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森永製菓、過去最高の売上高・営業利益を更新 菓子食品事業は価格改定およびコストダウンにより利益率を大幅改善

目次

森信也氏:みなさま、こんにちは。森永製菓株式会社代表取締役社長COOの森です。本日はお忙しい中、当社2026年3月期決算説明会にご参加いただき、誠にありがとうございます。

社長就任から1年が経過しました。この1年間、アナリスト・投資家のみなさまから多くのご意見やご指摘、そして貴重なアドバイスを頂戴してきました。この場を借りて、あらためて御礼申し上げます。引き続き、忌憚のないご意見を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

2026年3月期の実績概要と今後の見通しについてご説明します。本日は、2026年3月期の実績、2027年3月期の業績予想、2024中期経営計画の進捗と見通しの順でご説明します。

2026年3月期 実績

2026年3月期実績についてお話しします。スライドは業績の全体像です。売上高は2,366億円で、前期比77億円増の103.4パーセントとなり、5期連続で過去最高を更新しました。2025年11月に公表した業績予想に対しても、おおむね計画どおりの着地となっています。

営業利益は223億円で、前期比11億円増と、こちらも業績予想どおりで2期連続の過去最高を更新しました。EBITDAは325億円となり、こちらも過去最高を更新しています。

当期純利益は前期と同様の177億円です。政策保有株式の売却などの財務施策は計画どおり実行しましたが、法人税の増加により業績予想には5億円届きませんでした。

2026年3月期 実績:営業利益増減要因

営業利益の増減要因についてです。スライドで、減益要因は赤色、増益要因は青色で記載しています。国内の4事業において、原材料に関連するコストは前年から約29億円の減益要因となりました。

通期では特に、カカオ関連の原料コスト上昇が大きく影響しています。ただし、第4四半期では、カカオ相場の安定に加え、原料置換によるコスト削減など、収益性改善策が順調に効果を発揮し、増益方向へ転換しました。

物流費の増加や人材投資、DX投資など、将来を見据えた無形資産への投資に伴うコスト増加も発生しました。米国事業においては、厳しい競争環境への対応として販売費を積極的に投入したことに加え、関税の影響もあり、大幅な減益要因となっています。

これらは合計で約91億円の減益要因となりましたが、菓子食品事業や冷菓事業を中心とした売上高の増加、価格改定効果、コストダウンの取り組みによりこれを吸収し、全体として11億円の増益を確保することができました。

2026年3月期 実績:事業別サマリー

スライドでは、事業別の売上高および営業利益の実績を示しています。売上高では、菓子食品事業、冷菓事業、並びに米国を除く海外事業が伸長し、全体を牽引しました。一方、in事業、米国事業、通販事業は前期を下回り、厳しい結果となっています。

営業利益については、菓子食品事業が価格改定およびコストダウンの効果により、前年の約2倍となる大幅な増益を達成しました。営業利益率も9.2パーセントと、前年から4.6ポイント改善しています。

通販事業は、厳しい事業環境の中、広告費をコントロールしたことで増益となりました。一方、in事業および米国事業は、環境変化の影響を受けて減益となっています。

食料卸売のグループ会社である森永商事は、2025年3月期に価格改定効果で大幅な増益を達成した反動により、2026年3月期は原価上昇と販売数量の伸び悩みから大幅な減益となりました。

2026年3月期 実績:米国事業 現地通貨ベース前年比比較

スライドでは、海外子会社の決算期統一の影響を除くため、米国事業について現地通貨ベースで前年との比較を行っています。売上高は、決算期変更の影響を除いた前年同月比で98.7パーセントの減収でした。事業別の詳細については、後ほどあらためてご説明します。

業績予想の前提(主なポイント)

2027年3月期業績予想についてご説明します。スライドでは、2027年3月期の業績予想の前提条件についてご説明します。

原材料については、前年度まで大きな影響を及ぼしていたカカオ相場が足元の相場水準を維持し、落ち着いて推移することを前提としています。これにより、前年比では収益面でプラスに寄与することを想定しました。

一方、中東情勢の影響による包材関連コストの上昇、エネルギーコストや物流費の増加については、一定程度業績予想に織り込んでいます。その結果、原材料トータルでは減益方向に作用することを予測しています。為替動向も含め、今後の影響については引き続き注視していきます。

国内事業に関して、これまで取り組んできた収益性改善策には一定の成果が見られるものの、コスト上昇リスクに対しては引き続き慎重な判断が必要であると認識しています。消費動向を踏まえ、価格、商品規格、コストの最適化を含めた機動的な対応を継続し、収益性を重視した経営方針に変更はありません。

