■ティーケーピーの決算概要
2. 2026年2月期の業績概要
2026年2月期の連結業績は、売上高が前期比93.1%増の114,357百万円、営業利益が同74.1%増の10,301百万円、経常利益が同56.2%増の9,098百万円、親会社株主に帰属する当期純利益(以下、当期純利益)が同224.4%増の12,293百万円と大幅な増収増益となり、売上高、各段階利益ともに過去最高を更新した。特に当期純利益の増益率が大きいのは、固定資産(宿泊施設)の流動化に伴う売却益によるもの(一過性要因)である。
売上高は、オフィス回帰に伴う期間貸しや研修・懇親会等の対面需要が引き続き好調であったほか、ホテル・宿泊研修事業の継続的な寄与により、同社本体(空間再生流通事業)が順調に伸長した。また、リリカラ及びノバレーゼ(現 オンザページ)、エスクリ(現 オンザページ)の3社による連結効果も増収に大きく寄与した(合計で約450億円の上乗せ要因)※。
※ リリカラ(2025年2月期第3四半期から連結化)は6ヶ月分、ノバレーゼ(2026年2月期第1四半期から連結化)は12ヶ月分、エスクリ(2026年2月期第4四半期から連結化)は3ヶ月分の上乗せとなった。
利益面では、空間再生流通事業における収益性の高い期間貸しの受注拡大やコロナ禍で外注化したオペレーションの再内製化により売上総利益率が大きく改善した。一方、販管費は積極的な新規出店に伴う初期費用(先行費用)や上記3社の連結化により大きく増加したものの、増収による収益の押し上げや売上総利益率の改善によりカバーし増益を確保した。
財政状態については、固定資産の流動化や借入による資金調達に伴い現金及び預金が大幅に増加したほか、宿泊施設の取得やノバレーゼ(現 オンザページ)による新規出店、エスクリ(現 オンザページ)の連結化などにより、総資産は前期末比40.7%増の170,851百万円に大きく拡大した。一方、自己資本は利益剰余金を積み上げた一方、自己株式の取得を実施したことで同21.0%増の50,039百万円となり、自己資本比率は29.3%(前期末は34.1%)に低下した。
各事業の業績は以下のとおりである。
(1) 同社本体(空間再生流通事業)
売上高は前期比24.0%増の52,277百万円、セグメント利益は同23.1%増の6,749百万円となった。主力のフレキシブルオフィス事業は、対面需要の高まり(会議やセミナー、研修等)を背景に、時間貸し、期間貸しともに稼働が好調に推移した。また、飲食を伴う懇親会の需要も好調であり、各四半期ともにコロナ禍前の水準を上回って推移した。新規出店数39施設、増床数13,250坪により、期末の直営施設は229施設(前期末比31施設増)、契約面積は113,475坪(同9,201坪増)に拡大した。KPIである「坪当たり売上高」についても、すべての四半期で前年同期を上回って推移しており、増床しながらも「坪当たり売上高」を増やした点は評価できる。また、ホテル・宿泊研修事業においては、旅行や出張等のビジネス利用やインバウンド需要が好調に推移するなかで、新規出店の寄与、既存店の高稼働・高単価の継続が業績の伸びをけん引した。新規開業6施設により期末の直営施設数は31施設となった。KPIである「RevPAR(客室当たりの収益)」についても各四半期で高水準を維持した。それらの結果、サービス別売上高は「貸会議室室料」(期間貸しを含む)及び「宿泊」を中心に全項目でバランス良く伸ばせた。
利益面では、収益性の高い期間貸しの受注拡大やコロナ禍で外注化したオペレーションの再内製化により売上総利益率が改善した。積極的な新規出店に伴う初期費用(先行費用)が増加したものの、増収効果や売上総利益率の改善によりカバーし増益を確保した。
(2) リリカラ事業
売上高は前期比93.8%増の33,201百万円、セグメント利益は同93.6%増の856百万円となった。2025年2月期第3四半期から連結化したリリカラが通年寄与(6ヶ月分の上乗せ)した。上期が苦戦したものの、下期に入ってインテリア事業、スペースソリューション事業が堅調に推移したことや、不動産開発案件(10億円超)の売上計上により一定のリカバリーを達成できた。
(3) ノバレーゼ・エスクリ事業
売上高は29,190百万円、セグメント利益は2,743百万円となった。2026年2月期第1四半期より連結化したノバレーゼ(現 オンザページ)による通年寄与、並びに2026年2月期第4四半期から連結化したエスクリが業績に貢献した。ブライダル市場は季節要因の影響を大きく受けるが、繁忙期となる第4四半期において両社とも売上、利益を大きく拡大できた。特に施工組数の確保に加え、施工単価の上昇が業績の伸びをけん引した。
3. 2026年2月期の総括
2026年2月期を総括すると、好調なオフィス需要の取り込みや連結効果により、単体・連結ともに過去最高業績を更新し、業績面、体制面ともに大きく前進した1年と言えるだろう。特に主力の空間再生流通事業(同社本体)については、積極的な新規出店等に伴う費用増を、「坪当たり売上高」の増加や収益性の改善によりカバーした点で大いに評価できる。一方、リリカラ、ノバレーゼ(現 オンザページ)、エスクリ(現 オンザページ)の連結化が連結決算に及ぼす影響についても注目点の1つであったが、繁忙期を含む下期の巻き返しにより、一定の業績貢献を確認できた。売上総利益率について見ると、同社本体では39.9%であるのに対し、連結ベースでは42.3%となっていることから、シナジー効果が得られていると言えよう。活動面でも「fabbit」(ワーキングスペース)や「CROSSCOOP」(シェアオフィス)の獲得によるサービス形態の拡充に加え、三菱地所との連携強化(運営受託)などで新たな展開を示すことができた。なお、固定資産の一部流動化の動きについては、売却資金の活用を含め、今後の動向に注意する必要がある。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)