A-1:2025年度通期業績
五十嵐武宣氏:代表執行役社長の五十嵐です。それでは、2025年度決算の概要についてご説明します。
2025年度の売上高は1兆183億円で、前期比で295億円の減収となりました。営業利益は841億円で、前期比186億円の減益。経常利益は1,091億円で、前期比1,989億円の減益。当期純利益は1,329億円で、前期比1,723億円の減益となりました。
為替レートの実績は、1ドルあたり平均150円23銭、燃料油価格の実績は1トンあたり平均528ドルです。
前年度との比較では、営業利益の減益は自動車船事業の減益が主な要因です。経常利益の減益はコンテナ船事業の大幅な減益が大きな要因となっています。当期純利益には、保有船舶や子会社株式の売却、繰延税金資産の見直しなどの影響が含まれています。
財務面では、自己資本は1兆8,027億円、有利子負債は2,960億円、DERは16.4パーセントです。自己資本比率は77パーセント程度で、オフバランス傭船料を含めたベースでは60パーセント程度となっています。
2025年度の株主還元は、期末配当を2026年2月の公表どおり1株あたり60円、中間配当の60円と合わせて、通期で120円としています。
A-2:セグメント別通期業績
セグメント別の通期業績についてです。ドライバルクセグメントでは、2025年度下期に市況が回復しましたが、第1四半期に市況が低く推移したことや積地での争議の影響などにより減益となりました。
エネルギー資源セグメントでは、LNG船、電力炭船、VLCC、LPG船などが中長期契約のもとで安定収益を確保しています。また、2024年度の減損損失の剥落や、2025年度に生じた税効果の見直しにより、増益となりました。
製品物流セグメントについては、全体で減益となっています。自動車船事業では、米国の通商政策や中東情勢の悪化の影響を受けたものの、当社の輸送台数は増加しました。しかし、運航費の増加や中東情勢の影響により、減益となっています。
コンテナ船事業では、自動車船事業と同様に、米国の通商政策や中東情勢の悪化の影響を受ける中、新造船の竣工影響などによる船費の増加や運賃の低下により、大幅な減益となっています。
B-1:2026年度通期業績予想及び変動要素
2026年度通期業績予想についてご説明します。業績予想の前提として、ホルムズ海峡の閉鎖は6月末まで続くと想定し、7月以降は通峡が再開されるとしています。スエズ運河の通峡は年度末まで見込んでおらず、引き続き喜望峰経由ルートを利用することを前提としています。
燃料油価格は、ホルムズ海峡の閉鎖が終了する7月以降に徐々に落ち着き、通期平均で697ドルと見込んでいます。為替レートは通期平均150円82銭としています。
これらを前提とした2026年度通期の業績予想は、売上高は1兆200億円、営業利益は830億円、経常利益は前期比91億円減益の1,000億円、当期純利益は前期比379億円減益の950億円となる見通しです。
主な背景としては、中東情勢などの地政学的リスクに加え、為替評価損等を織り込んでいます。為替レートの変動影響は、1円あたりプラスマイナス15億円、燃料油価格の変動影響は10ドルあたりプラスマイナス0.7億円となっています。
2026年度の年間配当について、1株あたり120円を予定しています。すでに公表している500億円以上の機動的な追加還元については、足元の事業環境を踏まえて引き続き検討しています。ただし、当期中での実施を計画しており、詳細が決まり次第、適切なタイミングで公表する予定です。
B-2:セグメント別通期業績予想
セグメント別業績予想です。ドライバルクセグメントでは、足元を含め輸送需要が底堅く、市況も前期を上回るため、増益を見込んでいます。
エネルギー資源セグメントは、一部船種の長期契約において、新旧入れ替えの端境期にあたることや、2025年度に生じた一過性利益の剥落の影響で、減益を見込んでいます。
製品物流セグメントの中の自動車船事業については、中東情勢悪化による中東向け荷量の減少や、燃料費をはじめとする運航費の増加により、減益を見込んでいます。
コンテナ船事業については、中東情勢を含む地政学的リスクなど、不透明な事業環境が継続しているため、前年並みを見込んでいます。
以上、2025年度決算および2026年度業績予想についてご説明しました。
C-1:【資本政策】資本政策の進捗と企業価値向上に向けて
スライドでは、ポイントとなる部分をいくつかまとめていますので、要点を簡潔にご説明します。