M&Aにより取得したMy/Mochi社の業績については、2026年4月以降、連結業績予想に取り込んでいます。売上高およびEBITDAベースでは増収増益に寄与する見込みですが、のれん償却および取得・PMI関連費用の影響で、短期的には営業利益ベースで減益方向に作用すると見込んでいます。

2027年3月期 業績予想

2027年3月期の連結業績予想です。売上高は2,570億円を見込んでおり、前期比204億円増の108.6パーセントで、6期連続の過去最高更新を計画しています。My/Mochi社の連結が売上成長に大きく寄与する見込みです。

営業利益は228億円で、前期比5億円の増益を見込んでおり、こちらも過去最高益を更新する予定です。外部環境の変化やMy/Mochi社に係るM&A関連費用、のれん償却費などの損益インパクトを織り込みながら、増益を確保する計画です。

EBITDAは361億円、前期比36億円の増益を見込み、引き続き過去最高を計画しています。

2027年3月期 業績予想:営業利益増減要因

今期の営業利益予想の増減要因についてご説明します。原材料関連では、カカオ相場の安定によるプラス影響を見込む一方、中東情勢の影響による包材やエネルギーコストの上昇を織り込み、トータルで約16億円のコスト増を見込んでいます。

また、人材投資、DX投資、研究開発投資といった将来の成長を見据えた無形投資の増加に加え、米国第2工場稼働に伴う減価償却費やMy/Mochi社ののれん償却などの影響により、減益要因は合計で約66億円となる見込みです。

これらの減益要因に対しては、機動的な価格改定の実施および増収効果による打ち返しを図り、増益を確保する計画です。

2027年3月期 業績予想:事業別サマリー

2027年3月期の事業別サマリーです。国内の主要事業については、いずれも増収増益を見込んでいます。

海外事業については、将来の成長加速に向けた戦略投資を継続するため、増収減益を計画しています。なお、My/Mochi社の連結影響を除く米国事業の売上高は、現地通貨ベースで前期比約110パーセントを見込んでいます。

2030経営計画における 2024中期経営計画の位置づけ

2024中期経営計画の進捗および見通しについてご説明します。今期は、2030ビジョンの実現に向けたセカンドステージである2024年中期経営計画の最終年度にあたります。「飛躍に向けた成長軌道の確立」をテーマに、中長期的な成長を見据えた取り組みを進めてきました。

24中計 経営目標進捗:売上高・営業利益

スライドでは、2024中期経営計画における売上高および営業利益の進捗状況についてご説明します。参考として、グレーの枠内にはMy/Mochi社を除いたオーガニックベースの数値を記載しています。

スライドの表の赤枠で示した2024中期経営計画の最初の2年間について、売上高は中期計画目標へのCAGRを上回る進捗を果たしました。一方、営業利益額および営業利益率については、中期計画目標の水準にはわずかに届いていません。

ただし、当初想定を上回る原材料コストの高騰など厳しい外部環境下においても、中長期成長を見据えた人材投資やDX投資といった無形投資を継続しながら、トップラインの成長と増益を両立することができた点については、一定の手応えを感じています。

スライドの表の青枠で示した今期2027年3月期の予想についてご説明します。こちらには、4月から連結対象となるMy/Mochi社の業績が含まれています。グレー枠のオーガニック成長ベースでは、売上高・営業利益ともに概ね中期経営計画目標に沿った進捗が見込まれています。

一方で、My/Mochi社を含めた数値では、売上高成長率は目標を上回るものの、営業利益については中期経営計画目標を下回る見通しです。

これはM&Aに伴う短期的な損益への影響によるものですが、2030年に向けた成長軌道の確立という観点で見ると、折り返し地点を過ぎたこのタイミングにおいて、成長チャンスを機動的に捉えることができた戦略的意義の大きい投資であると考えています。

24中計 経営目標進捗:重要経営指標

スライドは、2024年中期計画期間における重要経営指標の推移を示しています。海外売上高比率については、非連続成長に向けた経営判断により、My/Mochi社の連結効果が成長を押し上げ、2024年中期計画目標を上回る水準となる見込みです。

一方、重点領域売上高比率については十分な伸びが見られず、課題として認識しています。環境の変化を踏まえた成長チャンスの選択と集中など、戦術のアップデートが必要であると考えています。

ROEおよびROICについては、My/Mochi社の影響を除くオーガニックベースでは、おおむね目標に沿った進捗を示しています。ただし、My/Mochi社のM&Aによる成長投資の影響により、全体としては目標を下回る見通しです。

