トップメッセージ
長田雅士氏(以下、長田):株式会社大気社代表取締役社長の長田です。本日はお忙しい中ご参加いただき、ありがとうございます。まず、近年の振り返りと、今回の10年プラン策定の背景について、私から改めてご説明します。
私が社長に就任してからまもなく3年となります。この間、設備工事業を取り巻く市場環境は国内外ともに堅調で、当社グループも顧客業界の積極的な設備投資を背景に、業績を着実に伸ばすことができました。
社長就任以来、国内外のお客さまと拠点を訪問し、国内・海外の社員との対話を重ねてきました。当初は遠慮もありましたが、今では自由に意見が出るようになり、「もっとチャレンジしよう」という前向きな議論が自然に生まれる組織風土が形成されつつあります。経営陣も5年間にわたり議論を重ね、「大気社の競争優位性とは何か」「ありたい姿とは何か」を共有してきました。こうした議論の積み重ねが、今回の「10年プラン2035」の基盤となっています。
また、エンジニアリング力の「見える化」を目的に、TISA(神奈川)の開設やインドのR&D拠点の活用を進めています。これにより、顧客に当社の技術力を直接評価いただく機会が増え、受注拡大につながる「技術への自信」が組織全体で高まっている状況です。
2025年5月に10年プランと新中期経営計画を発表した当初は、市場の反応が限定的で、十分にご理解いただけていないのではないかという不安もありました。しかし、IR活動を継続する中で理解は徐々に深まり、少しずつ株価も上昇しています。一方で、同業他社と比較すると、必ずしも突出した成長を遂げているとはいえないと認識しており、アピール不足という声も多くいただきました。この機会にぜひ当社の戦略への理解を深めていただければと思います。
2035年のありたい姿
私たちが目指す「ありたい姿」は、“Be Engineering for a Sustainable Society”、すなわち持続可能な社会に貢献するグローバルエンジニアリング企業です。その実現に向けて、GXとDXを融合した“Innovative Engineering”、そして19ヶ国28拠点のネットワークを深化させる“Global Inclusion”、この2つを戦略指針として掲げています。10年プランは、当社が長期視点でどのように変革し、どのように価値を創出していくかを示したものです。長期的な企業価値向上に向けて邁進します。
「10年プラン2035(2026年3月期-2035年3月期)」の目標
次に「10年プラン2035」最終年の目標についてです。
10年後の完成工事高5,000億円は、現在の約2倍です。これは「積み上げ」ではなく、非連続な成長を織り込んだ挑戦的な目標です。従業員数は36パーセント増に抑え、労働集約型事業から資本集約型事業への転換を明確に打ち出しています。ROE12パーセント以上も、事業成長を前提とした高い目標です。DOEは段階的に引き上げ、10年後に5パーセント以上を目指します。
10年プランは、当社が長期視点でどのように変革し、どのように価値を創出していくかを示したものです。まだ十分な理解を得られていない部分もありますが、長期的な視点で企業価値を高める責任を果たすため、今後も進捗や考え方を積極的に発信します。
本日は投資家のみなさまとの建設的な対話を通じて、当社の方向性や取り組みへの理解を一層深めていただき、また、投資家のみなさまからいただいたご意見を今後の経営に活かしていければと考えています。どうぞよろしくお願いします。
「10年プラン2035(2026年3月期-2035年3月期)」の財務・非財務目標・マイルストーン
中川正徳氏:経営企画本部長の中川です。ここからは、財務・非財務のマイルストーンと、10年プランにおける事業成長の考え方についてご説明します。戦略の詳細は後ほど事業部長からお話ししますので、私からは全体の方向性を中心にお伝えします。
まず、財務・非財務のマイルストーンについてです。当社は10年プランの実現に向けて、財務面では事業成長と資本効率の改善、安定的な株主還元を実行し最終年の目標の段階的な達成を目指していきます。また、非財務面ではCO2削減目標の段階的な強化、人的資本の拡充としては7,200名という目標を掲げています。
「事業成長」の考え方
当ページでは、「事業成長」の考え方についてご説明します。
完成工事高5,000億円という目標は、既存顧客への既存事業での成長のみでは達成が難しく、非連続な成長を取り込むことで初めて達成できます。
従来の環境システム事業と塗装システム事業の持つ既存ビジネスを「コア事業」、それらの既存事業を新規顧客・新領域に展開する「成長事業」、さらに環境システム事業、塗装システム事業に次ぐ、「第三の事業の柱」の開発に挑戦する「新規事業」の3つに区分しています。
特に、成長事業は、産業空調のうち非日系企業を開拓していく部分と、塗装事業のオートメーション、両事業の技術シナジーで新たな価値を創造する領域で、既存事業の技術・ノウハウを活かし、新たなお客さまへの価値提供を実現します。すでに台湾積体電路製造(TSMC)の日本工場建設プロジェクトへの参画をはじめとした成果を上げており、今後さらに実績を積み重ねながら、グループ全体のチャレンジマインドを高め、拡大を目指します。また、新規事業ではドライ加飾をはじめCO2の回収などさまざまな分野に果敢に挑戦しています。
