■要約
ZenmuTechは、2014年3月に設立された企業で、コンピュータ利用の安心・安全を確保するソリューションを提供している。自社開発の秘密分散技術「ZENMU-AONT※1」を活用し、サイバー攻撃や端末の紛失・盗難等による情報漏洩リスクを低減する情報漏洩対策ソリューションを提供するほか、同技術を顧客のソリューションに組み込めるソフトウェア開発キットを販売している。さらに、(国研)産業技術総合研究所(以下、産総研)※2との共同研究を基にした秘密計算ソリューションを提供している。ZENMU-AONTは高い堅牢性に加えて、処理の高速性に特徴があり、競合技術に対して比較優位性がある。秘密分散技術・秘密計算技術はいずれも適用領域が広く、今後の利用拡大が見込まれる。同社は、2025年3月に東京証券取引所(以下、東証)グロース市場に上場した。
※1 ZENMU-AONTの「AONT」はAll or Nothing Transformationの略で、分散片がすべて揃わないと復元できない、より厳格なセキュリティ性を持つ技術方式。
※2 独立行政法人として設置された経済産業省所管の公的研究機関。
1. 2025年12月期の業績概要
2025年12月期の業績は、売上高が前期比31.3%増の851百万円、営業利益が同88.3%増の144百万円、経常利益が同90.8%増の160百万円、当期純利益が同98.6%増の155百万円と、売上高及び各段階利益で過去最高を更新した。主力の情報漏洩対策ソリューション「ZENMU Virtual Drive(ZVD)」のサブスクリプション契約の積み上げにより、2025年12月期末のライセンス数は115,417件(前期末比16.2%増)となった。これにより、ストック売上高が402百万円(前期比44.6%増)に伸長したほか、第4四半期に大型フロー案件を計上したことも寄与し増収となった。また、ZENMU Engineにおいてはアライアンス戦略の強化により事業を拡大した。利益面では、人材や研究開発、マーケティングへの成長投資により販管費は増加したものの、増収効果により販管費率は低下した。
2. 2026年12月期の業績見通し
2026年12月期の業績は、売上高が前期比26.8%増の1,080百万円、営業利益が同12.1%増の161百万円、経常利益が同12.1%増の180百万円、当期純利益が同93.7%増の302百万円と、大幅な増収増益の見通しである。主力のZVDの拡販を軸に、大手Sierとの連携強化や代理店販売の拡大、エンドユーザーへの認知度向上などを進めることで導入拡大を図る方針である。人材採用や研究開発、広報・マーケティングなどへの成長投資を継続する一方、ストック型収益の積み上げによる収益基盤の強化を図る。
3. 成長戦略
同社は、2030年12月期を最終年度とする中長期成長目標「30×30」を策定した。売上高CAGR(年平均成長率)30%と営業利益率30%を目標に掲げ、秘密分散及び秘密計算技術を軸とした事業拡大を進めている。主力のZVDの拡販に加え、ZENMU Engineのロイヤリティ収益拡大や秘密計算ソリューション「QueryAhead」のSaaS化を通じて収益基盤の多様化を図る。また、海外展開やM&A、人材投資を推進することで技術競争力と事業領域を拡大し、持続的な成長を目指す。
■Key Points
・独自開発の秘密分散技術・秘密計算技術はいずれも優位性があり、適用領域は広い
・2025年12月期は大幅な増収増益、売上高及び各段階利益で過去最高を更新
・2026年12月期も大幅な増収増益を見込む
・2030年12月期まで売上高CAGR30%を目指す
(執筆:フィスコ客員アナリスト 渡邉 俊輔)