ミッション
橋本舜氏(以下、橋本):みなさま、本日はお集まりいただき誠にありがとうございます。ベースフード株式会社代表取締役CEOの橋本舜です。
前回の説明会から、これまで機関投資家のみなさまを対象としていた形式をあらため、個人投資家のみなさまにもご参加いただけるようになりました。より多くのみなさまと対話の機会を持ち、当社の事業や成長戦略への理解を一層深めていただきたいと考えています。
この機会がみなさまにとって有意義なものとなれば幸いです。それでは、2026年2月期通期決算についてご報告します。
当社のミッションは「主食をイノベーションし、健康をあたりまえに。」です。
当社は「主食にバランスよく栄養素が含まれていれば、だれもが健康でいられる。かんたんで、おいしくて、からだにいい、すべてを叶える未来の主食を創り広める。」というミッションを掲げ、今年4月に10周年を迎えました。
当社は、今後10年間も「主食をイノベーションし、健康をあたりまえに。」の実現に向けて邁進していきます。炭水化物中心、小麦粉中心の食と同じくらいおいしく、同じくらい楽しく、同じくらい簡単になれば、現状の事業規模を超える成長が可能だと考えています。
「0から1フェーズ」を終了し、これから「1から10フェーズ」「10から100フェーズ」へ移行していきます。10周年を迎えられたことに対して、みなさまのご支援に感謝申し上げるとともに、今後ともご支援のほどよろしくお願い申し上げます。
Executive Summary
2026年2月期の通期実績についてご説明します。まず、エグゼクティブサマリーです。
売上高は151.9億円、前年通期比マイナス0.3パーセントとなりました。規律ある広告抑制を行った結果、売上高は前年通期比で微減し着地しました。一方、主力チャネルである自社ECの第4四半期売上高は前四半期比および前年同期比で伸長し、2027年2月期の成長に向けた土台を形成しました。
自社ECの売上高は100.3億円、前年通期比プラス3.2パーセントとなりました。広告市場の変化を受け、規律ある判断で広告出稿を抑制した結果、売上高は調整局面となりましたが、定期購入者数は23万5,000人で前期末比プラス1万8,000人と増加しました。また、継続率・LTVは過去最高水準を更新するなど、顧客基盤の強化がさらに進みました。
卸の売上高は39.4億円、前年通期比マイナス11.6パーセントとなりました。定番化に伴う棚位置の変更により前年通期比で減収が見られましたが、配荷基盤は安定しており、ダウンサイドリスクは低減していると考えています。
他社ECの売上高は9.5億円、前年通期比プラス12.1パーセントとなりました。2026年2月期の注力カテゴリである「BASE YAKISOBA」と「BASE RAMEN」が好調に推移し、前年通期比で増収を達成しています。
海外売上高は2.1億円、前年通期比プラス18.8パーセントとなり、販売中の全地域で増収を達成しました。次なる成長を見据え、香港以外の展開地域における一般貿易の商流構築に向けた準備に注力しており、中長期的な拡大基盤を着実に整えています。
営業利益は2.1億円、営業利益率は1.4パーセントで、前年通期比ではそれぞれプラス59.3パーセント、プラス0.5ポイントとなりました。広告出稿の抑制、継続的な原価低減施策、固定費削減によるコスト構造の筋肉質化の進行により、前年通期比で増益を達成しました。
当期純利益は2.6億円、当期純利益率は1.7パーセント、前年通期比ではそれぞれ140.8パーセント増、プラス1.0ポイントとなりました。営業利益の増益に加え、「SBIR 中小企業イノベーション創出推進事業」の補助金を獲得したことで、前年通期比で増益を実現しています。
決算ハイライト
決算ハイライトです。売上高は、広告市況の変化を受け、第2四半期より規律ある広告抑制を行った結果、前年通期比で微減しました。一方、売上総利益は継続的な原価低減施策により大きく改善しました。
営業利益についても、AIの活用による外注費や人件費の削減など、継続的な固定費削減により増益を達成しました。当期純利益はこれらに加え、「SBIR 中小企業イノベーション創出推進事業」の補助金獲得により増益を達成しています。
2026年2月期通期の売上総利益は86.0億円で、利益率は56.6パーセントとなり、前年通期比でプラス13.3パーセント、プラス1.6ポイントとなっています。
業績予想対比
業績予想対比です。売上高は、卸売上高の新商品導入の遅れ等による下振れの影響で、修正後予想をわずかに下回りました。一方で、営業利益は広告運用の効率化により予想を上回っています。
2026年2月期通期実績における対予想比は、売上高がマイナス0.7パーセント、売上総利益がマイナス1.4パーセント、売上総利益率がマイナス0.4ポイントである一方、営業利益はプラス12.4パーセント、営業利益率はプラス0.2ポイントとなりました。
四半期の業績推移
四半期の業績推移はスライドのとおりです。第1四半期の売上高は39.4億円、第2四半期および第3四半期はそれぞれ37.4億円、第4四半期は37.5億円となり、累計で151.9億円となっています。
売上高ハイライト
売上高のハイライトです。自社ECにおける第4四半期の売上高は、前四半期比および前年同期比で伸長し、2027年2月期の成長に向けた土台を形成しました。
一方、卸ではコンビニの定番化に伴う棚位置変更により、前年通期比で減収となりましたが、ダウンサイドリスクは低減しています。当期をもって踊り場を脱し、来期以降の再成長を目指します。
スライドのグラフにも表れているように、2025年2月期において黒字化を達成するため、第4四半期に大きく集客を抑えた結果、低い段階でのスタートとなりました。
2026年2月期は黒字化や利益率の改善を意識しつつも、次の2027年2月期のスタートラインを高めに保つことを重視しました。
広告出稿では規律ある抑制を行いましたが、第4四半期の時点では前年同期比で伸びており、2027年2月期の成長につなげる有利なポジションにあると考えています。
チャネル別売上高(自社EC)
チャネル別売上高についてご説明します。まずは自社ECです。
広告市況(CPA上昇)を受けて規律ある判断として広告出稿を抑制しました。その結果、売上高は調整局面となりましたが、定期購入者数は23万5,000人、前期末比ではプラス1万8,000人と増加しました。
