■GMOメディアの今後の見通し
2. 成長戦略
同社は今後の成長戦略として、1) 従来のポイント・ゲームプラットフォーム事業などで培った集客及びリピーターを作るノウハウとAI・データ活用スキルを、成長領域(学び・美容医療・+α)へ展開し、より高い成長を目指す、2) ストック型ビジネスの拡大による安定的成長を実現する、の2点を掲げている。
メディア事業で培ったノウハウを生かし、成長市場である学び・美容医療用域に特化したサービスを展開し、高い市場成長性に独自の強みを掛け合わせることで、事業のさらなる拡大と企業価値の向上を加速していく考えだ。さらに、学びや美容医療に続く新たな領域の開拓も視野に入れている。2026年12月期の売上成長率は1ケタ台に鈍化する見込みだが、中期的にはこれらの取り組みにより年率2ケタ成長を目指す考えだ。
ポイント関連事業については、「ポイ活」が消費者の間で一般化するなかで、従来は流通・小売業での集客・囲い込み戦略として利用されることが多かったが、今後は新たな業態でもポイントサービスの活用が進むと見ており、今後も安定成長が続くものと予想される。
業界特化型(学び・美容医療)事業では、複利成長戦略を推進することで高成長を実現していく。具体的には、集客支援事業(キレイパス、コエテコ)と、事業者向けのDX支援事業(キレイパスコネクト、コエテコマネージャー等のストック型ビジネス)、これら事業で蓄積したデータ(顧客・行動履歴)を活用したD2C事業(キレイパスオンライン診療支援等)や、これらのノウハウをベースに新たな領域を開拓することで、高成長を実現していく。これらのサービスを同時に提供している事業者は少なく、ストック型ビジネスの顧客を開拓していくうえで強みになると考えられる。
(1) 学び領域
学びの領域においては、IT人材不足という社会課題解決のため情報教育の強化が進んでいること(2025年から「情報l」が大学入学共通テストにも採用)、またeラーニング市場の拡大や教育現場のDX化ニーズの高まりといった市場環境下において、それぞれでサービスを開発・提供している同社の成長機会は大きいと言える。
特に成長期待の大きいサービスとして「コエテコStudy」が挙げられる。高等学校の教科「情報l」の教科書を基に生成AI技術を活用して、小テストや授業用プリントなどを自動作成するだけでなく、自動採点や集計機能なども備えたシステムで、教員の業務負担を軽減するサービスとして、2024年より実証試験に取り組んできた。今回、「情報l」の教科書で実教出版と連携する。2026年度用指導資料では「コエテコStudy」のAI機能を活用し、教員向けに「情報プリント作成ツール※」を2026年4月より販売開始する。一定数の高等学校に導入される見込みとなっており、2027年春以降に生徒版の導入が進むものと期待される。また、「情報l」以外の教科についても教科書出版社と共同開発中で、2026年内にもリリースできる見通しだ。学校の教育現場では教師の過剰労働が慢性化しており、課題解決につながる「コエテコStudy」の拡普及が進むものと期待される。
※ 教科書を基にAIで作成した問題を7千問以上収録しているほか、AIを活用した作問機能により、小テストや授業用プリントなどの作成業務を支援するツール。
2025年12月にリリースした「コエテコマネージャー」はプログラミングスクールに特化した運営管理システムで、体験申込から入会手続き、授業の予約・振替機能や月謝決済、顧客管理機能などの機能があり、生徒当たり月額110円(税込)で基本機能が利用できる。シンプルな機能とデザインで直感的に操作できる点が特徴となっている。「コエテコ」による集客支援と併せて利用することで、集客から入会までの導線をスムーズに構築することができ、顧客にとっても導入メリットが大きく、今後の成長が期待される。
(2) 美容医療領域
美容医療領域ではDX事業として美容クリニックの院内業務を一元管理できる「キレイパスコネクト」の拡大を目指す。予約受付から問診、電子カルテ、会計、CRM、経営分析機能までを一括して提供できるのが特徴で、利便性向上につながる機能の拡充についても継続的に進めている。同様のサービスを提供する競合は数社※1あるが、「キレイパス」のように独自の集客ソリューションを同時に提供しているのは同社だけで差別化ポイントとなっている。初期導入費用は無料で、月額料金プランは利用可能機能に合わせて4プラン※2を用意しており、現状の平均月額ARPUは5万円台、解約率は1%程度(閉院のケースがほとんど)となっている。
※1 自由診療・美容クリニック向けを対象として同様の機能でサービス提供している競合としては、(株)プロ・フィールドの「ACUSIS Cloud」、アトミックソフトウェア(株)の「medicalforce」、(株)B4Aの「B4A」などがある。
※2 月額料金(税抜)は9千円、4万円、6万円、9万円のプランを用意。
2025年5月にクラウド型電子カルテシステム「MEDIBASE」を取得したことで、ストック型ビジネスの顧客基盤を拡大したが、2025年12月に日本医師会ORCA管理機構が提供するクラウド型日医標準レセプトソフト「WebORCA」との連携を開始したことで顧客獲得機会が増えるものと予想される。同連携によりこれまで別々のシステムで管理されていた自由診療と保険診療の患者情報・診療データを「キレイパスコネクト」上で統合的に管理できるようになり、クリニックの業務効率向上に大きく寄与するためだ。これにより、自由診療専門のクリニックだけでなく、自由診療+保険診療を行っているクリニックの顧客を開拓しやすくなり、顧客基盤の拡大につながるものと期待される。
美容医療業界の国内市場規模は、2020年の約4千億円から2024年には6千億円を上回る規模に拡大するなど成長市場となっている。医療技術の高度化による非外科美容医療の普及や男性も含めた利用者層の拡大、オンライン診療の普及、クリニック数の増加などが背景にあり、今後も安定的な成長が見込まれている。一方で、クリニック経営の側では、新規顧客の獲得と運営コスト(人件費など)の効率化が経営課題となっており、両方の課題を解決できるソリューションを持つ同社にとって、今後数年間が「キレイパスコネクト」のシェアを拡大する好機になると弊社では考えている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)