第3四半期累計実績ハイライト
橋本宗之氏(以下、橋本):本日は当社の決算説明会にご参加いただきましてありがとうございます。Sansan株式会社CFOの橋本です。私より2026年5月期第3四半期の実績についてご説明します。
4ページをご覧ください。2026年5月期第3四半期累計実績のハイライトです。1点目に、売上高は前年同期比26.1パーセント増となり、堅調な成長を維持しました。調整後営業利益は、経理AXサービス「Bill One」の赤字縮小等により前年同期比131.1パーセント増となり、過去最高益を達成しました。
2点目は、「Bill One」の高成長が継続し、4四半期連続でMRR(月次固定収入)の純増額が拡大しました。
3点目は、当第3四半期までの順調な業績推移を受けて、2026年5月期の通期業績予想と中期財務方針(2027年5月期通期)を上方修正しました。
経営成績の概況
第3四半期の3ヶ月間の実績についてご説明します。売上高は前年同期比25.3パーセント増と堅調に成長し、売上総利益率は前年同期比で0.4ポイント改善しました。
調整後営業利益は、売上高の伸長に加え販管費率の低下等により前年同期比69.6パーセント増と大幅な増益となり、四半期単位でも過去最高益となりました。
これらの背景により、経常利益および親会社株主に帰属する四半期純利益も大幅な増加となりました。
調整後営業利益の増減要因
調整後営業利益の詳細についてご説明します。売上高は前年同期比25.3パーセント増加と堅調に成長し、原価率は0.4ポイント低下しました。
広告宣伝費については、「Bill One」の好調な受注状況を背景にテレビCM等のプロモーションを強化したことで前年同期比51.1パーセント増となり、売上高比率は1.7ポイント上昇しました。一方で、人件費の増加は前年同期比11.7パーセント増にとどまり、売上高人件費率は4.0ポイント低下しました。
その結果、販管費率は前年同期比で6.1ポイント低下し、成長に必要な投資を継続しながら、調整後営業利益は前年同期比69.6パーセント増の大幅な増益となっています。
セグメント別実績の概況
続いて、セグメント別の概況についてご説明します。Sansan/Bill One事業は堅調な売上成長が続き、調整後営業利益は大幅な増益となりました。
Eight事業は好調な増収を継続したものの、調整後営業利益は前年同期比マイナス24.3パーセントとなりましたが、黒字を維持しました。
Sansan/Bill One事業の概況
続いて、8ページからセグメント別の詳細についてご説明します。Sansan/Bill One事業の売上高は、「Sansan」の堅調な成長と「Bill One」の高成長継続により、前年同期比23.6パーセント増となりました。
また、「Contract One」とグループ会社であるナインアウト社の業績が計上されている「その他」も好調に推移し、売上成長に寄与しました。そのうち、「Contract One」の売上高は前年同期比101.9パーセント増となり、契約件数は前年同期末比102.2パーセント増の653件となりました。また、ARR(年間固定収入)は2026年3月末時点で10億円を超える等、足元でも好調に拡大しています。
調整後営業利益は前年同期比76.8パーセント増の大幅な増益となりました。内訳として、「Bill One」の収益性改善が大きく寄与しており、第3四半期では単月で黒字化する月も見られる等、赤字額は約6,000万円まで縮小して前年同期比で約8億円改善しています。また、「Sansan」の調整後営業利益は前年同期比19.2パーセント増益となりました。
「Sansan」:主要指標の状況
「Sansan」のKPIについてご説明します。スライド左側に示すとおり、ストック売上高は前年同期比15.6パーセント増と堅調な成長を継続しました。
スライド中央のグラフで示した契約件数は前年同期末比12.8パーセント増、四半期での純増数は372件となり、第2四半期から成長率が加速しました。契約当たり月次ストック売上高は前年同期比1.4パーセント増となり、高水準で推移しています。
スライド右側のグラフは、直近12ヶ月平均月次解約率を示しています。当第3四半期においては0.54パーセントと第2四半期とほぼ同水準となり、安定して1パーセント未満の低い水準を維持しています。
また、解約理由についてはこれまでと変わらず、個社特有の事情に基づくものです。例えば、生成AIを活用して「Sansan」の代替となるシステムを内製化したことによる解約等は特に認識していません。
「Bill One」:主要指標の状況