また、解約率は過去最低を記録し、LTVは過去最高水準を更新しました。来期以降の売上成長の基盤となるプロダクトやサービスも着実に改善しています。
グラフのとおり定期購入者数は増加していますが、その伸びは緩やかです。一方で、LTVや解約率、顧客単価の改善は力強いものとなっています。
本来、LTVが上がれば許容CPAが上昇しますので、集客を増やして定期購入者数を増やすことが可能です。しかし、広告市況における広告コストのベースアップがそれ以上に大きかったことから、2026年2月期は拡大ではなく資金を抑える判断をしました。
一方で、LTVを引き続き向上させることで、いずれ許容CPAが広告市況における広告コストを超える局面に到達できると考えています。来期においては2026年2月期に準備を進めていたデジタル広告と組み合わせることで、トータルCPAを引き下げる取り組みも予定しています。
売上成長を促進するためには、売上成長のための素材や材料をしっかりと揃える必要があります。2025年2月期および2026年2月期は、リコール後の踊り場局面と見ていますが、将来的に売上を増加させるための素材であるプロダクトやサービスは大きく成長しています。これは顧客基盤や会社の組織も含めて当社が着実に成長してきた結果だと思います。
さらに、解約率と顧客単価も改善しています。解約率3.5パーセントという水準は、私の知る限りでは食品の定期購買において最低水準と言えます。
やはり商品やサービスの力の証左であり、離脱が少ないことから、獲得した顧客を純増につなげることができています。連続的な新商品の導入や改良、そして絶え間ないサービスの改良により、月次での改善を進め、過去最低の解約率を記録しています。
顧客単価も上昇傾向が見られます。第3四半期では一時的に減少したように見えましたが、これは一時の波であり、第4四半期ではしっかりと上昇に転じ、長期的な上昇傾向を示していると考えています。
特に「BASE Pound Cake」は「BASE Cookies」と比べても非常に好調に推移しており、当社におけるパン、カップ麺、菓子系というカテゴリで柱がしっかりと立ち上がっています。また、パンとクッキーの間で生じていたカニバリゼーションが解消されたことで、1注文あたりの購入数が増加傾向にあります。
チャネル別売上高(卸)
卸では、コンビニは導入期から定着フェーズへ移行し、配荷基盤が安定しています。参入障壁の構築にもつながり、それによりダウンサイドリスクは低減しています。
コンビニの定番化に伴う棚位置の変更等により、前年通期比では減収となったものの、ドラッグストアやスーパーマーケットでは順調に展開店舗数を拡大しています。
来期は、人気No.1商品のリニューアルや過去購入者への再購入を促す施策等を通じて、コンビニを含めた売上の成長軌道への回帰を目指します。
例えば、ユニクロの歴史からも学べるように、かつてフリースがヒットした後、一時的に売上が減少したものの、その後再び上回るような成長を遂げた例があります。
同様に、当社の「BASE FOOD」はコンビニ3社に同じ商品が一斉に導入され、什器も配置されることにより過去にないほどの規模で成長を遂げました。
その後はニュース性のある商品ではなく、コンビニと協力し、定番商品化することを目指してきました。定番商品は棚の下段に配置されることが一般的であり、これは他の企業の売上一線級のブランドも同様です。このような状況から、当社の商品が真にナショナルブランドとして定着したと自負しています。
一方で、コンビニでは、春棚や秋棚への商品の初回導入後、売上が純減するのが一般的です。しかし、当社の場合、その現象は極めてマイルドに抑えられています。
コンビニにおいては「BASE BREAD チョコレート」の大幅リニューアルを実施し、新商品として再導入することで、一気に販売店舗数の拡大を図る考えです。
また、これまでのおいしさでも十分に高いリピート率を誇っていましたが、その水準がさらに向上することで、店舗当たりの売上高が上昇すると期待しています。これにより、導入店舗数のベースアップにつながると考えています。
繰り返しとなりますが、コンビニでは減少を緩やかに抑えながら、反転の局面を準備してきました。これを、次に控えている「BASE BREAD チョコレート」の大幅リニューアルで実現を図ります。
また、スーパーマーケットとドラッグストアに関しては、ドラッグストアが第4四半期で力強く成長しました。一方、スーパーマーケットは横ばいとなっていますが、オンラインとは異なりフェーズがあるため、波は生じるものと認識しています。
特にスーパーマーケットやドラッグストアでは、コンビニとは異なるアプローチで訴求開発を進めることで、さらなる成長が見込めると考えています。
店舗当たりの月間売上高は横ばいで安定しており、2027年2月期に向けてしっかりと増やしていきます。
海外事業売上高
海外事業の売上高は、全地域で前年通期比の増収を達成しました。
香港では、現地で圧倒的なシェアを誇る「セブン‐イレブン」を前期末比プラス250店舗となる合計500店舗への導入を果たし、強固な収益源を確立しています。
他の地域でも一般貿易の商流構築に向けた準備が進展しており、中長期的な拡大基盤を着実に整えています。
四半期ごとの販売袋数の推移では、第4四半期は11万9,000袋となり、第3四半期と比較して減少しました。この要因として、全社的な方針で広告宣伝費を規律あるかたちで抑制していることもありますが、それ以上に旧正月による出荷回数の減少という季節的な要素が大きいと考えています。
比較対象となる2025年2月期の第4四半期にはこのような季節性の影響が見られません。しかし、この期間は「セブン‐イレブン」への導入が一気に進んだ時期であり、これにより旧正月の影響が相殺されていたと考えられます。
各地域のサマリーです。香港では拡大フェーズにあり、現地のコンビニで圧倒的なシェアを誇る「セブン‐イレブン」では合計500店舗に導入されています。
中国においては、現地大手食品企業との間で、レベニューシェア方式による製造販売の業務提携に関する基本合意書を締結済みです。販売開始は2027年2月期の上期を目指し、現在最終調整中です。
非常に良い商品が完成しており、現地の展示会でも多くの引き合いをいただいています。また、日本にも視察に来ていただくなど、かなりの手応えを感じています。