これは、戦略的な成長投資を優先した経営判断の結果であり、今後も財務戦略に基づき、中期的な視点でマネジメントを進めていきます。

ROICマネジメントの進捗

当社では、事業ポートフォリオの転換を視野に入れ、主要事業ごとのROIC目標を設定し、その進捗状況を継続的に開示してきました。

スライド左側のグラフでは、縦軸に成長性、横軸にROICを示しています。右側の表には、2025年度の実績と2026年度の目標数値が記載されています。

左側のグラフでは、事業ごとの2023年度の実績、2025年度の実績、そして2026年度の見込みを、薄い色の○、濃い色の○、ぼやかした色の○でその推移を示しています。また、菓子食品事業と冷菓事業については、点線枠内で拡大表示しています。

冷菓事業を除く重点領域では、成長の実現が十分ではなく、課題として認識しています。

基本方針や中長期的な成長への考え方は不変ですが、短期的な戦術の見直しと中期的な戦略再構築の両面から検討を進めています。その上で、2027年度中期経営計画移行に向けて、重点領域の見直しを含め、あるべき事業ポートフォリオの検討を進めていきます。

一方、菓子食品事業については、価格改定やコストダウンの取り組みに加え、段階的なアセットライトを進行させることで、売上成長と資本収益性の改善を両立することができました。

特に課題と認識していたROICは、2024中期経営計画目標を大きく上回る進捗を示しており、これは重要な成果と言えます。

一方で、価格改定に対する潮目が変わりつつあるとの認識の中、菓子食品事業の永続的な資本収益性向上を目指すためには、現状で手を緩めることなく、2027中期経営計画移行に向けた中長期的な視点での抜本的な構造改革を含めた検討を継続しています。

当社の菓子食品事業は、自社工場比率が高い点が特徴であり、それによって他社が追随できない独自の技術価値を提供しています。一方で、固定費比率が高いため、トップラインが伸びない場合には収益を圧迫するという課題を抱えています。

だからこそ、構造改革を検討する際には、ブランドとそれに紐づく生産拠点について、長期的な「稼ぐ力」を定量的に評価するとともに、ブランドやその他の無形資産価値といった観点も加え、多面的な経営議論を行っています。

その中で、縮小均衡に陥らないような積極的な成長戦略と、ブランドや拠点再編の最適な組み合わせが重要な論点となっており、これに伴う経営資源の再配分が必要となっています。

こうした議論は菓子食品事業に限らず、国内事業全体を対象として検討しており、最大限の効果を追求する上で、どこまで踏み込んで実行するのか、あるいは実行しないのかも含めて、議論が進行中です。今後、社内での議論をさらに加速させていきたいと考えています。

基盤領域 菓子食品事業

主要事業についての現状認識と、2026年度の考え方について説明します。まずは、基盤領域である菓子食品事業について説明します。

2024中期経営計画の2年間では、売上高CAGRはプラス6パーセント、営業利益率は約4ポイント改善し、コスト上昇や価格改定といった厳しい環境の中でも、収益性改善を大きく前進させることができました。

これより先は、収益性・成長性ともに高いキャンディカテゴリへのシフトをさらに推進していきます。

先期の成長を牽引した要因の1つはラムネです。お客さまにさまざまなシーンで召し上がっていただける施策の展開が奏功しました。この学びをさらに拡大し、より細やかに展開されたマーケティング施策を実施していきます。

特に「ハイチュウ」については、先期の成長に課題を残していますが、「ハイチュウミニ」や「ハイチュウプレミアム」「すッパイチュウ」といったサブブランドは、それぞれ個性的な商品であるため、各ブランドの役割を明確にした訴求・施策展開を実施することで、ブランド全体の裾野拡大を図っていきます。

ソフトキャンディとグミの買い回り現象などを踏まえ、キャンディ市場をより広く捉え、キャンディの可能性を拡張する新商品の投入などにより、きめ細かな戦略へのアップデートを実施します。

ラムネについては大きく伸長していますが、ブドウ糖価値の認知をさらに高め、新商品や新たな機能訴求により、多様な喫食シーンへの展開を進めていきます。

チョコレートカテゴリを中心に、価格改定後の市場環境の変化も踏まえ、もう一段踏み込んだ収益改善を進めるとともに、その短期施策の効果を一層活かすため、構造改革の議論も俯瞰しながら、メリハリの利いた次なる戦略構築を進めていきます。

重点領域 in事業:inゼリー 1/2

「inゼリー」の状況についてご説明します。「inゼリー」のブランドコンセプトは「スポーツを軸足とした心と体の健康をサポートする食のブランドNo.1」です。前向きに活動するすべての人々に寄り添い、飲用シーンを拡張するLTV戦略を基本方針として取り組んできました。

