■会社概要
1. 会社概要
ZenmuTechは、2014年3月に前 代表取締役社長CEOの田口善一(たぐちよしかず)氏によって、(株)シンクライアント・ソリューション総合研究所として設立された。「データの保護、利活用を追求する」をミッションとして掲げ、情報セキュリティ分野で独自のソリューションを提供している。社会全体でDXが進展し、AIや機械学習の活用が広がる一方で、サイバー攻撃の高度化や情報漏洩リスクは増大している。このような背景において、企業や組織はデータを安全に守りつつ、円滑に利活用することが求められている。同社は、安心・安全なデータセキュリティを社会に提供するため、自社開発した秘密分散技術「ZENMU-AONT」を活用した秘密分散ソリューション「ZENMU」シリーズを展開している。さらに産総研により開発された理論とZENMU-AONT開発のノウハウを生かした「秘密計算ソリューション」の開発を進めている。2025年3月には東証グロース市場に上場し、成長ステージを次の段階へと進めた。
秘密分散ソリューションでは、PC向け情報漏洩対策ソリューション「ZVD」及び秘密分散技術を外部製品に組み込むための秘密分散ソフトウェア開発キット「ZENMU Engine」の2つの主要ソリューションを展開している。ZVDは、テレワークやBYOD※環境における情報漏洩リスクを低減し、サブスクリプションモデルを中心に企業の利用が広がっている。ZENMU Engineは同社がOEM提供を行うことでデジタルウォレットや防犯・監視カメラ等にも活用されている。また、秘密計算ソリューション「QueryAhead」は、データを秘匿化したまま分析・活用できる仕組みを提供し、AIや機械学習分野での利用拡大が期待されている。
※ BYOD:Bring Your Own Deviceの略。自宅などで、従業員自身が保有しているデバイス(PC、携帯など)を使って業務を行う環境のこと。
2. 沿革
同社は、シンクライアント※1関連ビジネスから創業し、PC向けセキュリティの知見を蓄積してきた。その後、中核技術となる「秘密分散」技術に着目し、2015年にPC向け情報漏洩対策ソリューション「PASERI for PC(現 ZENMU for PC(ZPC))」のサービス提供を開始した。続いて、2018年に現在のZENMU-AONT方式を採用したZENMU Engine、2019年にZVD、2021年にQueryAhead、さらに、ZVDの利便性を高めたZENMU Virtual Drive Enterprise Edition(ZEE)のサービス提供を開始した。2023年には、(株)AIST Solutions※2から、同社の技術力と、データ保護や利活用といった社会課題への取り組みが評価され「AISolスタートアップ」として認定された。2025年には、大規模な自然災害や広域災害時にもZVDを継続して使えるようZENMU Virtual Drive ディザスタリカバリ オプションのサービスやVDI※3との共存モデル「ZENMU Virtual Drive Limited Edition(ZLE)」の提供も開始した。
※1 シンクライアント:企業などの情報システムにおいて、ユーザーが使うPC等の端末に必要最小限の処理をさせ、ほとんどの処理をサーバー側に集中させることでソフトウェアやデータなどの資源を集中管理するシステム構成のこと。
※2 AIST Solutions:産総研が100%出資で設立した法人。産総研の技術資産と研究資源を活用し、積極的なマーケティング活動を通じた、オープンイノベーションの強化、エコシステムの構築、新規事業の創出を目指している。
※3 VDI:Virtual Desktop Infrastructure(仮想デスクトップ基盤)の略称。利用者はPCからサーバー上のOSやアプリケーションに接続し、デスクトップ画面を呼び出して操作できる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 渡邉 俊輔)