2026年12月期第1四半期決算ハイライト
重松路威氏(以下、重松):代表取締役社長の重松です。みなさま、今回も決算発表にご参加いただき、また動画をご視聴いただき、誠にありがとうございます。日頃より当社へ多大なるご支援をいただき、心より感謝申し上げます。
第9期となる2026年度が始まりました。本日は、第1四半期決算の概要についてご説明します。
まずは、ハイライトです。こちらのスライドで決算概要と業績総括を示しています。
今回の最重要ポイントは、前回の通期決算でも発表したとおり、2026年2月12日に当社が事業を飛躍させる目的で、イベントおよびエンターテインメント事業を手掛ける株式会社ポマト・プロと株式会社カクタスの株式を取得したことです。
また昨日、2026年5月12日にゲーミングソフトウェアの開発を展開する魔法株式会社の全株式を取得することを発表しました。通期決算でもお話ししたとおり、これは当社がAIの社会活用を加速させる上で非常に重要な施策であると考えています。
今後も連続的なM&Aを加速し、優れた企業にAI技術を積極的に活用することで、エンターテインメント、すなわち楽しさの領域をさらに高度化して加速化していくことが、当社のAI活用の指針です。このような事業は順調に展開していると認識しています。
また、後ほどご説明しますが、2026年には3件のM&Aを発表しました。継続的な推進に向けて、M&Aの案件開拓や実施については非常に順調に進んでいます。
次に、2026年度第1四半期決算についてお話しします。期初予算では、今期は第1四半期から第4四半期に向けて売上が急速に伸びていく計画を立てています。その理由としては、事業の受注や検収等の時期を考慮したことがあります。
第1四半期については、売上高を7億3,300万円と予算で見込んでいました。しかし、今回発表した第1四半期実績は6億7,600万円となり、年初予想を約6,000万円下回る結果となりました。このため、目標としていた数字にはやや届かない結果となりました。
その理由は明確です。当社のサービスの1つに、AIを活用したウェブとインターネットサービスがありますが、このサービスについては、インターネットのホームページがある程度一般化していることや、AI技術のホームページへの活用がすでにかなり一般的なものとなっている現状があります。
そのため、当社としては、今期に関してこの分野にあまり力を入れない計画をもともと組んでいましたが、想定よりも商品性が低下していると考えています。
第1四半期の業績は年初予想をやや下回りましたが、第2四半期以降の全体業績への影響は非常に限定的であると考えています。他の事業は、第2四半期以降に予定どおり順調に立ち上がる見通しです。
魔法株式会社のグループインは6月1日を予定しており、これは業績を押し上げる要因となります。6月以降、約7ヶ月間の連結取り組み期間や売上規模を考慮すると、当社の連結業績全体を修正するほどの影響はほとんどないと考えています。通期予算については据え置きとしています。
M&Aの実施状況–2026年5月12日に、ゲーミングソフトウェアの企画・開発を展開する魔法株式会社の全株式の取得を発表
重要となるM&Aの実施状況です。これまで当社は4件のM&Aを実施してきましたが、昨日発表した魔法株式会社で5件目となります。特に今年2026年度に入り、エンターテインメントやAIの領域を加速させるため、M&Aを積極的に活用していく方針を発表しました。この5ヶ月間で3件のM&Aを発表しており、そのペースは急速に増加しています。
ゲーミングソフトウェアの企画・開発を展開する「魔法」の 全株式を取得、ゲーミングソリューションやアミューズメント領域へ進出
魔法株式会社の概要です。同社の事業領域は、ゲーミングソリューションやエンターテインメントを中心としています。ソフトウェアの開発や企画を行い、IPも保有しています。
当社グループでは、ゲーミング要素をエンターテインメントの中に取り入れることが、今後の楽しさを創出する上で極めて重要であると考え、今回グループに加わっていただきました。
本社は神戸にあり、主な顧客はゲームやエンターテインメントに関連する企業です。同社は約40年にわたり事業を展開してきた、非常に優れた企業です。
そのため、この6月1日に魔法株式会社が当社グループに加入した暁には、当社グループ全体のエンターテインメント創出力やAI活用が大きく加速すると考えています。
2026年度の業績推移の見通し(ニューラルマーケティング、ポマト・プロ、カクタス、魔法を含む連結業績)
