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西部技研、デシカント除湿機・VOC濃縮装置で世界トップを争う 開発からアフターサービスまでの一気通貫体制が強み

アジェンダ

隈扶三郎氏(以下、隈):株式会社西部技研、代表取締役社長執行役員の隈です。本日は当社のIRセミナーにご参加いただき、誠にありがとうございます。

本日のアジェンダです。まず会社概要、次に中期経営計画(2024年から2026年)の進捗状況、その後に、2025年12月期の決算、2026年12月期の業績予想についてご説明します。

あらゆる空気に、あらたな価値を

:スライドには当社のスローガンを記載しています。

会社概要

:会社概要です。当社は1965年7月に設立され、昨年、創立60周年を迎えました。本社所在地は福岡県古賀市です。昨年末時点の従業員数は連結で785名となっています。

事業内容としては、デシカント除湿機やVOC濃縮装置といった特殊な空気処理装置の製造、販売、据付・保守といったサービスを提供しています。グループ会社は海外を含めて11社あります。

理念体系

:当社の理念体系についてです。経営理念は「独創と融合」で、1996年に創業者が存命だった時に当社の経営理念としてまとめた言葉です。

また、グループ全体の理念としては、2021年に上場を見据え、パーパス、ビジョン、コアバリューを定めました。

西部技研のあゆみ

:当社のあゆみについてお話しします。創業者である隈利實は私の父親ですが、もともと九州大学工学部で研究者として勤めていました。研究を進める傍ら、アカデミックな範囲を超えたエンジニアとして活動しており、多くの企業から委託研究の依頼を受けるようになりました。それらの依頼を受けるために隈研究所を創業しました。その隈研究所を前身として、1965年に株式会社西部技術研究所を設立したことが、当社の始まりとなっています。

以降、さまざまな研究開発を行い、試行錯誤を重ねる中で、1974年に連続ハニカム成形技術を確立し、日本で初めて全熱交換器という空調装置の開発と商品化に成功しました。それ以降、この特殊空調分野に事業を展開しています。

1980年以降は同じハニカム成形技術を活用してデシカント除湿機用ローターを商品化し、さらに1988年にはVOC濃縮ローターの商品化にも成功しました。

また、2000年以降は、開発からコンポーネントの販売にとどまらず、モジュールや完成品、さらに据付やアフターメンテナンスを含めたワンストップのビジネス展開を行っています。

2010年に入ると、海外の各地域に子会社を設立し、以前から力を入れていたグローバル展開をさらに加速させました。また、2010年からは現在非常に伸びているソリューション事業であるシステム施工等の事業にも参入しています。

2020年代からは、二次電池、半導体、フラットパネルディスプレイなど、先端技術や先端産業分野への事業拡大を図っています。

事業概要

:事業概要です。先ほどご説明したとおり、当社はもともとデシカント除湿機やVOC濃縮装置、コアコンポーネントから完成品までを含む特殊空気処理装置の販売を行うメーカーとしてビジネスを展開していました。

これに加え、2010年以降は最適空間の創出を目的としたシステムの提案、例えばドライルームやクリーンルームといった環境の設計施工など、エンジニアリング分野にも注力してきました。

その結果、環境に優しい空気処理ソリューション全体をグローバルに提供できる体制を構築しています。

売上の内訳についてです。製品別に分けると、デシカント除湿機関連の売上が全体の6割弱を占めています。次に、VOC濃縮装置関連が約3割を占め、その他が13.9パーセントとなっています。

事業別の売上高では、全体の約3分の2を装置・機器販売が占めており、約3分の1がトータルエンジニアリング、ソリューション提供によるものです。

地域別では、日本が45.6パーセント、海外が54.4パーセントとなっています。海外売上の中では、最もシェアが大きいのが中国で、米国、ヨーロッパ、韓国、その他アジアが続いています。

事業概要① – 製品別 –

:製品別の事業概要です。デシカント除湿機は、車載バッテリー工場や食品、医療・薬品の工場などに納めています。この製品は、2023年度から2025年度にかけて堅調に推移しています。