続いて、「Bill One」のKPIについて10ページをご覧ください。スライド左側のグラフのMRRは、前年同期比36.8パーセント増の約11億5,600万円となりました。第2四半期末からは約8,600万円の純増となり、四半期純増額は4四半期連続で拡大しています。
次に、スライド中央に示した有料契約件数は前年同期比36.1パーセント増、四半期での純増数は325件となり、前期第3四半期以降、安定して300件を超える成長が継続しています。有料契約当たり月次ストック売上高、直近12ヶ月平均月次解約率はともに前年同期比でやや改善し、良好な水準を維持しました。
「Sansan」:AI機能による収益基盤の強化と拡大
続いて、「Sansan」「Bill One」「Contract One」のAIを活用した機能の開発状況と、今後の業績寄与の方向性についてご説明します。
まず、2025年5月期の通期決算でご紹介した「Sansan MCPサーバー」です。本機能は、ユーザーが自社で利用している「Microsoft Copilot」等の生成AIから、「Sansan」上に蓄積された名刺情報やコンタクト履歴を直接呼び出せるようにする仕組みで、いわば「Sansan」と外部の生成AIをつなぐ橋渡しの役割を担います。
昨年11月にトライアル提供を開始して以降、大企業を中心とした10社以上の先行ユーザーと検証を重ねてきた中で、課題が見えてきました。それは、「Sansan」上のデータを単に外部AIに渡すだけでは、回答の精度やまとめ方等が、各社で利用しているAIモデルの性能やユーザーの指示の出し方に左右されてしまい、得られるアウトプットのクオリティにばらつきが生じてしまうというものです。
この課題を解決するため、現在は「Sansan」側でもAIを介在させて、データを用途に応じた最適なかたちに整理・加工してから外部AIに渡す仕組みへとアップデートを進めています。これにより、例えば、直近のニュースや過去の接点、活動の要約までを網羅した高精度なレポートを「Sansan」側で構成し、それをそのまま外部AIが活用できるようになります。
その結果、ユーザーは複雑な設定や高度なプロンプト設計をしなくても、誰でも簡単に生成AIから的確な回答を引き出せるようになります。
「Sansan」:AI機能による収益基盤の強化と拡大
昨年11月に提供開始した「Sansan AIエージェント」は、先ほどの「Sansan MCPサーバー」とは異なり、あくまで「Sansan」上で完結するAI機能になっています。「Sansan AIエージェント」を使えば、「Sansan」内のデータや「Sansan」に連携している営業ツール等のデータを「Sansan」上で自然言語で参照・活用することができます。
この「Sansan AIエージェント」は、かなり大がかりな、いわばフルカスタマイズのような性質を持つ機能でしたが、一部大型の受注を獲得する等、確かな顧客ニーズを確認することができました。
ただし、このフルカスタマイズ版のままであるとどうしても導入可能な企業が限定されてしまうため、今後はより多くのユーザーを獲得していくために、この「Sansan AIエージェント」の主だった機能を「Sansan AIサーチ」として整理し、「Sansan」上でより使いやすくしていく方針としました。
例えば、「Sansan AIサーチ」を使うと、製造業でDXを進めている企業の中で「自社と既に接点がある企業」と「接点がない企業」をリストアップする等といった抽象度の高い指示に対して、名刺やコンタクト履歴、関連するWeb上の公開情報等を掛け合わせた精度の高いリストを瞬時に出力できるようになります。
これらの機能については、段階的な先行提供等を行いながら、今年の夏頃を目指して正式に実装していく予定です。AI機能の拡充によって新規顧客の獲得・促進だけではなく、既存顧客の単価上昇にも期待できるものと考えています。
このような機能開発を通じて、「Sansan」に蓄積されたデータの活用度が高まるほど、データベースそのものの価値も高まっていくと考えています。その源泉となるのは、生成AIが公開情報からは取得できない名刺やコンタクト履歴といった一次情報です。
「Sansan」はサービスの利用を通じて、こうした一次情報を継続的に取得・蓄積できる構造を有しているため、AI活用が進むほどこの構造的な強みが一層強化され、生成AIの進化とともにますます競争優位性や利用価値の向上につながっていくものと期待しています。
「Bill One」:AI機能による収益基盤の強化と拡大
続いて、「Bill One」についてもAIを活用した機能の状況と業績寄与についてご説明します。まず、昨年11月にオプション機能として「AI自動照合」の提供を開始しました。これは、企業が受領した請求書や納品書の内容と、発注書や検収書等の仕入れに関する内容を、総額や明細単位で照合する機能になっています。
