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いちご Research Memo(4):2027年2月期は事業利益で21.2%増の340億円と、過去最高を見込む

■いちごの今後の見通し

2027年2月期は、営業利益で前期比0.7%増の20,600百万円、事業利益で同21.2%増の34,000百万円、経常利益で同12.8%減の14,900百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同8.2%増の18,000百万円、キャッシュ純利益で同30.1%増の24,000百万円、1株当たり当期純利益で同12.5%増の45.13円を見込んでいる。キャッシュ創出をさらに拡大する予想であり、安定したストック収益に加えてフロー収益を伸ばし最高益更新を見込む。

心築事業では、物件売却及び子会社売却により、事業利益で18,550百万円(前期比41.7%増)と大幅な増益を予想する。ホテル事業では、リブランドオープン(宇都宮、天神)及び新規物件による賃料収益増を見込むものの、売却を見込まないため事業利益5,150百万円(同28.7%減)を予想する。いちごオーナーズ事業では、前期未実現の売却実現により、事業利益で7,600百万円(同101.9%増)と大幅増益を見込む。アセットマネジメント事業では、安定したストック収益を見込むものの、投資法人関連成果報酬を織り込まない予想数値で、事業利益で1,250百万円(同45.2%減)を予想する。クリーンエネルギー事業では、出力制御及びコスト(売上原価)増を見込み、事業利益で1,450百万円(同12.0%減)を予想する。

外部環境においては、日米金利差を背景とした投資資金の流入が継続しており、特に東京をはじめとする主要都市において、国内外の投資家の投資意欲は引き続き旺盛な状況が続きそうだ。国際情勢(中国人インバウンドの減少、中東紛争、米国通商政策など)によるアセットタイプによっては採算に影響する。ホテル事業での中国人インバウンド減少の影響や、大規模新築プロジェクトによる建築資材高騰の影響などが想定されるが、同社の事業においては限定的なインパクトにとどまる予想である。また、金融機関の融資支援姿勢にも変化は見られない。なお、同社のコーポレート借入金の金利に関しては、前期から上昇してはいるものの、半分以上を固定化することで影響を軽減している。支払い利息の増加は相対的に軽微であり(2026年2月期実績で前期比1,278百万円増)、近年のオーガニックな賃料増加により十分カバーできると推測される。

2027年2月期は高水準で推移するストック収益が安定して獲得できるのに加え、心築事業やいちごオーナーズ事業のフロー収益が積み上がるシナリオである。オフィス分野ではトレードピアお台場が高い稼働率になっており、売却の可能性も出てきた。ホテル分野ではリブランドによるRevPARの上昇が期待できる。いちごオーナーズでは、前期の持ち越し案件の成約への取り組みの時間も十分ある。ホテル、レジデンス、中規模オフィスや商業施設など各分野で売買市場は活況であり、フロー収益の確保もしやすい環境が整っている。事業利益の目標は前期比21.2%増と意欲的であるが、弊社では十分達成可能であると見ている。

■中長期の成長戦略・トピック

ストック収益の厚みと不動産価値向上力を発揮する売却益(フロー収益)が向上

1. ビジネスモデル
同社では、リーマンショック時(2009年2月期)に大きな影響を受け保有資産を売却せざるを得なかった状況を踏まえ、外部環境変化に対応できる収益基盤・財務基盤の確立を目指してきた。その結果、2026年2月期のストック収益は24,399百万円と過去最高を更新した。ホテル、心築、アセットマネジメント事業が過去最高益となり、アセットタイプ別でもバランスが良い。長期VISION「いちご2030」の重要経営指標である、ストック収益比率(60%目標)及びストック収益固定費カバー率(200%目標)については、2026年2月期でストック収益比率57.8%、ストック収益固定費カバー率195.1%と、目標値に肉薄する。フロー収益に関しても、2026年2月期に17,828百万円と過去最高を更新した。特筆すべきは、含み益とそれを大きく超える売却益である。3,000億円を超える保有不動産には835億円(2026年2月末)の含み益が存在しており、実際の売却においては含み益を超える売却益を実現しており、2026年2月期においては、含み益に対して2.9倍(平年は約2倍)の売却益を実現している。

仕入れを支えるのは強靭な財務基盤であり、加重平均借入期間で2.8年(リーマンショック時)から8.9年(2026年2月期)、3年以内返済予定借入割合で93%(リーマンショック時)から24%(2026年2月期)、加重平均借入金利で2.22%(リーマンショック時)から1.43%(2026年2月期、コーポレート有利子負債)といずれの指標においても大幅に良化している。仮に、大きな景気後退が発生したとしても、逆にチャンスと捉えて積極的に買いにいける体制が整っていると言えよう。

2. トピック
同社のクリーンエネルギー事業は安定的なストック収益を稼いできたが、近年は成長性として頭打ちの傾向にあった。太陽光発電を主体にしつつ、風力やバイオマスへの展開も行っているが、次世代の大きな柱とはなりにくい。そこで現在本格展開を検討しているのが系統用蓄電池事業であり、立地厳選のうえパイプラインの拡大を行っている。現時点で5ヶ所・177.6MWhを計画しており、2027年2月期には第1号蓄電所(千葉県/8.9MWh)を稼働開始予定だ。系統用蓄電池事業は、再生可能エネルギー発電を補う電力「調整力」を提供するとともに、安定収益を積み上げるうえでも期待が高まる。同社では、RE100(Renewable Energy 100%:事業活動で消費する電力を2050年までに100%再生可能エネルギー(太陽光、風力など)で賄うことを目指す国際的なイニシアチブ)の認証取得を完了している。不動産業界のトップランナーとして、長期VISION「いちご2030」の中でも、グループ全体の事業活動で消費する電力を100%再生可能エネルギーとする「RE100」を達成しその状態を維持することを宣言しており、順調に目標を達成した。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田 秀夫)

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