本日のご説明の概要
宮下敏雄氏(以下、宮下):本日はソレイジア・ファーマの事業説明をご視聴いただき、誠にありがとうございます。取締役CFO管理本部長の宮下です。
冒頭に2点お話しします。1つ目は、本来は社長の荒井がご説明する予定でしたが、どうしても外せない社業があり、本日は私が代行し、責任を持ってご説明します。
2つ目は、視聴者のみなさまから、事前に資本政策や株価に関するご質問を多数いただいています。これらについては、事業説明終了後にまとめてご回答します。
本日は、会社概要、医薬品系バイオベンチャーの概要、ソレイジア・ファーマのビジネスモデル、現在保持している製品/開発品ポートフォリオの状況、今後目指すべき方向性とその展開についてご説明します。
ソレイジア・ファーマの概要
宮下:まず、ソレイジア・ファーマの概要についてお伝えします。社名の由来として、「ソレイジア」はラテン語の「SOL」、すなわち「太陽」と「ASIA」を組み合わせた造語です。また、「Pharma」は医薬・製薬に携わる者を意味しています。
当社の創業は2006年です。もともとは、アメリカでおそらく最もバイオヘルスケア向け投資を行っているMPM Capitalというバイオテクノロジー投資会社と、伊藤忠商事との合弁によって設立されました。
主にがん治療薬、すなわちがん細胞を攻撃する薬と、がん支持療法の両分野の開発および販売を行っています。なお、がん支持療法とは、抗がん剤や放射線治療などのがん治療に伴う副作用の低減や予防を目的とした薬剤のことです。
現在の事業拠点は東京、中国の上海、北京の3ヶ所で、従業員数は23名です。医薬品事業ではさまざまな会社機能がありますが、当社の特徴は医薬品開発、とりわけ開発の最終段階である臨床試験の遂行、および実際に製品が当局から承認を受けた後の販売戦略支援を行う点にあります。
2025年12月31日時点の株主分布は、国内の個人投資家が全体の80パーセント強を、それ以外の法人や機関投資家が全体の約18パーセントを占めています。また、筆頭株主は当社製品のパートナーである日本化薬であり、当社の開発品パートナーであるマルホが続きます。
沿革
宮下:沿革についてご説明します。2006年にアメリカで創業しました。MPM Capitalと伊藤忠商事による当社の設立趣旨書では、後期開発段階のプロジェクトを数多く集め、それを他社にM&Aされるような会社を作ることとしており、これが両社の基本合意に基づく当社の創業経緯となっています。
創業後は、SP-01からSP-05までの開発品の権利を導入し、それぞれ臨床試験を中心とした開発活動を行うとともに、販売を検討した上で中国に事業範囲を広げることを繰り返してきました。株式については、2017年に株式公開を行いました。
沿革で特に注目すべき点は、2022年に中国での自販体制を解消したことです。製薬会社の高収益体制は、自社で開発したものを自社で販売することで、全製造業の中で最高の利益率を実現するモデルにあります。
当社も、中国での自社販売体制を目指して2022年まで運営してきたものの、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を大きく受けたため、中国での自社販売体制を解消し、費用を大幅に圧縮する施策を講じました。
医薬品系バイオベンチャーの類型
宮下:医薬品系バイオベンチャーは、大きく分けると創薬技術提供型と製品開発型の2つのタイプがあります。創薬技術提供型は、創薬にかかわる固有の技術を有しており、その技術を製薬企業などにライセンス提供することで収益を上げます。一方、製品開発型は、薬や候補品の権利自体を自ら確保し、その開発を事業化に結びつけて収入を得ます。
当社は、製品開発型バイオベンチャーに位置づけられます。製品開発型バイオベンチャーの特徴は2点あります。1つ目は、医薬品の開発失敗リスクを常に抱える点です。2つ目は、医薬品の開発完了や当局承認を経て販売開始に至るまでに多額の先行投資が必要となるため、単年度損益が赤字となる傾向がある点です。
