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アルインコ、売上高は3期連続の過去最高更新を見込む 上限110万株・10億円の自己株式取得で株主還元を強化

トピックス

小林宣夫氏:アルインコ株式会社代表取締役社長兼社長執行役員の小林です。本日は決算説明会をご視聴いただき、ありがとうございます。

本日は、トピックスと2026年3月期の実績、そして2027年3月期の業績予想を中心にご説明します。

基本情報

本日初めてご視聴される方もいらっしゃるため、簡単に会社概要をご説明します。当社は1938年に創業し、1970年7月に会社を設立しました。創業から88年、設立から56年を迎える企業です。

グループ会社は、国内10社、海外9社の合計19社で構成されています。海外には中国、タイ、ベトナム、インドネシアに子会社があり、東南アジアを中心に製造部門、レンタル部門、開発部門を擁しています。

当社の決算期末は3月20日ですので、ご留意ください。

沿革

当社の沿革です。当社は1938年に大阪で「井上鉄工所」を個人創業し、主に自転車部品などを製造していました。その後、1970年に「井上鉄工株式会社」を設立し、この頃から建設用足場の製造準備を進めてきました。

現社名である「アルインコ株式会社」に社名変更を行ったのは1983年です。この年には、「アルインコテレビショッピング」というテレビ通販を開始しました。それに伴い、「旧社名の井上鉄工株式会社は適切ではない」と判断し、アルインコ株式会社に社名変更しました。

社名の由来についてです。「ALINCO」を3つに分解すると、まず「AL」はアルミ製品を表しています。当社は鉄工所から始まりましたが、アルミ製品の時代が到来すると考え、それにちなみアルミニウムの元素記号である「AL」を取り入れました。次に、創業家が井上家であるため、井上のイニシャル「IN」を加えています。さらに、会社を表す「CO」を組み合わせることで、この造語が生まれました。

スライドに示すとおり、海外展開やM&Aによる子会社の取得などを通じて事業の幅を広げてきました。これが当社の沿革の歴史です。

経営方針と事業セグメントについて

経営方針です。当社の事業経営方針は「ニッチマーケットでトップ企業に」を掲げています。大きく4つのセグメントで運営しています。コア事業である建設機材関連事業では、建設用足場の製造・販売、レンタルを中心に展開しています。

住宅機器関連事業においては、アルミ製品の昇降機器やフィットネス機器の製造・販売を手掛けています。

また、少し異色の分野ではありますが、電子機器関連事業では、アマチュア無線からスタートし、最近では業務用無線機や消防無線機などにも参入しています。将来の成長が期待される分野として積極的に取り組んでおり、事業の成長を図るべく運営を進めています。

新型足場『アルバトロス』とわく組足場の違いについて

当社は、「ニッチマーケットでトップ企業に」ということで、業界No.1を誇る事業が複数あります。現在、当社が中心として進めているのは、建設用の足場である「アルバトロス」という製品です。

スライド左下の図で示している従来型のわく組足場は、海外から導入されて以来、日本の高度成長を建設用足場として支えてきました。しかし、右下のグラフにもあるように、現在では日本国内のすべてのメーカーを合わせても、生産するメーカーがほとんど存在しないのが現状です。建わくの生産量は2014年のピーク時からほぼゼロになっています。

それに代わる新型足場として、「アルバトロス」が当社の主力製品となっています。この製品は分解するとポール状になり、効率的な組み立てと解体が可能です。また、輸送コストや保管コストの軽減にも寄与する製品であり、当社はこの製品を中心に事業展開を進めています。

設立からの売上高推移

設立からの売上高推移です。スライドの黄色の折れ線グラフは、国内の名目建設投資額を示しています。このグラフは山あり谷ありの推移を示しており、それに呼応するかたちで当社の売上高は右肩上がりで増加しています。