稼ぐ力の強化について、従前よりご説明しているとおり、2026年度に終了する現行の中期経営計画期間における営業キャッシュフローは、引き続き1.5兆円を見込んでいます。
投資計画について、同中期経営計画期間の投資キャッシュフローは、前回公表と同様に6,100億円を見込んでいます。
株主還元政策について、前回公表と同様に株主還元額8,000億円以上を予定しており、変更はありません。
スライドに記載のとおり、先ほどご説明した500億円以上の機動的な追加還元については、今年度に実施する予定に変更はありません。どのようなかたちで実施するかについては、決定次第、適切にご説明する予定です。
スライド右上にROICを記載しています。中期経営計画ではROIC6パーセントから7パーセントの実現を目標として掲げていました。しかし、2026年度の見通しは中東情勢の悪化の影響を受けており、それを踏まえて5パーセントを見込んでいる段階です。
C-2:【資本政策】キャッシュアロケーション
スライドは、キャッシュアロケーションをまとめたものです。キャッシュインフローは1兆5,000億円を維持しており、キャッシュアウトフローについても、6,100億円の投資キャッシュフローに変更はありません。8,000億円以上の株主還元計画にも変更はありません。
先に公表しているとおり、800億円のマネジメントアロケーションについては、どのように使用するか決定次第、適切にご説明する予定です。
C-3:【資本政策】事業投資計画
スライドには、6,100億円の投資キャッシュフローの内訳について記載しています。6,100億円のうち、鉄鋼原料、自動車船、LNG船を中心とした成長を牽引する役割を担う3事業に対する投資は、一部変更があるものの継続しています。
全体の中では、LNG焚きなどの環境対応船や液化CO2輸送船、さらに研究開発を継続しているSeAwingの開発など、環境対応への投資も引き続き実施する予定です。
C-4:【資本政策】株主還元政策
スライドでは、株主還元政策の詳細についてご説明しています。全体として、先ほどからご説明しているとおり、中期経営計画期間中における8,000億円以上の株主還元方針には変更はありません。
スライド右側の詳細な表をご覧ください。2026年度、現行中期経営計画の最終年度の予定として、1株あたり120円の配当および今後内容が決定次第公表する500億円以上の機動的な追加還元を予定しています。これらを合わせたトータルで1,270億円が2026年度の株主還元計画です。
D-1:現中期経営計画の事業環境と業績
現行中期経営計画の振り返りと次期中期経営計画の重点課題に関するスライドを数枚ご用意しています。先ほどお伝えしたとおり、2026年度は現行中期経営計画の最終年度となります。また、私が社長に就任してからおおよそ1年が経過しました。
当社は2027年度以降の新しい次期中期経営計画の検討を進めており、その重要なポイントについてご説明するためのスライドを、いくつかまとめています。スライドでは、2020年度以降、また現行中期経営計画の業績動向をまとめています。
ご承知のとおり、2020年度には新型コロナウイルス感染症のパンデミックが発生し、2022年度にはウクライナ紛争がありました。その後も、中東情勢の悪化や米国の通商政策など、地政学的リスクを含む大きな事業環境の変化が続いています。
そのような環境下においても、当社は現行中期経営計画期間中に、自営事業の安定化に努めることができました。また、コンテナ船事業では業績の変動が大きい面もありましたが、収益のアップサイドをしっかり確保することができたと考えています。
スライド下部の棒グラフでは、赤色が経常利益、青色が税引前当期純利益を示しています。濃い赤色と濃い青色の部分が自営事業を示し、その上に重なる部分がコンテナ船事業を示しています。
自営事業については、2020年度と2021年度は特に困難な状況が続き、2020年度は経常利益が赤字となりましたが、徐々に回復傾向を見せはじめました。
そして、2022年度以降、事業環境が激しい変化に見舞われる中でも、2026年度に至るまで安定的に経常利益と当期利益を積み上げることができていると考えています。
最終年度においては、ペルシャ湾情勢を含むさまざまな影響により、目標としていた経常利益900億円には届いていません。しかし、5ヶ年を通してみれば、安定的な収益基盤を堅実に築き上げてきたと認識しています。