企業では、過払い等を防止する目的でこのような照合対応を行っていますが、多くの場合担当者による手作業で実施しており、大きな業務負荷が生じています。特に明細が数千行に及ぶケースや、月末月初に数十名規模で対応する企業もある等、業務負荷・コストともに非常に大きい領域です。こうした背景から本機能に対するニーズは非常に高く、企業の業務効率化において重要なテーマの1つとなっています。
この機能を使えば大幅な工数やコスト削減が実現できることから、発表後には多くの反響をいただいています。機能提供開始前に、自動照合オプションの利用を含む新規受注として1社でARR約4,200万円の案件を獲得したほか、提供を開始した当第3四半期においては1社でARR約2,800万円規模の案件を獲得する等、順調に立ち上がりつつあります。
今後、本機能の導入が広がることで、「Bill One」の平均単価の上昇の他、「Bill One請求書受領」の導入加速や、エンタープライズを含む高単価案件の獲得にもつながっていくことを期待しています。
「Bill One」:AI機能による収益基盤の強化と拡大
次に、2026年夏頃を目途に提供予定の「AI自動起票」についてご紹介します。まず、経理処理における「起票」とは、請求書の内容をもとに勘定科目や金額等を入力して、社内承認のための伝票を作成する業務です。
「AI自動起票」は、この起票業務を、受領した請求書の明細データと過去の起票データをもとに、AIが勘定科目や税率等を自動入力し、サジェストする機能になっています。担当者が日々「Bill One」上で起票していくことで、学習データベースに処理情報が蓄積され、AIによる処理精度が自動的に向上するため、業務負担を大幅に軽減していくことができます。
さらに、新たな機能として検討している「自動承認」では、起票された内容と請求書データをAIで自動的にチェックして、承認プロセスを簡素化します。機能提供前にもかかわらず、当第3四半期においてすでに本機能の利用を前提とした新規受注も獲得する等、多くの反響をいただいており、本機能も今後の「Bill One」の成長に寄与してくれることを期待しています。
「AI自動照合」「AI自動起票」「自動承認」といった機能が実現できている背景には、「Bill One」が請求書という一次情報を取得する構造を有し、かつ明細単位まで高精度にデータ化している点があります。
請求書の処理業務は、受領から照合、起票、承認、仕訳に至るまで、複数の工程が密接に連続するプロセスです。AIによる業務自動化を真に成立させるためには、正確にデータ化された一次情報と、こうした業務プロセス全体を一貫して支える仕組みの両方が不可欠です。「Bill One」は請求書処理の入口から押さえていることで、後続の業務プロセスまで一体で自動化できる強みがあり、これが提供価値の拡張余地にもつながっています。
「Contract One」:AI機能による収益基盤の強化と拡大
最後に、「Contract One」におけるAI活用機能の開発状況についてご説明します。現在、AIを活用した契約書レビューサービスは市場にも存在しますが、基本的には法律や一般的なレビュー観点に基づく確認や、自社の雛形との比較を中心としたものが多いと認識しています。
一方で、ビジネスの現場で求められるのは、取引先との関係性や過去の契約条件を踏まえた、より実務に即した判断になります。このようなニーズに応えるべく、「Contract One」では、過去の契約書データをもとに自社基準で判断できるAI契約書レビュー機能の提供を開始します。
「Contract One」では、「Sansan」で培ったデータ化や名寄せ技術を活用して、過去の契約書から最新の覚書に至るまでの契約情報を取引先ごとに正確に紐づけ、構造化したデータベースとして整備しています。これによって、ユーザーが生成AIを活用して、過去の類似案件や当該取引先との契約経緯等を踏まえながら、有利・不利の判断といった自社独自の基準に基づく契約書レビューを行えるよう支援していきます。
実装の仕組みとしては、MCPサーバーを介して、ユーザーがふだん利用している「Claude」等の生成AIから「Contract One」のデータベースにアクセスできる環境を構築します。その結果、ユーザーは使い慣れたAI環境から、過去の契約判断を踏まえた回答を得ることや、取引先ごとの条件に応じた契約書レビューを行うことが可能になります。
「Contract One AIレビュー」は2026年4月中の提供開始を予定しており、「Contract One」の提供価値を一段と高めることで、新規契約の獲得を含めた事業のさらなる成長につなげていきます。