緑色の棒グラフは、100億円単位で売上高が増加した年度を示しており、おおむね3年から5年の間隔で100億円単位の増加を続けてきました。しかしながら、表の中央部分にある1992年3月の321億円から2015年3月の422億円までの約23年間は、当社の業績がもっとも伸び悩んだ時期でした。

名目建設投資額が1992年に過去最高の84兆円となり、これ以降にこの金額を超えた年はありません。その後は右肩下がりとなり、2010年には18年かけて42兆円まで減少し、建設投資額は半減しました。この期間の建設業界は非常に厳しい環境下にあり、当社のコア事業である建設用の足場も非常に厳しい時期を迎えていました。

直近の売上ボトムは2010年3月期の287億円で、これはリーマン・ショックの影響を受けて売上が落ち込んだ時期です。その後、建設投資額は右肩上がりとなり、老朽化したインフラの改修や都市の再開発などがさまざまなかたちで進みました。現状では当社も売上が右肩上がりに伸びています。

このような環境のもと、2026年3月期の売上高は626億円となり、2期連続で売上高の過去最高を記録しています。

トピックス①

トピックスについてご説明します。1つ目のトピックスは、組織変更の実施です。当社は4つのセグメントを7つの事業部で運営していますが、創業以来それぞれが独立して事業運営を行ってきました。

しかしながら、現代においては多様なかたちで連携を進めなければ、お客さまのニーズに対応することが難しい時代となりました。

そのため、すべての事業に横串を刺して連携を強化する目的で、3月21日付で営業本部を立ち上げました。それぞれの事業が連携することで、さらなる営業体制の強化を図っていきます。

また各事業部に物流部門を設置していましたが、物流コストの上昇やさらなる物流の効率化を図るため、各事業部の物流部門を統合し、物流本部を立ち上げました。

当社は創業当初より建設業に従事している背景もあり、安全・安心、さらには商品の安全性を含め、これらを経営の最重要課題と位置づけています。この方針に基づき、安全統括部を設置し、事業全体に横断的な視点を導入する組織を構築しました。

最後に、昨今のデジタル化の流れであるDX推進を目的に、DX推進室とDX推進委員会を設置しました。これにより、従来のハードの販売を中心とした事業から、ハードとソフトを組み合わせた新たなビジネスモデルの構築を目指しています。

このような新組織体制により、さらなる業容の拡大を図っていきたいと考えています。

トピックス②

2つ目のトピックスは、自己株式の取得です。当社の配当方針として、「自己株式の取得については、適宜その実施を検討する」という文言を2018年3月期より入れています。

前回の自己株式取得は2018年10月で、その際は70万株、8億円の自己株式を取得しました。これは発行済株式総数に対して3.41パーセントに相当します。前回から8年が経過したことから、今年5月7日より、株式総数110万株、金額にして10億円の自己株式の取得を始めています。

この自己株式取得はさらなる株主還元の強化を目指したものであり、これにより総還元性向は配当性向41パーセントに加え、86.5パーセントとなる見込みです。これは、当社が株主のみなさまへの配当に対する考え方を重視している姿勢によるものです。

トピックス③-1

3つ目のトピックスは「中期経営計画2027」の見直しについてです。これは2025年3月期から3年間の計画で、2027年3月期が最終年度に当たります。計画を立てた当初と比べて経済環境が大きく変化したため、売上高を680億円から652億円、経常利益を50億円から32億円へ下方修正しました。

見直しの理由についてはスライドに記載のとおりです。コア事業では、建設機材関連事業での販売とレンタル関連事業が連携して新型足場「アルバトロス」の採用ユーザーを着実に拡大し、堅実な経営を維持しています。

しかし、住宅機器関連事業や電子機器関連事業において、計画時には予測できなかった地政学リスクの高まりや、円安が進んだ為替の影響により、2027年3月期までに当初の計画を達成することは困難であると判断し、見直しを行いました。