これらの特性により、多くの製品開発型バイオベンチャーでは、単年度損益や単年度フリーキャッシュフローが継続して赤字になります。しかし、自社で開発した薬が世に出て販売が拡大すると、時価総額が1,000億円以上になることも珍しくありません。こうした事例は、バイオベンチャーの歴史が長いアメリカやヨーロッパでは一般的な共通認識となっています。当社もこの戦略に基づいて運営しています。
日本・中国を中心とするアジア市場に注力
宮下:当社は、日本と中国を対象に開発事業を進めています。日本の医薬品市場は非常に安定しているものの、市場規模は国際的な順位が下がりつつある状況です。
創業当時の市場規模は、第1位が現在と変わらずアメリカ、第2位が日本でした。しかし、現在の第2位は中国となっています。この状況を見据え、日本と中国を中心としたアジアに事業範囲を定めています。
がん領域の開発パイプラインに特化
宮下:当社が取り扱っているがん領域の医薬品についてです。がんという病気は、先進国もしくは人類全体において、現時点でおそらく最も死亡率が高い病気であることは議論の余地がない状況です。これに対する治療方法としては、主に外科手術、放射線治療、そして医薬品を用いる3つの方法があります。それゆえ、がんを治療する薬への需要は、今後さらに増加していくと認識しています。
次に、がん治療の特性についてご説明します。がんを薬で治療するプロセスにおいて、最近では免疫療法や抗体医薬品治療など、さまざまなジャンルの薬剤が出てきています。しかし、依然として従来の化学療法、いわゆるケモセラピーがメインで使用されている状況です。この潮流は今後も大きく変わらないだろうと見込んでいます。
また、がん治療ではサポーティブケアが注目されています。これは、がん治療や薬による治療、放射線治療によって生じるさまざまな副作用に対応するものです。副作用が重篤化すると、計画していたがん治療そのものが実施できなくなる事態もあります。このため、「副作用をなんとか抑えよう」というものが、がん治療サポーティブケアです。当社は、がん細胞を直接攻撃する薬剤と、副作用を軽減する薬剤の両面に経営資本を投入しています。
リスクコントロールを重視したビジネスモデルの確立
宮下:当社は「ノンリサーチデベロップメントオンリー」と呼ばれる枠組みで事業を運営しています。1つの医薬品を世に送り出すプロセスでは、研究段階から非臨床開発段階、臨床開発段階、当局の承認を得て販売に至るまで、10年から15年以上の長い時間を要します。その間に、さまざまな理由で候補品が中止となる場合もあります。
当社は、候補品が中止となることを医薬産業における最大のリスクと捉えています。そのリスクが経営に与える影響を抑えるために、臨床開発段階以降のプロジェクトに集中して事業を運営しています。
当社事業の収益構造概要
宮下:収益構造についてです。当社は現在、ライセンス契約による収益構造を目指しています。しかしながら、事業特性上、他のバイオベンチャーとは異なり、製品販売収益とライセンス収益が混在している状況です。ちなみに、製品販売収益とは、外部委託などを活用して自社で製造し、それを販売パートナーに販売することで売上総利益を稼ぐという手法です。
現在のプロジェクトとしては、SP-01からSP-05があります。SP-01、SP-02、SP-03は製品販売収益が主な収益源となっており、開発中プロジェクトであるSP-04とSP-05についてはライセンス契約の獲得を目指しています。
kenmo氏(以下、kenmo):中小企業診断士のkenmoです。1点ご質問があります。御社は製品販売収益とライセンス収益という2つの柱がありますが、現状ではどちらをより重視されているのでしょうか? また、今後のバランスについてはどのようにお考えでしょうか?
宮下:当社はすでに3つの製品を開発し、市場に送り出しています。ただし、それらの製品の売上が芳しくない点については、受け入れざるを得ない厳しい現状であると認識しています。そのため、製品販売の向上と、ライセンス契約を通じたさまざまな地域での販売ルート構築に注力しており、50パーセントずつ経営資源を投入している状況です。
今後の展開としては、製品販売が主たる収益源となることを目指し、日々経営活動を行っています。
kenmo:SP-05あたりからそうなるのでしょうか? それとも、もう少し先のタイムスパンなのでしょうか?
