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ティラド、過去最高益を更新 新中計で2030年度売上高2,000億円・ROE20%を目指す

決算説明会 中期経営計画説明会 AGENDA

木下薫氏(以下、木下):常務執行役員経理財務管掌の木下です。本日はご多忙のところ、弊社決算説明会にご参加いただきありがとうございます。私からは2025年度(2026年3月期)の業績についてご説明します。

2025年度(26/3期)連結決算概要

まず連結決算概要です。スライド中央の数値をご覧ください。売上高は1,622億7,800万円の着地となり、前年度比で1.9パーセントの増収となっています。国内部門、海外部門ともに前年比増収となっています。

利益項目もご覧のとおり増益となっており、営業利益は112億4,900万円、経常利益は123億7,800万円、親会社株主に帰属する当期純利益は87億6,500万円の着地となっています。過去最高益だった昨年度をさらに上回る結果となりました。

右側には2026年度(2027年3月期)の業績予想を示しています。売上高は1,630億円、営業利益117億円、経常利益131億円、当期純利益90億円を見込んでいます。なお、為替レートの前提については右下の表のとおりです。

2026年度(27/3期)通期業績予想について

表の左側は連結の業績予想で、前期比で増収増益を見込んでいます。直近の取引先から聴取した最新の販売予測をベースに算定しています。

一方、右側の単体では、経常利益と純利益は前年度比で減益の予想となっています。前期に計上した子会社からの特別配当の剥落、ならびに法人税の増加が主な要因です。

業績予想の前提についてご説明します。中東における地政学リスクの高まりにより、アルミ材、銅材、樹脂材などの価格は足元で上昇しています。ただし、材料費については取引先との間で原則スライド条項があり、また将来の価格動向の見通しが困難であるため、今回の業績予想にはその影響を織り込んでいません。

2026年度(26/3期)セグメント別概要

地域セグメントの決算概要です。売上高は前年度比で日本およびアジアにおいてそれぞれ20億円超の増収となりました。主に自動車向け売上の増加によるものです。一方、中国では日系顧客の不調が継続しており、減収となっています。

営業利益については、米国セグメントが黒字化し、全地域で黒字を確保しました。日本、米国、アジア、中国すべてで増益となっています。特に米国では生産負荷低減プロジェクトの進捗により約12億円の増益、中国では固定費削減の効果により増益となっています。

2025年度 連結貸借対照表:対前期末

連結貸借対照表です。2026年3月末の総資産は997億円と、前期末比で約22億円増加しました。秦野の新設工場関連の設備投資による固定資産の増加が主な要因です。

借入金残高は195億円、自己資本比率は約53パーセント、ネットベースのレバレッジ比率は約0.53倍となっています。

連結業績の推移

連結業績の時系列推移です。営業利益をはじめ各利益項目はいずれも右肩上がりとなっています。得意先との交渉による適正利益の確保、生産性向上や原価低減活動の成果が表れています。また、品質コストや貸倒関連費用も減少しています。

単体業績の推移

国内部門の時系列では、売上は堅調に推移しており、2022年度以降のCAGRは約3.5パーセントです。2026年度も増収を見込んでいます。

連結売上高の推移

海外売上比率については、中国の減収の影響で直近は低下傾向にあるものの、依然として50パーセントを超えており、当社にとってグローバル展開は不可欠です。

用途別売上推移

用途別売上では、自動車向けが引き続き伸長しており、2026年度も増収を見込んでいます。建産農機向けは2024年度まで減少傾向でしたが、2025年度はやや回復しました。景気動向に連動する分野であるため注視しています。

地域別売上高

地域別売上では、中国の減収傾向に加え、アジアでも減収要因が見込まれており、引き続き注視していきます。

地域別営業利益

地域別営業利益では、米国の改善、日本・アジアの高い利益貢献、中国の利益水準維持が確認できます。

2025年度連結経常利益の増減要因(対前年同期比較)