また、VOC濃縮装置については、主に半導体・半導体材料や車載バッテリー工場、塗装、印刷といった用途向けに販売しています。こちらの売上も2023年度から堅調に伸びています。

その他の製品としては、祖業ともいえる全熱交換器や、ハニカム加工技術を用いたハニカムフィルター、コンストラクション・マネジメントなどのビジネスがあります。2025年は特に全熱交換器やクリーンルーム施工に関わるコンストラクション・マネジメントの売上が増加しました。

事業概要② – 事業別(コア事業・成長事業) –

:事業別に見ると、コア事業(装置・機器販売)では、2023年度から2024年度にかけて大きく伸長していた中国向け車載バッテリー用途の売上が、中国市場における投資の縮小により減少しています。また、ヨーロッパにおけるバッテリー関連の需要も低迷している状況です。

一方、成長事業と位置づけているトータルエンジニアリング事業(設計・工事・施工)については、2024年度から2025年度にかけて大きく伸びています。今年はさらにエナジーデバイス案件や半導体材料案件によって、このビジネスが拡大する見込みです。

当社の強み① コア技術

:当社の強みについてです。先ほどご説明したとおり、当社の製品は、すべての機器にハニカム積層体という丸く巻き上げられた回転体、ローターと呼ばれるものをコアの部品として、コンポーネントに使用しています。

このハニカム積層体を空調に使用する際の3つのメリットとして、1つ目は空気を通した時の空気抵抗が非常に低いこと、2つ目は全体の強度が優れていること、3つ目は空気抵抗が低いわりに展開した時の表面積が広いことが挙げられます。

当社では、このハニカムを構造材としてではなく、さまざまな機能剤を添着・担持することで、機能性製品として販売しています。例えば除湿では、水分を吸着するシリカゲルをハニカムに化学的に合成しています。また、VOC濃縮装置では、VOC(揮発性有機化合物)を選択的に吸着する吸着剤であるハイシリカゼオライトを担持しています。このようにすることで、高い機能性を実現しています。

主要製品 デシカント除湿機

:主要製品についてご説明します。除湿機の心臓部には、先ほどお話ししたローターと呼ばれるハニカム状の回転体を使用し、完成品として販売しています。

機構としては、このローターに空気を通過させることで、乾燥した空気を得られるようになっています。

一方で、水分を吸着し続けると飽和してしまうため、ローターをゆっくり回転させ、4分の1のゾーンに仕切り、反対側から100度から150度の熱風をかけて蓄積した水分を追い出します。これにより、連続的な除湿が可能となる装置です。

主要製品 VOC濃縮装置

:VOC濃縮装置の機構は、基本的にまったく同じです。心臓部であるローターには、水分ではなくVOCを選択的に吸着する吸着剤が使用されています。

違いとしては、再生された風量が10対1、または20対1程度に絞り込まれ、元のガスの風量と比較すると1/10から1/20程度になります。そのため、濃度が10倍から20倍となります。

除湿装置とは異なり、濃縮後のガスをそのまま大気に放出することはできませんので、最終的に燃焼装置によって酸化・分解処理を行う必要があります。この濃縮装置を用いることで、後段の燃焼装置のキャパシティを1/10から1/20に削減できるため、システム全体をコンパクト化し、省エネな運用を実現することが可能です。

この装置は、自動車塗装や半導体製造工場、グラビア印刷工場などで使用されています。

こんなところに西部技研

:当社製品の用途についてです。スライドには主な用途が記載されています。先ほどご説明したバッテリー工場、自動車工場、半導体・半導体材料工場、医薬品工場に加え、さまざまな用途や場面で当社の製品や技術が活用されています。

当社の強み② 開発・生産からアフターサービスまで一気通貫

:当社の2つ目の強みとして、開発・生産からアフターサービスまでの一気通貫体制が挙げられます。例えばデシカント除湿機ですが、いわゆる心臓部であるハニカムを加工し、ローター化してさらにモジュール化します。これを最終的な完成品に組み立てます。

さらに、場合によってはシステム施工や、ドライルームもしくはクリーンルームといった施設の施工、据え付けた後のメンテナンスまで、すべての工程を当社が一気通貫で行えることが大きな特徴です。このようにすることで、実際のユーザーからのフィードバックを製品開発や改良に活かすことができるという大きなメリットがあります。