コンテナ船事業については、特に2021年度と2022年度において、大きな収益を確保しました。その後、収益の上下動は見られたものの、全体としてアップサイドを確保できたと評価しています。
特に、スライド下部に表形式で掲げた数字をご覧いただくと、自営事業のROICについては2022年度、2024年度、2025年度において6パーセントから7パーセントという目標を達成しています。コンテナ船事業については、特に業績の良かった2022年度、2024年度は目標を達成しています。
ただし、投下資本については、2020年度時点でオフバランスの傭船料を含めた合計が1兆4,000億円でしたが、足元では合計2兆6,000億円と大きくなっている状況です。
D-2:現中期経営計画の振り返り
スライドでは、さらに詳細を掲げています。全体として、白抜きの表題にも記載されているように、自営事業の安定化および株主還元の拡充においては大きな成果があったと考えています。ただし、資本効率の向上や事業成長への投資については、一部に課題が残っていると認識しています。
特に、当社へのさまざまな取り組みに対する評価として、株式市場からの評価という意味では、PBR(株価純資産倍率)1倍を超え、これを定常化させることを経営課題として重要視しています。
スライドの表の一番上の行に示されているPBRの推移についても、2022年度から2025年度まで、足元を含めていまだ1倍を超えていません。今後は、1倍超を定常化させるために、しっかりと取り組んでいきたいと考えています。
投資キャッシュフローについては、合計6,100億円となっています。2026年度の現行中期経営計画最終年度には1,200億円を予定しており、しっかりと規律を保ちながらこの1,200億円の投資に取り組んでいる状況です。
一方で、一部を次期中期経営計画期間に後ろ倒ししているなどの状況もあり、成長に向けた投資は厳選しながら着実に進めていきたいと考えています。
経常利益については、コンテナ船の大きな利益確保がある一方で、自営事業は安定化しているものの、2026年度の到達点としては予定を下回る見込みとなりました。
安定的な成長と安定的な収益力を確保しつつ、PBR1倍超を定常化させるためには、一部に課題が残っていると考えています。
ROEについては、持続的に10パーセント以上を目標として掲げています。コンテナ船事業が好調だった時期には大きな数字を達成しました。2023年度は7パーセント、2025年度は8パーセントと、一部の事業では10パーセント以上の実績を上げていますが、一部の事業では依然として改善の余地があると考えています。2026年度については、中東情勢の影響もあり、全体として5パーセントを見込んでいます。
ROEに関しては依然として課題が大きく、PBR1倍超を実現するためには重要な指標であることから、今後も引き続きしっかり取り組んでいきます。
ROICについてはスライドのとおりで、こちらもまだ課題が残っていると認識しています。オフバランス傭船料込みの自己資本比率は、ほぼ6割ないし6割弱で推移しています。
後ほど次のページでご説明しますが、資本効率の向上という観点から見ると、自己資本比率は若干高いと考えています。この適正化が当社にとって今後非常に重要なポイントになると考え、次期中期経営計画の策定に取り組んでいます。
株主還元額の合計8,000億円以上については、先ほどご説明したとおり、当初の予定を大きく上回るかたちで実現できているため、緑色の印としています。
D-3:次期中期経営計画への重点課題
当社としては、PBR1倍超を定常化させる目標に向け、さらに邁進する所存です。その中で、最も重要な要素としてROEを重視し、将来的に15パーセント以上を実現することを次期中期経営計画の大きな柱と考えています。
その実現に向けては、利益成長を続けることと資本効率の改善を続けることの両輪でしっかり取り組んでいきたいと考えています。
具体的な施策として、スライド下部に記載した3つの項目をご覧ください。
1つ目は、自営事業の成長戦略です。競争力の源泉となる当社のオペレーションおよび機能戦略の強化にしっかり注力し、ビジネスモデルの強化を図っていく方針です。
強みを持つ事業への集中投資や、資本コストを下回る事業への投資抑制を進めるとともに、場合によってはポートフォリオの入れ替えをしっかりと進める必要があると考えています。