利益ハイライト
利益ハイライトです。売上総利益率は、原価率が相対的に高い即席麺シリーズの構成比が増加したものの、継続的な原価低減施策が奏功し、高水準を維持しています。
営業利益率は、第4四半期に広告宣伝費を大幅に抑制していた前年と比較すると低下したものの、計画どおりに推移しています。また、継続的な固定費比率の改善によりコスト構造の筋肉質化が進行し、通期での増益を達成しました。
スライド左側のグラフのとおり、売上総利益率は55.9パーセントと高い水準を維持しています。
第3四半期比ではやや減少していますが、「BASE BREAD チョコレート」「BASE YAKISOBA」といった、2027年2月期に向けて進めている、成長エンジンとなる商品のリニューアルに関する廃棄損です。そのため、一時的かつ前向きな投資と考えています。
営業利益率は第1四半期から第4四半期まで安定して上昇し、4.7パーセントとなりました。2025年2月期の第4四半期と比較すると減少していますが、これは2025年2月期に強力なリーダーシップで黒字化を推進した結果、やや無理をした側面があったためです。
2026年2月期においては、安定した状態に着地させることができました。第1四半期から第4四半期の推移を見ると、より健全な状態に移行できたと判断しており、これを基盤に売上の成長率をさらに高めていきたいと考えています。
販管費の推移
販管費の推移です。広告市況に合わせて広告宣伝費を機動的に抑制しました。AIの活用による外注費や人件費の削減などにより、固定費の支出額も継続的に減少しています。コスト構造の筋肉質化が一段と進行しています。
販管費の内訳の推移および販管費対売上高比率の推移はスライドのとおりです。第4四半期にその他の費用がやや増加していますが、これはR&D拠点および倉庫の移転に伴う一時費用が増加したためです。
「SBIR 中小企業イノベーション創出推進事業」の補助金を活用し、より本格的な研究開発のための機械を使用し、微生物に関する研究なども行っています。
晴海の本格的な研究施設への移転により、スペースを大幅に拡張したことで、試作の回数も増加していますので、当社の技術力や商品開発スピードが一層向上することを期待しています。
バランスシート
バランスシートです。当期純利益の積み増しにより、自己資本比率は33.8パーセントまで改善しました。これにより、中長期の成長を支える財務基盤を強化できました。
スライドの図のとおり、2025年2月期の期末時点では自己資本比率が26.9パーセントでしたが、2026年2月期末時点では33.8パーセントへと改善しています。
2025年2月期と2026年2月期のどちらにおいても、売上の成長を目指していましたが、大きな売上成長には至りませんでした。
しかし、売上成長率を10パーセントから30パーセントにするための必要な要件を着実に積み上げてきましたので、より早く売上成長率10パーセント以上を実現できるよう努力していきたいと考えています。
2026/2期 商品・サービス展開の軌跡
2026年2月期の商品・サービス展開の軌跡を表にまとめました。
定期購入者向けにお送りしている『BASE FOOD JOURNAL』の内容を一部転載したもので、この内容を20万人の定期購入者の方々にもご紹介しています。
当社にとって2026年2月期は、マーケティング、サービス、プロダクトの各分野で、次の10年を迎えるにあたって非常に誇らしい年となりました。2026年2月期は、次の10年の成長に向けた創業の基盤作りに社員一同で取り組んできた1年でした。
例えばプロダクトでは、「BASE BREAD さつまいも」や「BASE BREAD 栗あん」など、栄養バランスのことなど忘れてしまうほど、もっちりしっとりとして本当にただおいしい、ロングライフ商品とは思えないような製品を生み出すことができました。
その結果、「BASE BREAD チョコレート」でも信じられないほどの顧客移行の改善につながっています。
また、「BASE YAKISOBA トムヤムまぜそば」や「BASE YAKISOBA 魚介醤油まぜそば」はどちらも非常においしい商品です。
「BASE YAKISOBA」は当社にとって新しいシリーズです。「BASE BREAD」と比較するとバージョンアップの度合いは少ないものの、おいしさ評価では「BASE BREAD さつまいも」などと比較しても遜色のない、「大変おいしい」という評価をいただいています。
これは、1年前には「しめ縄のような味がする」と言われていた状況から、1年から1年半の間で非常においしく仕上げた、当社の強みを示す一例です。「BASE BREAD」を基盤に、小麦系の生地を活かしたカップ麺やパウンドケーキなどへの展開が可能であることを示しています。
カップ麺シリーズにおいては商品力が非常に高く、2027年2月期は、2026年2月期にはなかったようなマーケティング展開もご覧いただけると思います。ぜひご期待ください。
また、「BASE RAMEN」という商品も発売することができました。私の知る限り、世界初の汁あり完全栄養食のカップ麺であり、当社の技術力の高さを示すものです。
こちらも「BASE YAKISOBA」と同様に急速なアップデートを重ねており、普通のラーメンやカップラーメンとブラインドで食べ比べても違いがわからないような商品が、近いうちに誕生する予定です。
「BASE Pound Cake」では、「BASE BREAD」とカニバリゼーションが生じない形でお客さまに受け入れていただけました。
当社は、「簡単でおいしくて、体にいい」というすべてを叶える商品作りを進めていますが、ケースバイケースで、おいしさを優先したい時や健康を優先したい時があると思います。その点で、「BASE BREAD」は主食としておいしさと体への良さとのバランスが大切です。
一方、パウンドケーキの場合は「自分へのご褒美」として、もちろん「体にいい」も重視しながら、おいしさをより追求した商品となっています。その結果、「BASE BREAD」と「BASE Pound Cake」の住み分けができました。
「BASE Pound Cake」シリーズのバリエーション拡充は、コンビニやスーパーマーケットにおける、パンとは異なる棚での展開を企図したものです。当社では、良くも悪くも「BASE BREAD」が9割以上の販売シェアを占めていました。