宮下:SP-05の開発が完了し、製品販売が開始されるのはおそらく2030年もしくは2031年だと思います。それまでの間は、SP-01からSP-03までの製品販売をどのように向上させるかに注力します。そのプロセスとしては、販売パートナーの見直しや適応症の拡大の開発を行い、SP-01からSP-03の製品販売収益を向上させることが重要だと考えており、そのための経営努力と成功が鍵になると考えています。
当社事業の状況
宮下:スライドは、現在の当社の状況を示しています。当社は現在、5つのプロジェクトを推進しています。経営資源は主にSP-04およびSP-05の開発と、「ダルビアス」の適応症拡大に投じています。
このうち、販売中の製品は3つありますが、製品販売収益をいかに上げていくかが重要な課題となっています。1つ目の「Sancuso」は、先ほど少し触れましたが、抗がん剤の化学療法による悪心・嘔吐(気分が悪くなり吐き気や嘔吐が生じる症状)を予防または抑制する医薬品です。
2つ目の「ダルビアス」は、末梢性T細胞リンパ腫(PTCL)という血液がんの一種に対する治療薬です。3つ目の「エピシル」は、抗がん剤や放射線治療の副作用によって生じる重篤な口内炎を治療する薬です。具体的には、患者さまが話すことも食べることも水を飲むことすらできないという非常に厳しい状況を緩和します。
現在開発中のプロジェクトには、SP-04とSP-05があります。SP-04は、抗がん剤による末梢神経障害(CIPN)を治療する薬です。末梢神経障害はがん患者さまの副作用として非常に深刻といわれており、正座後のような手足のしびれや感覚喪失が長時間続きます。また、SP-05は抗腫瘍効果を増強する薬で、大腸がんの標準療法の置き換えを目指しているプロジェクトです。
創業以来の事業化実績
宮下:SP-01「Sancuso」、SP-02「ダルビアス」、SP-03「エピシル」の3つのプロジェクトは事業化しており、それぞれ販売パートナーを通じて医療現場に届けています。
販売製品・開発品
宮下:ここからは、それぞれの製品についてより具体的にお話しします。スライドは、当社の製品開発品のプロダクトポートフォリオを図式化したもので、いわゆるガントチャートと呼ばれるものです。
当社では、これらの矢印の本数を増やすことと、矢印をさらに右側へ伸ばしていくことの両面が企業成長において重要であると考え、経営活動を行っています。
販売製品 経皮吸収型制吐剤「Sancuso」
宮下:1つ目の経皮吸収型制吐剤「Sancuso」は吐き気や嘔吐を予防する薬剤で、貼り薬であることが特徴です。中国ではまもなくジェネリック医薬品が登場すると想定しているものの、現時点で貼り薬の制吐剤は「Sancuso」のみと見ています。
近年のがん治療では、抗がん剤投与期間に入院するのではなく、外来で投与を受ける患者さまが増えており、この潮流に合致したプロジェクトだと考えています。
なお、つい先日まで香港のLee’sに中国での販売を委託していましたが、当初の計画どおりの売上高がなかなか上がらなかったため、MAAB Pharmaにパートナーを変更しました。また、「Sancuso」のジェネリック医薬品は中国国内でおそらく100種類ほど出ていると思われますが、価格面での競争力を保持するため、中国での現地生産にも着手しています。
販売製品 抗悪性腫瘍薬/有機ヒ素製剤「ダルビアス」
宮下:スライドには「抗悪性腫瘍薬」と記載していますが、いわゆる抗がん剤そのものです。再発または難治性の末梢性T細胞リンパ腫という病気に対する治療薬として当局から承認を得ており、当該適応症に使用されています。
「ダルビアス」の抗腫瘍効果自体は競合品と比べて特段優位とはいえないものの、副作用の発現率が他剤よりも低いことが特徴です。
末梢性T細胞リンパ腫は、年齢が上がる、いわゆる高齢者になるほど罹患率が高くなります。そのため、副作用の頻度や程度が低い薬剤のほうが好ましいという期待があります。現時点では、日本国内で日本化薬を通じて販売されています。
「ダルビアス」については、末梢性T細胞リンパ腫以外のがんに対しても適応症の拡大を目指しており、現在は主にEBウイルス陽性のがんを対象とした動物実験を進めています。
販売製品 医療機器「エピシル口腔用液」