また、注力する事業での成長加速やオペレーション・機能戦略の強化のために、M&Aを積極的に活用していきます。内容については、次期中期経営計画の検討中であり、すべてを詳細にご説明する段階ではありませんが、これらの観点で自営事業の成長戦略を検討しています。
2つ目は、コンテナ船事業の課題解決です。OCEAN NETWORK EXPRESS(ONE社)においては、新たなCEOが着任する予定です。
これまで、現CEOのジェレミー・ニクソン氏には、創業以来の厳しい局面を乗り越え、現状までONE社をしっかり経営してこられたことに心より感謝申し上げ、深くねぎらいの意を表したいと思います。
新たなステージに進むONE社は、新しいCEOのもと、さらなる発展を目指していきます。新しいCEOと協働し、当社は株主として課題の解決にしっかり取り組んでいきます。ポイントとして、3点を挙げています。
1点目は、ONE社の事業競争力をさらに強化していくことです。2点目は、資本効率を改善し、最適な資本構成を実現することに取り組みます。3点目は、新しいステージに向けてさらなるガバナンス強化を図ることです。
当社にとっては、コンテナ船事業全体、ONE社にとってもONE社の事業運営において非常に重要なポイントになると考えています。そのため、これらの点にも引き続きしっかり取り組んでいきます。
3つ目は、資本政策です。キャッシュアロケーションについては、スライドに示すとおり、引き続き規律ある成長投資を進め、資本効率と財務健全性を確保したうえで、積極的に株主還元を行います。この方針は、現行の中期経営計画から変更はありません。
資本効率については、現状ではオフバランス傭船料込みで概ね6割前後、または6割弱程度の自己資本比率となっています。まずは短期的に、オフバランス傭船料込みで自己資本比率を50パーセント前後にすることを目標に、資本の適正化を目指します。
単年での実行は難しいですが、今後の投資やM&Aの動向を見きわめながら進めていきます。現時点では具体的な決定はしていませんが、株主還元も組み合わせながら、自己資本の適正化をしっかりと図ることが、次期中期経営計画における1つのポイントであると考えています。
最も重要なことは、財務健全性と資本効率の両立です。詳細については、上記の方針に基づいて策定中です。次期中期経営計画では、これらの大きな取り組みを軸にしながら、計画の詳細を詰めていきます。
以降のスライドは、Appendixになります。以上で、説明を終わります。
質疑応答:コンテナ船事業の2026年度見通しと需給環境について
Q:コンテナ船事業について、2026年度上期はコスト増による赤字が予想される一方で、下期は前年比で増益の計画となっているのは、中東情勢が正常化するという想定によるものでしょうか?
そもそも、需給環境はどのようにお考えでしょうか? 供給増の圧力もあると思われますが、増益が可能かどうかも含めて教えてください。
A:2026年度の需給環境の見通しは、ONE社としては、2025年度第4四半期の状況が基本的には継続すると見込んでいます。これが出発点です。
その中で、2025年度の特徴としては、前半に米国の通商政策の影響により荷量が大きく変動し、いろいろと変化がある年でした。
今年は、ホルムズ海峡封鎖の影響が懸念されるものの、楽観視はできないが、一定程度需給並みの成長が見込まれると考えています。
供給面では、現時点でホルムズ海峡封鎖の影響が出ています。スエズ運河に関しても、年間を通じて通峡が難しい状況が想定されるため、いきなり大きな供給過多になることは想定していません。現在の状況が1年間継続しながら、昨年顕著に見られなかった夏場や冬場のピークシーズンも戻ってくると考えています。
その結果、下期にはONE社の業績が回復する見通しです。
質疑応答:ドライバルク事業の需給環境と戦略について
Q:ドライバルクセグメントにおいて、ケープサイズのエクスポージャーが22パーセントと、前期の期初より若干増えています。偶然そうなったのか、戦略的にエクスポージャーを増やしているのかを確認させてください。
A:現在、大型船および中・小型船ともに、ドライバルクの市況は比較的強めに推移しています。
極端に意図的に行ったわけではありませんが、市況を見ながら、少しエクスポージャーを厚めに持って対応しています。いずれにしても、長期安定契約とCOAスポット契約の組み合わせをバランスよくとっていく方針です。
質疑応答:500億円以上の追加株主還元について
Q:500億円以上の機動的な追加還元の公表について、このタイミングでの発表はありませんでしたが、検討状況を教えてください。