下方修正ではありますが、この見直した計画を着実に実行していきたいと考えています。

トピックス③-2

「中期経営計画2027」についてもう少し説明します。2024年3月期の売上高は578億円、経常利益は28億円でした。この時期に3ヶ年の計画を立案し、最終年度である2027年3月期に売上高680億円、経常利益50億円を目標としていました。

しかし今回、赤枠で囲われた円グラフに記載されているとおり、売上高は652億円、経常利益は32億円へと修正しました。

修正前の2027年3月期には4つのセグメントがそれぞれ利益を出すことで経常利益50億円を達成しようと考えていましたが、修正後の円グラフに示すとおり、建設機材関連事業とレンタル関連事業でしか利益が出ていないという状況となっています。このような環境の変化により、今回の下方修正となりました。

トピックス④

4つ目のトピックスは、働き方改革への取り組みです。当社は「健康経営優良法人2026(大規模法人部門)」「ハタラクエール2026」などの認定を取得しました。今後も、より働きやすい環境を構築したいと考えています。

2026年3月期 連結業績

2026年3月期の業績についてご説明します。売上高は各セグメントが堅調に推移したことにより、前期比で増加しました。売上高、営業利益、経常利益のすべての項目で2025年3月期の実績を上回りました。

親会社株主に帰属する当期純利益については、2025年3月期の実績である19億5,900万円から17億5,300万円となり、前期を約2億円下回る結果となりました。前期の19億5,900万円には特別利益4億1,300万円が含まれていましたが、当期は1億円のみで、特別利益が約3億円減少しました。

2025年3月期には特別利益として子会社清算益約1億9,000万円、受取和解金1億4,000万円が計上されていました。これらが当期にはなくなったため、前期比で約2億円減少しました。

2026年3月期 セグメント別業績

セグメント別の業績です。コア事業である建設機材関連事業とレンタル関連事業の売上高は、ほぼ前期並みの数字です。

建設機材関連事業では、セグメント利益が前期比で約10パーセント減少しました。これは、主力製品「アルバトロス」の売上が順調に伸びたものの、製品構成の中で利益率の低い足場板などの製品の販売比率が増えたため、利益が減少しました。

レンタル関連事業は、セグメント利益が14億700万円から12億6,900万円となり、前期比で約10パーセント減少しました。これは、引き続き需要が多いレンタル資産への投資を行った結果、その償却負担が前期より約1億7,000万円増加したためです。その結果、セグメント利益は前期比で1億3,800万円減少しました。

住宅機器関連事業と電子機器関連事業については、セグメント利益が赤字となっています。売上高は大きく増加していますが、為替の影響や子会社に対する投資負担が大きく、これらの赤字をいかに改善するかが喫緊の課題となっています。

2026年3月期 セグメント別売上高増減

セグメント別の売上高増減です。コア事業である建設機材関連事業とレンタル関連事業については、前期とほぼ同水準とお伝えしましたが、この比率は売上高約626億円のうち約425億円となります。前期比ではほぼ横ばいですが、全社売上の約68パーセントを占めており、堅調な売上を示しています。

一方、利益がなかなか出ないとご説明した住宅機器関連事業と電子機器関連事業は、前期比で大きく売上高を伸ばしています。これをいかに利益につなげるかが次の課題です。

2026年3月期 経常利益増減

経常利益の増減についてご説明します。セグメントごとの営業利益はほぼ前期並みとなっています。建設機材関連事業とレンタル関連事業については、先ほどご説明した要因から利益が減少しました。住宅機器関連事業と電子機器関連事業は前期に比べて利益が増加しましたが、最終的には経常利益は赤字となっています。

また、為替ヘッジが1億4,200万円のマイナスとなりました。一方で外貨建て資産等の評価益は約3億円増加しています。こちらは、先ほどご説明した海外子会社に対する貸付金から評価益が発生したものです。その結果、経常利益は前期に比べて9,800万円増加しました。

