ブリヂストン は1931年に創業したタイヤ・ゴム製品メーカーであり、タイヤ事業を中核にソリューション事業、化工品・多角化事業を展開している。企業理念として「最高の品質で社会に貢献」を掲げ、「断トツ商品」の開発・生産・販売とソリューション提供を推進している。売上収益構成比はプレミアムタイヤ事業が約6割を占め、ソリューション事業が3割、そのほか化工品・多角化事業で構成されている。
同社の競争力は、商品設計基盤技術「ENLITEN(エンライトン)」や鉱山車両用タイヤ「MASTERCORE(マスターコア)」などの技術を基盤とした高付加価値商品と、世界各地に展開する製造・販売拠点による顧客ニーズへの対応力にある。コア市場である北米では、「Bridgestone」と「Firestone(ファイアストン)」によるマルチブランド戦略を展開し、約2,200拠点の直営小売網を活用した販売・サービス体制を構築している。一方、欧州では競合が強い市場環境にあるが、高インチタイヤなど技術優位性の高いプレミアム領域に注力することで市場プレゼンスの向上を図っている。
2025年12月期は、売上収益4,429,452百万円(前期比0.0%減)、調整後営業利益493,717百万円(同2.2%増)、営業利益381,237百万円(同14.0%減)、親会社の所有者に帰属する当期利益(非継続事業含む)327,264百万円(同14.8%増)であった。売上収益は、高インチタイヤや鉱山用タイヤの販売は堅調に推移したものの、OE(新車用タイヤ)販売減、南米、化工品の減収影響により前年並みとなった。利益面では原材料価格上昇があったが、ビジネスコストダウンの進展などにより吸収し、調整後営業利益は増益を確保した。一方、欧州や北米での拠点再編に伴う費用を計上したため、営業利益は減益となった。なお、米国関税の影響はあったものの、地産地消率の高さに加え、価格転嫁などにより影響を抑制した。
2026年12月期は、売上収益4,500,000百万円(前期比1.6%増)、調整後営業利益515,000百万円(同4.3%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益340,000百万円(同3.9%増)を予想している。売上収益は、市販用タイヤを中心に、高インチタイヤの拡販や販売ミックスの改善により増収を見込んでいる。利益面では、米国関税影響を値上げなどで吸収しつつ、継続的なビジネスコストダウン、生産性向上や過年度の事業再編・再構築による効果の発現により増益を見込んでいる。
3ヶ年の現 中期事業計画は2026年12月期が最終年度となる。前半2年間でグローバルの事業再編・再構築を進め、現在は「質を伴った成長」へ経営の重点を移している。拠点再編やグローバル調達の効率化、部材共通化(BCMA)の推進、生産現場における改善活動などを通じてコスト構造の見直しを進め、2024~2025年の2年間で約1,470億円のビジネスコストダウンを実現した。足元ではDXの活用による生産性向上や新商品投入の拡大、北米工場の稼働率向上などを通じて収益力のさらなる強化を図る方針である。2031年の創立100周年に向けて「世界No.1奪回」を掲げており、次期中期経営計画の策定も進めている。成長領域としてはソリューション事業の拡大に注力している。鉱山車両やトラック・バス向けにおいて、タイヤの耐久予測やリトレッド(再生)技術、メンテナンスサービスなどを組み合わせたBtoBソリューションを提供しており、タイヤ販売とサービスを融合した収益モデルの確立を目指している。
株主還元については、連結配当性向50%を目安とし、安定的かつ継続的な配当額の向上に努めることを基本方針としている。2026年12月期の配当金は、2026年1月付の株式分割後ベースで年間125.0円(配当性向46.1%)を予定しており、分割前換算比で20円の増配となる見込みである。また、同社は自己資本比率55%レベル(2025年12月期末比で約10ポイント低い水準)を中長期の目標としており、健全性と資本効率性の両立を図る資本構成への改善を進めている。その一環として、自己株式取得を機動的に実施しており、2025年12月期に3,000億円実施し、2026年12月期も1,500億円を予定している。
事業再編・再構築により収益基盤の強化が進み、成長投資と株主還元の両立が図られている。今後、次期中期経営計画において成長戦略がより具体化すれば、投資妙味は高まる可能性があると考えられる。