こちらのスライドでは、今期の業績を踏まえた、創業第2期からの四半期ごとの売上増加を示しています。
今回の第1四半期の売上は想定を若干下回りましたが、第2四半期は過去最高の売上を実現する可能性が高いと考えています。
また、第3四半期、第4四半期においても売上の伸びが見込まれています。これには未発表のM&Aは含まれていません。白い点線グラフの部分も重要である一方で、連続的なM&Aの推進を積極的に進めていきます。
優れた企業をグループに迎え入れることで、グループ企業間のシナジーを生み出し、新たな付加価値を創出することができます。このような中で、売上増加やサービス向上、付加価値の向上だけでなく、コスト削減や業務効率化といった多方面においてAIを活用していくことが重要です。
これらを考慮しながら、当社は増収増益の実現を目指して経営を進めています。
2026年3月末貸借対照表
3月末時点のバランスシートです。このバランスシートには、今回の3件の買収のうち、ポマト・プロ社の買収のみが反映されています。残りの2件については、上期決算が締まる6月末のバランスシートに反映する予定です。
ご覧のとおり、ポマト・プロ社という非常に優れた会社と、ポマト・プロ社の株主および当社の株主双方が納得する価格でパートナーシップを結び、今回グループに加えることができました。このプロセスの中で、のれんの額についても適切な量・水準に抑えています。
現預金については、今後の投資実施に十分な量が残っていると考えています。
第1四半期の赤字による影響でキャッシュフローが現預金を若干押し下げましたが、これは第2四半期、第3四半期以降で営業キャッシュフローが発生するにつれて解消される一時的なものと考えています。
総じて、バランスシートは力強く、十分なM&A待機資金を保持した状態で推移していると判断しています。
M&Aの進捗と実績
最後に、M&Aの進捗についてご説明します。M&Aを多数実施している背景には、十分に考慮されたソーシングの方法があることが秘訣となっています。この方法については、いくつかの要素に分解して考えています。
まず、M&Aを日々仲介する際に、豊富なアドバイザーを有することが重要であることは、前回の通期決算でも申し上げたとおりです。現時点で、当社には313人のアドバイザーが在籍しており、彼らから日々案件が紹介されています。現在、受領した企業情報の件数は約509件で、前回の通期決算から200件ほど増加しました。
イメージとしては、313人のアドバイザーを通じて、毎月60件から70件程度の新規企業情報が当社へ共有されている状況であるとご理解いただければと思います。
つまり、第1四半期では常に150件から200件ほどの新しい案件がリフレッシュされるかたちで当社に提供されています。その中で、当社の事業に合致し、シナジーが期待される案件や、収益性が適切である、あるいはバリエーション等が合理的で双方合意に適うもの、事業の発展性が見られるものなど、さまざまな基準を基に、当社ではスライドの右側に記載されているような「企業情報の採用」という考え方で判断しています。
採用は約500件の中の19件が実績となっており、こちらも増加しています。イメージとしては、約100件紹介される案件のうち3パーセントから4パーセントの案件について、当社が企業概要書(IM)を採用し、その中でグループイン企業数は5社となります。
つまり、約100件紹介される案件の中で当社が関心を持つ案件は3件あるいは4件ほどであり、そのうち1社をグループインとして実現している状況です。
1ヶ月間に約70件の案件をいただく場合、1年間では約800件の案件が紹介されることになります。その場合、過去の確率からすると、7社から8社が当社のグループに加わる可能性があるという計算です。
そのような経済性を参考にしながら、当社ではM&Aを持続的に実現することを目指し、事業を推進しています。
今後も引き続き、新しい案件の創出を進めるとともに、グループに迎え入れた優れた会社をさらに飛躍させることで、株主のみなさまのご期待に応えられる方針で経営していきたいと考えています。私からの説明は以上です。
質疑応答:上場後のビジネスモデルの変化とM&A戦略について
質問者:上場してから現在に至るまでのビジネスモデルの大きな変化について、その経緯を教えてください。
今日のお話を聞く限り、最近では日本でもいくつかの事例が見られるように、例えばセイワホールディングスなどのように、いわゆる買収やM&Aを繰り返しながら事業を拡大していくビジネスモデルが多く見受けられます。そこで、まずは御社のビジネスモデルについて、もう少し詳しく説明していただけますか?