2025年度の経常利益は前年度比で42億7,700万円の増益となりました。単体では売上増加や研究開発費の減少が増益要因です。前年度に計上したシステム関連費用の反動減が影響しています。一方で設備投資や人材投資の強化により減価償却費、人件費は増加しています。

海外子会社では、特に米国の増益効果が大きく、アジアおよび中国も増益に寄与しています。

2025年度 営業外・特別損益(連結)

営業外・特別損益の内訳です。持分法投資利益としてインド合弁会社から約7億円、投資有価証券売却益として約5億円を計上しました。一方、業績好調に伴い法人税は増加しています。

2025年度 キャッシュフローの状況(連結)

キャッシュフローでは、営業活動によるキャッシュフローが大幅に増加しました。投資活動では設備投資により約74億円を支出、財務活動では自己株式取得および配当で約61億円の株主還元を実施しました。期末の現金残高は前年度末とほぼ同水準です。

設備投資・減価償却費推移(連結)

設備投資は今後の売上拡大および市場シェア獲得に向けて増加傾向にあります。

研究開発費推移

研究開発費については、HEV・PHEV向け開発およびシステム開発を中心に実施しており、2025年度は売上比で約3.4パーセント、約30億円を計上しました。2026年度は約28億円を見込んでいます。

以上で、2025年度通期決算の説明を終了します。

中期経営計画 T.RAD-2026 AGENDA

宮﨑富夫氏(以下、宮﨑):代表取締役CEO兼COO社長執行役員の宮﨑です。私から中期経営計画T.RAD-2026についてご説明します。

T.RAD-2026 経営理念・コーポレートスローガン・中計戦略

まず初めに、経営理念とコーポレートスローガンについてです。「すぐれた熱エネルギー変換技術とサービスの提供により、地球環境にやさしい持続可能な社会の実現に貢献する」という経営理念としています。また、「限りなく広がる熱エネルギー変換技術に夢を託し、GXの実現に貢献する世界ナンバーワンの熱交換器メーカーを目指す」というコーポレートスローガンを掲げています。

次に、ビジョンとして、「GXを実現する企業、顧客に喜ばれ選ばれ続ける企業、ステークホルダーから信頼される企業、人を大切にする企業、安定した収益性を実現する企業」を掲げ、「5C+2S+3R」としています。

T.RAD-2026 5C+2S+3Rとは

「5C+2S+3R」は、チャレンジ、チェンジ、コオペレーション、コクリエーション、コネクト、スピード、シェア、リデュース、リユース、リサイクルといったキーワードを基にしたものです。

2025年度(2026年3月期)実績

続いて、2025年度の実績についてです。2025年度の当初計画は、売上1,400億円、ROE4.3パーセントというものでした。当時は米国関税政策による世界的な混乱やリセッションを想定していましたが、結果としては過去最高の売上・利益を達成し、ROEも17.2パーセントとなりました。当初、2030年度目標としていたROE15パーセントを5年前倒しで達成することができました。

T.RAD-2025 2025年度 当期利益 増加要因

利益については、2024年度に対して、アジア事業の収益性向上、国内事業の収益性向上、米国事業の改善などにより、当期利益が38億円増加しました。さらに、投資有価証券の売却による一時的な利益7億円を加え、合計で88億円の当期利益となりました。

T.RAD-2026 業績目標

今回の新しい中期経営計画「T.RAD-2026」では、2030年度に売上2,000億円、ROE20パーセント(従来の15パーセントから引き上げ)という目標に設定し直しました。

2026年度業績予想および2030年度業績イメージ

こちらが2030年度の業績イメージです。売上2,000億円、営業利益率10パーセント、営業利益200億円、当期利益160億円を目指して推進していきます。

T.RAD-2026 基本戦略

次に、基本戦略の取り組みについてです。熱交換器の専門メーカーとしての強みを生かし、業界トップ製品の提供を拡大していきます。また、多様なパワープラントに対応したさまざまな熱交換器アイテムを供給することで、マルチパスウェイ化に伴う需要の多様化に対応していきます。