オフバランス傭船料込みの自己資本比率を50パーセント前後へ向けた資本適正化に関して、実施規模などの再検討なのか、中東情勢などの不透明感に起因するものなのか、さまざまな検討事項、要因があると考えられますが、あらためてもう少し詳しく教えてください。
A:昨年、8,000億円以上の株主還元の中で、500億円以上の追加還元を実施すると発表してから1年が経過していますが、まだ実施されていない、というご指摘かと思います。
ご指摘のとおり、昨年は米国の通商政策やUSTRの動向があり、現在は中東情勢やイランの紛争など、非常にめまぐるしく経営環境が変化していることが背景の1つとして挙げられます。
先ほど説明がありましたが、マネジメントアロケーションの800億円も、どのように使うのか、何にいくら使うのかはまだ決まっていません。
この2つの件は、中期経営計画の期間中には使途を決めるとともに、株主還元は今年度の中期経営計画期間内に意思決定をすることを大前提としています。経営に影響を及ぼすさまざまな事象を見ながら、適切なタイミングで決定していきたいと考えています。
1年が経過してしまい、申し訳ありませんが、引き続き検討中であることをご理解いただければ幸いです。
質疑応答:自動車船事業の減益要因について
Q:自動車船事業での72億円の減益に関する考え方と、現状の契約運賃の状況をうかがいます。
輸送量全体は伸びる計画かと思いますが、前期にご説明いただいたインバランスによるコスト増加が今期の計画に織り込まれているのか、または燃料費増加の影響が主な要因なのか、あらためて教えてください。
A:自動車船事業は、2026年度は2025年度比で72億円の減益を予想しています。その要因として、過半数はホルムズ海峡封鎖の影響とご理解いただければと思います。
加えて、グローバルで進行中のインフレに伴う港費、貨物費、販管費等の増加、さらに環境対応費用としてバイオ燃料の補油による運航費の増加などを見込んで作成した予想です。
2026年度は、現時点で契約の過半数が確定しています。現在、中東向けの定期配船は見合わせていますが、荷動きとしては非常に堅調です。需給バランスにおいて、需要が多く供給が不足している状況が続いています。
ただし、今後ホルムズ海峡の影響が長期化した場合、生産や販売の需要に影響を及ぼす可能性があるかどうかが、極めて重要な要因になると考えています。2026年度においても、引き続き需要の動向をしっかりと見きわめながら、事業運営を進めていきたいと考えています。
質疑応答:中東情勢の影響について
Q:コンテナ船事業以外の自営事業において、利益計画として中東情勢の影響がどの程度反映されているのか教えてください。
また、ホルムズ海峡の封鎖が6月末まで継続し、7月以降に通峡が再開するという前提で試算しているかと思いますが、これが長引いた場合にはどのような影響が考えられるかも聞かせてください。
現在の状況によりプラス面とマイナス面があると思いますので、そちらも説明してください。
A:中東情勢の影響をどのように2026年度に織り込んでいるかという点、6月までの影響を織り込んでいる金額レベルとしては、経常利益が前期比で91億円悪化していると思いますが、その約半分がホルムズ海峡封鎖による影響と考えていただいてよいかと思います。
発生する主たる船種は自動車船であり、それ以外の船種ではそれほど大きな影響は出ないものと考えています。ONE社を除外してというご質問でしたので、ONE社を除外した内容となっています。
ホルムズ海峡の封鎖が7月以降も継続した場合の影響については、想定するのがなかなか難しい部分があります。第1四半期における影響の中には突発的なトラブルも含まれているため、次の3ヶ月間もまったく同じ数字が出るかという点は、おそらくそうではないだろうと個人的には考えています。
一方で、根本的な需要の減退や景気の後退といった状況になると、異なる要素が関与してくるため、そのような点が他の船種を含めてどのように影響を及ぼすのかが問題だと思っています。現時点では具体的な数字を申し上げることはできませんが、これらの複合要素がどのように絡み合うのかがポイントになると考えています。
質疑応答:次期中期経営計画について
Q:スライド17ページに記載している「将来的なROE15パーセント以上」という数値は、将来のかなり長い期間を考慮した上で設定しているように思います。次期中期経営計画の期間内においては、ROEをどのような目線でお考えでしょうか?