ドル/円相場の推移【2022年3月期〜2026年3月期】

参考として、スライドに直近5年間のドル/円為替相場の推移を示しています。2022年3月期の社内想定レートは1ドル105円でしたが、その後円安基調が続き、2026年3月期には1ドル150円の社内想定レートとなっています。

105円から150円と、この5年間で約45円の円安が進んだことで、住宅機器事業やフィットネス事業は海外からの輸入比率が高いことから、利益が出にくい体質となってしまいました。

当社全体では、海外からのドル建て仕入額が約7,000万ドルあるため、特に為替ヘッジを行わない場合、1円の円安で7,000万円の利益が圧迫される要因となります。10円の円安では約7億円の影響となります。

1ドル105円の時代から円安がかなり進んでいることから、価格改定などの対応は行っているものの、円安の進行により当社の収益状況は厳しくなっています。そのため、為替予約などを活用した為替ヘッジにも取り組んでいます。

2026年3月期 連結財政状態

連結財政状態についてです。特に注目していただきたいのは、スライド右側の表に記載されている固定資産のレンタル資産投入です。レンタル事業を運営するうえで、毎期レンタル資産の投入が必要となり、前期は15億円ほど増加しました。それに伴う減価償却費は約10億円で、レンタル資産投入による減価償却費の負担も依然として大きい状況です。

会社全体の自己資本比率は45.8パーセントで、安定した40パーセント超の水準を維持しています。D/Eレシオは0.81倍で、1倍を下回る水準を維持しています。

2026年3月期 連結キャッシュ・フロー(CF)の状況

キャッシュ・フローの状況についてです。スライド右側の表に記載のとおり、棚卸資産の増加により営業CFが約10億円減少しています。これは、次期以降の需要に対応するための計画的な生産による棚卸資産の増加を図っているためです。

営業活動によるキャッシュ・フロー、投資活動によるキャッシュフロー、およびそれに伴うフリー・キャッシュ・フローについては、数字の増減はあるものの、安定しています。

2027年3月期 業績予想のポイント

2027年3月期の業績予想についてご説明します。スライドには業績予想のポイントをまとめています。売上高から親会社株主に帰属する当期純利益に至るまで、2027年3月期は増収増益を計画しています。

売上高については、市場環境の変化によるニーズに対応するため、開発部門を強化し新製品の開発を進めることで他社との差別化を図る戦略をとっています。これにより、3期連続の過去最高売上高を見込んでいます。

また経常利益は、売上高の増加と原材料価格の上昇に伴う価格改定を行うことにより、増益を図る予定です。

投資額50億6,000万円については、従来から成長に向けた投資を継続していますが、2027年3月期も中期経営計画に基づき、引き続き投資を進めていく予定です。

為替については、直近では1ドル160円に近い円安が進んでいますが、想定レートは150円を前提としています。為替予約の活用により、前期同様、為替リスクのヘッジを図る方針です。

2027年3月期 連結業績予想

連結業績予想です。先ほどご説明したとおり、売上高から最終利益まで、すべて前期を上回る見込みです。

市場環境については、当社グループの関連業界である建設および住宅関連業界では、人手不足や建設コストの高止まりによる供給制約が引き続き存在します。しかし国土強靱化による社会的な要請を背景に、民間・公共投資ともに堅調な推移が見込まれるため、名目建設投資額は増勢基調を維持すると考えています。

一方、原材料価格の上昇が見込まれるため、各事業部門において価格改定を計画し、利益の確保を図っていきたいと考えています。

建設投資額(名目値の推移)

スライドのグラフは、直近の建設投資額の推移をまとめたものです。10年間の推移を記載しており、下の濃いブルーが政府部門、上の薄いブルーが民間部門を示しています。

いずれも増加傾向にあり、建設経済研究所の見通しによれば、2026年度には建設投資額が80兆円を超える水準まで増加すると予測されています。このように、当社のコア事業にとっては非常に良い環境が続いています。