VOC濃縮装置については、先ほどご説明したとおり、モジュール化したものを後段の燃焼装置メーカーに販売するビジネスがメインとなっています。当社では、この濃縮装置および濃縮モジュールの周辺メンテナンスを直接手がけています。

当社の強み③ グローバル供給体制

:当社の3つ目の強みであるグローバル供給体制についてです。当社は、日本に4ヶ所、中国に3ヶ所、ヨーロッパに2ヶ所、米国に1ヶ所の工場を持つ、グローバルな供給体制を整えています。

当社の強み④ トータルエンジニアリング

:4つ目の強みは、トータルエンジニアリングです。これまでの機器販売から施工、いわゆるソリューション提案に加え、さらに高度な領域であるCM(コンストラクションマネジメント)やプロセスエンジニアリングなども手がけるようになっています。

関本圭吾氏(以下、関本):株式会社IR Agents代表の関本です。先ほどの会社概要について、1点ご質問します。2024年9月頃にIRセミナーで担当した時にも、非常におもしろい技術だとうかがったのですが、デシカント除湿機とVOC濃縮装置の競争状況について教えてください。

前回、ムンタース株式会社がもともと1位で、御社が2位というお話でしたが、この事業環境や競争環境について、大きな変化はないという理解でよろしいでしょうか? 

:機器の販売として見た場合、デシカント除湿機に関してはスウェーデンのムンタース社がシェア1位、当社が2番手という状況に変わりはないと思います。VOC濃縮装置については、ムンタース社はあまり注力していないため、当社がシェアNo.1となっています。

また、デシカント除湿機については、ムンタース社はあくまでも機器販売のみを行っていますが、当社では施工までを含めた対応をしています。この点で、事業への取り組み方がムンタース社とは異なると考えています。

中期経営計画の位置づけ

:中期経営計画についてご説明します。現中期経営計画は2024年度に発表しました。これは、2030年度に掲げた大きなビジョンを達成するための第1フェーズと位置づけています。

成長戦略としては、「コア事業で市場シェア拡大」「成長事業の本格始動」「グループガバナンス強化」をテーマに掲げ、スライドで示した数値目標を設定しています。今年がその計画の最終年度です。

中期経営計画2024-2026 成長戦略

:成長戦略についてです。先ほど述べたように、コア事業と成長事業を分け、それぞれ堅調に成長させていきます。

ターゲットとしては、エナジーデバイス、いわゆる車載用電池や今後広がると予測される定置用電池、さらに次世代電池に注目しています。また、電池以外のエナジーデバイスとしては、リチウムイオンキャパシタやペロブスカイト太陽電池を挙げています。

次のターゲット市場は半導体で、特に半導体材料関連が当社の主要なターゲットとなります。

重点施策については、コア事業・成長事業ともに、スライドの下段に記載されている施策を掲げています。

当社の成長領域を取り巻く事業環境

:事業環境についてお話しします。車載用電池に関しては、残念ながら中国市場がかなり減速しています。また、ヨーロッパ市場も一時期と比べると縮小傾向にあります。補助金の終了が大きく影響し、そもそも電気自動車(EV)の販売が伸び悩んでいる状況です。

米国市場も昨年までは堅調でしたが、トランプ政権に移行したことでEVの支援策が撤廃され、需要が鈍化し、市場規模が少し縮小しています。日本市場については、中国などと比較して投資のタイミングがもともと遅かったため、足元では当初の計画どおりに進行しています。

一方で、同じ車載用電池の次世代電池については、これから出てくる全固体電池が大きく伸びると見込んでいます。すでに試作や量産試作用に向けた当社の除湿機の納入やドライルームの施工を行っていますが、本格的な量産は2027年から2028年にかけて立ち上がるのではないかと見ています。

また、同じバッテリーでも定置用蓄電池については、車載用と比較して今後伸びる可能性が高いと見込んでいます。特にデータセンター向けのESS(Energy Storage System)の需要が高まっているため、それに向けた電池への投資が今後増えるのではないかと考えています。