特に、例えばM&Aを行う際のいわゆるKPI基準について、例えばEV/EBITDAを基準として活用しているのか、それとも他社とのシナジー効果を見るのか、あるいは本当に良い会社を買収してその事業をそのまま継続させるのか、または御社が積極的に関与して、ハンズオンで事業を改善していくようなかたちを取っているのかなど、具体的なやり方についてもご説明いただきたいと思います。
重松:まず1点目のビジネスモデルの変化に関してですが、上場後、事業として大幅に変化していると考えています。
本日は説明しませんでしたが、こちらのスライドにありますように、当社は2020年に上場しました。それまでは、AI開発のライセンシングビジネスモデルが主軸でした。具体的には、ディープラーニングのアルゴリズムを開発し、それを大企業に提供してライセンス料を得るというビジネスモデルです。
ライセンス販売はソフトウェアの販売に非常に近いため、収益性が高いという特徴があります。しかし、ディープラーニングの成長は2022年以降、生成AI(ジェネレーティブAI)の分野へと大きくシフトしてきました。
トレンドが徐々に変化している中で、2021年以降2025年までの5年間については、AIを活用したサービスをオーガニックに自社で開発することを主軸にしていました。主には、マーケティングサービス、ハードウェアを使用したLED広告や屋外デジタルディスプレイを活用したプロモーション、さらにはホームページ制作などのサービスを展開してきました。
その後、2026年からビジネスモデルを大幅に変更しました。これまで述べたような従来のビジネスモデルから転換し、M&Aを活用した新たな展開を進めています。
AI技術によって買収した企業のコスト効率化や新たなセールスの向上を図ることで、価値をさらに向上させることを目指しています。単純に買収を重ねるだけでは価値の向上は期待できないため、この点が重要なポイントとなっています。
このように、ビジネスモデルを転換したことが全体の概要です。2026年から事業が大きく変わりました。
加えて、M&A戦略については、こちらのスライドに記載されているとおり、当社のビジネスモデルは、ディストレストや収益が悪い企業を買収して再生するというものではありません。
逆に言えば、継続性が高く安定しており、しかも黒字で、できれば営業利益ベースで少なくとも5パーセント、可能であれば10パーセント、EBITDAベースでおおよそ10パーセントから15パーセント程度の安定した企業を対象としています。PEファンドに近い安定したビジネスのキャッシュフローを前提とした投資であるという点が特徴です。
また、EV/EBITDAマルチプルを5倍以内としていますが、これは実際の利益の改善の見方により変動します。いわゆるファイナンス用語で「プロフォーマする」という部分が関わってきます。
見かけのマルチプルが5倍であっても、プロフォーマEBITDAの視点では、例えば2倍や3倍、さらに安く購入可能な企業となることもあります。ただし、どの会社も対象とするわけではなく、適正価格であることが重要です。
AI技術を活用して財務管理業務を簡潔化したり、あるいは映像やプロモーションの制作を生成AIに置き換えることで販売コストを下げたり、原価(COGS)を削減したりできるかどうかについて、私たちはデューデリジェンス(DD)で慎重に検討を行っています。
これにより、対外的なマルチプルは5倍という基準がありながらも、私たちだけが見ることができるEV/EBITDAは2倍を切るといった水準になることも視野に入れています。このように、AI技術を活用して独自のバリューを見出せるかどうかが、投資の基本方針になると考えています。
こうしたことが可能であれば、のれんの償却や減損を回避することができます。のれんは、純資産に比べて時価総額が高い場合に発生しますが、適正価格での買収ができれば、これらのリスクを抑えることができます。そのため、適正価格での取得が非常に重要であると考えています。