宮下:口内炎に対する製品についてです。日本で現在、がん治療に伴う口内炎に対する当局承認を受けた医薬品や医療機器は「エピシル」のみであると認識しています。「エピシル」はオイルの液状で、口内に3滴から4滴滴下塗布して患部に塗り広げることで、口内の保護膜が形成され疼痛管理を図ります。
現在、日本ではMeiji Seika ファルマ、韓国ではSynex、中国ではGensciが販売しています。また、昨年は第一三共の100パーセント子会社であるDaiichi Sankyo Brasilにブラジルでの権利をライセンスアウトしました。現在はオセアニア、アメリカ、中国でもライセンスを前提に交渉を行っています。
荒井沙織氏(以下、荒井):フリーアナウンサーの荒井沙織です。販売製品についてご説明いただきましたので、ここで個人投資家のみなさまからいただいたご質問をいくつかご紹介します。
「上場時からの株主です。SP-02『ダルビアス』の中国導出はどうなりましたか? 以前『1歩前進、2歩後退』とのご発言がありましたが、現在の進捗状況をお聞きしたいです」というご質問です。
宮下:「ダルビアス」の中国権利のライセンスアウトについては、3年から4年前より喫緊の課題として捉えて取り組んできましたが、現時点ではなお未達成の状況です。
SP-02の中国導出活動は引き続き継続しています。これまでは日本で承認されている適応症(末梢性T細胞リンパ腫:PTCL)の中国開発を主軸として導出先を探していました。複数の競合薬が同適応症で承認されたことから、当初計画していた臨床開発プランと環境および条件が変わってきています。現時点で、以前コンタクトしてきた会社以外の新たな候補会社とPTCLプラス可能性のある追加適応症の組み合わせでの共同開発を主軸として検討を継続しています。
なお、可能性のある追加適応症の選択を目標として非臨床試験も継続しており、これらの結果から追加適応症が選択できれば、中国のみならず日本での適応追加にも寄与することになると考えています。
荒井:続いては「『ダルビアス』について、いつまでパートナー探しをするのでしょうか?」というご質問です。
宮下:当社は現在、中国での販売体制を保持していません。しかし、「ダルビアス」ががん患者さまのお役に立つという確信には一切変わりはありません。そのため、ライセンスアウトの完了には時間がかかっていますが、最後までやり遂げるという覚悟で取り組んでいます。
荒井:続いては「『ダルビアス』の中国導出の遅延や販売契約先の度重なる変更などがあり、開発費のポテンシャルを活かしきれていないように思いますが、財務担当CFOとして、宮下さまはどのように考えていますか?」というご質問です。
宮下:「ダルビアス」のライセンスアウトがなかなか進まないことについては、先ほどご説明したとおりです。当社を支えていただいている株主・投資家のみなさまの期待を裏切ってしまっている状況を深く認識しています。必ずやり遂げるという決意のもとに取り組んでおり、現時点ではそれ以上のことはお答えできません。
「ダルビアス」以外のプロジェクトにおける販売パートナーの変更については、当初のパートナーとの契約期間中であっても、パートナーの売れ行きが芳しくない場合にはパートナーを変更し、既存販売品の販売規模を拡大しようと取り組んでいます。
なお、資本政策については後ほどご説明しますが、当社の株価は株式公開時やその後と比較して、現在非常に低い水準にあります。その大きな理由の1つには、開発には成功したものの、売れ行きが損益計算書にプラスの影響を及ぼしていないことが挙げられます。販売パートナーを変更し、売上規模の向上を目指すことで、株主・投資家のみなさまのご理解とご評価をいただきたいと考えています。
kenmo:素朴な疑問ですが、販売パートナーによって売上はそれほど変わるものでしょうか?
宮下:医薬品の販売においては、セールス、マーケティング、投資活動、市販後の臨床データの収集およびマーケティング活用への投資が必要となりますが、これらにどの程度の投資を行うかはパートナーによって異なります。これまで当社がパートナー変更した会社については、当社が満足するような投資を行ってくれなかったと認識しています。
kenmo:パートナーの選定プロセス自体が良くなかったのだと思いますが、その点について対策は取られていますか?