電池以外のエナジーデバイスでは、リチウムイオンキャパシタやペロブスカイト太陽電池の需要が昨年あたりから大きく伸びてきています。

また、半導体や半導体材料についても、今後の生成AIの普及を含めて、半導体の量産が加速すると考えられるため、こちらも上昇傾向にあると見ています。

中期経営計画2024-2026の進捗状況

:中期経営計画2024-2026の進捗状況についてご説明します。コア事業であるデシカント除湿機については、日本の車載電池関連の案件が、引き続き堅調な推移を見せています。

ペロブスカイト太陽電池については、昨年大規模な物件を受注し、今後も需要が見込まれる状況です。

このような環境の下、生産能力の拡大と向上を進めています。海外では、米国とポーランドの工場について、2024年に新設または拡張しました。

国内では、心臓部であるローターの生産能力を拡大するため、2025年10月に新工場の建屋が竣工しています。現在、中身の装置を据え付けている段階にあり、今年9月頃から本格的な稼働を開始する計画です。

また、中国において板金加工を可能とする新工場の建設を進めています。現在、当社はローター回り、モジュール、完成品、さまざまな板金加工品、ケーシングなどをすべて外注していますが、中国の工場で板金加工を内製化することで、競争力の向上を図りたいと考えています。

また、除湿ローターそのものについては、昨年発表した高性能除湿ローターを市場に浸透させるための施策を進めていきます。

コア事業であるVOC濃縮装置については、半導体のファウンドリ向け、主に台湾を中心に、引き続き堅調に推移すると見込んでいます。過去に納めた物件のVOC濃縮ローターの交換も積極的に進めており、昨年度の交換件数は前年比111.3パーセントとなりました。

さらに、生産能力向上を目的に、中国で建設中の板金加工工場を活用し、内製化率の向上を図りたいと考えています。

新たな用途として、タイヤ製造工程や半導体製造の後工程への展開、また新たな市場としてインドや東南アジアでの需要拡大を見据えた取り組みを進めていきます。

中期経営計画2024-2026の進捗状況

:トータルエンジニアリングについてです。先ほど述べた国内キャパシタメーカーのハイブリッドスーパーキャパシタにおいては、単なる機器やドライルーム施工にとどまらず、コンストラクション・マネジメントといった仕組みで、施主に代わって全体の設計を行い、さらに施工業者の選定も当社が施主に代わって実施しています。当社が受注し業者に発注するという体制です。

また、現在トータルエンジニアリングは国内が中心ですが、インド向けの有機溶剤回収装置の取り組みが進んでいます。今後は米国や欧州などにもトータルエンジニアリングを展開していきたいと考えています。

具体的には、当社が韓国の提携先であるグンミョン・エンジ社と、韓国だけでなく米国においてもJVを設立し、さらに資本提携を行っています。このような取り組みにより、今後は海外にも注力していきたいと考えています。

BASC発、蓄電池製造設備の産業横断型プロジェクト「Swiftfab」に参画

:蓄電池製造設備の産業横断型プロジェクト「Swiftfab」への参画についてご説明します。このプロジェクトは、もともとBASC(一般社団法人電池サプライチェーン協議会)という、日本の経済産業省が主導する電池・バッテリー関連メーカーや業者の協議会が起点となっています。BASCには約200社が参画しています。

このBASCにおいて、車載用をターゲットとした新しい電池製造の方法を考えようという動きがあり、その中でBASCのメンバー9社が集まり、新たな電池製造のプラットフォーム、いわゆる製造方法を構築する会社、JVを設立しました。これが「Swiftfab」です。

「Swiftfab」では、従来よりも競争力の高い電池製造工程やプロセスを開発・整備し、それを日本国内のメーカーだけでなく、海外にも展開していく計画です。

BASC発、蓄電池製造設備の産業横断型プロジェクト「Swiftfab」に参画

:すでに会社として設立しており、本社登記も完了しています。当社をはじめ、コマツNTC株式会社、平田機工株式会社、株式会社リコー(リコーエレメックス株式会社)、株式会社日立製作所など、BASC会員企業の9社がメンバーとなっています。

