マネーボイス メニュー

ベルシス24 Research Memo(3):2026年2月期は、収益改善施策により期初予想を上回る増益を達成

■ベルシステム24ホールディングスの業績動向

1. 2026年2月期の業績概要
2026年2月期における日本経済は、雇用・所得環境の改善や各種施策の効果もあり、個人消費や設備投資の持ち直しが続いており緩やかに景気が回復した。一方で、米国の通商政策等の影響の景気下振れリスクに加えて、物価上昇の継続が個人消費に及ぼす影響もわが国の景気を下押しするリスクとなっており、金融資本市場の変動等の影響に引き続き注意が必要な状況となっている。このような環境の下、同社グループの主力事業であるCRM事業においては、生成AIなどの新技術を活用し、高い利益率が見込めるソリューションモデルへの変革が重要となっている。

こうした経営環境を踏まえて、同社グループでは中期経営計画の推進により、持続的な成長の実現を目指した。その結果、2026年2月期の連結業績は、売上収益145,826百万円(前期比1.5%増)、売上総利益27,517百万円(同8.3%増)、営業利益12,652百万円(同9.2%増)、税引前利益12,290百万円(同9.4%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益8,181百万円(同2.2%増)と、増収増益となった。

前期からの増減額は、売上収益が2,219百万円増であったが、増収効果やクライアントへの請求単価の引き上げ、拠点整理などによるコスト削減やオペレーション効率化による各種収益改善施策の効果により、売上総利益も2,105百万円増となった。販管費は幅広いコスト削減や、前期の拠点整理関連費用の反動減から576百万円減(増益要因)となり、営業利益は1,065百万円増と大きく伸びた。また、親会社の所有者に帰属する当期利益は178百万円増となった。これは営業増益に加えて、前期に連結子会社から区分変更したCTCファーストコンタクトが寄与し、持分法による投資損益が2.0億円増となった一方で、市場金利上昇に伴う借入金利息の増加などにより金融収益・費用が2.1億円増加した(減益要因)ことによる。

期初予想との比較では、売上収益及び売上総利益はやや下回ったが、幅広くコスト削減に努めたことや前期の拠点整理費用の反動減から販管費が予想を下回ったことによって、営業利益以下の各段階利益は期初予想を上回り、順調な決算であった。また、営業利益率は前期比8.7%(同0.6ポイント上昇)と2025年3月期東証プライム市場サービス業平均の営業利益率6.2%を上回っている。同社の収益性は引き続き高い水準を維持していると弊社では評価している。

2. セグメント別動向
2026年2月期のCRM事業の売上収益は145,556百万円(前期比1.6%増)、税引前利益は11,687百万円(同3.3%減)で、税引前利益率は8.0%(同0.4ポイント低下)となった。減益は、前期に子会社株式の一部売却に伴う利益3,760百万円を計上していた影響による。CRM事業の全社業績に占める構成比は、売上収益の99.8%、税引前利益の95.1%であった。

スマートコンタクトセンター業務は、通信キャリア案件、公共系案件の着実な増加や、2度の国政選挙関連の業務もあり、同17.1億円増(同1.4%増)であった。スマートビジネスサポート業務は、人材関連系業務が減少した一方で、クライアント内のバックヤード業務やHorizon Oneでの人事・経理系業務の着実な増加により、同6.5億円増(同3.3%増)であった。

その他の事業の全社業績に占めるシェアは小さい。2026年2月期には、一部の事業(気圧予報に基づく体調管理アプリ「頭痛ーる」等)の売却に伴いコンテンツ販売収入が減少したため、売上収益は270百万円(前期比34.3%減)、税引前利益は603百万円(前期は856百万円の損失)となった。

売上収益における「伊藤忠シナジー」については、同社の筆頭株主である伊藤忠商事のネットワークを活用して、伊藤忠グループ関連の案件をはじめとする新規案件獲得を継続することで拡大している。同社が定義する「伊藤忠シナジー」には伊藤忠商事の子会社や関連会社だけでなく、その取引先も含むため、対象とする開拓先は数多くある。これら伊藤忠グループ案件による売上収益は、年々増加し続けてきた。2024年2月期から2025年2月期にかけては、一部大口案件の業務終了などにより減少したものの、2026年2月期には171.9億円へと、通信キャリアを中心に再び大幅増加に転じた。今後は、新技術活用における連携(出資、提携など)や海外事業展開など、伊藤忠のデジタル事業群戦略との連携によって、「伊藤忠シナジー」は長期的に拡大する見通しである。

3. 財務状況
2026年2月期末の資産合計は169,821百万円(前期末比4,592百万円減)となった。流動資産は29,717百万円(同1,675百万円増)となったが、これは主に営業債権が1,651百万円増加したことによる。非流動資産は140,104百万円(同6,267百万円減)で、これは主に有形固定資産が使用権資産を中心に6,007百万円、その他の長期金融資産が516百万円減少したことによる。使用権資産とは、同社がリース期間中に事務所を使用する権利を持つ資産などのことで、拠点整理や家賃の支払いに伴う償却により減少する。

負債合計は95,039百万円(前期末比8,537百万円減)となった。流動負債は45,790百万円(同11,623百万円減)となったが、これは主に未払法人所得税が909百万円、未払従業員給付が549百万円増加した一方で、借入金が13,499百万円減少したことによる。非流動負債は49,249百万円(同3,086百万円増)であったが、これは主にその他の長期金融負債が4,692百万円減少した一方で、長期借入金が8,191百万円増加したことによる。資本合計は74,782百万円(同3,945百万円増)となったが、これは主に資本剰余金が4,263百万円減少した一方で、利益剰余金が8,181百万円増加したことによる。

有利子負債は48,738百万円(前期末比5,308百万円減)となった。また、親会社の所有者に帰属する当期利益の積み上げによって、自己資本比率(親会社所有者帰属持分比率)は前期末比3.3ポイント上昇の43.5%となった。今後も利益の蓄積により上昇を続けると見られる。同社の自己資本比率は、2025年3月期東証プライム市場サービス業平均の5.6%を大きく上回る高水準である。また、同社のネットD/Eレシオ((借入金+長期借入金−現金及び現金同等物)÷親会社の所有者に帰属する持分合計)は0.56倍と前期末比0.11改善した。同社ではメガバンクとの間でコミットメントライン契約を結んでおり、不測の事態にも十分に備えている。さらに、ROEは11.4%、ROA(資産合計税引前利益率)は7.1%で、2025年3月期東証プライム市場におけるサービス業平均のROE8.6%、ROA0.8%を大きく上回る高水準を維持している。同社が属するサービス業には様々なビジネスモデルの会社を含むため、同社と業界平均の単純比較は難しい面があるものの、同社の安全性及び収益性は極めて高いと弊社では評価している。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)

シェアランキング

編集部のオススメ記事

この記事が気に入ったら
いいね!しよう
MONEY VOICEの最新情報をお届けします。