宮下:弁解つもりはありませんが、当社が変更したもともとのパートナーとの契約は、主に株式公開前のものです。当時は、バイオベンチャーの株式公開時のIPO条件として「販売パートナーときちんと契約を満了していること」がありました。そのため、上場前はマーケティング投資へ注力するよりも、ライセンス契約締結を優先したという反省があります。
しかし、現在はマーケティング投資をしっかり実施してくれる会社を選定し、ライセンス契約のパートナー変更や新規ライセンス契約を進めているという自覚があります。
kenmo:当時よりもずいぶん改善してきているということですね。
開発品 SP-04:細胞内スーパーオキシド除去剤「PledOx」
宮下:ここからは、開発品についてご説明します。SP-04は、抗がん剤の副作用の中で、おそらく全世界で治療法が確立されていない末梢神経障害の予防・抑制を目指すプロジェクトです。末梢神経障害とは、手足や身体の末端がしびれてしまう症状です。正座をした後の足のしびれが全身の末端に生じるような、非常に辛い副作用です。この副作用に対しては人類全体としてまだ有効な対処法がなく、ここに挑戦している薬剤です。
SP-04は2020年に第III相臨床試験という開発の最終段階まで進んだものの、期待する結果を得ることができませんでした。当時の試験対象は、プラチナ製剤(オキサリプラチン)によって生じる末梢神経障害を対象としていましたが、その結果を受けて、2021年以降は同様の副作用であるタキサン製剤という抗がん剤による末梢神経障害の治療開発に取り組んでいます。2021年から見直し開発を進め、今年中もしくは来年には臨床試験を再開できるかという段階まできています。
また、第III相臨床試験に失敗したことを踏まえ、今後の開発、特に開発投資の規模が大きい臨床試験に臨む前には、慎重に非臨床開発データを収集しています。SP-04については日本と中国で権利を保有しており、日本では当社第2位の株主であるマルホに販売権を導出済み、中国ではパートナーを探索している段階です。
開発品 SP-05:抗腫瘍効果の増強 葉酸製剤「arfolitixorin」
宮下:SP-05は葉酸製剤です。葉っぱの「葉」に「酸」と書いて「葉酸」と呼びますが、「アルホリチキソリン」という薬剤の開発に従事しています。実は、SP-05も2022年に第III相臨床試験まで到達したものの結果が出ず、現在は再開発途中です。
開発品 SP-05:抗腫瘍効果の増強 葉酸製剤「arfolitixorin」
宮下:SP-05は、2022年の第III相臨床試験以降、さまざまな非臨床試験や臨床試験の再解析を行っています。具体的には、現在使用しているロイコボリンという葉酸製剤とSP-05との比較が開発のテーマとなっています。
ロイコボリンは、患者さまへの投与量を増やしても抗腫瘍効果はあまり向上しません。一方、SP-05は、患者さまへの投与量を増やすことで、スライド一番右側のグラフのとおり抗腫瘍効果が大幅に向上します。そのため、2022年までの臨床試験と比較し、どれくらいまで投与量を増やすことができるかが、現在の開発テーマの1つとなっています。
開発品 SP-05:抗腫瘍効果の増強 葉酸製剤「arfolitixorin」
宮下:2022年に結果が出なかった臨床試験の再解析を行ったところ、日本以外の地域での臨床試験結果は、当局の承認を得るに十分なデータを得ていたことが明らかになりました。
日本で十分な効果が出なかった要因としては、「アルホリチキソリン」という葉酸製剤の抗腫瘍作用が、1990年代から現在に至るまで抗がん剤として使用されている「フルオロウラシル(5-FU)」という薬剤の効果増強剤であるにもかかわらず、日本では「5-FU」の減量が多く行われていた点が挙げられます。
その結果、SP-05を投与した被験者の抗腫瘍効果が、現在の標準治療法であるロイコボリンと比較して劣っている状況になりました。これらの反省点を踏まえ、SP-05の投与量を増量することで、ロイコボリンに対して高い抗腫瘍効果を示せる可能性が高くなると認識しています。
開発品 SP-05:抗腫瘍効果の増強 葉酸製剤「arfolitixorin」
宮下:現在、SP-05は臨床試験の再開を着実に進めており、第Ib相臨床試験をドイツの1施設で実施しています。SP-05は投与量が多くなるほど抗腫瘍効果が高まるという見立てがあるため、第Ib相臨床試験ではどの程度の投与量まで患者さまへ増量可能かを確認・検証しています。