しかし、直近2年間の実績を見ると、売上高CAGRはマイナス2パーセント、購入率および間口も2.2ポイント低下しており、厳しい結果となっています。

背景には、酷暑による夏場のスポーツ需要の減少や、廉価なPB商品のシェア拡大といった外部環境要因に加え、スポーツ用途への依存度が高い構造や、ブドウ糖以外の成長エンジンの不足といった内部要因が重なっていると考えています。

先期は、これまで実施していなかった夏場の日常生活シーンを訴求するCMの投入や、東京世界陸上への協賛など、夏場の需要獲得を目指して広告販促を強化しました。しかしながら、残念ながら結果には結びつきませんでした。

酷暑という外部環境の変化や厳しい競争環境の中で、圧倒的シェアNo.1である「inゼリー」のブランド力を利用シーンや顧客層の拡張に十分活かしきれていないことが課題であると認識しています。

重点領域 in事業:inゼリー 2/2

こうした状況を踏まえ、基本方針を変えることなく、戦術を機動的に見直しながら、中長期的にゲームチェンジを追求する考えで取り組んでいます。

「inゼリー」の最大の武器は、高いブランド想起力と、それに伴うお客さまの喫食経験の高さです。環境の変化により「inゼリー」から離れてしまったお客さまが多くいるということは、裏を返せばチャンスでもあると考えています。

ブランド力はお客さまからの信頼そのものであり、それを活かして現在離れているお客さまを再獲得することが第一の使命です。その上で、市場リーダーとしての責務を果たし、新たなお客さまをゼリー飲料市場に引き寄せることにより、成長回帰を目指していきます。

酷暑やインフレは、お客さまの行動変容における重要な要素です。この環境変化により、お客さまは新たな困りごとを多く抱えていると考えています。

その成長機会を獲得するため、「inブランドがさまざまな生活シーンに寄り添う」という新たなタグライン「in my life,」のもと、竹内涼真さん、中川大志さんという旬のタレント2人を起用しました。

生活に寄り添ったさまざまな顧客接点の創出を目指し、積極的なプロモーションによるブランディング強化を展開していきます。

商品・販売施策については競争戦略上、現時点で詳しい内容は控えますが、1つの切り口として、従来の春夏秋冬という四季の捉え方から、夏の長期化に伴い、お客さまの熱中症対策リテラシー向上による行動変容に対応します。

夏を初夏・盛夏、それから猛暑と酷暑の二季に分けた「5季化」を、顧客接点を拡大する機会と捉え、新たな商品・販売施策展開やプロモーション戦略へとつなげていきます。

短期的なV字回復を過度に見込むのではなく、ブランド強化の原点に立ち返り、ゼリー飲料市場におけるNo.1ブランド・市場リーダーとして、既存シーン以外の潜在ニーズを掘り起こしながら、当社および市場全体の中長期的な成長を確実に取り戻していきます。

重点領域 冷菓事業

冷菓事業についてご説明します。冷菓事業では、菓子技術を活かした差別化商品に集中する戦略により、2024中期経営計画の2年間で売上高CAGRを9パーセントとし、市場成長率3パーセントを大きく上回る成長を実現しました。

主力であるジャンボグループ商品の安定成長に加え、「板チョコアイス」や「ザ・クレープ」といったデザート訴求商品の拡大が成長を牽引しています。また、プレミアム商品の好調も収益性改善に寄与しています。

今後もこの好調さに甘んじることなく、主力商品の競争力強化を進めるとともに、次の柱となる商品の育成に取り組みます。

「チョコモナカジャンボ」は、継続的な鮮度マーケティングのもと、モナカ・チョコ・アイスの三位一体となったおいしさの訴求を高めながら、さらなる市場拡大に努めます。

「バニラモナカジャンボ」は、「コンビネーションバニラ」という新たな概念を訴求し、一段上の成長軌道を目指します。

「板チョコアイス」「ザ・クレープ」などのデザート訴求商品は、先期までの成功を踏まえ、追加の成長投資を検討しながら、挑戦的な成長を追求していきます。

「板チョコアイス」に続く菓子技術を活用したデザート訴求商品である「ビスケットサンド」や「パリパリサンド」も大きく伸長しています。これらの商品の品質価値を丁寧に浸透させながら、次の柱商品として育成していきます。

重点領域 通販事業

通販事業についてご説明します。外部環境としてテレビ視聴率の低下や節約志向の高まりが挙げられるほか、先期4月に実施した価格改定の影響もあり、新規顧客獲得と継続率の双方で厳しい状況が続いています。

