■ハッチ・ワークの今後の見通し
● 2026年12月期の業績見通し
2026年12月期通期の業績は、売上高3,385百万円(前期比22.7%増)、営業利益204百万円(同15.6%減)、経常利益200百万円(同23.0%減)、当期純利益216百万円(同12.2%減)と、本社の移転拡張に加え、各事業での戦略的投資が重なることで、大幅増収ながら減益を見込む。本社の移転拡張コスト(47百万円)を除けば、戦略的投資を織り込んでも前期に近い利益水準である。これまで市況を睨みつつ慎重に運営をしていたビルディングイノベーション事業の再動意的な期という側面もあるが、最大のポイントはやはり主力の月極イノベーション事業の一段の強化(=「時価総額100億円の早期達成」に必要な高成長エンジンとしてのポテンシャル強化)に置かれていると弊社では理解している。
実際、月極イノベーション事業に関するAI導入への先行投資や営業体制の強化(112百万円)を進めることが最大の費用投下項目として計画されている。ハトマーク及びハトマーク支援機構から単独推奨を得た「アットパーキングクラウド」の登録台数は実績推移からも明らかだが、高成長を継続している状況だ。2025年12月期末時点で26道県への導入が進んでいる非常に順調な進捗とはいえ、早々に全国展開を達成するためにも、体制を強化して不動産管理会社へのアプローチを加速することを目指す。また、現在、審査・契約・解約・督促などの不動産管理会社が手掛ける一連の駐車場管理業務を、BPO(Business Process Outsourcing)的に同社が取り込んでいる。AIを用いてこれら内部業務を一挙に効率化することで、収益性を高めることが先行投資の狙いである。APクラウド登録台数が大幅に伸びたことで母数が拡大したにもかかわらず、2025年12月期末時点の滞納保証付帯率は18.2%(8.6万台/47.3万台)となっており、2024年12月期末時点の17.1%(6.4万台/37.4万台)からやや上昇した。APクラウド導入時点の既存利用者の入れ替えが順調に進捗していることを示唆しており、営業加速による登録台数の積み上がりも相まって、着実に収益力強化につながっていくだろう。また、ビルディングイノベーション事業においては、2026年4月1日に青山一丁目、新橋に貸会議室の新規同時出店を計画している(75百万円)。建築費・人件費の高騰に加え人口減少影響もあって新築着工が停滞する一方、既存建物では賃料相場の高騰が続いていることで空室も限られていた。こうした近年の環境下で、慎重に事業運営をしていたが、今回はバーチャル内覧や受付のAI対応、スマートロック、クラウドカメラ連携による遠隔サポート等、先進テクノロジー(AI×IoT)活用による運営の省人化・効率化を実現した築古ビルを念頭に置いた新モデルでの出店となる。「見えないコンシェルジュ」体験と銘打って、「有人を超える」ユーザー満足度を実現しつつ、従来モデルよりも収益性を高めている。
また、中長期的な成長に資する動向としては、自治体との「災害ステーション」ネットワークの構築進展が挙げられる。2025年2月の神戸市に続き、期が変わった2026年1月には早くも松山市と新たに協定を締結した。自治体連携については民間で期待されるようなスピード感で進んでいくわけではないものの、地方主要都市との実績を積み重ねていくことで、必然的に横展開も徐々に加速していくだろう。締結先エリアでの認知度向上が信頼性を高め、「アットパーキングクラウド」の普及にも効いてくることが期待される。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 若杉 孝)