本日時点で、第3コホートに到達しており、300ミリグラム・パー・スクエアメートルまでの段階に進んでいます。これまでの第1コホート、第2コホート、第3コホートのいずれの段階でも用量制限毒性(dose-limiting side effects)、すなわち患者さまがSP-05の投与量に耐えられなくなるという症例は確認されていません。なお、「コホート」には「群」という漢字が当てはまります。
今後は、第4コホート、第5コホートまで投与量を上げられるかを確認し、それを踏まえた上で第II相臨床試験に進みます。現在実施している第Ib相臨床試験で確認された投与量よりも一段階低い投与量を用い、現在の標準療法であるロイコボリンとの比較が可能な臨床試験を行います。今期下期には第II相臨床試験を開始できる見通しです。
開発品 SP-05:抗腫瘍効果の増強 葉酸製剤「arfolitixorin」
宮下:第Ib相臨床試験の中間結果を今年2月にお伝えしましたが、用量制限毒性はこれまで確認されていません。また、臨床試験はがん患者さまを対象に実施しており、すべての患者さまで治療への反応、すなわち腫瘍の縮小が認められています。腫瘍の大きさや体積は最大で50パーセントまで減少したというデータが得られています。
さらに、第Ib相臨床試験では、RAS遺伝子が変異し手術が困難なため、化学療法治療を選択していた患者さまを対象にしていました。それにもかかわらず、外科手術が可能な状態となった症例が約半数ありました。これは、非常に喜ばしい結果です。今期下期からの第II相臨床試験に向けて、日本国内で着々と準備を進めています。
開発候補品プロジェクトの進捗
宮下:SP-01からSP-05以外のプロジェクトについても、「GeneCare」「EditForce」「HikariQ」「五稜化薬」といった日本国内のバイオベンチャーとの共同開発を通じて、将来的に当社のSP入りを目指したプロジェクトを推進しています。
既存製品及び開発品の価値向上のための基本的経営戦略
宮下:2026年のテーマです。1つ目は、提携関係をより強化します。ライセンスアウトを確実に進め、新たなパートナーに円滑に事業を移行します。2つ目は、「ダルビアス」の適用拡大の開発に従事します。
3つ目は現開発品の推進です。SP-04とSP-05の2つのプロジェクトについては、SP-01からSP-03の総合計を上回る患者さまに貢献できると自覚しています。これらの開発に経営資源をしっかり投入することが、今期の主な事業計画です。
ソレイジアの成長戦略
宮下:当社が目指すべきところは、株主・投資家のみなさまを含めたすべてのステークホルダーのために、企業として健全な状況を維持することです。具体的には、単年度損益の黒字化やフリーキャッシュフローの黒字化、「ダルビアス」やSP-04およびSP-05の開発を通じた企業価値向上に注力していきます。
以上が私からのご説明となります。
質疑応答:黒字化のタイミングについて
kenmo:黒字化のお話がありましたが、視聴者から「黒字化のタイミングはいつ頃になるのでしょうか?」という質問を非常に多くいただいているので、お考えをお聞かせください。
宮下:現在取り組んでいる5つのプロジェクトのみを進めた場合、SP-05の開発完了と成功が見込まれる2030年頃までに、単年度損益の黒字化やフリーキャッシュフローの黒字化達成を目指しています。
質疑応答:販売中製品の今後の計画について
kenmo:SP-04およびSP-05にリソースを集中されていますが、SP-01、SP-02、SP-03も成長させていく必要があると思います。その点についてのお考えをお聞かせください。
宮下:おっしゃるとおりです。経営資源の中で最大のものは資金投入というプロセスであり、当面はSP-02の適用拡大と、SP-04およびSP-05の開発に資金を投じていきます。
一方で、SP-01やSP-03の販売収益向上のためには、当社が直接投資を行うというよりも、パートナーを変更する、あるいは新たなパートナーを迎えることによって企業価値の向上を目指すという段取りを考えています。
質疑応答:SP-05の市場規模について
kenmo:SP-05が今後の成長のカタリストになると考えていますが、投薬のターゲットとなる患者数は市場規模としてどれくらいでしょうか?
