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フーバーブレイン:AIガバナンス領域を軸に成長戦略を推進、評価余地に注目

フーバーブレインは、2001年に創業した情報セキュリティ強化を支援する企業であり、セキュリティ製品の提供に加え、IT人材サービスや受託開発などを展開する。ミッションとして「デジタルテクノロジーで、社会に安心を、企業に成長を、人々に幸せな働き方を。」を掲げ、自律型AIが普及する「AIエージェント時代」において、安全な活用を担保するガバナンス基盤の構築を推進している。事業はITツール事業とITサービス事業の2事業で構成され、売上構成比はITツール事業が約55%、ITサービス事業約45%となっている。

ITツール事業では、セキュリティ製品やセキュリティ&ネットワークaaS製品、働き方改革ツールの提供を通じて企業の情報セキュリティ対策やテレワーク環境の整備を支援する。ITサービス事業では、ITエンジニアの提供、受託開発、採用支援などを展開している。投資事業にも取り組み、2025年4月に上場したデジタルグリッドなどに出資している。同社の強みは、セキュリティツールの導入・運用を担うエンジニア体制を持ち、顧客のシステム環境や運用実態に合わせた支援を提供できる点にある。内部不正防止や運用支援も含め、セキュリティ対策をワンストップで提供できることが特徴である。

成長戦略の柱は、「AIガーディアン」としてAIガバナンス領域を開拓することである。安全な利用を担保する「ガードレール」機能への需要は世界的に拡大している。同社は既存のセキュリティ技術を基盤に、AIエージェントの逸脱行動や不正操作を監視・制御する「ガーディアン・エージェント」の開発を進めている。ITサービス事業では、Youth Planet(ユース・プラネット)の買収により、採用広告、人材紹介、RPOを組み合わせた採用支援サービスを構築し、グループシナジーによる事業拡大を図る方針である。財務面では、主力製品であるセキュリティ&ネットワークaaSの受注残が積み上がっており、将来の売上に貢献する。加えて、投資有価証券の含み益も保有しており、実質的な財務基盤はより強固であると考えられる。

2025年3月期は、売上高4,373百万円(前期比42.2%増)、営業利益187百万円(同730.7%増)、当期純利益109百万円(同305.2%増)であった。売上高はITツール事業における製品販売の拡大に加え、ITサービス事業でM&Aにより連結子会社化した企業の業績寄与により大幅な増収となった。利益面では、増収効果に加えて販管費の適正化が寄与し、営業利益は2015年3月期以来の過去最高を更新した。

2026年3月期第3四半期は、売上高4,124百万円(前年同期比33.5%増)、営業利益197百万円(同83.7%増)、四半期純利益333百万円(前年同期比1,500.9%増)であった。売上高は、ITツール事業の既存製品の販売好調に加え、M&Aにより取得した子会社の連結寄与により増収となった。利益面では、ITツール及びITサービス両事業の増益に加え、デジタルグリッド株式の一部売却益の計上が純利益を押し上げた。

2026年3月期通期では、売上高5,600百万円(前期比28.1%増)、営業利益255百万円(同36.1%増)、当期純利益400百万円(同265.4%増)と大幅増収増益を予想している。第3四半期までの好調な業績推移を背景に、高収益なストック型製品の伸長に加え、販管費の適正化が利益拡大に寄与する見通しである。

2026年3月期から開始した5ヶ年の中期経営計画では、最終年度の2030年3月期に調整後売上高15,000百万円、調整後営業利益1,500百万円、ROE 16.6%を目標に掲げる。成長戦略として、オーガニックグロース、M&Aグロース、投資グロースの「3つのグロース戦略」を推進する方針である。自社製品のAIエージェント化による「自律的な防御・意思決定」ソリューションの展開やDX推進を通じて非連続な成長を目指す。「働き方改革製品」は直販に加え代理店経由の販売を強化する。M&Aでは、ITサービス事業のエンジニア人材獲得による現場対応力強化のほか、AIセキュリティ関連技術の獲得なども含め積極的に検討している。投資事業ではDX領域を中心に投資機会を模索するが、特定業種・領域に限定せず幅広く検討する方針である。

株主還元については、2026年3月期に初配当として年間15.0円(配当性向20%)を予定している。中期的には累進配当による安定的な増配を基本方針とし、2030年3月期には年間30円(配当性向30%)を目指す計画である。また、100株以上保有株主を対象としたQUOカード1,000円分の株主優待制度も継続する。加えて、機動的な自己株式取得も含め、中期経営計画期間累計で約10億円規模の株主還元を想定している。AIガバナンスやセキュリティの重要性が高まるなか、同社はサイバーセキュリティに加えてITサービスや投資事業を組み合わせた成長モデルを構築している。中期経営計画の開示姿勢や実質的な財務体力、積極的な事業展開、株主還元方針などを踏まえると、足元のPER水準(約12倍)は同社の成長性や事業構造を十分に織り込んでいない可能性がある。

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