ハイライト
久世良太氏(以下、久世良太):みなさま、こんにちは。株式会社サンクゼール代表取締役社長の久世良太です。日頃より当社の企業活動にご理解とご支援を賜り、誠にありがとうございます。
これより、2026年3月期の決算概要と今期の事業方針についてご説明します。
まず、2026年3月期の連結決算についてご説明します。スライドは2026年3月期決算のハイライトです。売上高はホールセール事業とグローバル事業が全体を牽引し、前年同期比5.8パーセント増の206億円となりました。
売上総利益は前年同期比8.6パーセント増の73億6,500万円、売上総利益率は35.8パーセントとなり、前年同期比で1ポイント改善しました。利益率の高い商品の販売強化や、FC向け卸価格の適正化を進めたことで、原材料価格の高騰が続く中でも売上総利益の改善につながりました。
営業利益は前年同期比5.3パーセント減の7億9,100万円、営業利益率は3.8パーセントとなり、前年同期比で0.5ポイント低下しました。
売上高および売上総利益は改善しましたが、成長に向けた人件費や販促費などの先行投資が増加したことが、前年を下回った主な要因です。
当期純利益は前年に計上した一過性の減損損失の影響がなくなり、前年同期比76.4パーセント増の6億1,800万円となりました。
連結業績概要
連結業績の概要です。通期の業績については、先ほどハイライトでご説明したとおりです。
第4四半期連結会計期間の売上総利益率は34.8パーセントとなり、前年同期比で0.2ポイント改善しました。
営業利益率は人件費や販促費の増加が影響し、前年同期比で1.7ポイント減の2.9パーセントとなりました。
四半期純利益は、為替差益などの計上により1億3,734万8,000円となり、前年同期比で大幅に増加しました。
販管費の状況
販管費の状況についてご説明します。当連結会計期間の販管費は前年同期比で10.6パーセントの増加となりました。人件費や販促費は増加したものの、輸送費が高騰する環境下において、物流の見直しや内製化などの削減施策を実施した結果、通期では荷造運搬費の削減に成功しました。
連結営業利益 前年同期比
営業利益の前年同期比の要因についてご説明します。当連結会計年度は、売上高および売上総利益は増加したものの、営業利益は前年同期比で減少しました。主な要因としては、成長に向けた人件費の増加が挙げられます。中長期的な成長を見据え、人材体制の強化を進めたことが、短期的には営業利益の押し下げ要因となりました。
また、ホールセールやグローバル市場での売上拡大に伴い販促費が増加し、全体の利益率にも影響を与えています。
連結売上高推移
スライドは四半期ごとの売上高推移です。当連結会計期間では、すべての四半期で前年同期を上回る売上高を記録しました。
中でもホールセールおよびグローバル事業が通期で売上成長を牽引しています。また、第4四半期では、これまで伸び悩んでいた店舗チャネルも前年同期を上回る売上を記録しました。
販売チャネル別売上高
販売チャネル別の売上高についてご説明します。直営・FCを含む店舗の売上高は、通期では前年をわずかに下回る結果となりました。物価高による買い控えの影響などで来店客数が伸び悩んだことが要因と考えています。ただし、第4四半期では店舗売上が前年同期を上回り、回復基調が見られています。
ECについては、自家需要の増加が見られた一方でギフト需要が減少し、前年を下回る結果となりました。
ホールセールおよびグローバルについては、商品ラインナップの見直しや販路拡大が売上成長を牽引しています。
既存店 売上高・客数・客単価 推移
既存店の売上高、お客さま数、お客さま単価の推移です。当連結会計期間では、既存店のお客さま数は通期で減少傾向が続いています。一方、お客さま単価は価格改定の効果もあり、安定して上昇しています。
このような中、第4四半期においては、既存店売上高が前年同期を上回って推移しています。お客さま数は依然として前年同期比で100パーセントを下回っていますが、期を通じて見るとその水準は改善傾向にあります。店舗売上の回復基調の背景には、お客さま数の回復に向けた変化が表れつつあると捉えています。
業態別店舗数