しかし、「BASE BREAD」「BASE YAKISOBA」「BASE RAMEN」「BASE Pound Cake」などの小麦系生地を用いたパン、麺、菓子の3カテゴリを展開することで、それぞれ異なる客層の獲得が可能となります。
また、例えばパンが売れにくい時期には別のシリーズ商品が売れるといった、季節ごとの売れ行きの違いにも柔軟なアプローチが可能です。棚についても、多様な棚に入っていくことができると考えています。
当社では、もともと小麦粉の代替として、小麦の全粒粉、玄米、大豆、昆布などを使用した生地を開発しており、この粉を使うことでパン、麺、半生菓子などさまざまな製品を作ることができます。さらに、工場での扱いやすさを考慮した物性を実現することで、生産性向上やコスト削減も期待できます。
これにより、特別な研究開発をせずとも、例えばチョコパンやあんパンなどの同様カテゴリの商品を従来と同じ方法で作り出すことができます。この生地作りが非常に重要なポイントですが、現在はほぼ完成に近づいており、極めて自信を高めています。
また、マーケティングやサービスの面でも、次の成長のエンジンを作り上げることができました。
例えば、Jリーグでは若手選手の育成に活用いただいています。非常に優れた商品性がこの連携を可能にしたのだと感じています。
次回のワールドカップにおいては「BASE FOOD」育ちの選手たちも出てくるなど、健康的なブランドとして極めて強いポジショニングを確立できていると思います。さらに、サッカー選手に限らず、さまざまなスポーツ選手の間でも口コミが広がっています。
その他にも「すみっコぐらし」とのコラボレーションなども展開しています。日本が現在、自動車に次ぐ産業としてキャラクターIPを推し進めている中で、キャラクターIPとのコラボレーションを通じて、さまざまなキャラクターを用い、幅広いセグメントの方々に購入へとつながる手法を構築できました。
「BASE FOOD SELECTION」というサービスでは、「BASE FOOD」を定期購入されている方々が、健康を追求し、「BASE FOOD」以外の商品も購入することができます。
例えば、当社は「BASE RICE」には取り組んでいませんが、YUWAERUの「寝かせ玄米」を販売したところ好調でした。また、お子さまが食べるナッツや、「BASE FOOD」に添える植物性たんぱく質が豊富な魚系のディップや高タンパクのスープなどを販売することで、商品のバリエーションを広げています。
「BASE FOOD」の商品開発ではパン、麺、菓子に注力しつつ、ライスに関しては他社の商品を取り入れることで、販売単価やLTVを向上させ、許容CPAの向上を通じて成長基盤を築いています。
定期購入者が20万人という規模は、実は日本でもトップクラスです。この規模で商材を扱えば、日本の定期購買で最も売り上げる企業となれるポジションを確立できると考えています。
当社はメーカーであると同時に小売業者でもあります。この優位性により、企業価値はさらに高まっています。「健康を目的とした定期購読では『BASE FOOD』が最善の選択である」というポジションを目指していきたいと思っています。
また、「BASE FOOD for Office」としてオフィスへの展開も開始しています。冷凍食品の自動販売機が多い現状は認識しつつ、パンやスナックを展開する棚スペースは異なるポジショニングとして重要だと考えています。
この考え方には、自身の原体験があります。アメリカのいわゆるメガスタートアップ系企業の社員食堂がフォーカスされることがありますが、その社員食堂は本社の1階にしかありません。一方で、各フロアにはスナックコーナーが設置されており、そこではパンやポップコーン、お菓子などが提供されています。
実情として、わざわざ1階の社員食堂で食事をするのはハレの日が多く、基本的には各フロアのスナックコーナーで軽食をとっています。
そのため、当社は常温で保管できるパンやカップ麺、スナックといった商品を通じ、オフィスの社員食堂とは異なる軽食ニーズに対して独自の価値を提供できると考えています。
2027年度2月期 通期業績予想
ここからは、2027年2月期の業績予想についてご説明します。2027年2月期は営業黒字を維持した上で、売上成長率の向上に注力します。
営業利益は減益を見込んでいますが、「SBIR 中小企業イノベーション創出推進事業」の研究開発補助金の収益計上により、純利益は横ばい水準となる見通しです。ただし、補助金の計上時期による変動リスクを考慮し、具体的な数値の公表は営業利益までとしています。
売上高は2027年2月期通期予想で162.5億円、売上総利益は89.7億円、売上総利益率は55.2パーセント、営業利益は0.6億円、営業利益率は0.4パーセントとなります。前年通期比では、それぞれプラス7.0パーセント、プラス4.3パーセント、マイナス1.4ポイント、マイナス71.4パーセント、マイナス1.0ポイントの予想です。
営業利益は減少するものの、純利益は横ばい水準を維持できると見込んでおり、この方針で事業を推進していきます。
成長戦略
我々の目標は、売上成長率プラス10パーセントから30パーセントを黒字の状態で達成する、「クオリティ・グロース」と呼ばれる状態に転換することに変わりはありません。現時点でその水準には至っていないものの、その水準に向かうための条件を着実に準備してきました。
2026年2月期にはLTVが大幅に伸び、AIの活用により固定費を削減し、広告投資に充てられる資金を2025年2月期と比較しても異なる規模感で用意していました。しかし、広告市況を理由にすべきではありませんが、その資金を十分に活用できない状況がありました。
当社の事業は掛け算で成り立ちますので、1つの要素が不調であれば最終的な成果がゼロに近づいてしまう一方で、逆にすべての要素が揃うことで大きく成果を伸ばすことが可能です。デジタル広告以外の掛け算の因数は大きく成長することができました。
成長戦略については、第3四半期で説明した内容の補足に近いかたちとなりますが、2027年2月期には広告費の相場が上昇傾向にあるデジタル広告から、他のマーケティング施策へ比重を適度に移すことで、再び成長期へ移行する考えです。
特に、2026年2月期実績の「おいしさ大幅向上」を主力商品群へ展開します。さらに、過去購入者に対してコンビニやスーパーマーケットでの再購入を促す施策により、自社ECと卸のOMO(Online Merges with Offline)による、高効率での売上高成長を計画しています。
