■CAC Holdingsの事業概要
2. 海外IT事業
海外IT事業は、事業規模の大きなインド及びインドネシア子会社を中心に、システム構築、インフラ構築や運用管理サービス・などを展開している。
同社は1980年代から海外展開を進め、海外IT事業を成長領域として育成してきた。M&Aなどにより事業規模は拡大し、2017年12月期には売上高117.4億円に達したが、買収企業で想定外の損失が発生し、同事業は6.0億円のセグメント損失となった。その後は事業の立て直しを進め、2019年にはインドネシアを主要拠点とするシンガポールのソフトウェア企業Mitraisを完全子会社化した。アジャイル開発を強みとする同社の取り込みが寄与し、2020年12月期にはセグメント利益4.4億円と黒字転換を達成した。
2021年12月期はインド子会社ISLの事業再構築に着手した影響で、売上高95.0億円、セグメント利益3.0億円となった。2022年12月期は円安効果に加え、インド及びインドネシア子会社の成長とISLの損益改善により、売上高115.6億円、セグメント利益7.1億円(算出方法変更後では10.8億円)に拡大した。その後も海外事業は安定的に拡大し、2024年12月期は売上高127.3億円、調整後EBITDA17.2億円、2025年12月期は売上高133.0億円、調整後EBITDA18.2億円となった。海外拠点の収益力が高まり、同社の成長を支える事業の1つとなっている。
同社の海外IT事業は、顧客である日本企業に対するグローバル・サポートや海外グループ会社のオフショア活用が起源となるものの、成長が期待される、アジア・オセアニアを中心とする現地マーケットのポーションが高くなっている。
同事業で注目されるのが、インド子会社とインドネシア子会社である。インド子会社はCAC Vision 2030 Phase1の期間で不採算事業や拠点の整理・再編を進め、事業運営の効率化と収益性の改善に取り組んできた。同社は、本拠地インドの金融機関や政府関係をはじめ米国などの各拠点で優良な顧客を抱えており、海外現地市場開拓の橋頭堡になり得るポテンシャルを有している。一方、インドネシア子会社はオーストラリア向けをけん引役に順調に業容を拡大し、今後はサイバーセキュリティをはじめとする特定領域に強みを持つ事業の育成を進め、日本市場との連携を通じて、プロダクト&サービス型ビジネスの拡張を目指す方針である。2022年12月期は、セグメント利益算出方法変更前ベースでインド子会社で若干の損失を計上したが、2023年12月期以降は構造改革により利益が改善基調となっている。両社を軸とした今後の動向に注目したい。
■業績動向
2025年12月期は特定顧客の内製化等により国内ITが低迷、減収減益で着地
1. 2025年12月期の業績概要
2025年12月期の連結業績は、売上高が前期比2.8%減の505.8億円、調整後EBITDA(営業利益に減価償却費、のれん償却費及び株式報酬費用を加算して算出)は同16.6%減の38.1億円、営業利益が同24.0%減の25.8億円、経常利益が同28.8%減の23.9億円、親会社株主に帰属する当期純利益が同5.7%増の32.7億円となった。同社は2024年12月期より、事業から創出するキャッシュの実力を示す調整後EBITDAを採択し、開示している。
売上高の増減要因を見ると、国内ITは前期比20.4億円減となった。M&Aによる新規連結効果で5.4億円増加した一方で、製薬業界における特定顧客の内製化や金融業界向け大型案件の収束により25.9億円減となった。海外ITは同5.7億円増となり、為替影響で3.2億円減少したものの、インド及びインドネシア子会社の事業拡大が寄与した。
利益面では、調整後EBITDAの増減要因として、M&A関連費用の減少により0.5億円増、子会社の新規連結効果により0.6億円増となった。一方で、減収の影響により2.1億円減(うち為替影響0.2億円減)、中期経営計画に基づく成長基盤の強化投資により4.6億円減、その他要因で2.0億円減となり、調整後EBITDAは前期比16.6%減となった。
もっとも、国内ITの減収は特定顧客の内製化や大型案件の終了という個別要因が重なった影響が大きい。これらの要因を除いた案件動向を見ると、既存顧客向けのシステム開発や運用サービスは堅調に推移しており、同社の主要顧客基盤の安定性は維持されている。海外ITでは、インド子会社の案件獲得が進み、事業は着実に拡大している。中期的には、AI Transformationの実行、AIを活用したプロダクト&サービス(P&S)の開発、クロスセルの推進を通じて、成長市場での事業拡大が鍵になると考える。
2025年12月期の事業セグメント別の業績を見ると、国内IT事業は減収ながら収益性が改善し、海外IT事業は増収増益と堅調に推移した。国内IT事業の受注高は前期比3.6%減の369.9億円、売上高は同5.2%減の372.8億円となった。特定顧客によるシステム開発の内製化や金融業界向け大型案件の収束などが影響し、受注高、売上高はいずれも前年を下回った。一方で、調整後EBITDAは同1.4%増の40.9億円となった。減収の影響はあったものの、新規連結子会社の通期業績寄与や組織改編に伴いR&D及び新規事業関連費用の一部が移管されたことなどにより、利益水準は小幅ながら改善した。既存顧客向けのシステム開発や運用サービスは比較的安定しており、特定顧客の影響を除けば事業基盤は大きく変化していない。
海外IT事業の受注高は前期比9.1%減の132.8億円となった。為替変動による下押しに加え、米国及び英国子会社における一部顧客向け案件の縮小や、インドネシア子会社における情報通信向けサービスの縮小が影響した。一方で、売上高は同4.5%増の133.0億円となり、インド子会社の事業拡大が寄与し、為替のマイナス影響や欧米拠点の案件縮小を補完した。調整後EBITDAは増収効果などにより同6.1%増の18.2億円と拡大した。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 吉林 拓馬)