事業内容としては、蓄電池製造装置やラインの開発、設計、販売、運用支援を行います。

このSwiftfabEnergySystems株式会社(仮称)の代表には、当社の取締役である喜田桂祐が就任しています。

新製品「C-SAVE Green」(2024年発売)の取り組み

:新製品「C-SAVE Green」についてご説明します。こちらは2024年4月に販売した製品です。

同様にハニカムローターを使用し、水分やVOCではなく、大気中のCO2を吸着するものです。そして、吸着したCO2を排出して濃縮し、大気中の濃度である400ppmから500ppmを1,000ppm程度に引き上げ、農業(グリーンハウス)に提供するという事業です。

対象となるのは、主にイチゴやトマトなどの高付加価値な作物です。これらの作物については、グリーンハウス内のCO2濃度を上げることで、収量が2割から3割増加することがすでに確認されています。

現在、農家ではCO2濃度を上げるために、例えば石油ヒーターの排ガスを温室内に供給したり、CO2ボンベを調達して供給したりしています。ただし、石油を燃やした際の排熱を利用する場合、夏場は温度が上昇するため使いにくく、また化石燃料を燃やすことで環境負荷が非常に高いという課題があります。

我々のローターは、大気中の空気からCO2を集めて供給する仕組みのため、環境負荷が低く、エコロジーな製品です。さらに、ボンベの取り替えも不要で、非常にメリットがあります。

現在、国内を中心に販売を行っており、昨年度、第50回発明大賞で東京都知事賞を受賞しました。

また、国内に限らず、ヨーロッパではトマトを栽培するグリーンハウスを主なターゲットとしており、その実現性を証明するために、オランダの大学と協力して実証試験を行っています。

キャッシュ・アロケーション(2024-2026)

:キャッシュ・アロケーションについてご説明します。本中期経営計画では、営業キャッシュフローを約130億円、投資キャッシュフローを約60億円と見込んでいます。

株主還元に関しては、60億円を超える規模を検討しており、主に配当と自社株買いを実施することを決定しました。これらを順調にアロケーションしています。

関本:中期経営計画についてご質問します。今回の中期経営計画について、特に電気自動車関連では事業環境が厳しく、前回の計画と比べてやや弱い部分があると理解していますが、基本的に事業環境のみが問題だったのでしょうか? また、工場の増産投資にも取り組まれているとうかがっていますが、進められている取り組みについても教えてください。

:確かに、中期経営計画で提示した数字についてはやや弱含みで計画を下方修正しています。車載用バッテリーが2023年まで大きく拡大した中国で、急激に投資が縮小される動きが見られ、その影響は非常に大きかったと見ています。

一方で、車載用途以外の製品については、リチウムイオンキャパシタ、ペロブスカイト太陽電池などの需要が伸びたことで、車載用電池の減少分を売上面である程度補うことができています。

したがって、車載用電池の需要減少という想定外の事象はありましたが、エナジーデバイス全体としては堅調に推移しています。計画そのものについても、齟齬なく進んでいると考えています。

2025年/12月期 サマリー

:2025年12月期のサマリーについてご説明します。売上高は343億2,200万円、前年比107パーセント、営業利益は45億3,000万円、前年比112.4パーセント、営業利益率は13.2パーセントとなりました。

前年から増収増益を達成し、これは日本のエナジーデバイス向けの案件などが売上を牽引した結果です。また、販管費率の低下により営業利益率も上昇しました。

株主還元については、スライドに記載のとおり実施しました。

中国での売上がかなり減少していることは間違いありません。

2026年12月期業績予想のサマリー

:2026年12月期の業績予想についてご説明します。今期は、売上高を360億5,000万円(前年比105パーセント)、営業利益を40億3,000万円(前年比89パーセント)、営業利益率は11.2パーセントと見込んでいます。詳しい状況については後ほどご説明します。