さらに、設計と生産が一体となったコンカレント(同時)開発と、シミュレーションを用いた開発手法により、圧倒的な開発スピードとコスト競争力を追求します。加えて、顧客ニーズや市場環境に応じた最適な拠点展開により、グローバルでタイムリーに対応していきます。

当社が提供する熱交換器製品と優位性

当社が提供する熱交換器についてです。自動車用・トラック用では、さまざまな熱交換器を提供し、マルチパスウェイ対応の幅広いラインナップで市場をリードしています。建設産業や農業機械向けでは、過酷な環境での耐久性と信頼性により、日系を中心に高いシェアを有しています。また、二輪車やATV(バギー)ではグローバルシェアナンバーワンを獲得しています。

特定の系列に属さない強固な顧客基盤

当社は特定の系列に属さない独立した顧客基盤を持ち、トヨタ、ホンダ、コマツなど、さまざまな自動車メーカー・建機メーカーに採用いただいています。

特定の系列に属さない強固な顧客基盤

日系OEM向けのグローバルシェアは、二輪94パーセント、四輪19パーセント、建機55パーセントを想定しています。

マルチパスウェイ化に伴う需要の多様化と増大への対応

マルチパスウェイ化に伴う需要の多様化と増大への対応についてです。

現在、マルチパスウェイが求められており、BEVの普及が鈍化する中で、単一の電動化だけでなく多様なパワープラントの併存がカーボンニュートラルへの近道とされています。その中で、熱交換器はガソリン車だけでなく、ハイブリッド、プラグインハイブリッド、電気自動車、燃料電池車など、すべてのパワープラントに搭載されます。したがって、当社にとっては需要がさらに広がる機会であると考えています。

車両電動化による熱交換器の必要数の変化

搭載される熱交換器の台数は、ガソリン車が2台から6台に対し、ハイブリッドは4台から9台、バッテリーEVでは3台から7台と、電動化の進展に伴いむしろ増加する傾向にあります。

参考:熱交換器の種類と配置

搭載される熱交換器の種類としては、高温ラジエータ、低温ラジエータ、バッテリー用ラジエータ、燃料電池用スタックラジエータ、チャージエアクーラ、EGRクーラ、エンジンオイルクーラ、トランスミッションクーラ、モーターコイルクーラ、インバータ用ヒートシンク、バッテリー用ヒートシンクなど、多岐にわたります。

ティラドの技術的優位性

当社の技術的優位性は、性能・耐久性・軽量化・コストのトレードオフを独自技術で克服する設計技術と、業界トップレベルの超薄肉材の加工・生産技術にあります。これらにより、高性能かつ軽量なラジエータや、多機能ラジエータの開発を実現しています。また、解析技術を活用することで開発スピードの向上も可能となっています。

マルチパスウェイ対応「多機能Rad」グローバル受注状況

多機能ラジエータについては、現在グローバルで大手自動車メーカーから大型受注を獲得しています。2035年時点では、日本、北米、ASEAN、中国、欧州で合計610万台の市場ポテンシャルがあると見込んでおり、現在は各地域で受注を積み上げながら、その実現に向けた準備を進めています。

カテゴリー別・パワープラント別 売上予測

各パワープラントごとの熱交換器需要については、2030年度に売上2,000億円を見込む中で、BEVの成長鈍化により、当面はハイブリッドが中心となり、需要が拡大していくと考えています。

5極体制での生産体制による「地産地消」の推進

当社の基本方針は、世界五極体制による地産地消の推進です。お客さまが生産する地域に開発・生産拠点を戦略的に配置し、現地で生産を行います。これにより、お客さま対応のスピードを高め、顧客ニーズへの対応力を強化し、さらなるビジネス機会の獲得につなげていきます。加えて、関税リスクや為替リスクの低減の観点からも、この体制を構築・強化していきます。