ブランドごとの店舗数の増減についてです。当連結会計期間では、「サンクゼール」業態の一部店舗を「久世福商店」業態へ転換し、「久世福商店」業態の店舗数を増加させました。
一方、「サンクゼール」業態については、ブランド再構築のために店舗数を絞り込み、現在は本社のある長野県飯綱町を中心にブランド価値向上に向けた改革を進めている段階です。
グローバルの状況 : 国別売上高
グローバル事業の状況についてご説明します。グローバル全体では、各国で売上が着実に拡大し、高い成長を維持しています。
米国では、「Kuze Fuku & Sons 」の売上拡大に加え、「Bonnie’s Jams」と「KELLY’S JELLY」の販売が順調に推移し、売上高は前年同期比で大きく伸長しました。
台湾においては、米系大手小売チェーン向けの取扱数量が増加し、売上高は前年同期比で2桁の成長となりました。
その他の地域では韓国、オーストラリア、カナダ、香港を中心に取引があり、特に韓国では売上高が前年同期比で大きく増加しました。
貸借対照表
貸借対照表について、主な特徴をご説明します。当連結会計期間では固定資産が増加しており、これは自社商品の製造強化を目的とした工場の取得や新規事業に伴う物件の取得によるものです。
これらの成長投資に伴い、負債が増加し、自己資本比率は一時的に低下していますが、いずれも将来の成長を見据えた戦略的な投資と位置づけています。今後は、これらの投資を着実に成果へとつなげていきます。
ROIC・ROE
ROICおよびROEの推移です。ROICは8.5パーセントとなりました。当連結会計期間では、将来の成長を見据えて資本投下を積極的に行ったため、短期的にはROICが低下しましたが、これらの投資は生産体制の強化や新たな収益機会の創出を目的としています。今後はこれらの投資の回収により、ROICの改善を図っていきます。
ROEは、親会社株主に帰属する当期純利益が増加したことから、12.2パーセントと改善しています。当社グループでは、成長投資と資本効率の両立を重要な指標として認識しており、今後も収益力の拡大を通じて、中長期的なROEの向上を目指します。
2027年3月期 連結業績予想
2027年3月期の業績予想についてご説明します。今期の業績予想は、人件費を中心とした先行投資の継続や、原材料価格や輸送費の高止まりといった外部環境を織り込み、現在の事業環境や施策の進捗を踏まえた内容となっています。
売上高については、店舗における直近の回復傾向を着実な成長へとつなげる段階と位置づけ、現実的な前提をもとに設定しています。
利益面についても、業務効率化を目的とした各種改善策を確実に実行しつつ、投資と収益のバランスを重視した水準を見込んでいます。
今期は、これまで積み上げてきた取り組みを着実に成果として表し、次の成長フェーズに向けた土台を固める1年と位置づけています。
取組みの成果と直近の課題
これまでの取り組みの成果と直近の課題についてご説明します。取り組みの成果としては、ホールセールの売上回復や、グローバル事業における米国SCI事業の営業利益黒字化が挙げられます。
直近の課題としては、既存店のお客さま数の減少が挙げられます。
取組みの成果|①ホールセール売上高の回復
ホールセール事業についてご説明します。ホールセール事業の売上高は着実に回復しており、現在は売上高の拡大に加え、収益構造の改善フェーズへ移行しています。
これまで取引先ポートフォリオの拡大や商品ポートフォリオの充実、お客さまニーズに基づいた商品企画を進めてきました。
その結果、特にお菓子領域を中心に販売が拡大しました。また、使い切りサイズの商品展開や取引先の拡大により、より多くのお客さまにリーチできる体制が整いつつあります。
取組みの成果|②SCI(米国事業)の黒字化
米国事業であるSCIの取り組み成果についてご説明します。SCIでは、これまでM&Aや営業強化による売上拡大に加え、製造工場の生産性向上、固定費・変動費の管理強化、そして限界利益の改善に取り組んだ結果、営業利益がV字回復し、黒字化を達成しました。
今後も、さらなる成長と安定的な収益確保の両立を目指します。
直近の課題|既存店客数の減少
直近の課題である「久世福商店」の顧客数の減少についてご説明します。お客さま数については、10月を底に、その後は緩やかに改善傾向が見られます。