2027年3月期 セグメント別業績予想

セグメント別の業績予想です。建設機材関連事業では、これまで以上にスーパーゼネコンへの販売を促進します。さらに中堅企業を含めた新規開拓に注力しています。またレンタル関連事業との連携を通じて高付加価値製品の構成比を増やすことで、増収増益を計画しています。この部門は、当社の事業の柱としたいと考えています。

レンタル関連事業については価格改定を予定していますが、人件費やレンタル資産の償却負担などの影響により、利益は前期を下回る見込みです。

住宅機器関連事業と電子機器関連事業については、非常に厳しい環境が続いています。しかしここ3期の数値をご覧いただくと、住宅機器関連事業のセグメント利益は2025年3月期がマイナス5億2,300万円、前期がマイナス3億6,300万円、2027年3月期がマイナス2億7,000万円と、改善傾向を示しています。

黒字化まではもう少し努力が必要ですが、改善傾向が数値に現れている点をご理解いただければと思います。

電子機器関連事業についても、2025年3月期のマイナス5億3,400万円から2026年3月期にはマイナス4億4,100万円、今期はマイナス2億8,000万円と、改善を図る施策を行っています。こちらも黒字化までは時間がかかる可能性がありますが、引き続き赤字解消に向けて、さまざまな努力を継続していきたいと考えています。

2027年3月期 セグメント別売上高増減予想

セグメント別の売上高の増減予想です。今期はすべてのセグメントで前期を上回る増加を見込んでいます。

特にコア事業では13億4,500万円増加し、売上高を626億円から652億円とする予定です。全体では25億6,800万円の売上高増加を計画しています。

前期の増加額が10億3,000万円だったため、今期は前期の倍以上の増加を目指す計画です。

2027年3月期 経常利益増減予想

次に経常利益の増減予想です。セグメントごとの営業利益について、前期は営業利益の増加額が1,600万円でしたが、今期は7億8,700万円と、前期を大きく上回る伸びを目指しています。

為替については、想定レートの150円よりもやや円安が進んでいるため、為替ヘッジによる利益は前期のマイナス1億4,200万円からマイナス2億2,300万円に少し悪化する見込みです。

また前期の実績として計上された外貨建て資産の評価益について、この計画段階では保有しているドル、タイバーツ、インドネシアルピアなどの海外相場の想定が難しいため、特に計画には含めていません。

このような方針のもと、27億7,700万円から4億2,300万円の改善を図り、最終的には32億円の経常利益を確保したいと考えています。

年度ごとの投資の状況

投資の状況です。スライドは、2010年3月期からの投資額の推移を表にしたものです。2010年3月期頃は売上が非常に厳しい状況で、当時は約13億円の投資しかできませんでした。2014年3月期までは、償却範囲内での投資にとどめていました。

しかしながら次の成長に向けて投資の必要性を認識し、2015年3月期以降は投資額を増額しました。この期間には海外市場への投資やM&Aによる投資、および設備更新への対応などを行いました。

その結果、売上高が右肩上がりに増加しており、これらの投資実績が大きな効果をもたらしたと考えています。

「中期経営計画2027」期間の3年間では、年平均50億円程度の投資を予定しています。

中期経営計画投資額

スライドは「中期経営計画2027」の2年間を終えた時点での数字をまとめたものです。レンタル資産投資は65.9パーセントの進捗率となっています。引き続き次のレンタル収入に向けて、新型足場「アルバトロス」を中心にレンタル資産への投資を進めています。

新製品開発投資や生産性向上・能力増強投資として、新たな効率化を目指す生産設備の新ラインの建設や、機材センターの整備に向けた土地と機材の取得を進めています。こちらは想定を超える投資を実施しています。

一方、M&A関連投資については、ここ最近、利益に結びつくような案件を得ることができておらず、予算を下回っています。この資金は目先の利益を追求するのではなく、中長期的な利益につながる新製品の開発投資に充てています。