2026年/12月期 通期見通し

:P/Lについては、前年比でスライドの表のとおりです。

2026年/12月期 通期見通し

:通期見通しの内容です。アジア、中国、欧州での売上伸長により、増収を見込んでいます。

中国は非常に落ち込んでいましたが、底を打ち、少し回復に向かうと考えています。欧州でも同様の動きが見られるかもしれません。

増収に伴い、売上総利益は増益となるものの、粗利率は若干低下すると見込んでいます。昨年度は粗利率の高い案件が多く含まれていましたが、今年はそれほど期待できないと判断しています。

営業利益は、販管費の増加により減益を見込んでいます。成長を見据えた投資の増加、すなわち人的資本としての人件費の上昇が主な要因です。また、IT投資や試作試験費などの増加も見込んでいます。

経常利益については、営業外収益に「蓄電池の安定供給確保のための取り組みへの補助金」の計上を見込んでいます。当期純利益については、特別利益に「中堅・中小成長投資補助金」の計上を見込んでいます。

配当政策

:配当政策については、安定的な配当を実行・維持することを基本としながら、財務体質の健全化や将来に備えた内部留保とのバランスを図りつつ、株主に対して報いることを基本としています。

毎事業年度末日を基準日とした年1回の期末配当を実施します。

連結配当性向を重要な指標としており、その目標値は40パーセント以上としています。2026年12月期の年間配当は70円を予定しています。

また、自社株買いについてもすでに実施済みです。今期は、取得金額が約10億円、取得株式数は約64万株となっています。

私からのご説明は以上です。ご清聴ありがとうございました。

質疑応答:イラン情勢が事業に与える影響について

荒井沙織氏(以下、荒井):「イラン情勢が事業に与える影響を、部門・地域・売上・収益性、そして受注別に分けてお聞かせください」というご質問です。

:イラン情勢やホルムズ海峡の問題についてですが、現在、当社は物流面やロジスティック面で直接的な影響を受けていません。しかし、気になるのは原材料です。当社の主たる原材料に関して、直近でいくつか値上げや供給不安に関する具体的な報告を受けています。中でも顕著なのは、例えば塗料などです。このような原材料については代替品の確保を進めています。

当社の製品供給に関して代替品も含めて十分な手当ができる見込みが立っており、基本的にはさほど影響を受けることはないというのが現時点での見解です。ただし、今後、ホルムズ海峡の問題などを中心に、さまざまな原材料やエネルギー資源に関連して供給不安が生じる可能性が懸念されています。

そのため、早期解決を望むと同時に、不安要素のあるものをグローバルにリストアップし、代替品や他の供給先を探すことで対処していきたいと考えています。

質疑応答:自社株買いを短期間で行った理由について

荒井:「今回実施した自社株買いの買付けスピードが、前回と比べてかなり短期間で行われた理由について教えてください」というご質問です。

:自社株買いについてですが、一般的な市場の株価に基づき、売買高加重平均価格(VWAP)をターゲットとして買付けを実施した結果です。特別な手法を採用したり、証券会社に対してなんらかの指示を行ったりしたわけではありません。

買付け開始直前の2月上旬から株価が高騰し、株式売買取引高が市場全体で増加したことが主な原因の1つではないかと判断しています。

質疑応答:取得した自己株式の使途について

荒井:「買付けした株式の処理について教えてください」という、同じく自社株買いについてのご質問です。この方は株主で、1株当たりの利益を増やしたいため償却してほしいとお思いのようですが、いかがでしょうか? 

:株主さまとしてはもっともなご意見かと思いますが、取得した自己株式の使い道については、まだ具体的な使途を決定していません。このまま保有を継続するのか、消却するのか、あるいはなんらかの用途で利用するのかについては、今後検討し、適宜処理を進めていきたいと考えています。

質疑応答:プライム市場上場について

荒井:「将来的に、プライム市場に移るお考えはありますか?」というご質問です。

:当社はスタンダード市場に上場していますが、証券取引所に上場したからには、プライム市場を目指すのは一般的で当然の考え方だと思います。当社としてもその意識が完全にないわけではありません。

ただし、現状では、具体的な期限を決めてプライム市場を目指す予定はありません。今後、適切なタイミングが来た場合には、その検討を開始し、進めていきたいと考えています。