現在、売り場改革として売り場演出や商品開発などに取り組んでいますが、一部の施策はアウトプットが後ろ倒しになっている状況です。そのような中でも、お客さま数は徐々に持ち直していると認識しています。
2027年3月期事業方針
ここからは、2027年3月期の事業方針についてご説明します。今期の事業方針として、課題への取り組みと事業成長への取り組みについてそれぞれまとめています。
既存店お客様数増加への取組み
課題への取り組みについてご説明します。既存店のお客さま数回復に向けて、当社が目指す姿は「いつ行っても新しい発見があり、20〜30分いても飽きない売り場づくり」です。この実現に向けて、3つの施策に取り組んでいきます。
1つ目の施策は、商品の「使い方」や「選び方」が直感的に伝わる売り場作りを通じた購買率向上を目指した売り場演出です。
2つ目の施策である商品開発では、継続的にご利用いただいているお客さまはもちろん、新規のお客さまや購買回数の少ないライト層のお客さまに向けた商品開発を強化しています。
3つ目の施策は、試食・試飲や接客力を通じて、店舗ならではの体験価値を高める店舗販売力の強化です。
既存店お客様増加への取組み|売り場演出
それぞれの施策について詳しくご説明します。1つ目の施策は、売り場演出の強化です。
これまで、商品の用途や使い方がわかりにくいことで、入店後に店内を十分に見て回っていただけないという課題がありました。これに対し、商品を選ぶ理由や利用シーンが直感的に伝わる売り場作りを進めています。
今後は、売り場演出の精度をさらに高めながら、全店へ展開を進め、来店客数の増加と購買促進につなげていきます。
既存店客数増加への取組み|商品開発
2つ目の施策は商品開発です。マーケティング調査の結果から、ライト層のお客さまとリピーター層のお客さまという2層へのアプローチが重要であると考えています。
ライト層のお客さまに対しては、手に取りやすい価格帯の入口商品の充実を図り、入店や購買のハードルを下げることで、入口商品の継続的な購入につなげていきます。
一方、リピーター層のお客さまにおいては、お料理を楽しまれる方が多いことを踏まえ、ふだんの料理のベースとなる出汁などの定番商品を起点に、より高付加価値な調味料へ自然に選択肢を広げていく商品構成を進めていきます。「久世福商店」の商品を日常に欠かせない存在として継続的にご利用いただくことで、リピートの拡大を目指していきます。
これらの取り組みを通じて、両顧客層の入店率を高めるとともに、店内での商品接点を強化し、購買につながる商品開発を推進していきます。
既存店客数増加への取組み|店舗販売力
3つ目の施策は、店舗販売力の強化です。店舗での接客や体験は、購買率の向上だけでなく、お客さまにファンになっていただくための重要な接点と考えています。
当社グループでは、店頭での試飲・試食による体験価値の提供に加え、接客力や商品理解力の向上を目指した各種研修を定期的に開催しています。これにより、お客さま一人ひとりに合わせた提案力や店舗オペレーションの質を高め、売り場演出や商品開発の成果を確実に購買へと結びつける役割を担っていきます。
既存店客数増加への取組み|既存店売上高及びロイヤル顧客数KPI
既存店舗におけるお客さま数増加を図るための売り場改革によって目指すのは、1店舗当たりの売上拡大とロイヤル顧客数の継続的な増加です。
既存店の平均年商については、商品経営による安定成長に加え、売り場改革の効果を重ねることで、3年後には2026年3月期比で1.2倍の水準を目指していきます。
また、ロイヤル顧客数については、店舗体験価値の向上および継続的な利用促進を通じて、3年後には200万人規模、2026年3月期比で2.5倍への拡大を目標としています。
お客さま数の回復をゴールではなく、売上成長とファン層の拡大につなげるための出発点と位置づけ、これらのKPI達成に向けた取り組みを着実に推進していきます。
収益性の改善
収益性の改善に向けた取り組みについてご説明します。原材料価格の高騰が今期も継続する見通しの中、当社グループでは利益確保に向けた施策を継続的に実行しています。
具体的には、昨年取得した製造工場にて、自社製造の商品内製化率を55パーセントから80パーセント程度に引き上げることで製造コストを低減し、営業利益率の改善を図っていきます。