また、人的資本・DX投資についても積極的に取り組んでいます。DX関連については今後の事業発展の基盤になると考えており、人材を含めた投資を継続しています。

3年間で165億円の投資計画に対し、この2年間で98億4,000万円と、約100億円の投資を実施しました。

今期2027年3月期については約50億円の投資を予定しており、3年間の中期経営計画期間中の投資額は約150億円になる見込みです。165億円にはやや届きませんが、計画に沿って着実に投資を実行しています。この投資をベースに、将来の成長につなげていきたいと考えています。

2027年3月期 年間配当

配当についてです。配当は、利益配分に関する基本方針に基づき、安定的な配当の維持を基本方針としています。連結配当性向は、現時点で40パーセントを目標としています。

また自己株式の取得については、株価や経営環境の変化に対する機動的な対応、資本政策、株主への利益還元の一方法として、実施を検討していきます。この方針に基づき、今回8年ぶりに自己株式の取得を実施しました。

「中期経営計画2027」では、剰余金の配当について、過去からの配当実績でも減配はありませんが、この3年間においては利益成長に応じて配当を増加させる累進配当を実施する方針です。

スライド下段の表にあるとおり、2027年3月期の剰余金の配当はここ3年間で43円から44円、45円と1円ずつの増加を図っており、2027年3月期には45円の配当を予定しています。また配当性向は40パーセントを超える41.8パーセントを見込んでいます。

株主還元・配当方針

過去からの配当実績を表にまとめました。配当性向については、従来30パーセントとしていましたが、2020年3月期より、連結配当性向の目標を30パーセントから40パーセントに引き上げました。

2010年3月期の8円から始まり、前期は44円、今期は45円の予定となっており、この2010年3月期からの18年間で一度も減配していません。今後も利益を基盤として、累進配当も含めて安定した配当を継続していきたいと考えています。

株価の状況

株価の状況です。5月15日時点の実績は1,021円と1,000円を上回っていますが、PBR1倍に到達するにはまだ乖離があります。直近の株価を基に判定すると、PBRは0.61倍です。配当利回りは4パーセントを超える水準にあります。

やはり、もう少し利益を上げて株価の上昇を図ることが、当社の大きな経営課題であると考えています。

利益率改善に向けた取り組み

スライドは「利益率改善に向けた取り組み」と題し、中期経営計画作成時に作成した資料です。スライドの1行目には、「全事業部を統合した営業本部を新設し、各事業部間の連携を強化し新たな事業機会を創出」と記載しています。

2027年3月期の計画を下回った部分もあり、加えて、近年の経済環境の変化にも直面していることから、営業本部の機能を強化することで次の成長に結びつけたいと考えています。

「中期経営計画2027」では、「ビジネスモデルの進化」「構造変革」「成長加速」という3つのキーワードを軸に、各事業部の成長を図ってきました。残念ながら、最終年度である2027年3月期は、当初掲げた中期経営計画の目標を達成するには至りませんでした。

しかしながら次の成長に向けて、赤字基調にある住宅機器関連事業と電子機器関連事業の黒字転換を達成し、4つのセグメントすべてが利益を出すことで、当初の中期経営計画目標であった経常利益50億円を上回る水準に早期に到達したいと考えています。

また、経常利益50億円を達成することで、投資家のみなさまに配当性向40パーセントで相応の配当を実現できると考えています。

引き続き、PBR1倍を上回るためには利益のさらなる上乗せが必要であると認識し、対応を強化していきます。

新型足場『アルバトロス』とわく組足場の違いについて

「アルバトロス」についてご説明します。わく組足場自体の製造はほぼ終了しており、当社をはじめ国内メーカーのほとんどが現在は製造を行っていません。

現在、各社から新型足場が提供されており、これを使用せざるを得ない状況にあります。この新型足場は、より安全で、日本国内で定められた規定に対してオプション材なしで対応できる仕様となっています。したがって企業が新たな足場を調達する場合、当社を含む新型足場以外の選択肢はありません。