では、買収後に実際どの程度シナジーを創出するのかという点ですが、グループインした後については、すべてをハンズオンで変えるということは行いません。スライドの左側にあるとおり、グループインの方針として、文化や独立性を含めた事業に関しては基本的に維持します。
その事業が成長するのであれば、資金提供を行うことや、AI技術を適用することもあります。ただし、大幅に事業を変更したり、グループ会社同士を統合して新しい技術を導入し、その結果で売上を上げていくことを期待しながらプロフォーマするというわけではありません。
むしろ、既存の収益性の高い事業に対して速やかに改善を行い、AI技術を活用することで、マルチプルを相対的に下げることによって安定的に収益を生み出していくことが、まず投資のベースケースになります。
今期の予算はベースケースでの発表ですが、ではアップサイドケースをどのように見ているのかというと、アップサイドケースに関しては、AI活用によって新しく作成されたコンテンツのアップセルやクロスセルといったものをベースケースには含めずに買収を進めています。
そのため、これらを今後の成長シナリオとして組み込みつつ、価格を正当化できるような株式については、当社としてグループに迎え入れながら投資を進める方針です。
それを実現することができれば、多くの関係者が喜ぶのではないかと考えられます。しかし、そのような優れた企業に出会う確率は非常に低いのが現状です。我々が100社と出会ったうち、我々のシナジーやストーリーに合致する企業は4社ほどです。
その中でも双方が十分にDDを行い、上記のケースに該当する企業は100社中1社と考えています。この100分の1を実現するために最も必要なのはソーシング力です。現在、1ヶ月で60件から70件と述べましたが、これを継続的に出会い続けることが重要です。
そのソーシング能力が強みです。それを可能にすることで、当社のAI技術を活用し、先ほど述べた1パーセントの優れた会社に出会っていく、そのような仕組みを構築しています。
質疑応答:手本としている会社について
質問者:その戦略の中で、御社の比較優位とはどのようなところにあるとお考えでしょうか? あるいは、手本とされる会社はありますか?
例えば、技術承継機構では、スウェーデンの会社を参考にして進めている部分があったり、また先頃上場したセイワホールディングスでは、ハンズオンで承継問題に取り組み、自らの経験に基づいて赤字企業を黒字化し、そのノウハウをもとに他の会社を買収するような戦略であったりします。
御社も独自性を持って取り組んでいると思いますが、他の投資家でも理解できるように、似た会社をあえて例に挙げるとすれば、この戦略を実現するにあたって競合となる他社はどのような企業でしょうか?
重松:我々として現在ベンチマークしている会社は、M&Aの分野で10社ほどあります。これらの企業はすべて上場企業で、そのIR資料を徹底的に勉強しています。その中で、特に今のご質問に非常に近しい、投資家目線でも類似性が高いと考えているのは、規模にはまだ差がありますが、SHIFT社と技術承継機構です。
その理由は3点あります。まず1つ目は、M&A対象企業の規模感です。
SHIFT社の大きな特徴として、過去のビジネスモデルでは売上が5億円から20億円程度の企業を積極的に買収していた点が挙げられます。最近の1年ほどで若干の変化は見られるものの、このような中小規模の企業を対象にした買収を継続的に進めてきたのがSHIFT社の特徴です。
なぜその規模の企業を対象としているかといえば、この規模感では投資ファンドやPEファンドが買収を検討する30億円から70億円規模の企業とは異なり、競合するビッディングに巻き込まれることが少ないためです。