あわせて、AI活用を固定費の抑制に有効な施策と位置づけ、AI投資を積極的に進めていきます。これにより、事業拡大の中でも固定費を効率的に抑制できる体制を構築していきます。
当社グループは、これらの取り組みを通じて、持続的な収益構造の改善を進めます。
グローバル事業の更なる成長に向けた基盤確立|SCI
事業成長への取り組みについてご説明します。グローバル事業のうち、SCIでは直近で営業利益の黒字化を達成しており、今後はこれを継続的に定着させるフェーズに入っています。
引き続き、配荷店舗数の拡大による売上成長に加え、原材料の見直しなどによる商品利益率の向上を進めます。あわせて、固定費・変動費の管理を徹底し、工場稼働率を向上させることで利益構造の安定化を図り、黒字基調を確かなものにしていきます。
グローバル事業の更なる成長に向けた基盤確立|アジア
グローバル事業のうち、アジア事業では台湾および韓国を軸に商品販売網の強化を進めています。台湾における「久世福商店」ブランドの商品展開は順調に進んでおり、直近では安定成長フェーズに入っています。
また、韓国においては、昨年設立した現地法人により市場の情報収集力を高めるとともに、顧客ニーズに応じた商品提案を強化し、売上は拡大基調で推移しています。
今後も台湾および韓国を重点市場とし、アジア事業における売上拡大と成長基盤の強化を進めていきます。
新規菓子事業
新規菓子事業についてご説明します。本事業は全国の観光エリアに点在する名物菓子を軸とした新規事業の第1弾として、2026年10月の開業を目指し、善光寺仲見世通りに店舗を開設する予定です。
将来的には、善光寺をモデルケースとして観光地の特性を活かした商品や売り場作りを通じ、地方創生に取り組むとともに、地域菓子事業者の事業継承の受け皿となり、全国の観光地への展開を目指します。
本菓子事業は、当社グループが持つ商品開発力や店舗運営力を活用し、新たな成長ドライバーの候補となる事業として育成していきます。
食のSPAモデルの強化
ここまで、2027年3月期の事業方針についてご説明しました。さまざまな施策を推進し、実現を目指しているのは、当社グループの特徴である食のSPAモデルの強化です。
開発・製造・販売を一体として捉え、お客さまの声を起点に各機能を連動させることで、価値創出のスピードと質を高めることを目指しています。
今後は、既存事業の磨き込みに加え、M&Aの活用も視野に入れ、食のSPA機能をさらに強化し、より強固な競争優位性の構築と持続的な成長につなげていきます。
成長イメージ
スライドは中長期的な事業成長のイメージです。当社グループは、「久世福商店」の店舗事業を基盤としながら、ECおよびグローバルといった既存チャネルの拡大に加え、新規事業を成長の原動力として推進していきます。
これにより、複数のチャネルやブランドが相互に補完し合う事業構造を確立し、外部環境の変化にも強い成長基盤を構築します。当社ならではの「食のSPAモデル」を進化させることで、持続的な収益成長と企業価値の向上を実現していきます。
以上で、2027年3月期の事業方針についてのご説明を終了します。ご清聴ありがとうございました。
質疑応答:業績予想の見立てと中東情勢による影響について
質問者:今期の業績予想については、微増収・微増益という見通しで、比較的保守的な見方をされているのではないかと思います。国内事業の既存店の回復については、一部施策のアウトプットが後ろ倒しになっているものもあるとのことで、国内既存店事業の回復が重要なポイントになるかと思います。一方で、原材料価格や物流費の高騰、人件費の先行投資によって、収益性においては踊り場、あるいは踏ん張る時期とも考えられます。今期の業績をどのような考えで立てられているのでしょうか? また、中東情勢によって、包材等に関連して御社に影響はないかどうかも教えてください。
久世良太:業績予想の見立てやその背景についてご説明します。ご存知のように、中東情勢の悪化が懸念されている状況があり、そのような外部環境についてはかなり保守的に見立てており、マイナス要因の影響を織り込んでいます。一方で、今期は既存店の回復が大きく進展すると予想されるため、そのプラス要因をしっかりと反映した内容となっています。
