo(3):2026年3月期第3四半期は減収増益。価格改定進展や防衛・通信分野が寄与

■エブレンの業績動向

1. 2026年3月期第3四半期の業績概要
2026年3月期第3四半期の業績は、売上高が前年同期比5.0%減の2,878百万円、営業利益が同7.5%増の360百万円、経常利益が同10.6%増の381百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益が同9.9%増の253百万円と、減収増益となった。

売上高が減少した一方で営業利益が増益となった背景には、原材料価格の上昇を上回る価格改定の浸透がある。同社は従来、仕入れ価格の上昇に対し販売価格への転嫁が遅れる傾向にあったが、近年の原材料価格高騰を背景に価格改定交渉が円滑に進展しており、収益率の向上に寄与している。受注から収益反映までのタイムラグを経て、2026年3月期に入りその効果が顕在化した格好である。これらにより、営業利益率は12.5%(前年同期は11.1%)に改善した。

応用分野別の動向では、主力の計測・制御が売上高1,644百万円(前年同期比11.3%減)となった。半導体製造装置の在庫調整継続に加え、車載関連のEV設備投資減少が影響している。交通関連は売上高554百万円(同横ばい)となった。鉄道信号関連が増収となった一方で、主要顧客における案件失注が全体の伸びを抑制した。電子応用分野も顧客の在庫調整により売上高236百万円(同20.9%減)と低迷した。防衛・その他は、引き続き予算拡大を背景に売上高229百万円(同35.2%増)と、大幅な増収を確保した。

通信・放送部門は、同社は同部門を保守的に見ていたが、売上高213百万円(同40.3%増)と大きく伸長した。通信・放送関連需要は低迷しているものの、AI投資の活発化に伴うデータセンター向け電力需要が増大しており、電力関連の新規案件が量産体制に入ったことが寄与した。

財務面では、資産合計が前期末比157百万円増の6,061百万円、負債合計が同25百万円減の1,092百万円となった。純資産合計は同183百万円増の4,969百万円であり、自己資本比率は82.0%(前期末は81.1%)に上昇している。無借金経営を基盤とした財務体質は極めて堅実である。

2026年3月期は増収増益を見込む。価格改定により営業利益率が改善

2. 2026年3月期の業績見通し
2026年3月期の業績は、売上高で前期比1.8%増の4,100百万円、営業利益で同11.9%増の520百万円、経常利益で同9.4%増の520百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同8.5%増の340百万円と、増収増益を見込んでいる。下期の需要回復を想定した期初計画に対し、第3四半期まではおおむね順調に推移しており、計画を据え置いた。価格改定の浸透により、営業利益率は前期の11.5%から12.7%に上昇する見通しである。この収益性の向上が、2ケタ増益の主因となる。

分野別では、主力の計測・制御においてAI等の先端分野向け投資が旺盛な一方、汎用製品向けは低調であり、需要動向に差異が見られる。しかし、顧客の在庫調整は総じて進展しており、今後は回復に向かう見通しである。利益成長における踊り場の脱却が期待されるほか、半導体製造装置用新型加熱ユニットの納入開始も業績に寄与する。

交通関連は、前期に海外向け大型案件の納入が完了した反動で減収を見込む。一方で国内向けの新規受注は拡大しており、設計案件数は同セグメントが最多となっている。既存案件は値上げ要請が難しい一方、新規案件は適切な価格設定が進んでいるため、これらが本格寄与する2027年3月期には、収益貢献が高まる見通しである。

防衛・その他は案件増加により好調を維持する予想である。通信・放送は、従来機種の量産終了に伴う一時的な苦戦を想定していたが、電力関連需要の急増により収益貢献分野へと転換する見込みである。電子応用は、引き続き医療機器関連で一部顧客の生産調整の影響を受けると見られる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 水野 文也)

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