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NSグループ Research Memo(5):2025年12月期は新規契約件数及び新規保証料の拡大により2ケタ増益

■NSグループの業績動向

1. 2025年12月期の業績概要
2025年12月期の業績は、営業収益が前期比13.2%増の29,826百万円、営業利益が同12.0%増の9,873百万円、調整後EBITDAは同18.2%増の13,148百万円、税引前利益が同6.5%増の9,365百万円、親会社の所有者に帰属する当期利益が同11.3%増の6,325百万円となった。なお、調整後EBITDAは営業利益+マネジメントフィー+上場関連費用+減価償却費及び償却費より算出される。

営業収益が拡大した主な要因は、新規契約件数の増加と家賃単価の上昇による新規保証料の拡大である。契約時に受領する保証料ベースの新規保証料(期間按分前)は前期比10.3%増の15,075百万円となった。成長要因を見ると、新規契約件数の増加による数量要因が同6.0%増、家賃水準の上昇などによる単価要因が同4.3%増であり、契約数の拡大と単価上昇の双方が成長を支えた。用途別では、住居用保証が同6.8%増の10,014百万円、事業用保証が同20.7%増の4,463百万円といずれも拡大した。なかでも事業用保証の成長が大きく、コロナ禍以降、事業用賃貸では敷金水準の低下やテナントの資金繰りへの配慮から保証会社を利用する契約が増えており、同社の契約獲得が進んだと考えられる。

会計上の売上計上ベースの新規保証料は前期比12.2%増の14,257百万円となった。契約の拡大に伴い将来の更新契約の母数も増加しており、ストック収益の成長にもつながっている。過去契約の積み上げによるストック収益である更新保証料は同9.5%増の11,956百万円となった。うち、年払更新料は10,217百万円、月払更新料は1,739百万円である。加えて、家賃の集金代行手数料などのその他売上高も同32.7%増の3,614百万円と大幅に伸長した。不動産会社の業務効率化ニーズを背景として、保証サービスと併せて利用するケースが増えているようだ。

営業費用は前期比14.3%増の20,444百万円となった。将来の事業拡大を見据えた人員増強により人件費が増加し、従業員給付費用は同15.4%増の5,926百万円となった。一方で、同社は滞納債権の回収力が高く、貸倒関連費用や訴訟費用は抑制できている。調整後EBITDAの増減要因を見ると、増収効果が3,625百万円の増加要因、変動費の増加が521百万円の減少要因、固定費の増加が1,075百万円(うち人件費の増加が668百万円)の減少要因となった。この結果、営業利益は前期比12.0%増の9,873百万円、調整後EBITDAは同18.2%増の13,148百万円と拡大し、調整後EBITDAマージンは44.1%と同1.9ポイント改善した。

2025年12月期は新規契約の拡大によりフロー収益が伸長するとともに、更新保証料を中心とするストック収益も着実に積み上がり、収益基盤の拡大が確認された。コスト面では、強固な回収体制を背景に貸倒関連費用を抑制しつつ、人員拡充など将来に向けた成長投資を吸収しながら高い利益率を維持している点が評価される。ストック収益が継続的に積み上がる事業構造であることから、今後も安定したキャッシュ・フローと高い収益性を維持・向上していく可能性が高いと考えられる。

2. 代位弁済率及び債権回収率について
2025年12月期の代位弁済率は7.7%となり、前期比0.1ポイント上昇した。保証残高が拡大する中でも水準は安定しており、同社の保証ポートフォリオにおけるリスク水準はおおむね安定している。足元ではAIを活用した審査モデルの高度化により入居審査の精度向上が進んでいるほか、LINEを活用した家賃引き落とし日の事前通知などの取り組みにより滞納の未然防止を図っている。これらの施策により、事業規模の拡大局面でも代位弁済率は安定して推移しており、リスク管理は適切に機能していると考えられる。

債権回収率は96.5%となり、前期比0.4ポイント上昇した。直近3年間で最高水準となり、同社の回収体制の強さが改めて示された。回収部門には多くの人員が配置されており、滞納状況に応じた段階的な回収プロセスを整備している点が特徴である。電話連絡や督促、分割返済の提案などを組み合わせたきめ細かな対応により、債権回収を高い水準で維持している。回収率の改善は貸倒関連費用や訴訟費用の抑制にも寄与し、貸倒コストの増加を抑えながら保証契約の拡大を吸収できたことが収益性の維持につながったと見られる。

同社は保証契約の拡大に伴う代位弁済額の増加リスクを、回収力の強化によって十分に吸収している。代位弁済率が安定して回収率が改善した点は、審査体制と回収体制の双方が有効に機能していることを裏付ける結果といえる。保証残高の拡大とリスク管理が両立しており、同社の事業モデルの安定性と収益性の高さを改めて確認できる内容であった。

3. 財務状況と財務指標
2025年12月期末の財務状況を見ると、資産合計は前期末比1,942百万円増加の76,141百万円となった。流動資産は同2,185百万円増加の29,498百万円となり、主には営業債権及びその他の債権が1,287百万円、現金及び現金同等物が616百万円、それぞれ増加したことによる。非流動資産は同243百万円減少の46,643百万円となり、主には繰延税金資産が611百万円増加した一方で、無形資産が償却により1,027百万円減少したことによる。

負債合計は前期末比1,598百万円増加の47,256百万円となった。流動負債は同2,952百万円増加の19,571百万円であり、主には未払法人所得税が1,145百万円、営業債務及びその他の債務が664百万円、金融保証契約が625百万円、それぞれ増加したことによる。非流動負債は同1,353百万円減少の27,685百万円となり、主には借入金が959百万円、繰延税金負債が569百万円、それぞれ減少したことによる。純資産合計は同343百万円増加の28,884百万円となった。主には剰余金の配当により6,000百万円減少した一方で、当期包括利益の計上により6,343百万円増加したことによる。

主な財務指標を見ると、親会社所有者帰属持分比率は37.9%となった。同社は、過去の事業承継に伴いLBOローンを活用した経緯があり、有利子負債を一定程度抱える資本構成となっている。買収に伴い多額ののれんも計上されているため、自己資本比率は高水準とはいえないものの、安定した収益基盤を背景として負債返済が進んでおり、資本構成は徐々に改善している。短期的な支払能力を示す流動比率は150.7%であり、保証履行などに伴う資金需要が発生した場合でも十分に対応できる流動性を確保している。有利子負債から現金及び現金同等物を差し引いて算出されるネットデットは前期末比1,480百万円減の9,885百万円となり、負債水準は着実に低下している。同社の家賃債務保証事業は更新保証料などのストック収益の割合が高く、安定したキャッシュ・フローを生みやすい。この収益基盤が負債削減を下支えしているといえる。

以上を踏まえると、同社はLBOに伴い借入の割合が高い資本構成ではあるものの、安定した事業基盤を背景としてレバレッジの改善が進んでいる。また、流動性指標も健全な水準を維持しており、保証事業のリスクに対応可能な財務体質を備えていると評価される。今後の事業拡大により、負債圧縮の進展とさらなる資本構成の改善が期待される。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 吉林 拓馬)

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