ビッディングになると実力以上の付加価値をつけた入札となります。このような戦いを行うと、スタートアップ企業としては多額ののれんが発生し、PEファンドや投資ファンドのビジネスモデルと比較して、のれん償却の面で非常に不利な立場となります。
キャッシュフローだけで計算することはできません。そのため、売上規模が20億円を超える30億円、40億円、50億円といった企業については、基本的にはプライマリーを優先しない方針をとっているというのが1点目です。
2つ目として、SHIFT社が非常に進んでいると考えられる点は、買収した企業内で効率化された人材を自社のテスティング要員として活用する仕組みにあります。
例えば、グループインした企業で効率化を進めた結果、一部の人員に余剰が生じた場合、PEファンドなどではその人員をリストラすることが一般的ですが、当社ではリストラを行う考えはありません。
ではどのようにするかというと、そのような人材を新たな領域や既存の領域に積極的にシフトさせていく方針をとっています。そうすることによって、PMIを行う際にコストの最適化を実現しやすくなります。
当社の場合、どのようにコストの最適化が起こるかというと、例えば人が担当していた業務やマニュアル業務、生成業務などをAIを活用することで、大幅に削減することが可能です。
そうすると、削減した人員を当社の既存の成長領域や、他の不足している事業の領域へ配置することによって、PMIにおけるコスト最適化が非常にスムーズに行えます。その結果、SHIFT社は他社が実現できない、他社よりも安いマルチプルで相対的に買収を進めることが可能だと認識しています。これは、テスト領域へ人材をシフトしやすい仕組みがあるためです。
3つ目は、技術承継機構の優れているところとして、統一性のあるテーマで事業を買収し、連続的なストーリーを作り上げていくことが挙げられます。
同じようなテーマのもとでシナジーを発揮しやすく、それによりテンプレート化されたPMIの手法を構築しやすいという強みがあります。そのため、同機構では規模が大きすぎるものは控え、コツコツと進めていく姿勢をとっています。
こうした点を踏まえると、当社もさまざまな企業を買収していますが、それらはエンターテインメント領域に属し、ゲーミングやイベントなど多少領域が異なるものの、ビジネスモデルに着目すれば非常に似ています。
例えば、すべての企業が個々に新たなクリエイティブ活動を展開し、その中にプロデューサーやディレクターがいて、新製品の企画提案を行い、それを提供するというビジネスモデルは、実は共通しています。
表向きには異なるように見えても、同じビジネスモデルを持つ企業を集中的に買収していくことで、結果的に技術承継機構が製造業で行っているPMIの方法と基本的には同じ仕組みとなります。
3つのポイントについてお話ししましたが、適切な規模であり、PEファンドとバッティングしないエクスクルーシブな規模の企業を選んで仲間に加えていくこと、また、その中で適切なバリエーションを考慮していくことが挙げられます。これらを考慮することで、当社の強みを発揮できると考えています。
さらに、適正価格で企業を買収していくことにより、当社のバランスシートはそこまで大きいものではありませんが、現在約20億円の現金を最も効率よく活用することで、技術承継機構のように創出されるキャッシュフローの中で次の投資を回せる仕組みへ、1年以内には移行できるのではないかと考えています。
そのため、お金の回し方やキャッシュフローの循環については、技術承継機構を参考にしています。
質疑応答:AI活用する対象の業界について
質問者:確認ですが、御社が現在得意としている分野は、AIを活用することは理解しましたが、例えば先ほどエンターテインメント会社の例も挙がっていましたが、このスライドにあるような業界に特化するということですよね?
重松:おっしゃるとおりです。
質問者:GENDA社はエンターテインメントというよりも、少しIPに近い、貴社とは異なる分野で活動されていますよね?
