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美樹工業 Research Memo(6):2025年12月期は追加工事や工事進展などにより、期初予想を大幅に上回る

■美樹工業の業績動向

1. 2025年12月期の業績動向
2025年12月期の業績は、売上高が36,151百万円(前期比32.5%増)、営業利益が2,583百万円(同127.7%増)、経常利益が2,560百万円(同121.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益が1,571百万円(同138.8%増)と大幅な増収増益となった。期初予想との比較でも、売上高で1,151百万円超過、営業利益で1,083百万円超過達成し、好調な決算となった。

日本経済は、雇用・所得環境の改善や各種政策の効果もあり、緩やかな回復基調が続いた。一方、各国の通商政策や金融資本市場の変動などの影響もあり、先行きは依然として不透明な状況が続いた。建設業界においては、公共事業が底堅く推移し、企業の設備投資にも持ち直しの動きが見られるなど堅調に推移したが、慢性的な労働者不足や資材価格、労務費の高騰などに伴う建設コストの上昇に注視する必要がある状況が続いた。こうした環境下、同社は中期経営計画に沿って事業を積極的に展開した。

この結果、売上面においては、建設事業で戦略的に拡大している大型工事が順調に進捗し、完成工事高が例年を上回る水準で推移した。加えて、M&Aを実施したヒョウ工務店の業績が通期で寄与したことや、住宅事業の堅調な推移もあり、2ケタの増収となった。利益面では、長期工期の案件において物価上昇の影響を完全には吸収しきれなかったものの、建設事業における追加工事の獲得や設計変更への対応、住宅事業での販売棟数の増加、さらには増収に伴う販管費率の低下が寄与し、営業利益は前期比で2倍以上となる大幅な増益となった。期初予想を大幅に上回る着地となった要因は、官公庁案件における設計変更や追加工事の発生、徹底した原価管理による実行予算の抑制に加え、一部の民間案件で想定以上の工事進展と、複数の好条件が重なったことにある。

なお、親会社株主に帰属する当期純利益が黒字である一方で、営業活動によるキャッシュ・フローがマイナスとなった。これは、大型工事の増加に伴い棚卸資産及び回収期間の長い売上債権が増加したことによるものである。特に、一部の売上債権における回収期間(サイト)の長さは資金効率上の課題であり、同社は今後、回収期間の短縮化に向けた検討を進めるとしている。

セグメント別の業績は、建設事業が売上高22,572百万円(前期比47.6%増)、営業利益1,963百万円(同139.3%増)となった。主な増収要因は、前期に着工が遅延していた物件や、ごみ処理施設、病院設備等の大型工事が順調に進捗したことである。加えて、一棟収益マンションの売却や、2024年12月期第4四半期にグループ入りしたヒョウ工務店の通期寄与(2025年12月期は売上高1,500百万円、営業利益174百万円)も増収を後押しした。KPI(重要業績評価指標)も、良好な受注環境を背景に受注工事高が前期比8.9%増、完成工事高が同39.5%増と伸長した。繰越工事高は同25.4%減となったが、決算直後に80億円規模の大型工事を受注しており、実質的な手持ち工事高は増加傾向にある。完成工事高の工種別では、好調な建築に対し、土木とガス導管敷設が減少したが、これは入札時期や受注タイミングの変動によるものであり、一過性のものと判断される。一方で、建築工事は施工能力が最大値に達しつつあり、今後、中途採用や追加のM&Aを通じた施工体制の拡充が課題となる。利益面では、増収効果に加え、土木・設備工事における設計変更や追加工事の発生が採算向上に寄与し、2倍を超える大幅増益となった。

住宅事業は売上高13,330百万円(前期比13.4%増)、営業利益599百万円(同93.1%増)となった。増収要因は、子会社のセキスイハイム山陽が展開した自社造成による大型分譲地(68区画)の販売が極めて好調に推移したことである。京阪神におけるマンション価格の高騰を背景に、利便性の高い立地の分譲戸建に対する一次取得者の需要が一段と高まっている。KPIについても、戸建住宅売上棟数が前期比17.9%増、土地売上区画数が同8.6%増と堅調に推移した。分譲販売の好調を受けて手元在庫が減ったため新たな区画確保が課題となるが、足元で進行している開発計画もあるようだ。リフォームについては、前期にあったひょうによる被害特需が一服したが、契約単価が上昇したことで収益貢献することができた。同事業は過去に建設した住宅オーナーを主な対象としており、累計10,000戸以上の施行実績に基づく顧客基盤を背景に毎期一定の需要があり、一般のリフォームと異なることから良好な採算性を維持している。利益については、増収効果に加え、高採算のリフォーム工事の受注が順調に推移したことなどにより、2倍近い大幅な増益となった。

その他事業の売上高は、レストランでコロナ禍後の回復が継続したため249百万円(前期比2.3%増)となり、営業利益は、物価高により売上原価が増加したため10百万円(同23.1%減)となった。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田 仁光)

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