宮下:SP-05は、大腸がん患者さまを対象に、化学療法の標準療法の置き換えを目指したプロジェクトになります。患者数としては幅があるものの、現在化学療法を受けていらっしゃる患者さまは日本国内で9万人から10万人と想定されています。すなわち、今後の臨床開発ですべて良好な結果が出れば、9万人から10万人の患者さまにお使いいただける可能性があります。SP-05では、この地位の確保を目指しています。
質疑応答:SP-05の市場規模について
kenmo:「Isofolから『SP-05の走行率100パーセント』や『自閉症への適用拡大』といった非常にポジティブなニュースが出ています。日本国内におけるSP-05の治験開始時期や、自閉症分野への参入可能性について、御社の見解をうかがいたいです」というご質問です。
宮下:SP-05については、大腸がん患者さまに向けた開発に経営資源を投入し、第II相臨床試験を今期下期中に開始したいと考えています。また、自閉症スペクトラムに対するSP-05の開発可能性については、当社が数パーセントの株式を保有しているパートナーであるIsofolにおいて、非臨床開発を進めています。これが一段落した段階で、今後の進め方を共同で検討していきたいと考えています。
質疑応答:ソレイジア・ファーマとネクセラファーマの違いについて
荒井:「今回ご登壇いただいた宮下さまのご経歴を見ると、ネクセラファーマにも在籍されていたとのことですが、ソレイジア・ファーマとの違いとして感じていることはありますか?」というご質問です。
宮下:私が働いていた時はそーせいという社名でした。最も大きな違いは、研究機能を持っているかだと思います。ネクセラファーマは、イギリスでの2回目の買収を経て、創薬の基礎技術を持つ会社となっています。一方、当社は開発に特化している会社であり、ここが大きな違いだと思います。
2つ目の視点として、私がそーせいで働いていた間に株主や投資家のみなさまに紹介していたプロジェクト数はおよそ36品目ありましたが、そのうち上市に至ったプロジェクトは2つだけでした。一方、当社の場合はこれまで5つのプロジェクトを手がけ、そのうち3つをすでに上市しており、成功確率に違いがあります。これがネクセラファーマと当社の大きな違いだと自負しています。
宮下氏からのご挨拶
宮下:本日は、ご視聴いただきありがとうございました。株式評価の面では、株主のみなさまに十分ご満足いただけていない状況が現在も続いていると深く自覚しています。
「目標とする株価はいくらか?」というご質問について一言でお答えすると、株式公開後に行った公募増資で発行した株価である237円を最低限の必達目標として掲げ、現在も経営に全力を尽くしています。
これまで艱難辛苦を株主・投資家のみなさまに共有するかたちとなりましたが、今後は主にSP-05の開発・進行を進める中で、きちんとした会社となれるという期待と確信を強く持っています。引き続きご支援のほど、何卒よろしくお願いします。
当日および事前に寄せられたその他の質問と回答
当日および事前に寄せられた質問について、時間の関係で取り上げることができなかったものを、後日登壇者に回答いただきましたのでご紹介します。
<質問1>
質問:有利子負債はいつ頃から圧縮できるのでしょうか?
回答:現在、有利子負債はありません。株式上場後、複数回利息が付された社債発行による資金調達を実行していますが、資金使途等に鑑み有利子負債による調達はあまり適さないと判断し、いずれも発行後数ヶ月内に償還(返済)完了せしめています。
<質問2>
質問:2017年に上場してから現在に至るまでの間にどのくらい知名度が向上したとお考えですか?
回答:「Sancuso」「ダルビアス」「エピシル」の開発成功・販売開始を通じたがん医療現場への貢献を通じ、ソレイジアの社会的知名度は相当程度に向上したと認識しています。
<質問3>
質問:貴社にとって上場して良かったこととは何でしょうか?
回答:上場による効果として大きく2点あります。
1点目は人材面で、上場企業としての信用力向上により、専門性の高い人材の採用が可能となり、研究開発や事業推進体制の強化につながっている点です。
2点目は資金調達面で、エクイティを活用した機動的な資金調達が可能となり、開発投資を継続的に行える基盤を構築できた点です。
これらにより、当社の成長戦略を実行する上での基盤が大きく強化されたと認識しています。
<質問4>
質問:自己資本を取り崩す予定はあるのでしょうか?
