■要約
ベルトラは、国内最大級の現地体験型オプショナルツアー専門のオンライン予約サイト「VELTRA(ベルトラ)」を運営する。同社は「旅先で何が経験できるか」に焦点を当て、オンライン化の加速と個人旅行へのニーズの高まりを受け、世界各地の体験型オプショナルツアーの専門予約サイトとして成長を遂げてきた。旅先でできる体験を情報発信することで「VELTRA Changes TRAVEL」(旅行の定義を「何が体験できるかで旅先を探す」に変える)という意味から、「ベルトラ」と名付けた。
1. 2025年12月期の業績概要
2025年12月期の連結業績は、営業収益が前期比6.4%増の4,581百万円、営業利益が105百万円(前期は175百万円の損失)、経常利益が99百万円(同298百万円の損失)、親会社株主に帰属する当期純利益が140百万円(同407百万円の損失)となった。営業収益はOTA事業、観光IT事業ともに増収となった。とりわけ観光IT事業では、子会社であるリンクティビティ(株)が展開するチケットプラットフォームが大きく伸長した。訪日外国人数の拡大を背景に、鉄道パスや観光施設チケットなどの取扱商品を拡充し、販売チャネルを広げたことが奏功した。営業費用は前期比4百万円減となった。人件費は、リンクティビティにおいて人員数が増加したものの、OTA事業での組織集約と業務効率化が進み、同31百万円減少した。広告費はマーケティング投資の最適化により同142百万円減少し、収益性改善に貢献した。その結果、営業損益は黒字へ転換した。黒字化は2019年12月期以来であり、事業構造の改善と需要回復を着実に取り込んだ成果と評価されよう。収益基盤の回復が顕在化した点はポジティブである。
2. 2026年12月期の業績見通し
同社の2026年12月期の連結業績は、営業収益が前期比9.1%増の5,000百万円、営業利益が同261.5%増の380百万円、経常利益が同266.7%増の366百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同141.3%増の340百万円の見通しである。OTA事業では、既に確立された収益基盤を一段と高める方針である。勝率の高い市場・商品・チャネルに経営資源を集中し、顧客獲得コストの最適化とリピート率向上により営業レバレッジの最大化を図る。加えて、企画・開発・運用が一体となった自律型小規模チームを基軸とする職能横断モデルを本格導入することで、ガバナンス強化と意思決定の迅速化を進める。観光IT事業では、サービス領域の拡張を継続しながらも投資規律を強化し、収益確保フェーズへの移行を図る。インバウンド需要については保守的な前提を置き、外部環境に過度に依存しない計画とする一方で、既存販売網の深耕やパートナー連携強化により安定的な成長を目指す。これまでの先行投資を回収する収益化フェーズへ移行し、安定的に高い利益を創出できる体制の構築を目標とする。
3. 中長期の成長戦略
同社は2026年2月13日に中期経営計画を取り下げ、固定的な3ヶ年計画を掲げる方式から、単年度ごとの計画の必達にコミットする経営スタイルへ移行する。海外旅行需要の回復が想定より緩やかに推移するなかで、楽観的な前提に依拠するのではなく、最新の事業環境を踏まえた実行可能性の高い業績予想を策定し、その達成を最重視する方針である。目標水準を単に引き下げるのではなく、確度の高い利益成長を着実に積み上げることで市場の信頼回復を図る考えである。OTA事業では「選択と集中」を徹底し、高収益体質の維持・強化を図る。利益率の低い商品や販路への投資は抑制し、高付加価値商品の販売比率を引き上げる。広告出稿については費用対効果を厳格に精査し、自然検索経由の流入拡大やリピーター比率の向上により集客コストの抑制を進める。固定費についても、人員配置の最適化や業務プロセスの効率化を推進し、少数精鋭で運営できる体制へ移行する。成長投資は、インバウンド需要の取り込みが見込まれる領域へ重点配分する。観光IT事業のサービスであるLINKTIVITYは、交通機関や観光施設向けにチケット流通基盤を提供するBtoB型モデルであり、ストック性の高い収益構造を有する。訪日外国人客数は回復基調にあり、空港、鉄道、観光施設におけるデジタル化需要は拡大していることから、これらの流通基盤を担うLINKTIVITYを中長期的な収益源へと育成する方針である。
■Key Points
・国内最大級の現地体験型オプショナルツアー専門のオンライン予約サイト「VELTRA」を運営
・2025年12月期は営業黒字に転換、OTA事業の収益性が大幅に改善
・2026年12月期は大幅増益の見通し、構造改革による収益基盤強化と成長投資に注目
・計画運営の在り方を見直し利益主導型マネジメントへ移行、質的成長の加速を目指す
(執筆:フィスコ客員アナリスト 吉林 拓馬)