微増となっているのは、悪化要因をしっかりと織り込んだ結果であり、ある種保守的な見立てをしているためです。これは、後ほどご説明するSCI事業とも関連しますが、国内およびグローバルでそのような見立てを行っています。
原料価格の影響については、ナフサを原料とする資材が不足している中で、一部のサプライヤーによって袋物の価格が上昇しているのは事実です。現在、代替手段を幅広く検討しており、グローバルチームも加わりながら進めています。
ただし、このような状況も業績予想の考え方にしっかりと織り込んだ上で、現時点での判断を示しているとご理解いただければと思います。
質疑応答:グローバル事業における今期業績予測と構造改革について
質問者:主にSCIに関わる部分ですので、直樹副社長におうかがいします。2027年3月期のグローバル事業の売上予想はほぼ横ばいという見通しで、これまで右肩上がりに推移してきた台湾、韓国、そして特に米国が中心となって成長を牽引してきた部分があるかと思います。今回の予想は主軸である米国の売上が伸び悩むのか、それとも別の要因によるものか、その背景について教えてください。また、グローバルの売上高および収益性について、黒字化は達成されていますが、2027年3月期においてどのように見込んでいるのでしょうか?
久世直樹氏(以下、久世直樹):グローバル事業の今期業績予測についてご説明します。まず、アジア事業は非常に好調に推移しています。一方で、米国事業については、より保守的に予測を立てています。これは、まさに世界情勢のさまざまな影響を受けたためです。インフレが強く影響を及ぼすのではないかという懸念があり、消費動向が変化することを織り込んで、慎重な予測を立てています。
一方で、コストコのようなバリューチェーンチャネルでは、むしろ顧客が戻り、活発化している様子が確認されています。それに伴い、私たちはバリューチェーン系チャネルに対して営業を強化しています。
特に足元では米国事業の動きが堅調で、ガイダンス上はやや控えめな見通しを立てていますが、この分野については成長可能性を楽観的に捉えています。今後も管理運営をしっかりと行い、成長を目指したいと考えています。
数年前から構造改革を進め、なんとか黒字化を目指して取り組んできましたが、現在もしっかり遂行できていると考えています。販売ボリュームも増加しているため、インフレ局面であってもサプライヤーとの交渉を強化し、原価低減を達成していきたいと思います。現時点でも交渉を着実に強化しています。
また、製造ボリュームも大幅に増加しており、高い稼働率で運営を進めているため、1本当たりの限界利益率も向上しています。この黒字化目標を確実に達成していきたいと考えています。
質疑応答:内製化による収益性改善と営業利益率向上について
質問者:2027年3月期の夏場に、昨期にM&Aを行った工場が稼働することで、内製化による収益性改善が進むという説明がありました。スライドの32ページに「全社の営業利益率が1ポイント改善」とありますが、これは今期からの改善として発現すると考えてよろしいでしょうか?
久世良太:そのように考えています。6月から、まず長野工場の1ラインを稼働予定です。この部分の収益改善については、最初から1ポイント丸々の効果ではなく、半分程度の効果が出ると考えています。この影響は6月以降ですので、第1四半期や第2四半期あたりから徐々に見えてくるのではないかと見込んでいます。
質疑応答:トランプ政権の関税に関する対応について
質問者:直樹副社長におうかがいしたいのですが、トランプ政権下の関税に関してです。裁判所の裁定もある中で、御社は払い過ぎた関税の還付などを米国政府に求めたりされているのでしょうか?
久世直樹:当然ながら、そのような動きは今後も周囲の動向を見ながら進める予定です。ただ、現在の状況では、売上が成長している理由は、米国内で仕入れた材料を米国内で製造し、販売していることにあります。そのため、関税の影響はあくまで最小限にとどまっていると考えています。
質疑応答:米国でのSCI販売製品の米国調達比率について
質問者:この間、M&Aでグループに入ったプロダクトについてですが、クロスセルも含めて、御社が現在米国でSCIとして販売しているものの比率は、8割から9割程度が米国調達なのでしょうか?