Eight事業の概況
続いて、Eight事業についてご説明します。16ページをご覧ください。BtoCサービスの売上高は前年同期比9.9パーセント増となりました。BtoBサービスの売上高は、ビジネスイベントの堅調な成長や採用関連サービスの好調な成長などにより、前年同期比で43.8パーセント増となり、これらの結果、Eight事業全体の売上高は前年同期比41.1パーセント増となりました。
調整後営業利益は、来期以降の堅調な成長の継続に向けて新しい大型イベントの開催に着手したことで、やや収益性が悪化して前年同期比で24.3パーセント減となりましたが、黒字を維持しています。第3四半期累計期間では大幅な増益を達成しており、まったく問題はありません。
2026年5月期通期業績予想及び中期財務方針(2027年5月期通期)の上方修正
次に、業績見通しの上方修正についてご説明します。18ページをご覧ください。第3四半期までの業績推移を受けて、2026年5月期の通期業績予想と中期財務方針を上方修正したので、順にご説明します。
2026年5月期通期業績予想の上方修正
まず、今期業績の上方修正について19ページをご覧ください。売上高は、各サービスの堅調な成長を背景にレンジの下限を引き上げ、新たに前年同期比24.0パーセント増から25.0パーセント増を見込みます。
また、調整後営業利益についてもレンジの下限を引き上げ、前年同期比126.0パーセント増から143.0パーセント増、調整後営業利益率は15.0パーセントから16.0パーセントを見込みます。
中期財務方針(2027年5月期通期)の上方修正
次に、中期財務方針について20ページをご覧ください。従来、中期財務方針の中で、来期の調整後営業利益率の方針は18パーセントから23パーセントとしていましたが、今期の好調な利益推移を受けてその下限を引き上げ、新たに20パーセントから23パーセントに上方修正します。なお、このタイミングでは利益率の見通しのみを見直ししたので、売上高や調整後営業利益等の詳細については、2026年7月予定の通期決算発表の際に開示する予定です。
ここまでをあらためて振り返ると、売上高・利益ともに順調に推移しており、なかでも利益については想定を上回るペースでの進捗となっています。高成長を続ける「Bill One」の赤字額が大きく縮小したことに加え、大きな収益基盤である「Sansan」が安定して利益を創出するフェーズにある構造そのものが大きく寄与しています。
現在、株式市場においては生成AIの急速な発展を背景に、SaaS企業の中長期的な成長性に対して慎重な見方が根強くあることは認識しています。当社はこれまでご説明してきたとおり、生成AIの進歩はリスクではなく事業機会として捉えています。
この好調な足元の業績を来期、再来期へとしっかりとつなげていくことで、さらなる売上高成長と利益率の向上を実現させていきます。
以上で説明を終了します。ありがとうございました。
質疑応答:受注トレンドの傾向について
質問者:生成AIを活用して「Sansan」の代替となるシステムを内製化したことによる解約等の影響は出ていないというお話でした。また、受注トレンドについては「Bill One」の新規受注が好調であることを資料で確認しました。これらを踏まえ、「Sansan」を含めた受注トレンドが若干弱くなっている等の傾向があればおうかがいしたいです。
橋本:おっしゃるとおり、「Bill One」に関しては新規受注の獲得状況が非常に順調です。一方で、「Sansan」に関しては、残念ながら当第3四半期は前年同期と比較して若干受注が減少しました。
要因の1つとしては、前年同期はサービス価格の適正化を行った経緯があります。これが一巡し、既存顧客の単価上昇幅が少し縮小した部分があります。
もう1つの要因として、市場全体としては、いかに企業内で生成AIを活用するかが多くの企業で最優先課題となっている状況が見受けられます。生成AIへの投資を優先する傾向も見られ、「Sansan」に対する優先順位が上がりきっていないという場合もあります。
生成AIを活用するには「Sansan」のサービスを活用しデータを整備することが重要であるという訴求を今後も行っていきます。そのための施策を当第4四半期に実施していきたいと考えており、受注は今後回復していくと期待しています。
質問者:「Bill One」や「Sansan」と同レベルのものをゼロから構築することはほぼ不可能だと思います。一方で、小規模な企業で「安かろう悪かろう」な類似サービスの開発や販売が増えているといった変化は見られますか?