グローバル生産最適化の実践:米国の事例

米国では、長年の課題であった生産性の改善に取り組んできました。ATVなど、米国で生産する必要のない製品はASEANや日本へ移管し、生産性向上を図りました。その結果、米国の負荷が適正化され、生産性の大幅な改善と収益向上につながっています。

グローバル生産最適化の実践:米国の事例

また、米国向け製品については、熱交換器のコア(前工程部品)を効率的なかたちで輸送し、現地でタンクやパイプを組み付ける最終工程を行う役割分担としています。これにより、輸送効率と生産性の双方を高め、収益改善に貢献しています。

ものづくりを支えるDXの活用推進

当社はDX推進にも注力しており、全社DXシステムを自社で企画・開発しています。受注から設計、生産、計画、調達、品質に至るまで、すべてのデータをクラウドに集約し、各部門で活用しています。

グローバル統合生産管理システム構築

さらに、生産管理や会計システムをグローバルで統合し、業務プロセスの標準化と効率化を進めています。

データを活用し意思決定を高速化

DXの重要な目的の一つは意思決定の高速化です。現場データを収集・可視化し、それを基に評価とアクションを行うことで、原価低減や生産性向上につなげています。現場スタッフから経営層まで、すべての階層における意思決定スピードの向上を目指し、全社でDXを推進しています。

地域別 売上予測

グローバル展開についてです。地域別売上は2030年度に2,000億円を見込んでいます。なお、インドは持分法適用会社のため連結売上には含まれていませんが、市場としては大きく成長すると見込んでおり、2030年度には500億円超の売上規模を想定しています。最大の成長市場と位置付けています。

米国子会社(TRA)業績予測

米国・欧州についてです。米国子会社は2025年度に黒字化を達成し、2026年度は売上・利益ともに横ばいを見込んでいます。2027年度は一部製品の生産終了により一時的に売上・利益率が低下しますが、2028年度から多機能ラジエータの量産が開始され、再び成長軌道に乗る計画です。

欧米生産拠点の拡充について(中期計画)

この増産に対応するため、北米拠点の工場を拡張し、2028年度に10億円から40億円規模の投資を行います。欧州でも、多機能ラジエータの生産拡張を検討しており、従来のトラック向け中心の工場に新たな機能を追加する計画です。

インド事業について

インドについてです。インド最大の財閥であるタタグループと、約28年前に合弁会社を設立し、協力関係を築いてきました。当社が49パーセント、タタグループ側が51パーセントを保有しています。

当社は製品開発・生産技術・品質管理を担い、タタグループは生産リソースや調達、人事、経営管理を担うかたちで協力しています。

インド事業について

この連携により、日系メーカー向けの顧客基盤と、タタモータースやジャガー、ランドローバーなどへの供給機会を組み合わせ、市場拡大に対応しています。

インド事業について

これまでの投資約9.8億円に対し、ロイヤリティと配当で約50億円を回収しており、5倍超のリターンを実現しています。

インド事業について

過去5年間の売上CAGRは13パーセント、純利益は10パーセント、累計純利益は25億円です。今後5年間は売上CAGR15パーセント、利益CAGR20パーセントを見込んでおり、成長市場への重要な戦略となっています。

生産拠点の拡充について(中期計画)

国内戦略についてです。国内では需要が大きく伸びており、秦野に約27億円を投じた新工場を2026年2月に稼働開始しました。

それでも生産能力が不足しているため、東北や九州の顧客工場近郊にサテライト工場(後工程拠点)の建設を計画しています。輸送効率の観点から、最終組立工程を顧客近接地で行うことでコスト競争力を高めます。2027年から2028年にかけて50億円から80億円の投資を見込んでいます。コア部品はアセアンや中国などから供給する計画です。