このような環境を受け、先期の期中から広告費をコントロールし、利益を優先する戦略へ転換しました。その結果、売上は前年を下回ったものの、営業利益率が改善し、増益を果たしました。

成長に課題はあるものの、これまで積み上げてきた事業基盤が成果をもたらした結果と捉えています。

今後は、ブランド浸透マス広告がブランド認知施策として一定の効果を示したことを踏まえ、その効果検証をさらに進めるなど、定期顧客獲得の再上昇に向けたさまざまな施策を展開していきます。

投資とリターンのバランスを見極めながら、次なる成長のチャンスを見据えて事業を推進していきます。

重点領域 米国事業:HI-CHEW 1/2

米国事業の「HI-CHEW」についてご説明します。

日本で培った価値を活かし、販売店率、SKU、店頭回転率の向上を基本方針として成長を続けてきました。しかし、直近2年間はキャンディ市場における競争激化を背景に、売上高のCAGRはマイナス1パーセントと厳しい状況となっています。

特に、外部環境におけるカカオ価格の高騰を背景とした大手競合のキャンディ市場への注力が進んだことや、「HI-CHEW」の主戦場であったCVSチャネルの不振の影響が大きいと捉えています。

スライド右側のグラフでは、キャンディ市場におけるチャネル別の趨勢を示しています。MASS・Foodチャネルの伸長が続いている一方で、CVSチャネルは依然として低迷しています。新工場の稼働開始を控え、成長への回帰が急務であると考えています。

重点領域 米国事業:HI-CHEW 2/2

新工場稼働を成長の起爆剤とするため、生産と販売の連動を図り、反転攻勢を目指します。これまで供給能力の制約により、MASSチャネルやFoodチャネルにおける大手チェーンへのまとまった大口提案が難しい状況でした。

しかし、新工場稼働による供給能力の向上を見据え、すでにシーズナル提案を含む大口商談を開始しており、良好な手応えを感じています。

営業基盤として、人員やブローカーの最適配置を進めるとともに、昨年設置したインテリジェンスチームを活用し、より効率的かつ効果的なマーケティング投資を実践していきます。

販売戦略としての選択と集中、生産性向上を図った上で、攻めるべき領域には引き続き戦略的かつ積極的にマーケティング投資を行っていきます。

商品戦略では、シーズナルなSKU拡充やソフトキャンディ技術を活用した新商品の投入、アイスキャンディ「HI-CHEW POP」などを通じ、ブランドエクステンション戦略を一層強化していきます。

今期は投資フェーズと位置付け、短期的なコスト増を織り込みつつ、中長期的な成長回帰に向けた基盤作りを進めていく考えです。再び成長軌道に戻ることを目指しますので、ぜひご期待ください。

グローバル戦略の加速:My/Mochi社

M&Aによりグループに加わったMy/Mochi社についてご説明します。3月13日のグローバル戦略IR Dayで概要をご説明しましたが、4月1日にクロージングを完了し、現在はPMIの初期フェーズにあります。

現地の経営体制を尊重しつつ、当社は中長期の成長戦略とガバナンス面を中心に関与を進めています。4月3日には、グループ会社としての新たなスタートであるMy/Mochi社のキックオフミーティングに、私や担当役員である松永、米国総代表の河辺も参加しました。

森永製菓グループに関する説明やMy/Mochi社における期待などをマネージャー以上の管理者25名に伝え、活発な意見交換も行いました。この対話を通じて、両社の歴史や価値観、強みについて相互理解を深めることができ、良好なスタートを切れていると認識しています。

ミーティングでは、当社の主力冷菓商品の試食を全員で行いました。彼らも冷菓の製造施設を持つメーカーであるため、技術に関するさまざまな質問が寄せられ、さっそく両社の技術シナジーへの期待が膨らんでいます。

まずは、スタンドアローンでの安定的な事業運営を優先しつつ、シナジー創出に向けて目標日数を設定しながら取り組みを推進していきます。

グローバル戦略の加速:My/Mochi社

スライドでは、My/Mochi社の現状およびPPAに関する今後の見通しを示しています。

2025年7月から2026年3月の実績は、概ね想定どおりに推移しており、EBITDAベースで増収増益となっています。売上高は前年同期比で104.5パーセントとなり、主要得意先への新規導入や再導入が実現しています。

My/Mochi社の決算時期は6月ですが、業績予想には2026年4月から2027年3月の見込みを取り込んでいます。足元の売上状況も堅調であるため、EBITDAベースでの収益力は維持できるとの想定です。

スライド右側には、現時点でのPPAの見積もりを示しています。第2四半期決算を目途に確定させる方針です。現時点では、のれんと無形資産の概算額は約120ミリオンドルで、償却期間の想定はのれんが12年、無形資産が5年となっています。