市場では新型足場への移行が進んでおり、およそ30パーセントから40パーセントが新型足場へと切り替わっています。

当社を含む複数の企業が、同様の機能を持つ足場を提供していますが、わく組足場の製造が停止していることを考慮すると、将来的には新型足場のシェアがさらに高まるだろうと予測しています。したがって新規に投資を行う場合、新型足場以外に選択肢がない状況となっています。

作業スペースの拡大については、スライド右上の図に示すとおり、従来のわく組足場は、日本人の体型が今ほど立派ではなかった時代に設計されており、作業スペースの高さが1,700ミリを標準としていました。そのため、高所作業時には屈めた姿勢でないと対応できないという不便さがありました。

これに対して新型足場、特に当社製品では作業スペースの高さを1,800ミリと設定しています。さらに作業において不便となるような、わく組足場を支える突起物もありません。このように作業が容易になるだけでなく、安全性を重視した設計となっています。

このような理由から、将来的に新型足場へのシフトが進むと考えています。完全な移行には時間がかかるものの、徐々に市場全体が変化しているのが現状です。

また海外製品との競合について、日本の建設用機材は、仮設工業会の認定を受けなければ流通できないという規定があります。そのため日本国内市場では、安価で質の低い海外製品が流入することはありません。認定を受けた製品のみが使用可能であり、工場の認定も必要です。このように、日本国内市場は保護された状態にあります。

このような市場環境において、今後も我々はシェアの拡大を目指し、努力を継続していく考えです。

現在、当社の「アルバトロス」という製品は、複数のスーパーゼネコンでご採用いただいています。その裾野を広げるべく、中堅企業への新規開拓を強化し、市場シェアの拡大に努めています。

今後も「アルバトロス」を当社のコア事業の中心製品として、そのシェアをさらに高めることを基盤に、業容の拡大を図っていきたいと考えています。

質疑応答:中東情勢による事業への影響について

司会者:「現在の中東情勢において、貴社はどのような影響を受けていらっしゃいますでしょうか?」というご質問です。

小林:現在、みなさまが最も関心をお持ちであるのが中東情勢ではないかと思います。特に原油、そして原油以上に影響が大きいのはナフサです。ナフサはさまざまな製品に使われています。

例えば当社と関連する分野では、塗料や、塗料を使用するためのシンナー、さらに樹脂製品などに影響が見られます。

現時点では、特に不足によって事業に直接的な影響が出ているわけではありませんが、6月、7月以降の入手に関しては未確定な状況であるとの回答も得ています。したがって中東情勢が長引けば、将来的には一定の影響が生じる可能性があります。

また、マンションの大規模改修工事等については、すでに一部で延期が始まっています。これは建材価格の上昇や人手不足、資材不足などの影響が要因であり、将来的にも影響が拡大していく可能性があるため、引き続き注視していく必要があると考えています。

質疑応答:建設資材価格や人件費の上昇による影響について

司会者:「国土強靱化を背景とした社会インフラの更新や、民間投資等による建設投資額は拡大を続けていますが、一方で資材価格や人件費の高騰によるマイナスの影響も大きくなっています。これら両方の環境についてどのようにお考えでしょうか?」というご質問です。

小林:建設資材の価格がかなり上がっているということで、今後その影響が出てくる可能性があります。また、人件費や人手不足についても、当社の建設事業において非常に大きな問題であると認識しています。

さらに都市の再開発については、全体的には順調に右肩上がりで推移しています。開発が延期や中止になるケースも一部見受けられますが、全体としては右肩上がりで推移している状況です。

