■買取DXプラットフォームの取り組み
アップルインターナショナルは2026年の最重点施策として、中古車、ブランド品、貴金属・宝石などの商材全般を1つのシステム及び業務フローで査定・買取可能にする商材統合型の買取DXプラットフォームを構築し、店舗の収益多角化と生産性向上によって、国内事業の拡大を目指す。同プラットフォームでは、AI査定システム、eKYC※、Webセルフ査定の3つのシステムを統合する。同プラットフォームを構築することで、以下の導入効果が期待される。
※ eKYC(Electronic Know Your Customer):オンラインによる顧客確認システム。
1. 店舗オペレーションの劇的な効率化と品質の標準化
AI査定システムは、1画面・1フローによる簡便な操作性を追求したシステムで、スマートフォンやタブレットで対象物を撮影するだけでAIが情報を解析し、査定情報を自動生成する仕組みである。このため、手入力の手間を最小限に抑え、ミスを防止することが可能になるほか、専門知識が必要だった査定業務をシステム化することで、経験の浅いスタッフでも、熟練者と同等の査定品質を維持することが可能になる。また、中古車、ブランド品など異なる商材を共通のUIで査定でき、店舗のマルチタスク化を支援することができる。査定データに関しては即座に本部のシステムと連携し、迅速なプライシングの提示を可能としている。AI査定システムの導入効果として査定時間の30%削減を目標としている。
2. Webセルフ査定による集客最大化と成約率の向上
Webセルフ査定システムは24時間、365日、顧客が自身のデバイスを操作して簡易査定ができるシステムで、「とりあえず価格水準を知りたい」といった顧客層を幅広く取り込むドアノックツールの役割を果たしている。オンラインで本人確認(eKYC)を行い、Web上で買取予約まで完結させることで、途中離脱を防いでいる。Webデータは即時に店舗システムと連携することで、来店時の二度手間を省き、スムーズな商談を実現する。
Webからの能動的な集客を行うことで事前に顧客情報を把握でき、店舗での接客時間をより付加価値の高い提案を行う商談に代えていくことが可能になる。同システムの導入により成約率の15%向上を目標としている。
3. 中古車査定のプロ水準を全店舗で再現する標準装備
AI査定システムの導入により、オークション会場と同等の「評価点」や「出品票」を店頭で即時発行し、顧客に対して値付け価格の根拠を客観的データで示すことが可能になる。査定価格への納得感向上による即決率の改善や査定ミスによる買取損失(ロス)の低減、本部と店舗間での評価基準の統一が図られるといった効果が期待される。同社では査定誤差5%以内を必達目標としている。
4. 売り先を限定しない設計による収益の最大化
同社は店舗で買い取った中古車、ブランド品などの商材を、自社・グループ販売や国内オークション、海外輸出販路など様々な販路で売却が可能なため、これらの販路のなかから「最高値で売れる販路」をリアルタイムで選択できるシステムを構築している。同システムの導入によって粗利率で5%の向上を目指している。
5. FCネットワークの統制とKPIの可視化による成長加速
買取DXプラットフォームを構築することで、FC本部は加盟店舗すべてのKPI(査定数、成約率、買取粗利等)を一元管理できるようになり、店舗ごとに的確な経営指導を行うことが可能になる。また、AI査定により標準化が進むことで、店舗ごとの評価のバラつきがなくなり、アップルブランドの信頼性を維持することが可能になる。
中古車買取の加盟店では、顧客基盤を生かして低コストでリユース品の買取ビジネスを開始することができ、店舗の粗利益拡大に寄与することが見込まれる。また、特殊車両や高額ブランド品など現場での査定が困難な商材でも、AI査定により本部が即座にバックアップすることが可能になり、収益獲得機会を逃さず取り込むことができる。
同社では、FC加盟店への買取DXプラットフォームの提供によって、FCネットワークを成長ビジネスモデルへと進化させる考えだ。
■株主還元策
安定配当の継続を基本に配当性向の向上や自己株式取得を検討
同社は、経営基盤の強化を図りながら、株主に対する利益還元を重要な経営課題として認識し、業績の変動に関わらず安定的な配当を継続することを基本方針としているが、今後については内部留保を将来の成長投資(DX投資等)に充当しつつ、利益成長に合わせた増配あるいは配当性向の向上を検討する考えだ。
同方針に基づき、2025年12月期の1株当たり配当金は10.0円(配当性向16.3%)とし、2026年12月期も同額の10.0円(同20.9%)を予定している。2024年12月期は業績が会社計画を大幅に上回ったことで、特別配当5.0円を実施しており、普通配当で見れば10.0円で横ばいが続くことになる。今後、利益が会社計画を上回るようであれば特別配当を実施する可能性もある。
また同社は株主価値の最大化に向けて、ROEを早期に10%以上に回復させるべく、収益性向上施策に加えて資本効率の向上施策にも取り組む方針で、株価水準や資金状況を勘案して機動的な自己株式取得も検討する意向だ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)