なお、過去の定期購入者の解約理由として最も多かった「味・食感・飽き」は、全体の40.9パーセントを占めていました。これはフードテックスタートアップとして必然的な要素です。
なぜなら、10年前の時点で完全栄養かつおいしいものを作れていれば、それで事業は完結していました。おいしくない、食べにくいものからスタートし、2026年2月期においてはかなりおいしいものまで進化しました。2027年2月期、2028年2月期には、むしろ普通のパンを超えていくと期待しています。
つまり、過去の解約者の方々にとっては、「BASE FOOD」は依然として「おいしくない」「バリエーションが少なくて飽きる」という認知にとどまっています。
そこで、「『BASE FOOD』は健康なだけでなくおいしい」「飽きることなく楽しい」という認知へ転換することによって、過去の資産を有効活用できると考えています。
また、当社の累計会員数は100万人を超えていますが、この中に含まれる過去の解約者80万人という数字は非常に大きな資産です。さらに、展開店舗数が5万店舗を超えていることも特筆すべき点です。
定期購入者が20万人、累計では100万人、配荷店舗数は5万店舗規模という規模を両立している会社は、私の知る限り日本ではベースフード社だけです。
この独自のポジションを活かして成長できれば、最も強いポジションにある当社が、さらに力強く成長できることになります。つまり、先行して市場に参入した会社が、より速く成長できる構造に至ると考えています。
大きな成果を出すためには、商品の発明と販売の発明の両方が必要であり、この両輪が揃う時期が近づくよう努力していきます。
具体的には、2026年2月期においしさで高評価を得た商品の「BASE BREAD さつまいも」や「BASE YAKISOBA トムヤムクン」といったマイナーな商品群のみにとどまらず、主力商品群である「BASE BREAD チョコレート」や「BASE YAKISOBA ソース焼きそば」も同等以上のおいしさに引き上げていく予定です。
これは「BASE BREAD さつまいも」や「BASE YAKISOBA トムヤムクン」の成功事例からも実証できていますので、ボラティリティを抑えながら実現できると見込んでいます。
休眠顧客のほか、コンビニやスーパーマーケットでの購入者には、「LINE」の公式アカウントに友だち追加をしていただいています。
このような方々に向けて、メールや「LINE」などを通じて「『BASE FOOD』はおいしくなったよ」「飽きなくなったよ」とコミュニケーションを図り、クーポンを配布することもできます。
お客さまにおいしくなった「BASE BREAD チョコレート」を配送しようとすれば単純にコストが発生しますが、クーポンを通じて提供することで当社は売上を計上でき、商品は5万店舗に配荷されていますので、お客さまは近くのコンビニで試すことができます。
これにより当社はコンビニ、スーパーマーケット、ドラッグストアなどに送客できますので、商品の売上以上に、送客によって販売数を増やすことが可能です。
商品が定番化した場合でも、売上が急成長すれば、棚位置やPOPなどの状況も変化しますので、その結果として、展開店舗数の増加や1店舗あたりの売上向上にもつながっていきます。
さらに、影響はそれだけではありません。実際に食べて「おいしい」「3年前と比べてめちゃくちゃおいしいし、バリエーションも全然違う」と感じていただければ、コンビニ、スーパーマーケット、ドラッグストアでは一部の商品しか取り扱っていませんので、定期購入に引き上げることができます。
健康を目指すためには、月に20食から30食を継続的に食べ、1年、2年、3年をかけて取り組むことで大幅な効果が得られます。現時点において、定期購入の継続率は驚異的な96.5パーセントに達しています。
現在のおいしさや飽きのなさでこの数字となっていますので、今後の97パーセント、98パーセントも視野に入っているとみています。
成長戦略:おいしさ評価の向上
その成長戦略におけるおいしさ評価の向上について、より具体的に説明します。
順次切り替え中ですが、2026年2月期実績の「おいしさ大幅向上」を人気No.1の「BASE BREAD チョコレート」へ展開しました。同様にリニューアルした「BASE BREAD カレー」「BASE YAKISOBA ソース焼きそば」も非常においしく仕上がりました。
10周年を迎える今年は、これらの商品を通じて「BASE FOODはおいしくなったんです」や「健康食品だけど、めちゃくちゃおいしいんです」といったブランド認知をさらに広めていきたいと考えており、累計80万人の過去定期購入者の復帰を狙っています。
まず、味は圧倒的な進化を遂げており、リスクの少ない味種から「おいしさ大幅向上」を展開しています。それが「BASE BREAD さつまいも」や「BASE YAKISOBA トムヤムクン」です。
これを、満を持して人気No.1の「BASE BREAD チョコレート」や「BASE YAKISOBA ソース焼きそば」に展開しています。
「BASE BREAD チョコレート」は当社で最も売れている商品であり、この商品だけで年商150億円を達成しています。
この商品を食べた方々に対して行ったシステマチックな分析では、「買いたい」と回答した方が既存商品の38パーセントから、リニューアル品では61パーセントへと1.6倍向上したという結果が出ています。これにより、当社の前提そのものが変わる可能性があります。
「BASE BREAD さつまいも」も非常に好評でしたが、多くのお客さまが初めて食べる場所はコンビニが中心となっています。そのため、「BASE BREAD チョコレート」と比べると利用率は半分以下です。
コンビニやスーパーマーケット、ドラッグストアで「BASE BREAD チョコレート」に出会っていただき、その方々に向けてより多くのバリエーションを提供し、定期購入を促進することが状況を大きく変えると考えています。
この仕組みは、我々がプラス10パーセントから30パーセント成長を継続するためのシステムにおいて、非常に重要です。まずはプラス7パーセントを業績予想として目標に掲げつつ、その先を見据えながら取り組んでいきます。