償却方法としては定額法を想定しています。短期的にのれんおよび無形資産の償却により利益面でのマイナス影響はあるものの、EBITDAベースでは安定したキャッシュ創出力を持ち、今後はシナジー創出を通じ、その水準をさらに高めていく方針です。

投資・株主還元

スライドでは、2024中期経営計画期間における投資および株主還元についてご説明します。投資総額は約600億円の計画に対し、約650億円とやや上回る見込みです。

国内設備投資は減少傾向にある一方で、成長戦略としての海外への投資が、為替の影響なども含め、円ベースで増加しています。基盤強化の一環としてのDX投資も含め、2030ビジョン達成に向けた戦略的な投資であり、内容面を重視したマネジメントを行います。

株主還元は360億円以上という計画に対し、2ヶ年で約300億円と順調に進捗しており、引き続き安定的な配当と機動的な自己株式取得を実施する方針です。

M&A実行に伴う財務指標への影響

スライドでは、M&A実行に伴う財務指標への影響を示しています。My/Mochi社の買収により有利子負債は増加しますが、自己資本比率、ネットD/Eレシオ、有利子負債/EBITDA倍率のいずれも当社が定める財務ガイダンスの範囲内に収まっています。

したがって、今回のM&Aによる財務体質面での懸念はありません。

株主還元

株主還元についてご説明します。配当金については、2026年3月期に1株当たり年間65円の支払いを予定しており、5円の増配となります。2027年3月期には1株当たり年間70円を計画しており、さらに5円の増配を予定しています。

必要に応じて、自社株取得を機動的に検討していきます。なお、2025年度の配当が6月の株主総会で決議されれば、これで11期連続の増配となります。株主還元においては、健全なバランスシートを維持しつつ、DOE水準を中長期的に引き上げることを基本方針としています。

一方で、2026年度については、退職給付に関わる調整累計額や為替換算調整勘定が株価上昇および金利環境の変化を背景に増加することで、純資産が計画を上回って拡大する見込みです。

このため、DOEは目標としている4.3パーセントには届かず、一定の乖離が生じる想定となっています。なお、このDOEの低下は、配当水準や自己株式取得といった株主還元を抑制する判断によるものではなく、あくまで分母である純資産の増加による影響です。

実際、株主還元総額については、これまで示してきた方針・水準を着実に実行していきます。当社としては、短期的なDOE変動に対応した調整を行うのではなく、安定的かつ継続的な株主還元を通じて、中長期的にDOE水準を引き上げていくことが重要であると考えています。

引き続き、成長投資と株主還元の両立を図りながら、基本方針を継続していく方針です。

以上で、私からのご説明を終わります。ご清聴ありがとうございました。

質疑応答(要旨)1

Q:米国事業の「HI-CHEW」の成長回帰について。本当に業績予想どおりに成長できるのかが一番の経営課題ではないかと思っています。外部環境としてもガソリン価格上昇でCVS来店客数が減っていく中、厳しい状況となることを想定しています。

一方でチョコレート原料相場が下落傾向の中、競争環境は緩やかになる可能性もあると思います。さまざまな見方ができる中で、これからのマーケット環境をどう想定しているのでしょうか? その上で、マーケット環境に対してどうやってアウトパフォームしていくのか、あらためて考えを教えてください。

A:ご指摘の通りCVSチャネルはガソリン価格の上昇に伴ってそこに隣接するCVSは苦戦が続くだろうと認識しています。また、現時点では大手菓子メーカーの「チョコレート回帰」などという変化の兆しは見えておらず、当面はこの競争環境は続いていくと思っています。

だからこそ注力するチャネルを「Mass」や「Food」にしていこうというのが今の考え方です。米国第2工場の稼働開始が10月に早まる見込みであり、供給制約から抑制していた大手Mass・Foodチャネルへの攻勢ができる状況となってきました。その中ではSKU増として、競合メーカーに対して取り組み切れていなかった「サイズ違い」のラインナップ拡充を進めます。

それに加えて、パートナーであるブローカーの変更や、当社内の販売体制の強化も行っています。すでに秋に向けた商談が進行していますが、いい感触を得ています。今期は復調できるのではないかと今は考えています。

質疑応答(要旨)2

Q:実際に売り場においては店頭回転しているのでしょうか?

A:おっしゃる通り店頭回転を上げていくことが重要であり、導入後の取り組みとして、これから注力していきます。

質疑応答(要旨)3

Q:米国第2工場稼働を踏まえ、いつごろから本格的に攻勢に転じられるのでしょうか?