質疑応答:成長投資の優先順位と中長期的な課題について

荒井:「成長投資の優先順位についてですが、設備投資・人材採用・研究開発のうち、直近で最も効果が大きい打ち手は何でしょうか?」というご質問です。

:設備投資に関してですが、直近では日本におけるローターの新設工場として、私たちは「宗像第二工場」と呼んでいる施設を建設しました。また、中国では内製化を高めるための工場を新設しており、大型の設備投資については、しばらく検討の必要はないと考えています。

短期的には、人材の採用が必要です。特に、トータルエンジニアリングを担うソリューション人材が非常に求められています。

もう少し中長期的に見ると、新たな用途や新市場の開拓が重要なテーマとなります。そのため、中期的には研究開発が非常に重要であると考えています。

質疑応答:今後の成長ドライバーと市場拡大について

荒井:「空気環境の課題解決を一気通貫で提供されていますが、今後の成長ドライバーとして最も伸ばしたい工程はどこでしょうか? また、その理由も教えてください」というご質問です。

:我々が一気通貫で手掛けているプロセスの中で、今後伸びる可能性が非常に大きいのは、施工、エンジニアリングの分野だと思います。この分野をさらに高度化させていくことが非常に重要です。これがうまく進めば、需要自体もさらなる成長の余地があると考えています。

一方で、市場を用途別に見た場合、我々はエナジーデバイスや車載電池をはじめ、定置用蓄電池、次世代電池、さらにペロブスカイト太陽電池やキャパシタといった市場に注力していきます。今後、例えば製薬などバイオ関連分野にも施工技術を拡充させていけるのではないかと考えています。

この分野においてはまだ十分なノウハウがあるわけではありませんが、今後ノウハウを蓄積し、そのような市場への拡大を目指したいと考えています。

質疑応答:除湿機におけるローター技術の特徴と競合状況について

関本:「デシカント除湿機について、他社に比べての優位性や、逆に弱い部分、今後の改善点などのトピックスがあれば教えてください」というご質問です。

:除湿機において、我々の最大の特徴は、心臓部となるローターにあります。これは、シリカゲルという固体吸着剤を使用しています。

もともとデシカント除湿機は、我々の競合であるスウェーデンのムンタース社がハニカム状のローターを開発し、デシカント除湿機を開発・商品化しました。しかし、彼らが当初使用していたのは液体の吸収剤でした。

それに対して、私たちは固体の吸着剤を使用した除湿ローターを世界で初めて商品化しました。固体の吸着剤には、液体の吸収剤に比べてさまざまなメリットがあります。すべてをご説明すると長くなるため省略しますが、固体吸着剤を採用することにより、現在では液体の吸収剤を使用するメーカーはなく、シリカゲルを使用したローターが標準となっています。

このように、私たちは固体吸着剤を使用したローターを最初に開発したメーカーとして、心臓部であるローターについて、常に研究開発や改良を進めています。その結果、ローターの性能で他社に対して優位性を保っており、この性能が高いことが機器全体の競争力を高めることにつながっています。

一方で、デメリットとしては製造キャパシティの問題が挙げられます。ムンタース社のほうがキャパシティ的にはやや優位に立っていると思われます。私たちもさまざまな投資を行うことで、かなりキャッチアップしてきましたが、グローバルな供給能力については、依然としてムンタースが一歩先を行っているのではないかと考えています。

質疑応答:エナジーデバイス需要の現状と全固体電池の普及見通しについて

関本:「EV電池関連投資についてです。トータルエンジニアリングの事業は、車載用電池の管理の設備投資の影響を受けると思います。昨今の燃料価格動向により脱炭素のニーズはあるようですが、設備投資はまだ慎重な環境下で、今後の設備投資見通しと、御社の事業の需要への影響はどのように見込んでいらっしゃるかを教えてください」というご質問です。

:ご指摘のとおり、エナジーデバイスの中でも車載用電池の需要は、この7年から8年の間に大きく伸びました。しかし、2020年から2023年を境に、中国ではすでに生産キャパシティが需要を大きく上回る状況になっています。ヨーロッパも同様であり、アメリカでもヨーロッパ同様にEVに対する支援策が打ち切られる動きが見られます。そのような影響を受け、現在はピーク時と比較して、需要がかなり落ち込んでいます。