橋本:当社が感知している限りでは、そのような状況はまったく認識していません。もちろん、名刺管理を個人で行う場合において、例えばClaudeを活用したアプリ制作がこれまで以上に簡単になっていることは確かだと思います。
しかし、それであれば「Eight」も無料でサービスを利用できるわけです。もちろん、個人でアプリを開発することは有意義かもしれませんが、一般的な企業において類似サービスを業務として自作する意味はそれほど感じられないというのが当社の実感です。
質疑応答:従業員数の推移と採用方針について
質問者:従業員数の推移についてです。今回、売上高人件費率が下がり、調整後営業利益率の改善が目立つ一方で、被保険者数の推移を見ると毎月かなり減っているように思います。
これは、人材の採用が難しく離職率も一定程度あるために、結果として純減になっているのでしょうか? それとも、意図的に減らす方向で調整しているのでしょうか? どのような考えに基づき従業員数を構築されているのでしょうか?
橋本:当第1四半期から第2四半期、第2四半期から第3四半期にかけて、従業員数は減少していますが、想定どおりの推移です。前期は社内全員で「AIをいかに使うか」を実験しながら確認を進めました。また、当上期はAIを使った業務効率の向上に社内で積極的に取り組んでいました。その結果、フロントやバックオフィスのいずれにおいても一人ひとりの生産性を上げ、より少ない人数で同じ業務を回せるようになりつつあると認識しています。
一方で、人にしかできない業務も多くあります。そのため、過去ほどではありませんが、当第3四半期からは以前のような積極的な採用活動を再開し、しっかりと人数を確保する方針を強めています。第4四半期の4月には新卒採用者が入社予定であり、期末に向けて人数が増加する見込みです。
したがって、ご回答としては、当上期では生産性向上の成果もあって採用をかなり抑えていたものの、下期に向けては再び採用を拡大している状況です。
質疑応答:採用の抑制と増収トレンドの関係について
質問者:増収のトレンドは維持されていますが、人員をそれほど増やしていなくても増収をしっかりと達成できている点が印象的です。御社の場合、第2四半期から第3四半期に広告宣伝に大きな投資をされていたかと思います。そのリードタイムも考慮すると、第3四半期までその効果が持続していたと個人的に感じています。
こうした施策がなくても、現在の水準の増収をこの人数で維持しながら運営できるという認識でしょうか?
橋本:そうです。成長のドライバー、受注のドライバーはクオリティの高い営業人員がどれだけいるかにかかっている部分もありますが、採用直後の人材が即座に業績反映するわけではありません。
そのため、人数を増やして戦力を整えながら会社を大きくしていきます。その過程では、新しい試みもありますし、既存業務に充てるリソースも確保します。人員の入れ替わりは当然あるため、その部分はしっかりと補填していきますが、これまでよりは採用を抑制的にしながらも十分に事業を回していけるという感触があります。
質疑応答:2026年5月期通期業績予想および中期財務方針の上方修正の解釈について
質問者:2026年5月期通期業績予想および中期財務方針の上方修正は、「生産性が上がっているため、想定よりも人員を増やさなくてよい」というメッセージと捉えるべきでしょうか? それとも「想定よりコストがかからなかった」と解釈すべきでしょうか?
