■和田興産の今後の見通し
1. 2027年2月期の業績見通し
(1) 事業環境について
2027年2月期の事業環境として、住宅ローン金利が上昇するなかで、政府の住宅取得支援策が継続していることから住宅需要は依然、底堅い推移が見込まれる。2026年内に日銀がもう一段の金利引き上げを行うとの見方が強まっているが、水準的には依然低位圏にあり金融機関の融資姿勢にも大きな変化はない見通しである。建築コストの上昇により同社の営業エリアである神戸市・阪神間の分譲マンションの平均販売価格は今後も緩やかな上昇が見込まれるが、最近は共働き世帯がペアローンを組み、借入可能額を増やして住宅を取得するケースも増加していることから、当面は堅調な需要が続くと弊社では見ている。実際、同社資料によると、2025年の近畿圏の新築マンション供給戸数は前年比11.8%増の16,922戸と4年ぶりの増加に転じたものの、契約率は73.5%と好不調の分岐点となる70%の水準を16年連続で上回るなど需要に陰りは見えていない。建築コストの上昇により新築マンションの供給戸数も限られるため、供給過剰となるリスクもほとんどないことから、近畿圏内では各社とも売り急がないスタンスを継続し、販売価格も堅調に推移するものと考える。一方、中東情勢による原油高に起因して資材の高騰や供給不足による建設プロジェクトへの影響が懸念されるが、2027年2月期に必要となる部分については手当済みであり、同社の業績に影響が出る場合は2028年2月期以降となる。
(2) 業績計画
2027年2月期の業績は、売上高で前期比9.1%増の46,000百万円、営業利益で同13.8%減の4,300百万円、経常利益で同24.7%減の3,000百万円、当期純利益で同20.0%減の2,100百万円と増収減益となる見通しである。分譲マンション販売を中心とした売上総利益率の低下により減益を見込んでいるが、売上高は戸建て住宅販売やその他不動産販売の増加により、4期ぶりに過去最高を更新する見通しである。販管費については人件費や広告宣伝費が増加するものの、租税公課が減少することもあり前期と同水準を計画している。営業外収支は支払利息の増加を主因として前期比約3億円の悪化を見込んでいる。また、2027年2月期は引渡時期の関係で下期偏重型の業績となる見通しで、上期については売上高で前年同期比5.3%減の21,000百万円、営業利益で同42.0%減の1,600百万円を計画している。
戸建て住宅販売やその他不動産販売の売上が拡大する見通し
2. 事業セグメント別見通し
(1) 分譲マンション販売
売上高は前期比1.5%増の34,700百万円を計画している。引渡戸数は同4.1%減の585戸となるが、平均販売単価が約59百万円と約6%上昇することが増収要因となる。利益面では、売上総利益率で3~4ポイント低下することを想定し減益の計画としているが、前期と同様に契約が順調に進めば売上総利益率が想定を上回る可能性もあると弊社では見ている。
また、2027年2月期に竣工予定の物件14棟(総戸数591戸)のうち、2026年2月末時点の契約済み戸数は429戸、契約率で72.6%となっている。地域別の仕入済未発売プロジェクト数は、神戸市で17棟:695戸、阪神間で6棟:131戸、明石市~姫路市で6棟:248戸、大阪府で5棟:353戸の計1,427戸となっており、年間600戸ペースで販売すると仮定した場合、2年超は手持ち物件で賄える。
2027年2月期に引渡予定の大型プロジェクトとしては、「ワコーレ 神戸元町ザ・ゲートタワー」(神戸市中央区、総戸数101戸、2027年2月引渡)がある。また、2026年4月に発売開始した「ワコーレ住吉本町」(神戸市東灘区、総戸数29戸、2027年11月引渡予定)は、兵庫県の分譲マンションでも先駆的な導入例となる全住戸玄関前顔認証IDプラットフォームを導入しており、高級住宅エリアでの販売となるため平均販売価格も高くなることが予想される。同様に2026年4月に第1期の販売を開始した「ワコーレシティ城北公園通」(大阪市旭区、総戸数175戸、2028年3月引渡予定)は、JR新大阪駅や大阪駅に直通し、近隣には大型公園や遊歩道などが整備されており、大規模ファミリーマンションとして、一定の需要が見込まれる。
(2) 戸建て住宅販売
売上高は前期比24.7%増の2,200百万円、売上総利益率は前期とほぼ同水準の14%程度を計画している。引渡戸数は同2戸増の40戸だが、比較的高価格帯の物件販売を予定しているため高い増収率を見込んでいる。新規プロジェクトとして「ワコーレノイエ 垂水日向フォレストタウンII」(神戸市垂水区、総戸数4戸)や「ワコーレノイエ 仁川月見ガ丘」(兵庫県宝塚市、販売戸数3戸)、「ワコーレノイエ 青谷町三丁目」(神戸市灘区、販売戸数4戸)などがある。
(3) その他不動産販売
売上高は前期比101.4%増の5,400百万円を計画している。販売予定物件は、木造収益物件で1プロジェクト(15戸)、鉄骨収益物件で12プロジェクト(182戸)のほか、新たに一棟卸として2プロジェクト(125戸)の販売を予定している。このうち、1プロジェクトは有料老人ホーム(95戸)で販売先も決まっている。合計の販売戸数では322戸となる。前期は木造収益物件で4プロジェクト(69戸)、鉄骨収益物件で11プロジェクト(119戸)の合計188戸であった。なお、一棟卸は約20億円の売上高を見込んでいるが、早期に販売するため利益率は低くなり、同事業の利益率も低下する見込みとなっている。
なお、開発中物件(一棟卸除く)としては木造収益物件が1プロジェクト(15戸)、鉄骨収益物件が48プロジェクト(667戸)、RC収益物件が1プロジェクト(40戸)あり、合計50プロジェクト(722戸)が順次、販売用収益物件として収益に貢献することになる。
(4) 不動産賃貸収入
売上高は前期比0.1%増の3,300百万円と横ばい水準を計画しており、利益率も同水準で見込んでいる。引き続き住居等の高稼働率の維持に取り組む方針である。収益物件として保有物件の一部を販売するため、新たな物件の取得も進める。
(5) その他
売上高は前期比74.3%増の400百万円を計画している。増収要因は系統用蓄電所の売電収入となる。2025年7月に稼働を開始した丹波篠山市の蓄電所が通期で寄与するほか、鹿児島県霧島市で同規模の開発を進めている蓄電所も2026年5月から6月ころに稼働を開始する予定である。そのほか、三重県松阪市で進めている開発案件も2028年2月期に稼働予定である。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)