なお、今回お示ししている成長イメージは、完成工事高の拡大だけを目的としたものではありません。事業ポートフォリオの転換を通じて、付加価値の高い領域へのシフトを進め、収益性と資本効率の向上を同時に実現することを意識しています。
「10年プラン2035(2026年3月期-2035年3月期)」の主要戦略
当ページでは、当社が考える8つの戦略的焦点をまとめています。
まず、3つの事業戦略です。1つ目は、成長分野への集中です。これから確実に伸びていく市場に対して、当社の強みをしっかりと投入し、事業の拡大につなげていきます。
2つ目は、グローバル展開の加速です。国内で安定した成果を着実に積み上げながら、成長余地の大きい海外市場でさらなる飛躍を目指します。
3つ目は、非日系企業への本格アプローチです。単に技術を説明するのではなく、R&D拠点を活用し、お客さまと「共につくる」体制を構築しています。実際に見て、試して、体感していただくことで、信頼関係を深めていきます。そして、これらを支える基盤として、知的資本の増強、人的資本の増強、さらに2つの経営基盤の強化を進めています。技術力と人材力を高めながら、戦略実行とガバナンスの両面を強化していきます。
最後が、DX戦略です。データを蓄積・活用し、業務の高度化を進めるとともに、将来的にはEMSやデジタルツイン、さらには工場の完全自動化まで視野に入れ、新たな価値創出につなげていきます。これら8つの戦略的焦点を通じて、持続的な成長を実現していきます。
市場戦略:「重点注力市場」の分析
当ページでは、先ほどの事業戦略において、当社の「重点注力市場」を記載しています。
横軸は当社の市場競争力を、縦軸は、外部指標をもとに市場の成長率を示しています。
成長産業への積極展開であり、当社として、市場の成長性と当社の市場競争力を勘案し、「半導体・電子部品」、「モビリティ」、「バッテリー」、「バイオ・医薬品」、「データセンター」の5つを重点注力市場に据えました。
投資家のみなさまからご質問やご意見をいただいた内容を中心に、事業戦略の市場戦略を環境システム事業部の祖父江と塗装システム事業部の浜中からご説明し、それを支える人的資本の強化とDX戦略を副社長の中島より後段でご説明します。
環境システム事業:市場戦略 市場成長性と成長イメージ
祖父江正氏(以下、祖父江):環境システム事業部長の祖父江です。ここからは環境システム事業の注力分野である、「半導体・電子部品」、「バッテリー」、「バイオ・医薬品」、「データセンター」の4つを中心にご説明します。
まず、半導体・電子部品市場についてです。AI、データセンター、EV・自動運転などの成長分野が牽引役となり、市場拡大は今後も継続すると捉えています。また、地政学リスク分散を背景としたグローバルサプライチェーン再編も進んでおり、当社にもビジネス機会が広がっていると考えています。
次にバッテリー市場です。米国の政策方針の変化により、足元では一時的に市場が低迷していますが、長期的にはモビリティのEVシフトにより市場拡大は続くと見ています。バッテリー製造にはドライルームなど高度な空調環境が不可欠であり、自動車メーカーによる内製化の動きもあることから、塗装システム事業とのシナジーを活かせる分野と考えています。
バイオ医薬品市場については、先進国では再生医療や抗体医薬などの次世代医療の普及により、医療製造プロセスの高度化は進み、新興国においても生活レベル向上により、医療品市場拡大は継続すると捉えています。
最後にデータセンター市場です。生成AIの急速な普及を背景に、現在は世界的に建設需要が非常に活発化しており、この流れは今後も継続すると見ています。一方で、サーバー機器の高性能化に伴う発熱量の増加が課題となるため、新たな冷却技術の研究や導入が重要であり当社のビジネスチャンスと考えています。
環境システム事業:地域戦略(組織体制)
10年プランの国内・海外の地域戦略を達成するために、地域ごとの切り口で施策を推進します。そのために来期よりスライドに記載の地域戦略部を設置し、その下に各地域の戦略室を設置しました。
東アジア戦略室では、日本国内・アセアンへ進出する台湾半導体関連企業へのアプローチを実施します。
アセアン戦略室では、シンガポールに設置のアセアン統括部を基点にグローバル企業・コンサルとの接点を強化し非日系物件の受注を拡大します。
インド戦略室では、インドでのパネル事業の安定化と空調事業のビジネス拡大を検討します。
北米戦略室では、米国ですでに事業展開している塗装事業と連携し、日系バッテリー案件を足掛かりに空調事業の拡大を検討します。
国内戦略室では、国内事業における生産性向上および施工キャパシティ拡大を実施します。
各地域の具体的な戦略については後段でご説明します。
環境システム事業:地域戦略(東アジア、アセアン)
ここからは地域ごとの戦略についてご説明します。