橋本:経営側の感触としては、世間でもよく言われているように、一定のジュニア層における業務は、ある程度AIに任せられるようになったと捉えています。これはエンジニアリングだけでなく、営業のようなフロントサイドにも当てはまると思っています。
そのため、ハイレイヤー人材の採用は引き続き注力する必要があるものの、ジュニア層の業務に携わる人員については、そこまで多く採用する必要がなくなってきている状況です。
質疑応答:第4四半期の調整後営業利益の見通しについて
質問者:2026年5月期通期業績についてです。第4四半期を差し引きで出すと、調整後営業利益は約19億5,000万円から約25億5,000万円と見ており、第3四半期比ではやや減少するのではないかと考えています。その理由についてどのように考えればよろしいでしょうか?
橋本:当第3四半期はテレビCM等に投資しましたが、第4四半期はテレビCMを含めたマーケティング投資を第3四半期からさらに増やす予定です。
また、先ほどご説明した人件費の部分にも関連しますが、4月には新卒社員が多数入社します。新卒採用はジュニア社員の採用と変わりませんが、将来会社を背負って立つ重要な人材と考えており、105名採用しています。中途社員の入社も含むと従業員数では約190名の増加となり、そのコストが第4四半期に計上される見込みです。
質疑応答:2026年5月期通期の広告宣伝費について
質問者:2026年5月期通期の広告宣伝費はどの程度をイメージしておけばよいですか?
橋本:当初の計画では約65億円と見込んでいたものの、少し超過する予定です。約66億円から約69億円になると見込んでいます。
質問者:「Bill One」の広告宣伝等を加速させているのですか?
橋本:「Bill One」も含め、会社全体としてのブランディング広告を検討しています。
質疑応答:「Sansan」の受注減少の要因について
質問者:1月後半から2月の単月の結果を振り返ると、Sansan/Bill One事業で事業環境に変化はあったのでしょうか?
橋本:販売や開発等といった当社がコントロールできる範囲においては、具体的な変化があったという感触は特にありません。
質問者:「Sansan」の受注の減少には、1月半ばからの業界の変化等は関係なかったという認識でよろしいでしょうか?
橋本:まったく関係ないと思います。
質疑応答:エンタープライズ向け「Bill One」ストック収入構成比増加の要因について
質問者:「Bill One」ストック収入構成比について、前回の説明資料では31パーセント台だったと思いますが、今回は40パーセント台となっており、1,000名以上のストック収入のモメンタムが上がったと考えています。
2四半期前のご説明で中堅・大企業の顧客獲得を拡大するとのお話をされていたと思いますが、これはどのようなセールスの変化や体制の変化があったのでしょうか?
橋本:おっしゃるとおり、エンタープライズ向け、すなわち、より大規模な企業への販売が増加しているのが現状です。これは外部要因というより、あくまでも当社内部の要因が大きいと考えています。この4年間で急速に組織を拡大してきた結果、ようやくエンタープライズ向けの販売体制が整ってきたことが要因の1つです。
また、「Bill One」は比較的小規模な事業であり、その中でエンタープライズ領域、すなわち大企業領域の売上構成比はまだそれほど大きくありません。そのような状況の中で、大きな案件が1件獲得できると売上が一気に伸びることも要因です。
これら2つの要因が組み合わさり、高い成長率につながっていると考えています。
質疑応答:中堅・大企業向け「Sansan」ストック収入構成比減少の要因について
質問者:「Sansan」のストック収入構成比のうち、100名から999名の比率が前回のご説明から下がっていると思います。構成比から計算すると、第2四半期のご説明では28億円強だったのに対し、今回は約26億円だと考えています。これはどのような変化があったのでしょうか?
橋本:その部分の変化は、構成比で見るとそれほど大きくないと思っています。中堅・大企業の成長率が残念ながら少し落ちてしまったことで、構成比も減少しました。
成長率低下の要因としては、先ほどお伝えしたとおり、前期は既存顧客に対する価格の適正化の効果があったことが挙げられます。今期はそれが一巡しました。
質疑応答:生成AIに関する研究開発費用と利益成長のバランスについて
質問者:生成AIは常に進化を続けており、御社も研究開発を進め、機能を向上させていかなければならないと考えていらっしゃると思います。このため、研究開発のコストが今後増加する可能性もあると予想しています。一方で、利益成長も必要だと思います。このバランスをどのように考えるべきでしょうか?