久世直樹:そのように考えていただければと思います。
質疑応答:中東情勢がもたらす影響について
司会者:「中東情勢による影響を教えてください」というご質問です。
久世良太:直近で少し懸念しているのは、ナフサ原料の不足によるパウチタイプの袋物の調達です。例えば、既存ビジネスは問題ないのですが、新規事業のお菓子の開発においては、サプライヤーによって「新規は現在受け付けていない」という声をいただくことがあり、このような調達の確保には大きなリスクがあります。
また、既存事業においても原料の確保自体は可能ですが、価格が20パーセントから30パーセント上昇しているため、一定の影響が出ていると感じています。
昨年高騰し過ぎた原料価格が現在は低下局面に入っているため、全体としてコスト制限・抑制に努めています。また、当該原料については大々的な調達が可能か複数のサプライヤーに確認しており、会社として守りの姿勢を強化しています。
質疑応答:原材料価格の低下とパッケージ改革の取り組みについて
質問者:お話の中で、昨年高騰し過ぎた原材料の価格が現在低下局面にあるとおっしゃっていました。この原材料とは具体的にどのようなものですか? また、カルビー社では現在、例えばインクを減らしたり商品のパッケージを変更したりする取り組みが行われていますが、御社でもそのような改革や取り組みを進めているのでしょうか?
久世良太:個別の原料については、現在詳細を把握していないため、次回以降にお伝えできるようにしたいと考えています。ただし、品目によっては過度に高騰していた価格が下がってきているものもあるのは事実です。
また、インクの使用削減などの取り組みについてですが、原価低減の施策をこの1年間、厳しく見直しながら進めています。他の食品企業さまも同様の対応をしていると思いますが、当社としてもコスト抑制にしっかり努めていきたいと考えています。
質疑応答:新規の菓子事業の収益化までの期間について
司会者:「新規の菓子事業は、収益化までどの程度時間がかかりますか?」というご質問です。
久世良太:菓子事業は物販のカテゴリに含まれるため、固定費がそれほど高くない事業であると想定しています。主要なカテゴリの商品については自社製造を予定しているため、1個当たりの限界利益が高いと見込んでいます。それにより、損益分岐点が決して高くなく、黒字化しやすい事業だと考えています。
加えて、来年は善光寺御開帳という繁忙期にあたるため、短期的に収益を上げられるのではないかと予測しています。
一方で、マーケットやお客さまの反応を見ながら、適切に軌道修正や商品の入れ替えを行う必要があると考えています。そのため、注意深く状況を見守りつつ、収益を生み出しやすい構造をしっかりと理解しながら事業を進めていきたいと思います。
質疑応答:店舗会員数とロイヤル顧客会員の比率について
司会者:「足元の店舗会員数とロイヤル顧客会員の比率について教えてください」というご質問です。
久世良太:店舗会員数については、少し調べてみたところ47万人です。ロイヤル顧客会員の割合は、そのうちの約18パーセントです。
質疑応答:サンクゼール業態のブランド改革と今後の店舗展開について
質問者:久世社長のご説明の中で、「サンクゼール」業態に関してブランド改革を進めているとのお話がありました。店舗数を絞りながら、一部の「サンクゼール」業態から「久世福商店」業態への転換も進めていると認識しています。「サンクゼール」業態において、ブランド改革をどのような軸や狙いで進めているのでしょうか? また、店舗数の転換も伴っているため、今期は純増で2店を計画中とのことですが、今後の国内における店舗展開をどのように考えていらっしゃるのかも教えてください。
久世良太:まず、「サンクゼール」についてですが、店舗数は現在、長野県に一定程度絞り込んでおり、長野県飯綱町にある「サンクゼールの丘」と呼ばれる本社エリアの改装を今年4月に実施しました。この改装は、「サンクゼール」ブランドの体験価値を最大限高めることを目的とし、デリコーナーを大幅に拡充しました。また、商品の開発においては、スイーツなど複数店舗では実現できないようなものづくりの手法を取り入れるかたちで進めています。
このような取り組みを今期中に実施し、さらに長野県内で新たにリブランドした店舗の試験的な開発にも取り組んでいきたいと考えています。これが成功すれば、他エリアでの新規出店の可能性が広がると考えています。その後は出店計画およびEC事業の成長についてもご紹介できるようにしたいと考えています。
質問者:「サンクゼール」は、もともとの祖業、つまり創業時の業態ですが、より長野に紐づいたかたちで、体験価値も含めたブランドに磨き上げていくということでしょうか? 「久世福商店」でも長野で製造された、あるいは長野にゆかりのある商品を販売していますが、それ以上に信州に特化したブランドを目指されるのですか?