中国拠点の活用

中国についてです。日本は需要増に対して人手不足やコスト上昇、設備・取引先リソース不足といった課題を抱えています。一方、中国は人材やコスト面で競争力があるため、ここを活用します。

中国拠点を、汎用設備や部品・材料の生産および輸出拠点として活用し、グローバル供給体制を強化します。これにより、需要増への対応とコストダウン、スピード向上を図ります。

グリーントランスフォーメーション(GX)への取り組み

GXの取り組みについてです。カーボンニュートラル、サーキュラーエコノミー、ネイチャーポジティブの3つを軸に、これらに貢献する熱交換器の開発を推進しています。

GXの取り組み推進:CO2排出量の推移

2050年のカーボンニュートラル達成に向け、CO2排出量を毎年3パーセント削減する目標を掲げています。スコープ1・2は着実に削減していますが、最大の課題はアルミ材料由来のスコープ3排出です。

GXの取り組み推進:CO2排出量の推移

スコープ2までは省エネや太陽光発電で対応し、スコープ3についてはグリーンアルミの活用やリサイクル推進が重要となります。

GXの取り組み推進:太陽光発電施設の設置状況

太陽光発電はグローバル拠点に導入を進めており、年間約6,400トンのCO2削減効果があります。電力コスト削減にも寄与し、投資回収は3年から5年程度です。

循環経済(サーキュラーエコノミー)に向けた取り組み

さらに、アルミや樹脂のリサイクルを進め、循環型経済に対応しています。

自然再興の取り組み (Nature Positive)

ネイチャーポジティブの観点では、地域連携による環境活動や河川清掃、水資源管理などにも取り組んでいます。

次世代技術・新事業に向けた取り組み

新規事業についての取り組みです。

当社のビジネスは、まず最も重要な既存領域での拡大があります。こちらについては、先ほどご説明したマルチパスウェイ対応技術や低コスト化・高密度化をベースにしながら、縦軸として高付加価値化を進めていきます。この高付加価値化とは、多機能熱交換器の開発や、バッテリー冷却などの新しい技術への対応を指します。さらに新技術への挑戦として、熱電発電と呼ばれる、熱から電気を生み出すラジエータといった高付加価値技術にも取り組んでいきます。

また、横軸での事業領域の拡大については、既存の自動車・二輪分野に加え、周辺領域へ展開していきます。熱交換器は、熱が発生するところ、あるいは熱を利用するところで必ず必要とされるものと考えており、自動車以外の分野にも広げていきます。具体的には、データセンター、ヒューマノイドロボット、宇宙関連といった成長分野への供給を視野に入れて取り組んでいます。

さらに、まったく新しい領域として、DXツールの外販も進めています。社内で活用しているDXツールを「ティラドコネクト」として外部に提供する新事業にも取り組んでいます。

新技術への挑戦:熱電ラジエータ・排熱発電 超省エネ炉

新技術への挑戦である熱電ラジエータについては、ラジエータで熱を除去する際に発電を行い、その電力を車両で活用することで、オルタネータなどの補機を削減し、省エネに貢献できると考えています。

また、当社のラジエータ製造工程の中で最もエネルギーを消費するのがろう付け工程です。この工程で発生する熱を有効活用することで、さらなる省エネにつなげる取り組みも進めています。技術的な難易度は高いものの、熱電素子の研究を東北大学と連携して進めるなど、モジュール化や生産技術の確立も含めて開発を進めています。

ティラドコネクトによる製造業DXソリューションの外販展開

新規事業であるティラドコネクトについては、昨年9月に電通総研とのパートナー契約を締結し、プレスリリースを行いました。ティラドが製造現場で培ってきたDXソリューションやアプリケーションをライセンスとして提供し、電通総研がそれをエンドユーザーに提案・展開するかたちで協業を進めています。