橋本:例えば、社内ではエンジニアリング部門のみならず、すべての部門で汎用生成AIを活用しているものの、現時点では利益のマージンを揺るがすほどの費用は発生していません。
今後も生成AI関連費用が非常に大きくなることは見込んでおらず、適切にコントロールしながら活用していけるという感触を持っています。
質疑応答:生成AIを活用した競合環境や棲み分けについて
質問者:御社の「Bill One」は請求書関連の機能を提供しており、生成AIを活用することでさらに便利に利用できるようになると考えています。一方で、例えば競合他社が生成AIを活用し、同一のプラットフォーム上で会計や請求書、人事等の機能をまとめて提供できるようになると、御社が請求書関連で戦いにくくなる懸念もあると思います。その点について、どのようにお考えでしょうか?
橋本:恐らくイメージされているのは会計ソフト等との比較ではないかと思いますが、当社がお客さまに提供する価値はそれとはまったく異なるものだと考えています。当社はソフトウエアとBPOを組み合わせたような形態で、請求書を代わりに受領してデータ化するサービスを提供しています。
また、先ほどお話しした「AI自動照合」や「AI自動起票」といった機能も含め、従来は会計ソフト上で行う作業を「Bill One」で完結できるようになります。その結果、双方のサービスがお互いに関連し合う状況が見込まれます。
一方、データが生まれるその瞬間をグリップしたサービスを、高いクオリティで提供できるのは、当社だけだと自負しています。
最近では、生成AIの得意なことと不得意なことが、徐々に明確になってきていると思います。その不得意な部分を補うのが、データを正確にデータ化し、それをAIが活用しやすいかたちで正規化・構造化して使いやすく整えることにあると考えています。そのため、ある程度棲み分けをしながら、当社ならではの戦略でプロダクトを提供し続けることが可能だと考えています。
質疑応答:「Sansan」のコアビジネスの需要鈍化について
質問者:「Sansan」のコアビジネスの需要鈍化については、価格適正化の一巡や顧客の優先順位の違い等の要因があるとのことですが、顧客の業種別の変化としてはどのような業種が下がっているのでしょうか? パターン等があるようなら教えてください。
橋本:単刀直入にお答えすると、特にありません。当第3四半期の契約件数の純増数が過去最高だったことからも、当社には需要が鈍化しているという感覚はありません。
質疑応答:価格適正化一巡後の解約率の見通しについて
質問者:解約率についておうかがいします。価格適正化が一巡した場合、解約率も下がると考えていますが、その点についてご解説をお願いします。
橋本:価格適正化に伴って解約率が大きく上がったということではないため、無関係ではないかと思います。
質疑応答:通期業績予想の上方修正における上限の扱いについて
質問者:2026年5月期通期業績予想を上方修正されていますが、下限を引き上げた一方で、上限は据え置いています。上限を据え置いた意図は、どのような理由によるものでしょうか?
橋本:あくまで第3四半期までの実績と第4四半期のフェアな見通しに基づき、少しでも有益な情報を提供しようという意識で進めています。そのため、特段「戦略的に」という意図ではありません。
なお、「Bill One」についてはわずかですが上限も上方修正しており、40.5パーセント成長に変更しています。
質疑応答:第4四半期の費用見通しについて
質問者:第4四半期の広告宣伝費等の費用の考え方についてです。先ほど「約66億円から約69億円になる見込み」とのお話があったと思います。
一方、人件費は現状では約196億円だったと思います。その場合、第4四半期は前四半期比で約10億円の増加となりますが、新卒入社の105名を加味してもそれほど大きく増加しないのではないかと率直に感じています。現状見えている費用について、第4四半期はどのように考えておけばよろしいでしょうか?
橋本:調整後営業利益の水準は他のコストやさまざまな要素との兼ね合いにより業績見通しのレンジの範囲内になるかと思います。
質疑応答:「Sansan」の解約率上昇の理由について
質問者:「Sansan」の解約率について、低い水準にあることは認識しています。ただし、2026年5月期は以前よりも上昇しているように見えますが、特別な理由があるのでしょうか?
橋本:2025年5月期第4四半期に大型の解約が1件発生しました。12ヶ月平均の解約率を算出しているため、その影響が1年間続き、第4四半期まではこの水準が続くものと見込んでいます。