A: 10月に稼働開始を予定していますが、初期からフル稼働はできないため、徐々に拡大していく想定であり、今秋から来期にかけて供給力を増やしていける見込みです。

質疑応答(要旨)4

Q:事業別ROICについて、菓子食品事業のROIC改善として成果が出ていると捉えています。一方で、冷菓事業やin事業は下がってきており、菓子食品事業の成果を相殺しているように見えます。悪化している事業に対してどのような取り組みを想定しているのか教えてください。

A:冷菓事業に関しては売上・利益は好調な半面、成長チャンスを逃さないために在庫を溜めながら販売していく運用となっており、それがROICに対して悪化要因となっています。在庫マネジメントについては社内的な取り組みを強化していきます。

一方でin事業については、成長性の鈍化に伴う収益力の低下が課題と捉えており、成長回帰を実現させていくことで自ずとROICも向上していくと考えています。

質疑応答(要旨)5

Q.冷菓事業などのアセットライトは考えていますか?

A:冷菓事業は自社製造と外部委託製造が混在しており、その最適な組み合わせは常に検証しながら事業運営しています。例えば自工場の設備が老朽化した際には更新投資をするのか、外部委託製造に切り替えるのかを常にROIC目線をもって検討・改善しているのが冷菓事業の実態です。

一方でin事業は自工場に紐づく資産が必ずしも大きくない中、トップラインの引き上げも含め、生産性向上によって資産効率を上げていく考えです。

質疑応答(要旨)6

Q:「inゼリー」の成長回帰について、戦略を変えるというスタンスであるように捉えていた中で、今回の説明では戦略がさほど変わっていないように見えるのが実情と思っています。本当にこのような戦略で数量を伸ばしていけるのか、あらためて教えてください。

A:基本的な考え方は、ブランディングをさらに強化していくことが今期の取り組みです。「inゼリー」は認知率も高く、例えばゼリー飲料が提供しているシーンの中で、スポーツシーンにおける競争力は圧倒的だと思っています。

一方で他のシーンに関してはまだまだやり切れていない部分があるのも事実です。そこをしっかり取り組んでいくブランド戦略が「in my life,」という考え方です。

取り組みの性質上、段階的な効果発現を想定していますが、例えば「inゼリーミニ」は今まで口栓付きパウチゼリーでは取り切れないお客さまにリーチできる商品であり、ブランディングの考え方に準拠したこのような施策が複数展開されていく中で、「inゼリー」ブランドがより広がっていくと考えています。

質疑応答(要旨)7

Q:構造的な問題としてPBとの価格差から数量が流れてしまっていると思いますが、それに対してはどう考えていますか?

A:「inゼリー」は調査でも競合品に対して圧倒的に高いブランド力を持っています。「ブランド=信頼」であり、それをお客さまに今一度訴求することで、もう一度「inゼリー」に気づいていただき、もう一度飲んでいただき、その上で新たな喫食提案で市場を拡大させていきます。今期はそのような取り組みを考えています。

質疑応答(要旨)8

Q:菓子食品事業のROICについて、実績として利益成長もあった中で、今後についてもさらに収益性を引き上げていく考え方なのかを教えてください。

A:菓子食品事業において、例えば価格改定は今までどおりできなくなっていく危機感を持っており、先期実績をさらに高めていくためには、中長期での構造改革を引き続き検討をしています。

そのような意味では今よりも改善を進めていく考え方である、と受け取っていただければと思います。

質疑応答(要旨)9

Q:資料内の構造改革に関する記述の中には「菓子食品に限らず」とありますが、ここについてもう少し教えてください。

A:構造改革の検討においてはブランドと生産拠点はセットで考える必要があります。例えば高崎森永は菓子と冷菓の生産拠点であるため、最適な生産体制を考える上では菓子食品事業だけでなく、国内事業全体として最適な体制を検討する構造改革が必要です。そのような目線で社内議論をしているとご認識いただければと思います。

質疑応答(要旨)10

Q:企業価値についておうかがいします。現中計はEBITDAベースでは達成圏にあると見ていますが、菓子食品事業の利益・ROIC改善が株式市場で十分評価されておらず、この2年間は企業価値が伸びていない印象です。

ROICに関しては分母側の議論の浸透が遅く、分子に依存するかたちに見えてしまいます。また、「inゼリー」や米国事業の課題対応も商品・マーケティング中心の説明に留まり、組織・構造面での改善が見えにくい状況のため、回復を織り込めずにいます。