東アジアでは、国内TSMC第1期工事を通じて構築した台湾企業との取引基盤を活用し、台湾を中心に半導体分野での実績拡大を図ります。併せて半導体関連イベントへの積極参加によりプレゼンスを高め、他地域への展開につなげていきます。
アセアンでは、国境を超えたナショナルスタッフ間での新規進出案件を含む顧客情報共有が活発化しており、足元では製薬、食品等のグローバル企業からの受注拡大を推進しています。また、活発化するデータセンター投資も積極的に取り込みます。また、東アジア戦略室と連携し、台湾系先端企業への営業活動を強化します。加えて、アセアン統括管理体制の高度化およびグローバル法務・予防法務体制の整備を進め、事業拡大に耐えうる基盤を構築します。
環境システム事業:地域戦略(インド、北米)
インドでは、半導体、電気・電子、モビリティ、データセンター、LiB(リチウムイオン電池)分野など、高成長が見込まれる空調市場を重点ターゲットとしています。戦略的業務提携およびM&Aを計画的に推進するとともに、現地商流・発注形態に対応し、個別受注から一括受注まで対応可能な事業体制へ拡張します。
北米では、塗装システム事業の拠点を活用し、バッテリーおよびデータセンター分野を起点に、成長分野での事業拡大を本格化させます。まずは、環境システム事業の施工ノウハウを技術移転させ、北米に進出している日系企業を中心に実績を積み上げていきます。
環境システム事業:地域戦略(国内)
国内の取り組みとしては、プロジェクトの一連のプロセスを通じて生産性向上施策を図ります。
構想から設計のプロセスでは、フロントローディングを推進する責任部門としてプロジェクトマネジメント部門を整備しました。取り組み事例として、変更が比較的少ないデータセンターや工場案件で、早期の仕様確定とBIM作成を前倒しすることで、ユニット化などの省力化工法の検討、精度の高い揚重計画、施工量・適正人員の事前検討を進めています。
調達から試運転のプロセスでは、ロジスティクスの高度化を進めています。具体的には、ユニット/プレハブ化に合わせた搬入計画、中継倉庫の活用、資機材の集中コンテナ化を進め、搬入・保管・構内搬送まで含めた最適化を図っています。
設計から施工のプロセスではユニット化/モジュール化を、フロントローディングと一体で推進します。併せて、BIMと連携したシステムを構築し、標準化を図ります。
最後に施工からアフターケアのプロセスでは、BIMデータを施工・維持管理までのDX基盤として活用しています。現場業務では、MR(複合現実)と連携した墨出し支援、施工管理ツールと連携した進捗・出来高・検収管理、発注・納品管理の効率化に取り組んでいます。加えて、2026年4月より4D工程システムの運用を開始し、3Dモデルに時間軸を付与することで工程や施工手順を可視化し、工程調整の効率化につなげていきます。
これらの取り組みを通じて、国内工事の消化能力は着実に拡大しています。
環境システム事業:業績振り返り、中計目標
最後に、中期経営計画期間における採算性の方向感についてご説明します。
国内受注環境に関しては、当社が得意とする分野の投資は旺盛であり、引き続き良好で、しばらくこの傾向は続くと想定しています。
当社の特徴でもある海外事業については、足元では日系企業による設備投資のタイミングを見直す動きも一部見られますが、現地ローカル企業や欧米顧客からの案件が増えてきています。ローカル企業や日系・欧米サブコンとの競争は厳しく、現時点では国内と比較すると採算性の見通しは厳しいですが、国内同様に業務のDX化・設計施工段階での生産性の向上と当社との取引実績を通じて顧客からの信頼を獲得し、特命受注の比率を高めることで採算性の改善を図っていきたいと考えています。
中期経営計画の最終年度である2028年3月期は、足元での受注時採算性の改善と業務のDX化による生産性改善もあり、今後も高い採算性は継続すると考えています。一方で成長投資を積極的に行っていくため、固定費負担の増加が見込まれます。2028年3月期の目標はそれらを踏まえ現在精査しています。
塗装システム事業:市場戦略 市場成長性と成長イメージ
浜中幸憲氏(以下、浜中):塗装システム事業部長の浜中です。ここからは、塗装システム事業の10年プランにおける成長戦略および収益力改善についてご説明します。
10年プランでは、注力分野「モビリティ」「バッテリー」の2つを代表例として取り上げていますが、塗装システム事業では、「既存事業の塗装プロセスに加え、成長事業であるオートメーション、バッテリー、新規事業としてのドライ加飾の領域」を、「CN技術等日系で培ってきたプロセス事業におけるエンジニアリング力、どのロボット・塗装機でもインテグレートできるオートメーション技術、環境システム事業とのシナジー力、全世界を網羅するグローバルネットワーク、そしてDX技術という5つの当社の武器」で、北米、インド、欧州、日本、中国で成長を目指していきます。
後段で詳細にご説明します。
塗装システム事業:モビリティ四輪における地域戦略(北米、インド、欧州)
まず、今後のモビリティの四輪における地域戦略をご説明します。