資本効率の改善と利益の成長に取り組む中で、今年度の計画におけるROEの前提は5パーセントとなっています。そのため、15パーセントに到達するには、それぞれどのような取り組みが必要なのかを聞かせてください。
例えば、ONE社であれば、これくらいの数値を必ず出さなければならない、自社の事業においてこうした取り組みが必要といったように、なにかしら考えているのではないかと思っています。その点の見解をうかがいたいです。
A:次期中期経営計画は、ご指摘のとおり、現在まだ策定中の段階であり、具体的な数値は出ていません。スライド16ページで述べたとおり、2023年度のROEは7パーセント、2025年度は8パーセントとなっています。
これらは全社の数値ですが、10パーセントを超えている事業も存在しているのが実情です。これらも含めて、波は若干あるものの、一つひとつ利益を着実に積み上げていくことが重要です。
また、スライド17ページで示したオペレーション・機能戦略に基づき、付加価値を提示することによって、積み上げて行ければと考えています。
ONE社を含めたROE15パーセントの達成は、将来的な新しい目標として設定しています。次期中期経営計画の終盤に向け、この目標を着実に達成するか、もしくは確実に達成できる見通しを作り上げたいと考えているのが、現時点での検討段階での当社の考えです。
次期中期経営計画は、スライド下部にも記載のとおり、2026年度中に公表する予定です。その際には、より詳細なご説明をしたいと思っています。
質疑応答:中東情勢における燃料確保と海運業のリスク管理について
Q:中東情勢に関して、現状では燃料の不足などのリスクがあり、フジャイラも攻撃を受けています。リスク対応を、海運全体としてどのようにお考えでしょうか?
オペレーションにおいて、燃料やサプライチェーンの管理はリスクがない状態でマネジメントできているのか、将来的にもその点の心配はないのかも聞かせてください。
A:燃料は、さまざまな場所で供給がタイトになったり、ショート気味になったりする事態は発生しています。しかし、当社が船を停めなければならないほど手配が滞ることはなく、必要な量を正確に提示し、サプライヤーと協議することで、大きな問題なく確保できています。
今後も十分に確保できると考えていますので、大きな不安は感じていないのが実情です。
質疑応答:次期中期経営計画への中東情勢の影響について
Q:次期中期経営計画は、今回の中東情勢の影響を受け、構造的に変化する部分があるのではないかと思います。そうした変化を見きわめて、次期中期経営計画の前提に反映させる考えはあるのでしょうか?
それがビジネスチャンスとなったり、事業に影響を与えたりするのであれば反映するべきだと思います。
A:ご指摘の点に関して、何をどこまで織り込むのかは、難しい部分があります。例えば、エネルギーを含むトレードパターンが一部変化することも考えられます。そういう意味ではトンマイルが変わったりすることはあるかもしれません。また、そうは言いながらも、化石燃料を含めた存在感や重要性がこれまでとは異なるかたちになる可能性もあります。
そうした要素をできる限り考慮し、一定の幅は持っておく必要があると思っています。そのうえで、慎重に考えながら計画を作成するつもりです。
ただし、オプションを持ちすぎて方向性が定まらなくなることも避けなければなりません。一定の方向性を定めたうえで、どのように幅を持たせるかを検討していくことになるかと思います。
質疑応答:次期中期経営計画における自己資本比率目標と株主還元の方針について
Q:次期中期経営計画の方向性として、短期的に資本の適正化を目指すということで、自己資本比率の目安をお示しいただきました。これを早期に達成するには自己株式取得が有効だと思いますが、そのような認識でよいのか確認させてください。
その場合、還元のあり方として自己株式取得が適しているのか、あるいは配当の予見性を高めるほうがよいのか、配当と自己株式取得のいずれを選択すべきか、なにかお考えがあれば教えてください。
A:自己資本比率50パーセントを目指すと明記しており、それを軸に検討していきます。ただし、単年での達成は難しいため、複数年かけて徐々に目指していく方針です。
その際には、今後の投資をどのようなかたちで実施していくかによって、バランスシートがどのように変化するかを十分に考慮する必要があると考えています。
株主還元に関しては、まだ明確な方針を決めていない状況ですが、この点も十分に検討する必要があります。ご指摘いただいた自己株式取得や配当などは、それぞれに効果があると考えています。こうした効果も考慮しながら、今後の方針を決定します。
現時点では、単年ではなく複数年のスパンで、投資、還元、その他さまざまな要素を総合的に考慮して決めていく状況とご理解いただければと思います。
質疑応答:ONE社の売上増加要因について
Q:今年度のONE社の売上がプラス11パーセントという前提に関して、数量要因と単価要因に分けた場合、どのような前提になっているのでしょうか? 数量要因が影響している場合、マーケットシェアの状況やマーケットの見通しなど、その背景も含めて教えてください。
A:2025年度は特に、ONE社が強みとしている主要航路である北米航路において、米国の通商政策や、それに伴う米国向けの積地の変化が発生しました。
反省も含めてお伝えしますが、ONE社がこれらの変化に対応しきれなかったことが、2025年度の反省材料として挙げられます。2026年度はその反省を踏まえ、本来の積高に戻すための営業対策を実施することが、売上増加につながっているとご理解いただければと思います。
Q:11パーセント増の中身は数量増がメインということでしょうか?