重松:GENDA社は近い分野です。ベンチマークもしています。ただし、彼らは外部のゲームセンターや物理的なゲーミング分野を手掛けており、我々はその分野は考えていません。現状では、我々とバッティングすることはありません。1回も入札でバッティングしたことがなく、そもそも入札自体も行っていません。
今のご質問に関連してお答えすると、この領域はM&Aの会社ともAIの会社とも、実は競合しない領域です。現在、いくつかのAIの会社をベンチマークしていますが、私の知る限り、上場企業の中でエンターテインメントに取り組んでいるAIの会社はありません。したがって、我々は基本的に、競合せずにビジネスを展開できています。
また、M&Aを行っている企業としては、例えばGENDA社のようにゲームセンターやエンターテインメントを手掛けている会社、技術承継機構のように製造業を扱う会社、SHIFT社のようにテスティングを行う会社などがありますが、ソフトウェアやエンターテインメントの領域を専門にしているM&A企業も存在しないため、こうしたM&A企業とも競合することはありません。
すなわち、AIともエンターテインメントとも競合しない領域です。しかし、非常に大きなマーケットが存在しています。特にエンターテインメントの領域においては、日本のビジネスでは過去40年から50年前に形成されてきた領域で、オーナー企業の多くが50歳から70歳、あるいは60歳から70歳の年齢層の方々により運営されています。
このように比較的古い業界では、オーナー企業の多くが引退を考える年齢に達しているケースが非常に多く見られます。そのため、事業の承継やエグジットを希望するオーナーが増えています。ただし、60歳前後の方々においては、まだ会社を辞めたくないという考えの方も多いことから、当社が事業承継を支援し、オーナーと一緒に事業を継続するケースが非常に多い状況です。
また、月に70件もの案件ソーシングが可能である理由としては、こうしたエンターテインメント業界の構造が背景にあります。この領域の買収に興味を持つAI企業やM&A企業が現時点で当社以外には存在せず、その結果としてほとんどすべての案件が当社に集まる状況が形成されています。これが当社が豊富な案件ソーシングを実現できている理由です。
質疑応答:プラットフォーム化における課題と効率化について
質問者:今年に入ってから急に始まったという印象がありますが、御社内でいわゆる組織的にプラットフォーム化を進めるにあたり、どのような課題があるのでしょうか?
例えば、このモデルを考えた際に、いくつか共有可能な部分があるはずです。例えば調達、人材、人事、会計といった分野など、多くのことが共有化できると考えられます。ある意味、買収した会社の営業や技術はそのまま活かしつつ、バックオフィス的な部分はすべて共有化することで効率化が図れると考えます。
それについて、すでに実現している部分があるのか、今後取り組むべきものなのか、それともその際に課題や障壁があるとすればどのようなものなのかを教えてください。
重松:実は、この新しい戦略を発表したのは3ヶ月前の通期決算の際ですが、それ以前、1年ほど前から取り組みを進めていました。その時点では発表していませんでしたが、シェアードファンクションや共通機能の構築を1年前から進めていました。
具体的には、財務のKPI管理手法や共通のトラッキング方法の整備などです。一見、異なるビジネスを買収しているように見えても、実はすべてプロデューサーやディレクターが関わり、クリエイティブを行う会社を買収しています。その中で生成の自動化手法などもすでに構築済みです。
今回の2件についてはかなり進展している印象を持っています。今年2月には2件の発表があり、それから3ヶ月後にはさらに3件目の案件が進行しています。これほど早く展開できる理由は、PMIを実現する際の方法をある程度固定化したからです。
固定化した方法を用いることで、支援体制構築に際して多くの人数を割いたり、新しい仕組みをイチから作ったりする必要がなくなり、時間を大幅に短縮することができました。
また、事業のベースケースにアップサイドを含めないという方針も要因となっています。そのため、買収した会社については、売上規模が横ばいで推移すると仮定したベースケースを組み、その上で効率化を図ることが予算に含まれています。
効率化を実現することで、アップサイドは各事業が自由に取り組み、我々のエンジニアリングで新たな仕組みを取り入れて進化させていきます。これをベースケースに組み込むと経営のリソースが多く割かれることになりますが、ある程度時間をかけて、まずは1年間程度で進めればよいと考えています。
このような体制を整えることで、次に新たな会社がグループに加わる際、いっそう効率的に進められるようになります。効率化に関しては、グループに加わった後、基本的には1ヶ月から2ヶ月、遅くとも3ヶ月以内には完了するという目標を掲げています。
そうすることで、次のM&Aをどんどん実施できる仕組みを、実はこの1年ほど前から構築していました。現在、3件目を実施していますが、この仕組みについては実現し、継続可能であると考えています。