北米戦略は、日系投資が一巡した後は、非日系戦略を比較的競合先の守備固めの弱い部分から攻め、一定の成果を残してきました。さらなる顧客ポートフォリオの多様化を狙いに、いわゆる米国デトロイト3に強みを持つオートメーション企業を昨年企業買収しました。今年1月にはさっそくデトロイト3の1社から中規模の自動化プロジェクトを受注し、その成果が出始めています。
また、昨今の労働市場環境変化で良質な労働力がIT産業に流れており、プラント製造業において自社工場を持つ意義が薄れつつあり、2026年5月をもって工場閉鎖をする決断を下しました。これにより逆に多様な調達方法が可能となり、価格競争力を得ることができます。またそれだけでなく、BIM/DXを活用したローコストな海外拠点とのワークシェアリングで、リソース問題にも手が打てる事につながります。
さらに、環境システム事業の北米への本格参入にも、事業の垣根を超えた拠点活用を考えており、バッテリー分野を皮切りに北米における事業拡大を着実に進めているところです。
次にインド戦略ですが、ご承知のようにこの市場はまさに沸騰が始まっており、1990年終盤から外資を取り入れ大躍進した中国市場の再来の様相を呈しています。日系最大手は年に200万台を倍増する計画のもと、一年に1工場から2工場を新設しており、それらを着実に獲得していくのが基本戦略となります。また、この地での当社の歴史も長くトップシェアを誇っていることから、非日系からの認知度も高く、新たに設立した欧州新拠点とも連携し、欧州系からの積み増しも狙いのひとつです。
その欧州戦略ですが、ドイツでの新会社設立と同時に受注した非日系からの超大型物件に関しては、顧客の生産計画の見直しで若干納期変更があるものの順調に推移しています。その後、チェコにおいて日系から中型物件も受注し、概ね当初の計画どおりに推移しています。今後も、市場予測のとおり地域別には最大となる市場であることから、新拠点のリソースも拡充しており、リソース不足を一括外注で補っていた部分の内製化も着実に進めています。
塗装システム事業:モビリティ四輪における技術戦略(ドライ加飾)
次に、グリーンファクトリー化の取り組みとして、技術軸では塗装代替の目玉となるドライ加飾についてお話しします。
デモライン活用による国内OEM各社の品質検証は一巡し、顧客の生産現場にテストラインを導入する検討ステージに入りました。デモラインでの検証では、さまざまな評価点、課題感も見えてきたため、テストライン導入に向けてさらなる改善改良を加えているところです。また、北米OEM数社からの要望に応えるべく、当社オートメーション事業拠点であるEncore社にデモラインを設置し、現地で顧客と共同でテストができる環境を整えていく予定です。
塗装システム事業:非四輪における市場戦略
次に、塗装システム事業のビジネスポートフォリオ多角化に向けて取り組んでいる非四輪市場への取り組みに関してご説明します。
モビリティ市場としては、鉄道・航空機産業に注力しており、四輪市場で培ってきた塗装および研磨作業も含めた自動化技術およびカーボンニュートラル対応技術を武器に、国内外で実績を上げてきています。
昨年から今年度にかけては、鉄道ビジネスにおいては、国内JRでの自動研磨、エジプトのカイロ、フィリピンのマニラでの地下鉄整備基地を受注し、インドにおいては当社製造工場の品質管理が評価され、各鉄道車両製造メーカーからパーツ製造の請負までビジネスを拡大しています。航空機産業においては、北米で日系プライベートジェットの自動塗装ラインを、ブラジルでは同国大手の航空機会社からリージョナルジェットクラスの自動塗装を含めた塗装工場一式を受注してきました。北米最大手の航空機メーカーの投資再開の話もあり、自動化技術を武器にさらに市場占有率を上げていきたいと考えています。
モビリティ以外の市場としては、住宅建材業界にサイディングの塗装代替としてドライ加飾技術を提案しています。今後の話の進展によっては、四輪市場より先に実用化される可能性もあり、フィルム材料メーカーと協業で力を入れて進めています。日本のハウスメーカーでは、高級感のある上位モデルの販売市場は北米も視野に入れており、当社の北米ラボの活用も戦略の1つになっています。
さらに、2年前にラインビルド事業推進部を事業部内に立ち上げました。これは大手四輪メーカーのように生産技術部門を自前で有しない顧客に、初期の計画段階からコンサル業務を展開し、難易度が高く投資効果を出しにくい多品種少量生産現場でモノ作りに貢献することが狙いでした。ここに、当社の環境システム事業が提供できる環境技術をインテグレートして、塗装領域だけでなく広く展開を始めています。
一例を挙げると、新薬開発ラボでは、無菌室という環境提供技術・クリーンルームに用いられるクリーンパネル、さらに人の介在を必要としない自動化技術の組み合わせで、両事業のシナジーを出す活動を展開中です。
データセンターでは、今後の空冷から液冷に移行する黎明期であり、ここに両事業のシナジー効果を出すべく協業を始めています。環境システム事業が培ってきた最適な熱源制御という環境提供技術と、膨大な数のCPUを直接冷やす冷却プレートへの冷却液供給分配制御技術は、塗装システム事業で実績のある塗料供給システムの技術を応用できると考えています。データセンター向け冷却設備市場は2030年にはグローバルで10兆円規模の市場が見込まれています。