ご参考:電通総研 会社概要/事業概要

電通総研は、製造業で約500社、全産業で約2,500社の顧客基盤を持っており、当社のソリューションと活用事例を組み合わせて提案できる体制となっています。

2025年度の実績としては、すでに3社への導入が進んでおり、さらに3社から引き合いをいただいています。

電通総研は、SI事業で売上約1,600億円、約4,600名の技術者を擁する企業であり、そのリソースを活用しながら、当社は製造業で培った実績とノウハウを提供するという役割分担のもと、協業を推進しています。

T.RAD-2026 資本配分方針

次に、安定した収益性についてです。

営業キャッシュフローは150億円から200億円規模を見込んでおり、これに加えて借入の調整を行うことで、年間200億円から250億円を、成長投資・戦略投資・株主還元に配分していく方針です。

成長投資については、既存ビジネスの強化として、マルチパスウェイ対応技術の開発や省人化・自動化、生産性向上のための設備投資、DX投資、人材投資を進めていきます。戦略投資としては、将来に向けた投資として、生産リソースのグローバル拡張、米国やインドへの投資拡大、新規事業やM&Aの検討を進めていきます。

株主還元については、市場に評価される企業となるため、ROEおよび配当性向の目標設定、累進配当の実現、機動的な自己株式取得を組み合わせ、信頼される企業を目指していきます。

T.RAD-2026 株主還元目標について

株主還元の目標についてです。2025年度の期末配当は400円を予定しており、年間配当は560円となりました。2025年度はROE17.2パーセント、配当性向36パーセント、DOE6.3パーセントとなっています。

2026年度については、この400円を下限とした累進配当の考え方のもと、中間配当400円、期末配当400円の年間800円を予測しています。これにより、ROE16.3パーセント、配当性向50パーセント、DOE8.3パーセントを見込んでいます。今後はDOE5パーセント以上、配当性向50パーセント以上、累進配当を基本方針として株主還元を強化していきます。

T.RAD-2026 経営目標および株主還元施策について

また、2025年度は自己株式取得42億円、年間配当560円でDOE6.3パーセントとなりました。2030年度に向けては、売上2,000億円、ROE20パーセント、時価総額1,000億円を目標に掲げ、さらなる株主還元の強化を進めていきます。

2026年度は年間配当800円とし、段階的に増配を進めながら、2030年度には当期利益160億円、配当1,400円の実現を目指します。

企業価値向上に向けた取り組み

企業価値向上のためには、PBRの継続的な向上が重要と考えています。そのためには、ROEの向上、資本コストの低減、成長率および成長期待の向上の3点が重要であり、それぞれ具体的な施策に分解して取り組んでいます。

ROE向上に向けては、原価低減による限界利益率の向上、固定費の抑制、低収益事業からの撤退検討、借入によるレバレッジ活用、株主還元の強化、成長投資による純資産コントロールを通じて改善を図ります。

資本コストの低減に向けては、自動車業界特有の景気変動リスクがある中でも、安定した収益と株主還元を維持することで、市場からの信頼を高め、資本コストの引き下げにつなげていきます。その一環として、年間800円の累進配当を目標に設定しています。

また、事業リスクの低減に向けては、関税や為替リスクを抑えるための地産地消の推進、品質問題の未然防止による品質コストの抑制、サプライチェーンリスクの低減に取り組んでいきます。

成長期待の向上に向けては、既存事業のシェア拡大に加え、インドや北米といった成長市場への注力を進めます。また、新製品・新分野として、宇宙やデータセンターなど新領域への展開を図り、新たな成長を実現していきます。

T.RAD-2026「働く株主」の推進

次に、「働く株主」の推進についてです。

当社では、従業員および役員が株主と価値を共有することが重要と考え、全従業員向けに株式給付信託(J-ESOP)を導入しています。全従業員にポイントを付与し、配当も含めて複利的に株式が増えていく仕組みとしています。