売上高の変動要因(対前年通期比)
売上高の変動要因です。一部重複しますが、「BASE FOOD SELECTION」における他社製品ラインナップの拡充は、まさに2027年2月期から本格化します。LTV、継続率、顧客単価をさらに向上させ、デジタル広告もより積極的に展開できる状況を作れると考えています。
また、卸に関しても「BASE BREAD チョコレート」の導入店舗数を大きく増やし、甘くない「BASE BREAD カレー」の導入では、店舗あたりの売上高を大きく伸ばすことができます。
「BASE YAKISOBA ソース焼きそば」の導入でも、非常に大きなアップサイドがあるとみています。もともと取り扱いはあったものの、期間限定品として棚落ちしていましたが、大幅にクオリティアップさせることで「BASE YAKISOBA ソース焼きそば」の定番化を狙っていきます。
「BASE Pound Cake」は自社ECで非常に人気がありますが、小売業態への導入を目指して開発した商品ですので、パン棚の隣にある生菓子棚の獲得を目指します。
コンビニ、スーパーマーケット、ドラッグストアでは、共通商品の展開のみで現在の規模に達しました。
しかし、コンビニで購入されるお客さま、スーパーマーケットで購入されるお客さま、ドラッグストアで購入されるお客さまでは、それぞれ求める商品が異なります。それぞれのニーズに最適化した商品を作り、より的確に訴求していく考えです。
さらに、中国では現地大手企業との業務提携に基づく販売も開始します。これについては、レベニューシェア方式であるため、売上面では限定的で、ボラティリティも高いとみており、数字としては保守的にみています。
これは後ほどHuel社についてもご紹介しますが、世界中のパンメーカーやカップ麺メーカーでは「安くておいしい」という商品が主流で、低い利益率に苦しむ部分もあります。
しかし、日本のコンビニでは「BASE BREAD」が高価格帯でも受け入れられています。これは、ストラテジックなパートナーとして非常に高いニーズがあると考えられ、実際に引き合いが強い状況です。今後、世界中での展開を目指していきます。
営業利益の変動要因(対前年通期比)
営業利益の変動要因です。増益要因として、人件費ではAI活用による引き続きの新規採用抑制を行い、本当にポテンシャルのある人材のみを採用しています。
また、セキュリティ対策の強化も進める計画です。もともと基盤は堅固ですが、近年リスクが高まっていると考えられるため、さらなる強化を図っていきたいと考えています。
営業利益の四半期推移イメージ
営業利益の四半期推移イメージです。これまでと同様に第1四半期は大きめの赤字、第2四半期も赤字となる可能性があります。
ただし、これは計画の範囲内ですので、第1四半期および第2四半期も安心して受け止めていただければと思います。
株式会社メルコグループとの資本業務提携による経営基盤の強化と成長加速
このたび、牧寛之氏が保有する株式の一部について、同氏が代表を務める株式会社メルコグループに移管予定となっています。これにより、メルコグループのアセットを活用することで、さらなる事業成長を図ります。
牧さまとは本当に良好な関係を築いており、企業価値向上と事業成長のために日々協力を重ねています。今回の資本業務提携は、牧さまおよびメルコグループが、当社において短期的な目的ではなく、中長期的な成長を目指している証拠として示されていると考えています。
直近の取り組みとしては、コーポレート人材の補強があります。メルコグループはファイナンスやコーポレート分野に非常に強みを持っており、そのような方々に参画いただくことで当社のコーポレート機能を補強し、「BASE FOOD」の事業成長に一層注力できる体制を整備しているところです。
業績連動型ストック・オプションの導入
当社では、業績連動型ストック・オプションの導入を予定しています。業績予想としてはプラス7パーセントの成長としていますが、社内の目標としてはより高い水準を掲げており、根拠ある自信を持って取り組んでいます。
そのため、3ヶ年において売上成長率プラス10パーセント、15パーセント、20パーセントといったシナリオに基づき、在籍条件を満たした場合には、行使可能割合を33パーセント、66パーセント、100パーセントとする業績連動型ストック・オプションを導入します。
結局のところ、売上を生み出すのは主に社員です。株主のみなさまとインセンティブを一致させることにより、売上成長率プラス10パーセントから30パーセントを目指す実現確率をこの仕組みでも高めていく考えです。
この導入にあたっては、自己株式からの充当を予定しています。創業時に参加したメンバーがストック・オプションを活用できるように、一部自己株式として譲り受けた経緯があるため、その株式を活用します。
議決権数は希薄化しますが、ご覧のとおり、かなり高めの業績目標の達成を行使条件としているため、株主価値の向上に資すると考えています。
【補足資料】完全栄養食市場のグローバル動向と類似企業比較
最後に大きなニュースがありましたので、参考までにご紹介します。
ダノンがHuel社を約1,600億円で買収しました。完全栄養食品分野は、Soylent社、Huel社があり、その後当社が登場するという流れで発展しています。
Soylentが完全栄養食品をドリンクとして作り、それをHuel社が全世界に広め、私の知る限りでは世界で初めて当社が主食として展開し、現在ではそこに日清食品なども参入している状況です。私としては非常に感慨深く感じています。
まさにアメリカでもGLP-1を背景に高タンパク食や高食物繊維食品が大きく成長している中で、Huel社のストラテジックの価値が向上したのではないかと考えています。
ダノンのCEOによるプレスリリースのコメントでも、完全栄養の商品、デジタル実行力、D2Cチャンネル、ファンベースなどがスタートアップの強みとして挙げられています。これらはまさに当社と共通するものだと感じています。
一方で、当社独自の強みとしては主食を提供している点が挙げられます。ドリンクとは異なり、開発途上でしたが、開発が進めばTAMが非常に大きく、当社の中長期的な成長性は高いと考えています。
また、グローバル展開においてはHuel社と比べて遅れている部分がありますが、世界のコンビニや大手メーカーとの協業案件がインバウンドでも多数寄せられています。数年以内にHuel社の規模に到達し、売上成長率でもプラス10パーセント以上を目指します。