塗装システム事業:バッテリー事業における技術シナジー
両事業の技術シナジーを活かすという話をさせていただきましたので、10年プランにも掲載されているバッテリー事業の動向に触れます。
足元のEV市場の鈍化で四輪OEMのバッテリー工場新設投資の先送りが生じていますが、カーボンニュートラルの実現に向けた社会的課題の1つでもありますので、長期トレンドでは確実に投資が増大すると考えています。特に、リチウムイオンバッテリーは全個体電池に完全移行するまでは、長期にわたり需要が継続し、バリューチェーンの視点からも各OEMがバッテリーを地産地消していく流れは強いと推測しています。
事実、BEV/HEVの車の床面に組み込まれるバッテリーケースラインの投資は旺盛で、今年度だけで国内1件、北米2件、欧州1件のプロジェクトを受注しています。肝心のバッテリーにおいて当社は、一般社団法人「電池サプライチェーン協議会(BASC)」に加盟する設備関連企業8社ともに、蓄電池製造設備産業の強化に向けた共同事業体「SwiftfabEnergySystems株式会社(以下、Swiftfab)」への出資を決めました。
この共同事業体では、政府が掲げる経済安全保障政策を含め、経済産業省が策定する蓄電池産業戦略の実現に貢献すべく、個社それぞれの強みを結集・連携して産業横断型の蓄電池製造プラットフォーム構築を推進し、建屋・設備・生産装置・システムを一体で設計・開発し、蓄電池製造ラインとして統合ソリューションを共同で構築・展開することで、圧倒的な短期間・低コストでありながら高品質を高次元で両立できる電池製造拠点の提供実現を目指します。その中にあって、当社の環境提供技術のミニエン化、四輪工場で培ってきたプレファブ技術で、JVの中で中核をなす存在を目指していきます。
市場規模としては、Swiftfabでの新工法や既存工法によるバッテリー工場において、請負範囲をドライルーム、排気処理等の付属設備、1.5次ユーティリティ供給から、製造設備の据付、マテハン等に拡大することで7,800億円市場を目指します。
塗装システム事業:業績振り返り、中計目標
最後に、業績の振り返りと、中期経営計画期間および長期計画期間における採算性の方向感についてご説明します。
イタリアの子会社があった2023年以前は、売上規模700億円の中で子会社を除く売上は約500億円でした。この部分をExitし、2024年からは欧州以外で売上を積み上げてきており、昨年度は1,000億円台という2倍の売上に押し上げました。今年度以降もコンスタントに1,000億円の壁を突破して継続的に増収予定です。そして、10年プランの売上達成を目指すために、前述した5つの地域である日米欧印中でそれぞれの経済圏に合った地域別戦略を展開していきます。
市場別には、現在5パーセントのウェイトしかない欧州市場を15パーセント近くまで伸ばし、インド・北米では、ウェイト比率は変わらないものの量的には2倍近くまで伸ばしていく計画です。
最後に、肝心の収益性の改善についてご説明します。事業規模を牽引してきたのは塗装プロセス事業(以下、プロセス事業)であり今後もコアビジネスとなりますが、ご承知のように技術がコモディティ化し高い収益性が見込めない事業となりつつあります。とはいえ、オートメーション事業などモビリティ市場でのフックの役割を持っており高い重要度を持っています。
現在、このプロセス事業が売上の60パーセント以上を占めており、フックの役割を活かすため量的には引き続き伸ばしていきますが、10年後には収益性の高い他の事業を伸ばしプロセス事業のウェイトを40パーセント程度まで下げる計画です。ロングテールビジネスを含めると収益性の高いオートメーション事業そしてゲームチェンジャーとなりうるドライ加飾事業、オールインワン形式のユニット型バッテリー工場といった他の事業のウェイトを60パーセントに逆転させることで、ベストミックスによる採算性の改善を目指します。
人的資本:グローバルな人材ポートフォリオ・マネジメントの導入
中島靖氏:代表取締役副社長の中島です。私からは戦略的焦点の人的資本の拡充とDX戦略の進捗について具体的にご説明します。
長期ビジョン・10年プランの実現に向けた人材戦略として、第一に「グローバルな人的資本を競争力の源泉と位置づけ、人材ポートフォリオを基軸に、成長を支えるキャリアプロフェッショナル人材の質的・量的な拡充」を掲げました。これまでの人材戦略との大きな違いは、経営戦略との連動を考慮し、人材ポートフォリオマネジメントのグローバル展開に踏み込んだ点です。
10年プランで掲げた2035年の完成工事高目標は現状の約2倍であり、DX化をはじめとする生産性の向上や従業員数を考慮しても、従来の計画では目指す人材の質・量には遠く及びません。2035年に向けては次世代を担うキャリアプロフェッショナル人材の計画的な育成が不可欠です。求められるスキルや経験、価値観を備えた人材の採用・創出と確保を目指します。
中でも、時々刻々と変わるビジネス環境に対応し、変革をリードするグローバルリーダーを計画的に輩出し続けることが急務と言えるでしょう。すでに国内で開始している経営者育成プログラムを、グループ全体の取り組みとして進展させていきます。