また、従業員持株会や、役員向けの譲渡制限付株式報酬(RS)制度も活用し、株主と同じ視点で企業価値向上に取り組むインセンティブ設計としています。

社内取締役の報酬構成は、固定報酬・業績連動報酬・株式報酬の比率がおおよそ4:4:2となっており、株価連動・業績連動の要素が大きい設計となっています。これにより、全従業員と役員が企業価値向上に責任を持ち、将来的なリターンを共有できる体制を整えています。

IR活動強化の取り組み(2025年度)

次に、IR活動の強化についてです。

2025年度は、投資家との対話機会を拡充し、オンライン面談の強化やIR活動の充実を図りました。また、SNSや決算説明会の動画配信など、情報開示コンテンツの拡充も進めています。

さらに、投資家への早期情報提供の観点から、有価証券報告書を株主総会招集通知と同時に開示する取り組みを今年度から実施予定です。

その結果、IR面談や取材の問い合わせ件数は前年比で11倍に増加し、決算説明会の参加者数も48パーセント増加しました。また、年間の株式出来高も83パーセント増加しています。

決算開示についても、前年より2週間以上前倒しし、4月27日に開示することができました。今後も引き続き、情報開示およびIR活動のさらなる強化を進めていきます。

まとめ

まとめとして、現在は市場環境・競争環境・製品ポートフォリオのいずれにおいても、非常に追い風の局面にあると認識しています。

マルチパスウェイ化に伴うハイブリッド車の増加に加え、競合他社の戦略変化により、熱交換器の優先順位が低下している中で、当社への引き合いは大きく増加しています。また、このタイミングで多機能ラジエータの開発に成功し、受注を獲得できたこともあり、現在は大きな成長機会を迎えていると考えています。

2030年度の売上高2,000億円の達成に向けて、全社一丸となって取り組んでいきます。

質疑応答:中東情勢関連について

司会者:「中東情勢に伴う影響や今後の対応策について、PLおよびBSへの影響を教えてください。また、ナフサ等の原油価格高騰による当期業績の見通しについてもお示しください」というご質問です。

木下:当社の主要材料であるアルミ・銅・樹脂等の価格動向については注視していますが、得意先との間で材料価格スライドの枠組みが確立されていること、また将来の価格動向を予想することが困難であるため、現時点では2026年度業績予想には当該影響を織り込んでいません。材料調達そのものへの懸念は現状認知しておらず、在庫積み増し等、BS影響も現状では想定していません。今後の市況変化については引き続き注視していきます。

質疑応答:2030年度経営目標について

T.RAD-2026 経営目標および株主還元施策についてです。

司会者:「中期経営計画において、2030年度の経営目標として時価総額1,000億円を掲げています。一方で、純利益や純資産の前提から逆算すると、想定PER・PBR・配当利回りが低く見えますが、その背景を教えてください」というご質問です。

宮﨑:当該目標は、プライム上場企業としての上場基準の安定的維持および新TOPIX基準へ選定される水準を踏まえ、最低限達成しなくてはならない目標値として設定しています。株価は市場が決定するものと認識していますが、IR活動の更なる強化に加えて、当社としては企業価値(PBR)向上に向け、ROE向上、資本コスト低減、成長戦略への取り組みに分解した上で、具体的な取り組みを進めていく所存です。

質疑応答:多機能Radについて

司会者:「多機能ラジエータの市場ポテンシャルは約610万台とされていますが、2030年度売上目標2,000億円、CAGR4.3パーセントとの間にギャップがある理由を教えてください」というご質問です。

宮﨑:お示ししている600万台は2035年頃までを見据えた数値となります。他社との競合状況も踏まえ、2030年度時点では220万台規模の受注目標としています。当社における、多機能ラジエータの受注には、製品採用のリードタイムを要するため、段階的に拡大していくことを想定しています。中長期的には大きな成長余地があると認識しています。