久世良太:はい。おっしゃるとおり、少し尖らせつつ、長野と紐づけるようなブランドとして再定義して進めていくのが正しいと考えており、現在その仕立てを進めている最中です。本店にお越しいただければ、その変化の部分も確認できるかと思います。
質問者:リニューアルは完了したのですか?
久世良太:はい。ゴールデンウィーク前に行いました。
質疑応答:国内店舗数の展開と将来の出店計画について
質問者:国内店舗は前期、業態の転換などもあったため、純増としてはプラス2店舗だと思います。2027年3月期も業態変更などを含め、店舗数としては純増で見るとプラスマイナス2店舗程度の増加を見込んでいるということでしょうか?
久世良太:おっしゃるとおりです。店舗の純増は2店舗を見込んでおり、出店数は今期、2店舗から3店舗程度を予定しています。これは、商業施設の新規出店数がやや頭打ちとなり、市場の成熟感が見られることが要因として挙げられます。
ここでは、出店数を無理に拡大するのではなく、既存店の売上成長に注力できると考えています。そのため、こちらにフォーカスしたかたちで進めていきたいと思います。ただし、機会があれば出店も検討しており、店舗開発を進めていますので、その際にはまたご報告します。
質疑応答:大型商業施設からの引き合いについて
質問者:先日長野マラソンの時に、「久世福商店 イオンモール須坂店」に足を運びました。まさにポップアップ的というか、非常におもしろくディスプレイが工夫されている印象を受けました。モール自体の数は今、それほど伸びていないと思いますが、大型商業施設からの引き合いは一定数あるということでしょうか?
久世良太:その点については特に問題なく、お声がけをいただいています。もちろん、大型商業施設をはじめとするデベロッパーの方々からお声がけをいただくこともありますし、また入れ替えのタイミングで新しい提案をしていくなどの努力もしています。
質疑応答:既存店の客数減少と回復可能性について
司会者:「既存店の客数減少が続いていますが、構造的な問題ではないでしょうか? 本当に回復可能と見ていますか?」というご質問です。
久世良太:さまざまな分析を行っていますが、ロイヤルティの高いヘビーユーザーやリピートされているお客さまの数は、そこまで大きく減少していません。ただ、マーケティングやPOSデータの分析結果からわかってきたのは、ライト層のお客さまが、足元の環境下、この2年ほどで財布の紐が固くなっていることです。そこで、このライト層のお客さまに向けて、間口の広い商品の開発を進めています。
例えば、200円や300円台といった少し地域のNB商品を入口商品として期間限定で入れ替えることで、店頭に変化をつけたり、「ちょっと試しに買ってみよう」と思っていただけるような商品の開発を進めたりしています。
4月以降の取り組みでは、売上も非常に好調に推移しており、それが客数の増加にもつながっています。このように反応が良いことから、私はMDの政策をしっかり進めていけば、問題はないのではないかと考えています。
さらに、これに関連した手軽な商品をライトユーザー層向けに開発しています。最近では「黒糖ミルク珈琲の素」を4月以降に発売しており、牛乳と割ることで非常においしいカフェドリンクになると評判です。SNSでも多く取り上げていただいています。
このような商品をスピード感持って展開し、価値ある商品を提供し続けることで、ロイヤルティの高いお客さまだけではなく、「久世福商店、おもしろいものがあるね」と新規のお客さまにも立ち寄っていただけます。新規のお客さま層は数として非常に大きいものがあるため、このような層を取り込むことで客数は回復すると考えています。こちらについては、四半期ごとにしっかりとご報告したいと思います。