人的資本:グローバル・エンジニアリング力強化
次に、グローバル・エンジニアリング力強化についてご説明します。
当社では、技術的な専門性を持つ社員の年齢層が高く、今後10年でベテラン人材が急速に減少する見通しであり、エンジニアリング力の継承と人材育成は当社事業の存続にとって喫緊の課題です。
エンジニアリング力の高い社員を育成するには、設計から施工、試運転、引き渡しまでの理論を学び、現場で実践し成功体験を得ることが重要です。そのため、自身の知識・経験・技術力・マネジメント力を評価した「技術カルテ」により習得度を把握し、育成プランを実行します。さらに、特定分野で高度な専門性を身に付けるため、生産に直結した知識や技術を失敗も経験しながら学び、顧客からの信頼を得て、より複雑な課題を解決できる人材を育成します。
加えて、クリエイティブ人材や技術高度専門人材については、トップ人材の能力を見える化し、新たな「専門教育機関」の設立も視野に取り組みを進めます。海外のナショナルスタッフには、経営幹部・技術人材を対象に日本への留学機会を設け、教育研修や現場経験で得たスキル・ノウハウを自国で展開させることで、海外におけるエンジニアリング力の蓄積と継承を図ります。将来的には、ナショナルスタッフがグループ執行役員として当社グループの経営に参画することを期待しています。
DX戦略:BIMを中核とするDX基盤の構築
ここからはDX戦略についてご説明します。当社は多くの人手や時間を投入して利益を上げる「労働集約型ビジネス」から、デジタル基盤などへの投資を通じて効率性と収益性を高める「資本集約型ビジネス」への移行を目指しています。このプロセスにおいて重要な要素であるBIMを中心としたDX基盤を構築するため、戦略を策定しました。
まず、見積から検収までのアナログ作業を廃止し、設計・施工業務をはじめとした既存業務をシステム化することで、全社的なデジタル活用を推進していきます。同時に、BIMと各種コスト管理システムとの連携を進めることで、設計・施工業務のスマート化を実現し、自動化の範囲を拡大していきます。これにより、業務の効率化や生産性の大幅な向上が見込まれます。
また、グローバルコスト管理や設計・施工業務にAIを活用することで、従来のコストが削減され、高収益体制を構築することができます。加えて、エンジニアリング分野ではAI、ロボティクスの積極的な活用により、自律化の仕組みを導入・拡大し、新規ビジネスの創出にも挑戦します。これらの取り組みを通じて、当社は持続的な成長と競争力の強化を実現し、変化の激しい市場環境においても確固たる存在感を発揮していきます。
DX戦略:DXへの経営資源投下
これらの取り組みにあわせ、資源投下の重点も段階的に組み替えていく方針です。まず初期フェーズではBIM基盤の整備や業務デジタル化への投資比率を高め、その後、分析・シミュレーション、共創先端技術活用といった高付加価値領域へと投資の重心を移行させていきます。
また国内で構築したBIM/DX基盤は、順次グローバルプラットフォームへと展開し、海外拠点間の連携とデータ共有を強化します。国・地域を超えた共通基盤の活用により、業務プロセス改革をグローバルプラットフォームへ展開し、海外拠点間の連携とデータ共有基盤の活用により、業務プロセス改革をグローバルに加速させるとともに、DX戦略として掲げる「業務効率化と高収益化と高収益体制の構築」、「新しい価値の提供」、「国・地域を超えた連携・共創」を実現していきます。
DX戦略:「デジタル戦略管理」を支える体制の強化
これらの戦略の事業推進・モニタリング体制の強化として、「10年プラン」でも触れたデジタルイノベーション委員会の新設、デジタル戦略委員会の機能強化についてご説明します。
デジタルイノベーション委員会は社外取締役を議長とし、デジタル戦略の執行を担うデジタル戦略委員会をモニタリングしていきます。
デジタル戦略委員会は、委員長を代表取締役が務め、スライド右側に記載の5つの専門部会を設け、「10年プラン」で掲げるDX戦略を実行していきます。
DX戦略:DX人材育成とグローバル連携
また、先ほどご説明したDX戦略を実行面で支えるDX人材についてご説明します。DX人材は3つのステップで育成を進めています。
ステップ1として全社員を対象にDXの基本的な考え方やデジタルAI活用の基礎を深める研修を実施し、全社ベースでリテラシーを底上げしていきます。
ステップ2としてDXリテラシーを土台として業務上の課題抽出、データ分析、プロジェクト抽出など実務に即したデジタル活用力の向上を図り、業務変革を支える人材像の拡充を進めていきます。
ステップ3としてBIM等の業務系デジタルツールの活用や、技術・ノウハウの形式知化、顧客へのデジタル提案を通じて、部門横断的にDXを推進できる人材の育成を行っていきます。
また、人材育成と並行して当社のグローバルネットワークを最大限活用すべく、共通の課題解決に向けて拠点ごとの好事例や秀でた強みの共有を多拠点に展開し、異文化理解や相互信頼を育みつつ、グローバル全体での連携強化、生産性向上を図ります。