一方で、先ほど述べたように、車載用については燃料価格の高騰もあり、EVの優位性が見直されつつあります。そのため、今後は徐々にEVの需要が拡大していくと考えています。日本、ヨーロッパ、中国などでは、すでに5割程度がNEV(New Energy Vehicle)と言われていますが、構造的にはまだ成長の余地があると思います。

その際に重要なのは、現状のリチウムイオン電池だけでなく、次世代の全固体電池です。そのような製品が普及することで、EV自体の普及も加速すると考えています。

当社はすでに日系メーカーを中心に、全固体電池に関する案件で、当社の除湿技術や塗工工程で使用するVOCの回収装置などを納めており、全固体電池においても、当社の技術が十分に活用されることを確認しています。

したがって、この需要が高まる際には、当社の商品供給も大きく拡大していくと期待しています。そのタイミングについては、先ほど2027年から2028年頃になるという予測をお伝えしましたが、現時点ではまだ明確にはわからない状況です。

質疑応答:採用状況と人材育成・貢献時期について

関本:「今期、採用において先行投資が発生していますが、現在の採用状況と、人材育成を経てどの程度貢献するのかについて教えてください」というご質問です。

:当社における採用は、7年から8年前までは新卒採用を中心としたプロパー採用がメインでした。平均で約10名を採用していたのですが、ここ5年から6年で事業が急拡大したことにより、新卒採用やプロパー採用だけでは対応が難しくなりました。そのため、現在はキャリア採用に大きく力を入れています。特に、この3年から4年で非常に多くの方がキャリア採用枠で入社しています。

新卒や、新卒に準じる若手の場合は、ある程度育成に時間を要する状況です。何年かのローテーションやOJTを含めた研修を経て、一人前に育成しています。一方で、キャリア採用に関しては、必要な人材を当社の求めるスキルや役割に当てはめて採用するため、基本的には即戦力となります。

現状、一番人手が不足しているのは、先ほどご説明したトータルエンジニアリングやソリューション部門です。こちらの需要が大きく伸びており、施工管理や設計者を含め、依然として人材が必要な状況です。このような状況には、主にキャリア採用を通じて対応しています。

質疑応答:系統用蓄電池におけるリチウムイオン電池の利用と今後の動向について

関本:「昨今、マーケットでは系統用蓄電池のニーズや話題が多いと思います。御社にとっても、蓄電池についてはメリットがあるのでしょうか?」というご質問です。

:私の理解では、系統用蓄電池についても車載用と同じリチウムイオン電池が使用されるケースが多いと思います。リチウムイオン電池の製造にはドライな環境が必要なため、当社の技術は十分に貢献できると考えています。実際、そのような引き合いも少しずつ増えてきています。

現在のトレンドとしては、車載用バッテリーの製造工場として建設された施設を、系統用蓄電池用の工場として転用するケースが増えています。そのため、転用に伴い投資を増やす動きも見られ、このような事案は足元で増加しており、今後も堅調に伸びていくのではないかと考えています。

質疑応答:会社見学会および株主優待の実施について

関本:「株式の売買、マーケットでの流動性について、もう少し活性化が欲しいです。例えば、会社見学会や優待の導入など、何か対策などは考えていらっしゃいますか?」というご質問です。

:その件については、株主総会でもご質問をいただきました。会社見学会については、ぜひ実施したいと考えています。ただし、安全性や実施時期の問題などがあり、検討は進めているものの、具体的な実施時期については今後の検討課題になると考えています。

株主優待については、当社のビジネスの観点から、株主優待よりも株主還元でお応えしたいと考えています。

隈氏からのご挨拶

:本日は当社のIRセミナーにご参加いただき、ありがとうございました。当社は現在、中期経営計画の最終年度である3年目を迎えています。

さらに、来期から実行する新たな中期経営計画の策定作業を進めています。今後もIR活動を継続していきますので、ぜひ当社にご注目いただければ幸いです。

本日は誠にありがとうございました。

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