食品大手企業において、ストラテジックパートナーとして企業価値が高いとみています。Huel社のPSRは4倍、PERが60倍となっていますので、当社も売上成長と海外展開を通じてこれらの水準を目指し、役員や従業員一同で努力を続けていきます。
質疑応答:大手メーカーの競合商品登場の影響と差別化戦略について
司会者:「大手メーカーから同ジャンルのパンが発売されており、小売店にも導入されています。差別化のための営業戦略をどのように考えていますか?」というご質問です。
橋本:まず、広い意味での栄養バランスが良い主食が導入されたことは、喜ばしいことだと思っています。当社商品の棚落ちや販売数減少といった事実もなく、シンプルに栄養パン棚が広がったと捉えています。
実際、アメリカのホールフーズ・マーケットなどでは、栄養パン棚のシェアは、私が創業した頃の数パーセントから、現在では約30パーセントまで伸びています。
もちろん、人口が減る中では栄養パン棚が増えることにより販売価格が上がっていくので、小売店にも喜ばしいことだと思っています。
また、バランスが悪い食べ物の売上以上に社会保障費がかかっている現状があります。当社の商品が減ることなく、栄養バランスの悪い商品が減り、栄養バランスの良い商品が増えたことは、社会的にも喜ばしいと考えています。これは当社のダウンサイドリスクの低さを示していると言えます。
商品面においては、当社の同じフレーバーと比較して、例えば「BASE BREAD チョコレート」の場合、他社製品は価格が当社製品よりも高く、栄養価も当社のタンパク質量と食物繊維量の約半分となっています。おいしさに関しても、私たちは非常においしいと確信しています。
多くのスタートアップにおいて、コストとクオリティの両方で競争に勝つことは難しいため、第3の道で勝負する必要があります。
その中で、当社商品は栄養価がほぼ倍であること、またおいしさにも自信を持っており、さらにコストも当社のほうが安く販売できています。これは、スタートアップとして非常に稀有なことだと思います。
また、栄養価が半分の商品、「よりライトな栄養食」というジャンルも、当社として準備を進めています。
このセグメントはそれ自体がエントリーとして重要です。ブランドを毀損しないかたちで提供することで、よりライトな層を取り込み、その層をより健康的な商品へ引き上げていきたいと考えています。
質疑応答:代表の長野県佐久市への転居と勤務体制について
司会者:「なぜこのたび社長は長野県の佐久市にお引っ越しされたのでしょうか? リモート勤務になるのかわかりませんが、しっかり従業員を対面でフォローするべきではないでしょうか?」というご質問です。
橋本:このたび、家庭の事情により長野県佐久市へ転居しました。詳細は割愛しますが、引っ越しによる勤務への影響は一切ないと考えています。
新幹線の佐久平駅付近に住んでおり、東京駅までは約1時間10分で到着可能です。また、新幹線内ではワークトレインを利用して勤務することもできます。
この転居が理由でオフィス移転を行ったわけではありませんが、現在、研究施設は晴海にあり、ビジネスオフィスも晴海近くの浜松町付近に準備しています。恵比寿へのアクセスもそれほど遠くなく、東京駅まではドアtoドアで約1時間半の所要時間です。
当社では基本的に出社義務がなく、リモートワークをしている社員も多くいます。研究開発部門のメンバーは研究所にいることが多く、私自身も研究開発を主管していますので、研究開発メンバーと対面での議論や商品を試食しながら話す必要がある際には出社しています。
今週や先週も通常通り出社しており、リモートワークをしている社員もいますので、長野からオンラインでコミュニケーションをとることも問題なく行えています。
大量保有変更報告書に住所変更の説明欄がなかったため、単に転居した事実のみを記載し、決算説明書には特に記載しませんでした。
このため、株主のみなさまにご心配をおかけしたかもしれませんが、基本的にはなにも変わらず、むしろ全力を尽くせる状況になっています。
質疑応答:海外での成長イメージとメルコグループの関連について
司会者:「売上高の力強い成長に向けて、国内を伸ばす印象を受けています。海外の成長イメージについてどのように考えていますか? これに関連して、メルコグループとの業務提携は国内の成長を伸ばすものなのか、海外での成長を視野に入れているのかについてもお聞かせください」というご質問です。
橋本:私自身のスタートアップのグローバル展開に関する私見ですが、基本的にユニクロやトヨタ、またアメリカから来ているGoogleなども含めて、基本的にマザーマーケットで圧勝している会社が出てきています。
例外として、日本酒の新興ブランドなどは必ずしも該当しません。これは、日本酒が日本国内で圧倒的な支持を得た結果、海外市場に進出したからです。寿司も同様で、基本的には同じ文脈だと考えています。
例えば、世界初の完全栄養食のようなものは、日本国内で現在の規模をはるかに上回る成長が見込めます。それが海外展開への近道になると考えています。
特に、「プリウス」のような車は、日本が石油資源に乏しいという背景の中で、燃費性能を追求した結果として誕生しました。その後、アメリカでリーマン・ショックのような不況が起きた際に大きく売上を伸ばした事例があります。
アパレルなども同様ですが、日本人のシンプルなデザインや高品質といった特徴が世界で受け入れられたと考えています。そのような意味でも、国内での成功から逃げてはいけないと思っています。日本でブレークスルーを実現しなければ、海外での大きな成功も難しいでしょう。
もともと日本で創業を始めた理由として、日本人が最も味に厳しく、アメリカなどと比べてコスト意識が高く、健康意識や健康に対する知識も豊富だと判断したからです。
つまり、日本で「おいしい」と評価されれば、世界でも「おいしい」と評価されるでしょうし、日本で「健康」と認められれば、世界中で「健康」だと感じます。そのような商品を作っている自負があります。
また、少子高齢化において日本は世界最悪の水準にあります。そのようなソリューションは中国やアメリカから求められるものになりますので、世界中の健康や命に貢献できるような事業を作り上げていきます。
一方で、海外は日本と進め方が少し異なると感じており、すべてを自分たちで進める必要はないと考えています。