人的資本強化とDX戦略を一体で進めることで、事業規模拡大に耐えうる組織力と収益性を高め、10年プラン2035の実現につなげます。
資本政策:キャッシュアロケーション
当ページでは、「10年プラン」のスタートとなる新中期経営計画のキャッシュアロケーションについてご説明します。
スライドに記載しているキャッシュインを活用し、事業を成長させる成長投資と、DOE水準の向上に加え自己株式取得も積極的に行い、株主還元を充実させます。
成長投資は380億円に増額し、M&Aや業務資本提携などのキャピタルアロケーションに220億円を投じるなど、適切に配分することで成長戦略を実行していきます。
当社は昨年、北米で米国のオートメーション企業をM&Aしました。規模は数億円ですが、今後も成長が見込める地域への投資を継続します。オートメーション分野ではM&Aを成長戦略の柱とし、自動車分野での強みを活かしつつ、他産業への展開も進めます。
また、インド市場に注力していきます。インドでは5年前にパネルメーカーに出資し、51パーセントから段階的に持分を引き上げ、現在は100パーセント子会社化しました。さらに空調事業拡大に向けたM&Aも検討中で、優先的に投資する方針です。日本では小規模ではなく、戦略性の高い大型案件に取り組む方針です。
財務・非財務目標:中期経営計画
当ページは、本中計の財務・非財務目標について記載しています。2026年3月期の業績予想に関して、受注工事高は、環境システム事業において、当初見込んでいた案件で受注時期が後ろ倒しとなる見通しであることから、期初予想を下回る見込みです。完成工事高および利益については、すべての項目において中計で掲げている初年度の目標を達成する見通しです。
足元では工事の採算性が改善しており、中計最終年度の経常利益の目標についても達成する見込みです。投資家のみなさまから中計最終年の2028年3月期の目標を上方修正する可能性や還元強化についての問い合わせを多くいただいていますので、現状の方向感をお伝えします。
まず、2028年3月期の中計目標の数字に関しては、足元の好採算を受け、上方修正の可能性もありますが、具体的な数値は現在精査しているため、目標値の検討が終わり次第みなさまにご報告します。
株主還元ですが、配当についてはDOE基準の水準は変更なく10年目に向けて段階的に上げていく方針です。また、自己株式の取得も同様に中計期間は年間50億水準を継続して実施していきます。
本日のご説明は以上です。ご清聴いただきありがとうございました。
質疑応答:環境システム事業の北米における拡大計画について
質問者:環境システム事業についてです。今回、米国での拡大についてお話がありましたが、具体的な拡大時期や規模感の目標値があれば教えてください。
祖父江:北米での今後の展開についてご説明します。
現在、環境システム事業と塗装システム事業において、シナジーを高める取り組みを進めています。北米では、当社の子会社であるTaikisha USA社のバッテリー事業において、両事業が共同で徐々に事業を展開している段階です。
また、環境システム事業としては、来年度から人材を投入し、空調分野における事業の検討を本格的に進める予定です。したがって、現時点では金額やスケジュールについて具体的な説明はできませんが、今後あらためてご説明する機会を設けたいと考えています。
質疑応答:塗装システム事業の欧州における競争環境について
質問者:塗装システム事業における欧州の状況についてです。「現在5パーセントのウェイトである欧州市場を15パーセント近くまで伸ばす」というお話がありましたが、この取り組みを始めてから1年ほどが経過したと思います。
現在の競争環境や採算性を考慮した上で、拡大に向けた見通しが高まっているのか、欧州における競争環境についてアップデートをお願いします。
浜中:欧州市場は日系メーカーと異なり、生産技術部門がしっかりしたお客さまが少ないため、塗装設備一式を請け負うフルターンキーベースの市場環境となっています。
この環境下においてグローバルに競争できる企業は、ドイツの競合会社と当社の2社のみです。したがって、大型物件に関しては必ず呼ばれるというプレゼンスを獲得できています。
収益性については、ドイツに子会社を設立したばかりの当初は、リソースの問題からすべてを自前で対応する体制が整っていませんでした。そのため、ヨーロッパで実績のあるメーカーとアライアンスを組み、一括外注することで、自社で手の届かない部分を補う体制で欧州市場に再参入しました。
しかし、それでは収益性が向上しないため、現在はその部分を徐々に自前化する取り組みを進めています。
おかげさまで、お客さまからは中国やインドからの調達について「安ければどんどん採用していいよ」といった声をいただいています。グローバルなネットワークを活用し、これらをうまく利用しながら、内製化・自前化を進めていきたいと考えています。
質疑応答:塗装システム事業の欧州における収益性向上余地について
質問者:塗装システム事業の欧州市場について、過去の欧州案件では不採算がたまに出たり、そもそものベースの収益性もそれほど高くなかったと思います。御社での調達方法を変えることにより、インドや米国並みに利益が回復し、利益率を出していけるような明るい兆しがあるのかを教えてください。