例えば、東京地区では八重洲や日本橋、また将来的には築地の再開発など、大きな再開発プロジェクトについては計画どおり実行されると考えています。

大阪においては、IRに向けた準備が2030年を目標に進んでおり、当社が関与する大手建設会社が扱う物件については、現在のところ大きな影響は出ていない状況です。

一方で、当社が取り扱う現場は大手のプロジェクトに限らず、中小の現場も含まれていますので、今後影響が出る可能性があると考えています。このような環境の変化については、引き続き注視していきます。

質疑応答:新型足場のシェア拡大における課題について

司会者:「新型足場のシェア拡大における問題点を、いくつか挙げていただけますでしょうか?」というご質問です。

小林:我々の販売先はスーパーゼネコンを含めた建設会社のほか、大手のレンタル会社やゼネコン系列のレンタル事業を営む会社が中心となっています。

レンタル業界においては、当社の事業と同様に、新たに投資を行うと償却負担が生じます。多くの機材を保有されている企業は、償却済資産を活用している限りは安定した利益を確保できますが、新たな投資機会においては償却負担により、レンタル料の価格改定がなければ利益を出しにくい体質にあると言えます。これがレンタル業界の特性です。

したがって、レンタル単価がなかなか上がらない場合、従来のわく組足場を使い続けるという選択肢も考えられます。

新型足場への移行が30パーセントから40パーセントとお伝えしましたが、移行のスピードが遅くなり、当社でいうと毎年の販売額、レンタル会社においては新規購入額が減少するリスクが存在します。

このような状況から、業界内でのシェア争いに伴い、単価設定や新型足場への切り替えに遅れが生じる可能性も課題となっています。これらが最も大きな問題であると考えています。

当社は、規模が大きい顧客に対応できる製造キャパシティを有しています。そのため、引き続き業界シェア拡大のため、新たな関連機材の開発にも注力し、他社との差別化を図っています。

このような取り組みが、差別化のポイントとなると考えています。従来以上に開発部門に力を入れることで、より魅力的な製品を開発し、製品力を高める努力を続けていきます。

導入のネックとしては、他社との価格競争、および導入に伴う償却負担が最も大きな課題であると認識しています。

質疑応答:自己株式取得の背景について

司会者:「今回、ある程度規模のある自己株買いを決定された背景を詳しく教えてください」というご質問です。

小林:先ほどもご説明したように、自己株式取得については我々の配当方針に含めていたものの、2018年度以来8年間実行していなかったということで、「自己株式の取得を実施するのか」というご質問を数多くいただいていました。したがって、機会を見ながら実行しなければならないと考えていたところです。

また今回、中期経営計画の最終年度において、売上高だけでなく、残念ながら経常利益の水準も下方修正せざるを得なかった部分もございます。

当社は配当性向を40パーセントとしており、「経常利益が50億円を達成できれば相当な配当が実施される」という株主さまのご期待もあったかと思います。しかしながら、2027年3月期の業績予想ではその期待を裏切るかたちとなってしまいました。

これを踏まえ、当社は従来から掲げている安定した配当の方針を維持しつつ、このタイミングで株主還元をさらに強化すべき時期にあると判断し、今回8年ぶりに自己株式の取得を実行することとしました。

その結果、総還元性向は先ほどもご説明したとおり86.5パーセントとなり、株主還元の強化が図れたと判断しています。

小林氏からのご挨拶

本日は、貴重なお時間をいただき、ご視聴いただき、ありがとうございます。現在、中東情勢を含め、私たちを取り巻く環境は刻々と変化しています。本日ご説明した組織変更については、時代の流れに対応するためには、私たち自身の体制も変えていく必要があるとの判断から実行したものです。

また、中期経営計画の最終年度において、残念ながら下方修正を行いましたが、修正後の目標の達成に向け、全役職員が一丸となって着実に取り組んでいます。この達成が、次の中期経営計画につながるものと確信しています。

引き続き、ご支援とご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。本日は誠にありがとうございました。

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