質疑応答:新事業領域について

司会者:「データセンター、AI、ヒューマノイドなど新領域について、実用化および利益貢献までの期間はどの程度でしょうか?」というご質問です。

宮﨑:データセンター関連については、サーバーのCPU自体を冷却するヒートシンクと、データセンターを安定稼働させるために不可欠な非常用発電機向けの熱交換器(ディーゼルエンジン向けラジエータやチャージエアクーラなど)に当社製品が適用される可能性があります。

前者については、現状は銅のヒートシンクが採用されていることが多いですが、将来のコスト削減に向けてアルミ製ヒートシンクが採用されていく可能性があると考えており、自動車用インバータヒートシンクで量産実績のある当社の製品が採用される可能性があると考えています。後者についてはすでに当社熱交換器の採用および量産実績もあり、データセンターの需要の高まりと共に増産を計画しています。

ヒューマノイド向け製品についてもインバータヒートシンクで培った技術が活用できると考えています。

宇宙分野については、零下180度から摂氏100度程度の過酷な環境変化に対して、当社の冷却技術、加温技術が応用可能であり、取引先と初期的な議論が進んでいます。

データセンター、ヒューマノイド、宇宙関連については、5年から10年程度での収益貢献を想定しています。

質疑応答:当日いただいたご質問①

司会者:「中東情勢によりアルミなどの価格が上昇していますが、調達先の変更などの対応は検討していますか?」というご質問です。

木下:主要材料については、現時点で調達そのものに支障が出ることは想定していません。アルミ材供給については、中東における市場シェアは9パーセント程度と認識しており、また、当社としては、現時点で中東からのアルミ材調達はございません。一部中東からの油製品について入手が難しくなっているものが出てきていますが、代替材の検討等、得意先と相談の上、鋭意対応を進めています。

質疑応答:当日いただいたご質問②

司会者:「将来的に国内外で熱交換器の需要が増える見込みとのことですが、アルミ素材の使用量も台数に応じて増加する見込みでしょうか?」というご質問です。

宮﨑:台数増加に伴い使用量が増加する側面はありますが、製品の小型化・薄肉化を進めることで使用材料の削減も同時に推進しているため、台数に比例して増えるわけではありません。材料使用量の最適化はコスト競争力強化の重要な要素であり、継続的に取り組んでいます。

質疑応答:当日いただいたご質問③

司会者:「Scope3の施策として、低炭素アルミの活用をどのように進めていくのですか? また、アルミのリサイクルはどのように進めているのでしょうか?」というご質問です。

宮﨑:グリーンアルミの活用については、コスト面の課題はあるものの、顧客・サプライチェーン全体での負担を前提に導入が進みつつあります。アルミ等のリサイクルについては技術的課題があり、特に多層材では完全循環が難しい状況ですが、他用途への再利用などを通じて資源循環を検討していきます。

質疑応答:当日いただいたご質問④

司会者:「多機能ラジエータに関して、野心的な受注目標を掲げていますが、その達成に向けたロードマップを詳しく教えてください。また、2030年度における売上・利益への貢献度はどの程度を想定されていますか?」というご質問です。

宮﨑:2030年時点で約220万台の生産を見込み、売上規模は約100億円を想定しています。全体のラジエータ事業に占める比率は約20パーセント程度となる見通しです。OEMからの引き合いも進んでおり、コスト競争力と供給体制の強化により受注拡大を図っていきます。

質疑応答:当日いただいたご質問⑤

司会者:「来期の業績予想に関して、アジアの売上が減少する一方で営業利益は増加する見込みとなっていますが、その理由を教えてください」というご質問です。

木下:売上減少は米国等グループ向け売上の減少が要因の一つです。利益増加の要因は、利益率の高い製品(EGRクーラー等)の構成比上昇による製品ミックスによる要因と、生産性向上や原価低減の取り組みの効果を見込んでいます。

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