浜中:おっしゃるとおり、そこを目指しています。ただし、オートメーションについては、予備品ビジネスも含めて最も収益率が高いですが、ヨーロッパの自動車メーカーに「メイドイン大気社」のオートメーション技術を認知していただくには、もう少し時間がかかります。その部分を除いては、他の経済圏並みの収益を確保していく予定です。
質疑応答:事業環境の見通しの変化について
質問者:現在、足元で原油価格が上昇しているほか、大手企業による投資の抑制といった動きも見受けられます。このような状況の中で、中期経営計画を当初立案した際の事業環境の見通しと、現在の事業環境の見通しに変化があったかについてお聞かせください。
祖父江:環境システム事業における変化としては、中東の問題などがありますが、現時点では当初の受注やプロジェクトの進行に対する直接的な影響は確認されていません。ただし、中東情勢の変化により、今後影響が出る可能性はあると考えています。
また、当社では現在、さまざまな大型物件が計画されていますが、一部の案件では延期や中止が発生し流動的です。ただし、投資意欲は顧客ごとに異なりますが、依然として受注状況は旺盛です。現時点では目標の達成は可能であり、大きな影響はないと考えています。
浜中:塗装システム事業の地政学的なリスクについては、中東以外にも米国のトランプ関税があります。当社の事業においては、トランプ関税の影響で北米、特に米国への投資が集中・加速している動きが見られます。したがって、全体を踏まえると、それほど懸念すべき事項はないと受け止めています。
質疑応答:完成工事高目標の達成確度について
質問者:完成工事高の目標について、2031年3月期で4,000億円、2035年3月期で5,000億円超を計画しています。
もともとチャレンジングな目標を設定しているかと思いますが、現状の人材採用の状況、M&Aなどの種まきの状況を踏まえ、完成工事高目標の達成確度についてあらためてお聞かせください。
長田:「10年プラン2035」における「経済的価値の倍増」という目標は、非常にチャレンジングであると私どもも認識しています。
ただし、これまでの中期経営計画も、受注産業として確実性の高い数値で3年後の予測を立ててきました。今回10年プランを提示したのは、現時点で案件化されていない分野も含め、私どもが新たにチャレンジしていく勢いを示すものです。
目標の達成可能性については、まず当社の特徴として、グローバル展開を早くから推進してきたことが挙げられます。また、グローバル社員が国内の社員よりも多く、海外市場には大きな成長余地があると踏んでいます。
当社は海外展開を長年にわたり行ってきました。これまでは主に日系メーカーを中心に進めていましたが、先ほどお伝えしたとおり、非日系のお客さまにも徐々に認知されるようになり、受注も増加しています。
これらの点を踏まえ、海外の人材やお客さまを含めて、当社の技術や信頼性を評価していただければ、5,000億円という目標は決して達成不可能ではないと考えています。
質疑応答:環境システム事業の売上高比率と地域ごとの成長イメージについて
質問者:環境システム事業において、来年度から地域ごとに戦略室を設けるとのことですが、おそらく5つの地域すべてにリソースを投入し、拡大を目指していくと認識しています。
長期ビジョンの最終年度に向け、環境システム事業の売上高比率はどのようなイメージを持っているのか、少しヒントをお聞かせください。また、地域ごとに成長ポテンシャルに違いがあるかと思いますが、そのあたりのイメージも教えてください。
祖父江:具体的な数字は控えます。東アジア戦略室は、最近特に半導体関連企業との結びつきが強まってきたことを受けて設置しました。これを発信拠点とし、各アジア圏や国内、北米に向けて事業を展開するにあたり、営業面での支援体制を強化していく方針です。
アセアン戦略室は、特に非日系企業を中心に事業拡大を図っています。最近ではデータセンターをはじめとし、非日系顧客の物件数が増加しています。これまで日系顧客が多い状況でしたが、非日系顧客の割合を増やし、同等の規模に持っていく戦略です。
インド戦略室に関しては、空調事業は体制強化を図り、パネル事業と同等以上に拡大することを目指しています。現在、インド市場は旺盛ですので、当社の注力分野である空調分野を中心に拡大していく方針です。
北米戦略室については、先ほどお伝えしたとおり、現時点で環境システム事業としては未知数であり、検討段階です。空調分野の市場は大きいため、今後、塗装システム事業とのシナジーを活かしながら空調分野での市場拡大を目指します。
国内戦略室は、特に生産性向上に注力しています。現在、人的リソースが不足しているため、来年度から生産性向上や施工キャパシティを増強し、受注や完工の拡大を目指して取り組んでいく予定です。
質問者:インドでの成長ペースが目立ち、特に加速していくということで、インドが最も伸びしろが大きいというイメージでしょうか?
祖父江:インドと北米は伸びしろが大きいと考えています。