回答:当社は、これまで複数回、欠損填補を目的として、資本金資本準備金の取り崩しを実施していますが、これらは自己資本を減少せしめたものではありません。なお、現時点において、市場からの自己株式取得/消却を実施する予定はありません。
また、広い意味での自己資本取り崩しについては、これまで調達した資金を研究開発投資等に充当することが当てはまると認識しており、この方策は当面継続する所存です。
<質問5>
質問:中国リスクの状況についてはどのようにお考えでしょうか?
回答:中国での医療産業環境において、例えば特段の製品または原薬輸出・輸入の規制はないこと、疾病対策において、日本あるいは欧米からの輸入製品は変わらず高い要望があることなどから、特に中国リスクが高まっている状況にはないものと思われます。
<質問6>
質問:長期間低迷していますが、現実的な打開策はあるのですか?
回答:株価低迷の大きな理由には、開発成功した製品の収益実現の遅延と、2つの大型開発品の臨床試験失敗にあるとみています。
前者はパートナー変更等により対応しており、後者は幸いにも開発継続をすることができ、これらの成功によって、株価低迷は解消し得ると確信しています。
<質問7>
質問:第15回ワラントの完了で当面の資金は確保したとのことですが、発行済株式数が2.7億株を超え、既存株主の希薄化による痛みは限界に達しています。今後、さらなる増資を回避するために、具体的にどのタイミングで黒字化、あるいは大型の契約一時金(マイルストン)を見込んでいますか?
回答:2030年頃のSP-05の開発成功までにはフリーキャッシュフローの黒字転換は可能と考えています。
大型の契約一時金受領やマイルストン受領は、まず、SP-05日本権利導出により得られる可能性があると考えています。ただし、今後のSP-05の臨床試験結果が良好であることが前提となります。そのほかSP-04中国権利導出にも同様の期待を持って臨んでいます。
<質問8>
質問:役員向けの予約権行使価格が29円に設定されていますが、現在の株価水準は役員のみなさまにとっても満足できるものではないはずです。企業価値(時価総額)を具体的にどの程度まで引き上げることを経営目標として掲げていますか?
回答:少なくとも、過去の公募増資発行価格である237円を超えることは必達経営目標と重く認識しています。
<質問9>
質問:現在の株価についてどのように思われますか? 新株を発行して株価を上げられるのでしょうか? 今のソレイジアの企業価値を飛躍させるには何が必要だとお考えでしょうか?
回答:現在の株価は、SP-04やSP-05の価値を殆どまったく織り込んでいない水準と感じています。
SP-05の開発成功が必要だと考えています。SP-05の開発成功は、当社創業以来の5つの開発プロジェクトの8割の成功確率をもたらし、事業収支の改善に加えて医薬品業界で特異な高い開発成功確率を具備する企業との評価を得ることとなり、「企業価値=株式時価総額=株価」を飛躍的に向上せしめると信じています。
<質問10>
質問:開発候補品の状況は長年変わらないのですが、進捗しているのでしょうか?
回答:開発候補品は、主としてパートナー企業が実際のオペレーションを行っているため、進捗の主軸はパートナー企業によるところとなっています。
いずれの候補品も、開発過程の非臨床試験に至っていない早期プロジェクトであるため、研究結果によって条件を変えたりする段階ですので、開発プロジェクトと比べると目に見える進捗を示すのはまだ難しい段階にあります。その中においても、例えばGCプロジェクトの腹膜播種適応を検討する核酸医薬については、新規配列が特許化し、動物試験に着手しており、HQプロジェクトのダリナパルシンADC化も少しずつ進展しています。
<質問11>
質問:SP-02「ダルビアス」の中国導出について、計画していた導出は遅れており、現在もパートナー探索・交渉中という段階と、頓挫していますが、いつまでパートナー探しを行うのでしょうか?
回答:導出については、環境要因や種々条件によるところも多く、予定どおり進んでいませんが、中国については当社独自で開発を進めるよりも中国企業への導出あるいは中国企業主体の共同開発として進めるほうが限られたリソース配分およびリスク軽減対策にもなることから、継続することを考えています。
なお、これまでの中国企業との交渉においては、固形がんなどの大市場での開発期待が多く、患者数の限られるPTCLのみでの導出は困難であることから、PTCLプラス追加適応症(の可能性)の組み合わせでの紹介を行っています。