このような中で、御社株を保有する意義や、次期中計に向けた企業価値向上のドライバーについて、強み・課題認識と今後の改善の方向性を教えてください。

A:菓子食品事業についてはまだ明確とは言えないものの、現時点で示せる範囲で課題認識を今回開示しました。

成長戦略が弱いというご指摘は受け止めますが、「inゼリー」についてはシェアNo.1のブランドであり、大きな構造変更というよりは、ブランド力の強化を軸にマーケティングや商品戦略で成長を目指す考えです。一方で、市場自体の弱含みも踏まえ、需要喚起の取り組みも必要と認識しています。

米国については、資源配分を強化しており、今期も利益を抑えて成長投資を優先する計画です。人材投入やDX整備を通じて、「HI-CHEW」に加えてアイス事業を柱とする体制構築を図っており、具体的にはR&D面でのMy/Mochi社との連携など、事業基盤の強化を進めています

質疑応答(要旨)11

Q:ROICマネジメントの本質として、どこにリソースを集中するのか、その結果としてin事業や米国の改善、さらには海外でのシナジーがいかに生まれるのかといった資源循環の視点について、今後の開示を期待しています。

A:ご指摘の点は重要な論点と認識していますが、現時点では十分に説明できていないことも事実と考えています。社内では取り組みを進めているため、今後はより整理したかたちでお伝えできるようにしていきます。

質疑応答(要旨)12

Q:ポートフォリオの考え方について、見直しを含めた検討の温度感は従来より高まっていると理解してよいでしょうか? 高まっている場合、その背景や要因について教えてください。

A:ポートフォリオ転換は社内で共通認識となっており、意識は高まっています。背景にはROICの考え方が全社的に浸透してきたことがあります。

例えば、菓子食品事業におけるポートフォリオ(いわゆるキャンディシフト)や、国内事業の「重点領域」と「基盤領域」の見直しについて、約5年前に設定したものを環境変化も踏まえて再検討しており、次期中計に向けて議論を進めています。また、海外と国内のバランスも含め、当社として最適なポートフォリオのあり方について幅広く検討を進めている状況です。

質疑応答(要旨)13

Q:菓子食品事業以外の事業でも、ポートフォリオ見直しの余地は大きいとお考えでしょうか?

A:基本的な考え方は、2030経営計画で示している「重点領域」と「基盤領域」の区分であり、重点領域に含まれる4事業に対して成長投資を強化する方針です。その枠組みも含めて、今後どのような形が当社にとって最適であるか、引き続き検討しているとご理解いただければと思います。

質疑応答(要旨)14

Q:「inゼリー」について、御社は長年にわたり飲用シーンの拡大に取り組んでいますが、外部環境が厳しく、PBの台頭や消費環境の弱さもある中で苦戦が続いています。その上で、今期は回復に転じる自信をお持ちとのことですが、その背景が十分に理解できておらず、あらためてご説明いただけますか?

A:猛暑の影響で需要が落ちるなど、この2年間は想定外の状況が続いた点が大きな誤算でした。環境変化に対し、例えば四季から「5季化」という考え方で夏を細分化し、商品提案やマーケティングを見直すなど、外部環境に応じた対応を今期はより強化していきます。

こうした取り組みが機能すれば、回復は可能と考えています。

質疑応答(要旨)15

Q:価格戦略は従来と変わらないという理解でよいでしょうか?

A:現時点で、PBに対抗する低価格商品を投入する考えはありません。「inゼリー」は当社にとって重要なブランド資産であり、その価値を維持することが前提です。

その中で、例えば容量を変更するなど、ブランド価値を毀損しない範囲で柔軟に対応する可能性はあります。あくまでブランド力を軸とした価格戦略を考えています。

質疑応答(要旨)16

Q:価格改定の余地について、外部環境が不透明でコスト動向も見通しづらい中、想定以上のコスト増が発生した場合には価格改定で対応するのか、考え方を教えてください。

A:これまで価格改定は相当実施しており、今後の追加的な値上げは容易ではないと認識しています。実際に昨年9月の価格改定後、売上高は確保しているものの数量減の影響も生じています。

一方で、中東情勢の影響等でコストが大きく上昇した場合には、競争環境を踏まえた上で追加的な対応を実施していく方針です。

質疑応答(要旨)17

Q:カテゴリーによって価格改定の難易度に違いはあると思いますが、いかがでしょうか?

A:もちろん差はありますが、基本は価格に見合う価値をお客さまに感じていただけるかに尽きます。

相対的に価値が高い商品は価格改定後も競争力を維持できますが、価値が伴わなければ売上が大きく落ちるリスクがあります。付加価値を高めた上で価格改定を行うという考え方が基本であり、価値と価格のバランスを軸に判断していきます。

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