■SBSホールディングスの今後の見通し
2. 中期経営計画の続き
(3) 成長戦略
a) 3PL
3PLでは、各社の強みを生かした新規営業を強化し、特定領域のプラットフォーマーとなることでボリュームメリットやサービス品質の高度化による競争力向上を図る。たとえば、SBSフレックは冷蔵・冷凍物流のプラットフォーマーとして、全国レベルで食品メーカーや給食事業者との取引拡大を目指す。また、新たにグループ入りしたブリヂストン物流はタイヤ物流の圧倒的なシェアを持つことから、同業他社の需要も取り込みタイヤ物流のプラットフォーマーになることを想定している。従来はメーカーの子会社であったためこのような取り組みが実現する可能性は低かった。そのほか、データベース活用やナレッジマネジメントを導入し、グループ内で営業情報を可視化、共有を図ることでシナジーを創出していく。2026年中にも統合営業データベースを構築し、2027年以降にデータベースマーケティングを通じた営業活動を開始する予定で、AI技術の活用による精度向上も視野に入れている。
なお、物流施設の運営面積は2025年12月末の114万坪からさらに拡大する見通し。2026年は4月に「BC霧島」(宮崎、1,790坪)、8月に「富里物流センター」(千葉、3万坪)を開設する予定だ。また、計画中のプロジェクトとして、「野田瀬戸物流センターB棟」(千葉、3.5万坪)の着工に向けて建設事業者を探索しているほか、那須(栃木、1万坪)で新センター着工が決まっている。そのほかにも用地の取得対象エリアを全国に拡大し、積極的に仕入活動を推進していく。
b) 国際物流
国際物流では、SBS東芝ロジスティクスとSBSネクサードが持つ営業ネットワーク、輸送インフラを活用し、国内3PLの既存取引先の海外事業を取り込みながら事業規模を拡大していく戦略だ。SBS東芝ロジスティクスでは、注力エリアとして従来の東南アジア、インドに加えて、東アジア、欧米の空白地域にも注力していく。SBSネクサードでは、グループ連携により複合一貫輸送モデルを構築し拡販していくほか、越境ECや国際リサイクル物流にも注力していく。また、Blackbird Logisticsを核にして欧州での業容拡大も見据えている。
c) EC物流
EC物流では、2026年よりSBSロジコムに「EC物流お任せくん」の運営を移管し、「野田瀬戸物流センター」のEC専用拠点を軸に、各支店のEC事業を効率化していく。また、ロボットの活用による人件費抑制にも取り組む。その他グループ会社の取り組みとして、SBSネクサードでは大口パートナー企業のラストワンマイル事業を維持・拡充していくほか、越境ECビジネスの強化を図る。SBSフレックでは、成長余地の大きい食品ECで主導権を確保すべく、高品質・低料金の冷凍ECメソッドを確立していく。SBS即配サポートでは既存パートナー企業との関係構築を強化し、ラストワンマイル事業の持続的成長を追求していくほか、都市圏の即配モデルとしてクイックeコマース市場にも参入する。
d) 物流事業基盤の整備・拡充
EC物流事業の成長を支えるべく、幹線+ラストワンマイルを網羅する輸配送ネットワークを整備・拡充すべくドライバーの確保・育成を強化していくほか、2028年のトラック新法施行を見据えて、コストコントロールを含めた輸配送の安定性向上を図るべく、自車比率の引き上げも段階的に進めていく方針だ。グループ全体の自社保有車両台数は現在4千台程度で、SBS東芝ロジスティクスについては従来、自社保有はなく外注に頼っていたが、2026年から自社車両の導入を開始した。そのほか、SBSネクサードでは自社車両が20%程度、SBSロジコムが40%程度、ブリヂストン物流が10%程度となっており、それぞれ段階的に比率を引き上げていくことにしている。
e) LT×IT(物流DX)
LT(Logistics Technology)・IT専任組織を発展的に改編し、カスタマイズや保守・メンテナンスを統括する技術チームを新設するなど増強を図った。2020年以降、各物流センターでも試行的に搬送ロボットなどを導入しているものの、まだ、生産性向上など具体的な成果は見えていない。ただ、労働力の減少を見据えて今後もLT×ITによる省力省人化の実現を目指していく考えで、高度LT人財の確保・育成や、「LTラボ」活用による最先端技術の習得、設計レベルの醸成に取り組む方針だ。また、SFA/CRMシステムを構築し、高度なデータを利活用することで物流サービスの高度化を図る。
(4) 収益構造改革
物流事業では2024年12月期以降に新規開設した事業拠点のうち不採算となった拠点の損失額が、2024年12月期で2,150百万円、2025年12月期で1,928百万円となったが、車両の積載効率向上、倉庫の空きスペース削減、現場の生産性向上(人員構成の最適化)及び料金の適正化を推進することでなるべく早期に損失額をゼロにする方針だ。
倉庫の空きスペースについては2025年末で20,964坪、空き坪比率で1.66%であったが、新規顧客の獲得に取り組みながら2026年末には10,364坪と半分に縮小し、最終的には空き坪ゼロを目標としている。また、人員構成の最適化に向けては業務遂行能力にばらつきが生じやすい人材派遣・業務請負の割合を縮小する一方で、直接雇用のパート・アルバイトの比率を引き上げ、現場運営の安定化を図る。また、物流業務に精通したベテラン社員を新規営業や拠点立ち上げのプロフェッショナルとして再配置することで生産性の向上を実現していく。料金の適正化に向けては、オペレーション改善による生産性向上やサービスの高付加価値化を併せて提案していく。2028年には適正原価を下回る運送料金の是正を求める「トラック新法」が施行される予定で、新法への対応に向けた体制についても整備していく。
(5) サステナビリティ経営の強化
サステナビリティ経営の強化に向けて、同社では「安全・安心な物流サービス」「環境重視の物流インフラ整備」「人的資本経営」の3つの取り組みを推進していく。「安全・安心な物流サービス」の実現に向けては、重大事故及び車両加害事故の削減及び安全対策の強化(AIドラレコの導入等)、従業員の健康管理強化などに取り組む。また、環境面では、保有車両の低炭素化(2030年度までに中・小型車両中心に1千台程度をEV化)、物流施設の低炭素化などを推進し、人的資本経営については新卒、中途、外国人ドライバー等の採用力強化(リファラル・アルムナイ採用の導入)と人財の育成、定着率の向上に取り組む。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)