A:そちらがメインです。
質疑応答:マネジメントアロケーション800億円の使い方について
Q:マネジメントアロケーション800億円は、先ほど今年度中に進めたいとお話をされたように思います。
過去の議論では、次期中期経営計画に含めて800億円が成長投資に充てられるのか、還元に充てられるのか、また次期中期経営計画にまたがる可能性にも指摘があったかと思います。
あらためて、マネジメントアロケーション800億円の使い方やタイミングを教えてください。
A:マネジメントアロケーションに関して、先ほどの私のご説明が不十分だったようです。要点としては、800億円を今年度中に使用するのではなく、800億円をどのように使うかを今年度中に決定するとお伝えしました。
この中のどれだけを次の中期経営計画期間に持ち越して投資に充てるのか、あるいは今年度中に株主還元を行うのか、来年度以降の株主還元に充てるのかなど、さまざまな選択肢があります。それらの方針を今年度中に決定していくという趣旨です。
質疑応答:自己資本比率50パーセント前後の目標と最適資本構成の議論について
Q:自己資本比率50パーセント前後を目指すということで、従来から最適資本構成に関してさまざまに検討しているとうかがっています。すでに50パーセントが最適という結論に至ったと理解してよろしいでしょうか? また、どのような議論があってこの数字になったのか、教えてください。
A:最適資本構成は、KPIとして何を基準に説明するのが適切かというと、自己資本比率だけで必ずしも説明できるとは考えていません。
先ほど説明したとおり、現行のオフバランス傭船料込みの自己資本比率が約60パーセントというのは、資本として多いのではないかと考えています。このような問題意識をかねがね持っており、そのような説明も行ってきました。
スライドには「まずは短期的に自己資本比率(オフ込)50パーセント前後をめどに資本最適化を目指す」と記載していますが、ここでの50パーセントは1つのマイルストーンとしての数値です。最適資本構成において、自己資本比率50パーセントを最終的なゴールと現時点で決めたわけでは必ずしもありません。
自己資本比率を50パーセントの水準まで持っていくには、さまざまなプロセスを踏む必要があり、一定の時間が必要だと考えていますが、少なくともこの水準は、早期に適正化の方針で実施することを前提として、今回このように記載しています。
最適資本構成をどのようなKPIで評価し、どのように説明するのかは、次期中期経営計画の検討の中で、さらに踏み込んで説明できるよう、引き続き検討を進めていきます。
質疑応答:自営事業のROIC進捗と課題について
Q:今回、自営事業のROICの進捗も開示いただきましたが、全社ROICの目標である6-7パーセントに対して、まだ到達していないというのが今期計画の状況かと思います。この差分をどのように整理しているのか、おうかがいできればと思います。
事業別でROICの水準がかなり異なるのではないかと推測しています。どのような点が課題であり、次期中期経営計画に向けてどのような対策が必要と考えているのか、コメントいただける範囲で聞かせてください。
A:おっしゃるとおり、自営事業全体のROICを表記していますが、社内ではさまざまな事業ごとに経営管理を行っています。その中には、6パーセントから7パーセントを十分に上回っている事業もあれば、やや低迷している事業もあります。
そのような低迷している事業に対してどのようにテコを入れていくのか、どのように規模を調整していくのかが今後の重要なポイントとなります。
次期中期経営計画において、ROICを通じてROEにどのように反映させていくかは、まだ検討の余地があると考えています。さまざまな事業をどのように取り扱っていくのか、まさに現在まとめている最中です。
事業ごとのWACC(加重平均資本コスト)についても、当社では経営管理の中で使用しています。これについても、どのように考え、どのようなかたちで事業運営を進めていくかをあらためて整理していきたいと考えています。