本来的に、当社はフードテックスタートアップとして世界初の商品を作り、それを改善していきたいと思っています。
スーパーマーケットやコンビニの棚はすでに大手メーカーが押さえているため、日本の大企業と協業することでWin-Winの関係を築けると考えていました。しかし、日本の食品業界はスタートアップの数が少なかったため、オープンイノベーションが十分に進められる素地がありませんでした。
一方で、ダノンのような企業は、当社の創業期からもいわゆるコミュニケーションを取ってきた会社です。ダノン以外の企業でも、グローバル展開している食品会社のほうが積極的にコミュニケーションを取っています。
実際、日本のコンビニやAmazonは、世界中の方々がトレンドセンターとしてチェックしています。例えば、当社のパンシリーズは日本のAmazonで1位となり、コンビニでも展開されています。これがスタートアップの強みであり、スタートアップである当社は企業と協業しやすい立場にいます。
そのため、海外チームは日々のオペレーションを回すというよりも、大きな案件を複数進行させている状況です。グローバルの企業とやり取りしながら、まるで大きな花火を打ち上げるような新しい挑戦を続けていきます。
それらの取り組みは業績予想には反映しづらい部分もあり、資料には記載できない抜本的な展開や、世界中での販売展開に関する話も進んでいます。
仮にそのような話が頓挫したとしても、今年より来年、来年より再来年へと、当社の商品はさらにおいしく、安く作れるようになっていきます。将来的には、世界のどのような大手企業とでも組めるような状況が整う見込みです。
また、組む側がスタートアップである我々しかいないという強みを活用することで、交渉条件でも不利になることはないと考えています。
メルコグループについては、基本的には当社にとってありがたい株主であり、サポートに徹していただいています。日本や海外への具体的なディレクションを受けることもそれほどなく、基本的には当社にお任せいただいており、当社の意思に委ねられています。
一方で、TOBの際には、いわゆるテスラなどを引き合いに出して期待を示していただきました。そのため、グローバル展開を見据え、日本での取り組みを進めているつもりです。
質疑応答:来期業績予想と製品価格戦略について
司会者:「来期の売上総利益率は悪化するような見込みとなっていますが、その要因は何でしょうか?」というご質問です。
橋本:「BASE BREAD」は、基本的にEVなどと同様に、発明された商品であるため、コストは徐々に下がっていくと考えています。
例えば、通常のパンを作るのに比べて、「BASE BREAD」を作るスピードが2分の1だとすれば、それが3分の2のスピードになることで、加工作業にかかるコストも低下します。
また、はじめはおいしさを追求して作りますが、おいしさを維持したまま原材料を切り替えたり、配合や製法を工夫したりすることでコスト削減が可能になります。
「BASE BREAD」はその流れがより進行している状況ですが、それに続いて登場した「BASE YAKISOBA」「BASE RAMEN」「BASE Pound Cake」は、まずおいしさを優先しているため、高めの商品となっています。
ただし、それらが「BASE BREAD」よりも安くなることはありませんし、ムービングターゲットが存在しませんので、「BASE YAKISOBA」「BASE RAMEN」「BASE Pound Cake」などの商品も販売を進め、売上を伸ばすべきだと考えています。
また、広告宣伝費に配分するか、商品価格に反映するかという選択肢がある中で、そのバランスが重要です。例えば「BASE BREAD チョコレート」の小売価格を戦略的に引き下げることで販売が容易になり、結果として広告宣伝費を抑えることが可能です。その抑えたコスト分を新たな広告宣伝費に充てることで、さらなる売上成長率を見込めます。
我々としては、売上成長率が低かったことを非常に忸怩たる思いで捉えており、この成長率を高い軌道に乗せるためにあらゆる手を尽くす覚悟です。そのためには、売上総利益率が一定程度悪化することも必要な手段の1つだと捉えています。
質疑応答:来期にCPAが高騰した場合の対策について
司会者:「今期と同様に来期にCPAが想定よりも上がってしまった場合、業績予想達成に対してどのような対策を考えていますか?」というご質問です。
橋本:まず1つとして、AI活用を通じた内製化推進の流れがあり、当社でも一定の準備期間を経て進めています。
また、今期は複合的な施策を採用していますので、デジタル広告の比重が高すぎる場合にCPAが上昇してしまいますが、テレビCMでは低コストでインプレッションを確保できますので、テレビCMで認知を拡大しながらデジタル広告を組み合わせる方法が考えられます。
小売店で試食販売を実施することにより、実際に食べてもらうことで購入につなげるといった方法も取り入れています。
2027年2月期では、好循環を生み出す施策を行いますので、デジタル広告とは直接的に関係がありません。
すでに蓄積されている80万人の過去定期購入者や、日々コンビニで購入されている数百万人の過去購入者に対し、メールや「LINE」を通じてアプローチすること自体が、いわば広告宣伝費として機能していると考えています。
クーポンを小売店に持ち込むことで、当社としては小売店での売上利益が立ち、それをきっかけにCPAを大幅に低く獲得できることが確認されています。
商品をまだ知らない方よりも、過去に商品を知って実際に食べていただいた方のCPAはかなり低く、そのような顧客層を活用して引き上げを図ることで解約も少なくなっています。
また、友だち紹介にも注力しており、デジタル広告に依存しない閉じた循環モデルが回り始めるとみています。
さらには、LTVが他社よりも高い、唯一の商品を持っている、あるいは店舗配荷によってCPAを下げるなど、当社には他社が提供できない優位性があります。そのため、広告市況が上がったとしても、当社は成長可能な状況にあるだけでなく、広告宣伝費も出せる状況だと捉えています。
反対に、広告市況がさらに一気に上がることは想定しておらず、現在は高止まりしている認識ですが、仮にこれ以上高騰した場合でも、他社よりは広告宣伝費を出すことは可能であり、広告を出さなくても他社よりも成長できると考えています。